不動産登記法第3条
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[編集] 条文
(登記することができる権利等)
第三条 登記は、不動産の表示又は不動産についての次に掲げる権利の保存等(保存、設定、移転、変更、処分の制限又は消滅をいう。次条第二項及び第百五条第一号において同じ。)についてする。
[編集] 解説
[編集] 本条の趣旨
本条は、本法において登記することのできる権利の種類及び登記することのできる権利変動の内容・態様を定めたものである。
[編集] 特別の登記
ただし、本条に掲げられた事項が登記事項の全てではなく、他の法律に定められた特別の登記が別に存在するので、注意が必要である。
例えば、破産法第260条によって「否認の登記」が認められているが、判例はこれを破産法によって認められた特別の登記(参照判例1[1])としている。これを本条に定められた消滅の登記とする古い判例もあるが、否認の効力は破産手続きの終結と同時に消滅するという性質に鑑みると、これを消滅の登記とすることは相当でないからである。
もっとも、民事執行法第48条、第188条の差押えの登記、民事保全法第53条の処分禁止の仮処分の登記などは、本条にいう処分の制限の登記であって、特別の登記ではない。
[編集] 本条にない態様の登記
本条柱書には更正の登記(不動産登記法第64条・第66条・第67条)が含まれていないが、これは更正の登記を許さない趣旨ではない(一問一答30頁)。また、抹消回復登記(不動産登記法第72条)は回復された登記の態様により、設定や移転等の登記と各別に判断するべきである(登記研究613-17頁)。更に、滅失回復登記については不動産登記法第13条に別に規定がある。
[編集] 登記できる権利
上に見た通り、本条及び別の法律に定められた特別の登記を登記することができるのであるが、逆に本条又は他の法律に定められた特別の登記がない限りは、登記することはできないと解されている。登記は登記事項を公示することを目的とするものであるから、確定的でなければならないからである。
[編集] 一般の先取特権
一般の先取特権は個別の財産に対する権利ではなく、債務者の総財産の上に存在するため、これを個別の財産である特定不動産に保存登記できるかどうかが問題となる。しかし、本条において一般の先取特権と特別の先取特権を区別しておらず、また民法第336条は一般の先取特権を特定不動産に保存登記できることを前提に、現実として登記がほとんどなされないことから、特に対抗力を定めたものと解すべきことから、一般の先取特権の保存登記は肯定されている。
[編集] 賃借権
賃借権は債権である(民法第601条)。しかし、登記をすればその後その不動産について物権を取得した者に対しても対抗することができる(民法第605条)。判例では「物権を取得した者」に当該不動産につき賃借権を取得した者も含まれるとしている(参照判例2[2])。
なお、判例によれば、賃貸人が登記をすることを承諾する特約がなければ、賃借人は賃貸人に対して賃借権の登記をするよう請求することはできないとしている(大判大正10年7月11日民録27輯1378頁)。
[編集] 登記できない権利
[編集] 占有権
占有権は規定がないから登記することはできない(大判大正14年1月20日民集第4巻1頁)。占有という事実は登記をすることによって公示するまでもなく見た目に明らかだからである。
[編集] 留置権
留置権は規定がないから登記することはできない。留置権は原則として目的物を占有することによって効力を生じる(民法第295条・第302条)ので、登記をすることによって公示する必要性がないからである。
[編集] 入会権
民法第263条と民法第294条によれば、入会権は共有権又は地役権の性質を持つ。共有権又は地役権は登記できることから入会権も登記できるのではないかということが問題となるが、判例はこれを否定し、入会権は登記なくして第三者に対抗できるとしている(大判大正10年11月28日民録27輯2045頁)。
[編集] 契約による処分の制限
本条にいう処分の制限に私人間の契約による処分の制限が含まれるかどうかが問題となるが、登記先例は、処分の制限は法律の規定がある場合に限られるとして、これを否定している。(明治36年6月29日民刑108号局長回答)
[編集] 参照条文
[編集] 参照判例
- ^ 否認権行使請求(最判昭和49年6月27日民集第28巻5号641頁)(裁判所ウェブサイト)
- ^ 建物収去土地明渡請求(最判昭和28年12月18日民集第7巻12号1515頁)(裁判所ウェブサイト)
[編集] 参考文献
- 清水響編著 『一問一答 新不動産登記法』 商事法務、2005年
- 香川保一 「不動産登記法逐条解説(1)」『登記研究』613号、テイハン、1999年、17頁

