中学校国語 漢文/青は藍より出でて藍よりも青し

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ここでは故事成語「青は藍より出でて藍よりも青し」のもとになった話を解説する。なお、原文の難解な漢字はひらがなに直している。

書き下し文と原文[編集]

君子(くんし)1(いは)く、学は以て()2むべからず。青はこれを(あゐ)3より取りて、藍よりも青く、氷は水之を為して、水よりも寒し、と。

君子曰、學不可以已。青取之於藍、而青於藍、冰、水爲之、而寒於水。

(『荀子』より)

  1. 徳が高く、人格高潔で、生き方において他の人物の模範となるような人物。儒学では君子となることが目指される。
  2. 「已」や「己」や「巳」と間違えやすい字であるので注意が必要。
  3. 植物の一種。この話からわかるように青色の染料の原料になった。

通釈[編集]

君子がこうおっしゃった。「学問は終わったと思ってはいけない。青は藍から取り出すが藍よりも青い。氷は水が作り出すが水よりも冷たい。」と。

解説[編集]

「青は藍より出でて藍よりも青し」は「出藍(しゅつらん)の誉れ」とも言う。親や先生よりも優れた才能を示したり、仕事をしたりしたときに使われる言葉である。ここでは学問というものがどんどん発展していくのだから、「ここで終わり」という制限をかけて努力をやめることをいましめている。

さて、原文は長い文ではないが少し難しい。「青取之於藍、而青於藍」を忠実に書き下し文にすると「青は之を藍より取りて、藍より青し」なる。この書き下し文をよく見ると「於」「而」という字は使っていないことに注目してほしい。この二つは「置き字」といい、原則として読まない(ただし、ふりがながあれば読む)のだが、これが返り点を打つ問題でのミスのもとになる。なお、返り点をうつと「青取之於藍、而青於藍」となる。同様に「而寒於水」には「而寒於水」と打つ。