中学校数学 1年生-数量/正の数・負の数
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[編集] 正の数・負の数とは
小学校段階の数学(算数)では小さい数から大きい数を引くことはしてこなかった。しかし、小さい数から大きい数を引くことができれば、いろいろと便利なことが多い。 そこで、小さい数から大きい数を引くことが出来るような数を新しく学んでいく。
まずは、この単元で習う言葉の説明をする。
- 正の数(せいのすう)
- 今までに普通に使ってきた数で、0より大きい数を正の数という。
- 例:1, 12, 5.5,
など
- 負の数(ふのすう)
- それに対して、ここで新しく学ぶ、0より小さい数を負の数という。
- 例:-1, -12,-5.5,
など
ただし「0」は、「正の数」、「負の数」のどちらにも当てはまらない。
- 符号
- これらの数を表すために、符号というものを使う。
- 正の数を表すには、正の符号である+(プラス)を使う。ただし、この符号+はふつう省略する。また、負の数を表すには、負の符号である-(マイナス)を使う。
- 整数(せいすう)
- 1,2,3,・・・などといった、1の位よりも小さい位のない数を整数という。整数には負の数や0も含まれる。
- 正の数の整数を正の整数、負の数の整数を負の整数という。
- 自然数(しぜんすう)
- 正の整数のことを自然数という。そのため、「0」や、小数・分数は自然数とはいえない。
- 数直線(すうちょくせん)
数を直線上の点に対応させた直線を数直線という。数直線を使うと、数の大小をわかりやすくすることができる(下図)。 これは、ある直線上に原点(0の位置、図中水色)と単位点をとることで完成する。単位点とは、「ここが1」「ここが-5」というように、原点からの距離をあらわす点である。 数直線では、右に行くほど大きな数になり、逆に左に行くほど小さな数になる。
- 絶対値(ぜったいち)
- 数直線上でのある数と原点の距離をその数の絶対値という。上の図のように、たとえば5は原点からの距離が5なので、絶対値は5である。また、(-6)は原点からの距離が6なので、絶対値は6である。
- 簡単にいえば、ある数から符号を取るとその数の絶対値となる。
- 発展: ある数○の絶対値を、記号を用いて|○|と表す。
- 例:|-9|=9、|8|=8、|-294|=294
- 発展: ある数○の絶対値を、記号を用いて|○|と表す。
- 項
- 式を加法(たし算)だけに直したときのまとまり。例えば6+12-54という式では、6+12+(-54)となるので、項は6、12、-54の3つである。また、項には正の項と負の項がある。
- 加法の交換法則
- 式を加法の式に直したとき、項の順を入れ替えても値が変わらないという法則。
- 例:○+△=△+○
- 加法の結合法則
- 式を加法の式に直したとき、項同士をどのように()でくくっても値が変わらないという法則。
- 例:(○+△)+□=△+(○+□)
- 逆数
- ○×△=1となるときの○に対する△のこと。つまり、○×△=1のとき、△は○の逆数であるという。かけて1になるということは、分母と分子がひっくり返れば約分されて1になるので、ある数の逆数を作るためには、分母と分子をひっくり返せばよい。例えば2に対する逆数とは、この数を分母にして、分子を1にした
である。また、分数
の逆数は、この分母と分子をひっくり返した、
である。
- 乗法の交換法則
- 乗法(かけ算)の式で、項の順を入れ替えても値が変わらないという法則。
- ○×△=△×○
- 乗法の結合法則
- 乗法の式で、項同士をどのように()でくくっても値が変わらないという法則。
- (○×△)×□=△×(○×□)
- 累乗
- 同じ数を何度も掛け合わせること。○を△回掛けたものを○△と表し、○の△乗(じょう)と読む。2乗のことを平方、3乗のことを立方ともいう。また、このときの△にあたる数のことを指数という。
- 例:22 = 2×2 = 4、43 = 4×4×4 = 64
- 分配法則
- 次のように、□に ○+△ を掛けても、□を○、△にそれぞれ分配するように掛けてから2つを足しても値が変わらないという法則。
- □×(○+△)=□×○+□×△
- 例:5×(9+4)=5×9+5×4 (どちらも65)
[編集] 量を表す
正の数や負の数は、互いに逆の性質を持つ事柄を示すときに使うことができる。
- たとえば、200円の収入を"+200円の収入"としたとき、300円の支出は"-300円の収入"とあらわすことができる。
このように示すときには、どちらを正の数として表すのかはっきりさせる必要がある。
- 前の例で支出を基準とすると、それぞれ、"-200円の支出"、"300円の支出"といえるからだ。
また、このように基準を決め、その基準からの過不足(どのくらい多い、または少ないか)や増減を、正の数・負の数で表すこともできる。
- たとえば、1日に20分走る、という目標を立てた人が30分走ったとすると、目標より10分長いから"+10分"
- 15分だけ走ったとすると、目標より5分短いから、"-5分"と表せる。
これを利用すると、平均を出すことも簡単にできる。
- 上の例で、2日間での、1日あたりに走った時間の平均を求めてみよう。
- 目標を基準としたときの増減はそれぞれ、"+10"、"-5"で、
- 平均はそれらすべてを足して、個数で割ればいいから、
- (+10)+(-5)=+5
- で、平均は+2.5となる。これは、基準と比べたときの値だから、答えは22.5分(22分30秒)となるのがわかる。
- 負の数の計算のしかたは加法・減法のセクションを見てみよう。
[編集] 正の数と負の数との大小
正の数と負の数とを転換させることについて考えてみよう。
たとえば、ある地点から東に3kmのところにいるとする。そのとき、"西に-3km"といえる、ということは学習した。 このように、正の数を負の数へ、また、負の数を正の数にすることを符号を変えるという。 符号を変えた数は、数直線上では原点についてちょうど反対側にある。符号を変えても、0からの距離、つまり絶対値は等しいままである。つまり、符号が逆の数字どうしは絶対値が等しい。
数を数直線上に表すとき、必ず右に行くほど大きくなるように並べる。
数の大小をまとめてみると、
---------負の数--------->|0|<----------正の数--------
<----|----|----|----|----|----|----|----|----|---->
-4 -3 -2 -1 0 1 2 3 4
この図は右へ行くほど大きいので
*正の数は負の数よりも大きい
*正の数は0よりも大きい。また、絶対値が大きくなるほど、数も大きくなる
*負の数は0よりも小さい。また、絶対値が大きくなるほど、数は小さくなる
ということがいえる。
<、>の記号は、2つの数の大小について表す記号で不等号という。 これは、開いているほうが閉じているほうよりも大きい数であることを表す。 対して、2つの数について、大小の差がなく同じであることを表す記号=は等号という。
- 例
- 5は3より大きい・・・・・・5>3
- -3は0より小さい・・・・・・-3<0
ここで、例えば「0は1より小さい」というのは0<1と書くが、1>0と書くこともできる。また、これを「0は1より小さい」または「0は1未満である」いうこともある。
[編集] 加法・減法
足し算のことを加法(かほう)といい、引き算のことは減法(げんぽう)という。
また、加法した結果を和(わ)、減法した結果を差(さ)という。
[編集] 加法
いままでは、正の数に正の数を足すことはしてきたが、負の数に正の数を足すことはしてこなかったことだろう。では、負の数に正の数を足す計算はどのようにすればよいか。やり方を考えてみよう。
まず、正の数に正の数を足すことを数直線で表してみよう。
例:2+3=5
3大きい
o------------->|
<----|----|----|----|----|----|----|---->
0 2 5
このように、2+3というのは数直線上で2から3だけ右に動いた数ということになる。同じようにして負の数に正の数を足してみよう。
例:(-4)+3=?
3大きい
o------------->|
<----|----|----|----|----|----|----|---->
-4 -1 0
(-4)から3だけ右に動いた数は-1ということがわかる。つまり、(-4)より3大きい数は(-1)ということになる。
- ⇒(-4)+3=(-1)
これで、正の数に負の数を足すことができるようになった。 これは、0をまたいでも同じようにできる。
例:(-1)+3=2
3大きい
o------------->|
<----|----|----|----|----|----|----|---->
-1 0 2
- つぎに、負の数を足すことを考えてみよう。
例:3+(-1)=?
#正の数と負の数との大小で学んだことを用いてみよう。
3+(-1)は「3よりも(-1)大きい数」だから、符号を変えると「3よりも(+1)小さい数」となる。よって、3より1小さい数を求めればよい。
例:3+(-1)=?
3+(-1) = 3-(+1)
= 2
このようにすれば、分かりやすい減法として計算することができる。では、負の数から引くことや、小さい数から大きい数を引くのはどうすればいいのだろうか。それは、次の「減法」で学んでいこう。
[編集] 減法
いままでは、大きい正の数から小さい正の数を引くことはしてきたが、小さい数から大きい数を引いたり、負の数から正の数を引いたりすることはしてこなかったことだろう。
まず、加法の時と同じように、大きい正の数から小さい正の数を引くのを数直線で表してみよう。
例:5-3=2
3小さい
|<-------------o
<----|----|----|----|----|----|----|---->
0 2 5
このようになる。同様にして負の数から正の数を引いてみよう。
例:(-1)-3=?
3小さい
|<-------------o
<----|----|----|----|----|----|----|---->
-4 -1 0
つまり、(-1)より3小さい数は(-4)ということになる。
- ⇒(-1)-3=(-4)
これで、負の数から正の数を引くことができるようになった。 また、小さい数から大きい数を引くのも同じようにできる。
例:2-3=(-1)
3小さい
|<-------------o
<----|----|----|----|----|----|----|---->
-1 0 2
- 次は、負の数を引くことを考えてみよう。
例:3-(-1)=?
これもまた、#正の数と負の数との大小で学んだ事を用いてみよう。
3-(-1)は『3よりも(-1)小さい数』なので、符号を変えると『3よりも(+1)大きい数』となる。だから、3より1大きい数を求めればよい。
例:3-(-1)=?
3-(-1) = 3+(+1)
= 4
このようにすれば、分かりやすい加法として計算することができる。これらの方法を用いれば、負の数を含む加減、小さい数から大きい数を引く、といったことができる。
| 二つの数の和の符号と絶対値の関係 |
|
- 練習問題
- 次の計算をせよ。
- 3+ (-2)
- 4 + 3 - 2
- -4 + 6
- 5 + 1 - 3 + 3 - 8
- -2 + 1 - 7
[編集] 乗法・除法
掛け算のことを乗法(じょうほう)、割り算のことを除法(じょほう)という。
また、乗法した結果を積(せき)、除法した結果を商(しょう)という。
[編集] 乗法
今までには正の数と正の数の掛け算、つまり、正の数どうしの乗法をしてきたが、負の数と正の数の乗法、負の数どうしの乗法はどうなるのだろうか。
まず、正の数どうしの乗法について調べてみよう。
例:2×3=6
「絶対値2」が3つ分右へ
o-------->|-------->|-------->|
<----|----|----|----|----|----|----|----|---->
0 2 4 6
このように、「かけられる数」の絶対値をひとつの単位として「かける数」の個数だけ右に進めていったものが「積」として得られることになる。
正の数どうしの乗法は、正の数が正の数だけあるということだから、数直線ではどんな正の数を掛け合わせても正の方向になる。よって、正の数どうしの積は正の数となる。
次は、正の数と負の数の乗法について調べてみよう。
例: いま、ある地点で人が歩いています。その人は、西へ秒速2mで進んでいる。 3秒後には、どうなっているだろうか。 また、3秒前はどうなっていただろうか。
これも、数直線で表してみよう。 東を正の方向とすると、西へ秒速2mとは、東へ秒速-2mということだから、この問題の式は、-2×3となる。
例:-2×3=?
3秒後 2秒後 1秒後 今 1秒前 2秒前 3秒前
<----<----<----<----<----<----
西<|----|----|----|----|----|----|>東
-6 -4 -2 0 2 4 6
図を見てわかるように、2秒後では-4m東へ、3秒後では-6m東へ行っていることがわかる。 さらに、2秒前は4m東へ、3秒後では6m東へ行っている。だから、正の数と負の数の積は負の数になり、負の数どうしの乗算の積は正の数になる。
| 二つの数の積の符号と絶対値 |
|
以上のことを組み合わせ、次の計算をしてみよう。
- -5×7×7
頭の-5×7から計算するとこの問題は-35×7となり、答えは-245である。
- -2×-2×-2
上記の問題と同じように計算し、答えは-8。
- -1×-1×-1×-1
上記の問題と同じように計算し、答えは1。
| 三つ以上の数の積の符号 |
|
- 練習問題
- 次の計算をせよ。
- -1×4
- -3×(-4)
- -2×3×(-2)
- 2×2×(-1)×(-4)
- 5×(-1)×(-2)×(-4)
[編集] 数の範囲と四則
次の式の
にどんな自然数を入れても、計算の結果がいつでも自然数になるだろうか。
(1) 
(2) 
(3) 
(4) 
(1)と(3)はいつでも自然数になる。しかし、2 − 3 = − 1 や
のように、(2)と(4)は自然数にならない場合がある。 つまり、自然数の範囲では、加法と乗法はいつでもできるが、減法と除法は、いつでもできるとは限らない。
では、上の
にどんな整数を入れても、計算の結果がいつでも整数になるだろうか。
(1)、(2)、(3)はいつでも整数になる。しかし、
のように、(4)は整数にならない場合がある。 つまり、整数の範囲では、加法、減法、乗法はいつでもできるが、除法は、いつでもできるとは限らない。
分数はどうだろうか。分数同士の計算では、値が整数になることもある。しかし、整数も分母が1の分数だとみなすことにすれば、上の
にどんな分数を入れても、計算の結果がいつでも分数になる。つまり、分数の範囲では、加法、減法、乗法、除法はいつでもできる。
今までの結果を表にまとめると次のようになる。
はその範囲でいつでも可能な場合、
はいつでも可能と限らない場合である。ただし、除法では、0でわる場合は除いて考える。
| 加法 | 減法 | 乗法 | 除法 | |
|---|---|---|---|---|
| 自然数 |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
| 整数 |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
| 分数 |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
このように、数の範囲を、自然数の範囲から整数の範囲へ、さらに分数の範囲へと広げていくことで、それまでできなかった計算ができるようになる。
