中学校理科 第1分野
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目次 |
[編集] 始めに
このページでは中学校科目理科の第1分野の内容を扱う。詳しい内容はw:学習指導要領を参照のこと。理科では、自然の中で起こる様々な現象について見ていく。現在の指導要領は全般に実験を重視した作りになっているが、科学に対する興味を養う意味でも、定量的、定性的に現象を把握する意味でもそれぞれの現象について実際に調べてみることは重要である。
中学校理科は大きく第1分野と第2分野に分かれるが第1分野では高等学校でいう物理と化学に対応する分野を扱う。これらは現在の製造業等の 中核をなす学問分野であり、非常に重要な分野であるといえる。一方第2分野では高等学校でいう生物と地学に対応する分野を扱う。 生物は生物の身体の構成物などについて調べる学問であり、研究がさかんな分野である。 ここでは特に第1分野について扱う。
[編集] 身近な物理現象
[編集] 光と音
ここではw:光とw:音について扱う。光と音は全く異なった現象に見えるが、実際にはこれらは多くの共通した性質を持っている。
光や音についてより詳しく知りたいときには、高等学校理科 物理Iなどを参照。
[編集] 反射と屈折
光は直線的に進むことが知られている。例えば、暗い箱を作り、その壁に細いw:スリットを設けると、スリットから入った光がそのまま直進する様子がわかる。この性質は空気中ではいつでも成り立ち、太陽や電球などから発せられた光は、発せられた方向に直進する。しかし、例えば光が鏡などに当った時には、光は直進することなくw:反射する。 反射面に垂直な直線(法線)と入射した光とがなす角をw:入射角と呼び、法線と反射した光とがなす角をw:反射角と呼ぶ。この時、
入射角 = 反射角
が成り立つ。
上の図ではθiが入射角に対応し、θrが反射角に対応する。図でわかるとおり、入射角と反射角は等しい。また、例えば空気中を直進して来た光が水面を通過したときには、光は水面でその方向を変えることが知られている。この現象を光のw:屈折と呼ぶ。光の屈折の大きさは各々の物質が持つw:屈折率によって決まる。屈折率がより小さい物質からより大きい物質に光が入射するときには、屈折した光と物質境界の垂直方向(法線)とがなす角度は、より小さくなることが知られている。 実際には水の屈折率は空気よりも大きいため、屈折によって現われる角は入射角よりも小さくなる。ここで、屈折した光が、法線に対してなす角を、w:屈折角と呼ぶ。
- 屈折の図
例えば細長い棒を水の中に差し入れると、その棒は曲がって見える。これは、光の屈折によるものである。
[編集] レンズ
ここでは、w:レンズを用いたときに光が描く軌跡についてまとめる。ここでは、単純なレンズである凸(とつ)レンズについて扱う。一般に、w:虫眼鏡やw:顕微鏡など物体を拡大して見るための器具は、光の方向を変えるために、凸レンズを用いている。また、w:遠視用のw:眼鏡にも用いられる。
凸レンズは、レンズの真ん中がレンズの縁よりも厚くなっている。代表的な凸レンズである球面凸レンズ(w:レンズを参照)は次のような形をしている。
レンズの2つの面は、ある半径の球の一部を切り取った形をしている。このとき、元の球の半径をレンズのw:曲率半径と呼ぶ(曲率半径はレンズのw:焦点距離と関連しているが、焦点距離と曲率半径の関係について詳しく扱うことはしない。w:レンズなどを参照。)。
ここでは球面凸レンズを扱う。球面凸レンズは、レンズの両側にw:焦点と呼ばれる点を持つことが知られている。焦点とレンズの中心との距離はレンズの両側で等しい。この、レンズと焦点との距離を、"焦点距離"と呼ぶ。
一般にレンズはプラスチックやガラスなどの材質で作られるが、これらは光を通す材質であると同時に、空気よりもw:屈折率が高いことが知られている。
- 注意
現在の指導要領では、屈折率について扱わない。屈折率について詳しく知りたい場合、w:屈折率などを参照するとよい。
既に水と空気の例で説明した通り、光は異なる材質の境界を通過するときに、進む方向を変える。同様に、空気中からレンズを通過するときも、光は方向を変える。実際にレンズを抜けた後に光が向かう方向は、光がレンズに入射する方向と位置が分かれば、計算によってあらかじめ知ることができる。
ここでは特に、光が向かう方向が簡単に定まる場合についてまとめる。球面凸レンズでは一般的に、以下の三つの性質が成り立つ。
- レンズの軸に平行な光線は、レンズを抜けた後レンズの焦点を通る。
- レンズの中央を通る光線はレンズを抜けた後そのまま直進する。
- レンズの焦点を通過した光線は、レンズを抜けた後レンズの軸に平行な方向に直進する。
- 注意
最初の例と最後の例は時間を反対に見ると、同じ事柄を指していることに注意が必要である。時間を反対にするとは、ここでは光の進行方向を逆向きにすることに他ならず、このとき両者は互いに移り変わる。
上で述べたレンズの性質を利用して、レンズを通り抜けた光が結ぶ像の位置と大きさについて調べることができる。レンズが結ぶ像の性質は、対応する物体がレンズの焦点距離より遠くにあるかどうかで変化する。ここではまず物体がレンズの焦点距離より遠くにある場合について述べる。
このとき、物体から放たれる光線は次のような軌跡をたどる。
- 図
図の中で物体の先端からレンズを通過する光線を3本描いたが、この3本はそれぞれ上で挙げた3つの光線に対応している。これらは1点で交わる。
ここで、物体から放たれた光は3本の光線が交わった点に像を作る。この像をw:実像と呼ぶ。実像は常に物体に対して上下、左右がともに逆(w:倒立)の向きで現れ、その大きさとレンズからの距離は、物体とレンズとの距離によって決まる。
実像の大きさと現れる位置の性質は、物体とレンズの距離がレンズの焦点距離の2倍に達したときに変化する。ちょうど2倍のときには、実像の大きさはちょうど物体と同じになり、実像とレンズの距離は物体とレンズの距離と等しくなる。一方、物体とレンズの距離が焦点距離の2倍より大きいときには実像の大きさは実際の物体の大きさよりも小さくなり、実像の位置は、物体とレンズの距離よりもレンズに近くなる。一方、物体とレンズの距離が焦点距離の2倍より小さいときには実像の大きさは実際の物体の大きさよりも大きくなり、実像の位置は、物体とレンズの距離よりもレンズから遠くなる。
一方、物体の位置がレンズの焦点距離よりもレンズに近い場合には、光線が像を結ぶ位置は変化する。このとき生じる像をw:虚像と呼ぶ。虚像は常に物体よりも大きくなる像であり、虫眼鏡で物体が拡大して見えるのは物体の虚像を観察していることに注意が必要である。虚像は実像の場合と違い正立で現れ、常にレンズに対して物体が存在する側に現れる。
| 物体とレンズとの距離 | 結ばれる像の位置 | 大きさと種類 | 像の向き |
|---|---|---|---|
| 焦点距離の内側(0-1倍) | 物体と同じ側 | 物体より大きい虚像 | 正立 |
| 焦点距離の1-2倍 | 物体と逆側 | 物体より大きい実像 | 倒立 |
| 焦点距離の2倍以上 | 物体と逆側 | 物体より小さい実像 | 倒立 |
レンズを使ったときに現れる像の位置と大きさは、実像と虚像の場合を含めてw:レンズの公式と呼ばれる式にまとめることができる。この式は指導要領の範囲外であるので、詳しくはw:レンズを参照すること。
[編集] 音
音は、空気の振動が伝搬する現象である。
音の速度は速いが、有限でほぼ一定の速度を持つ。このことは、例えば"広い空間に何人かの実験者を等間隔で並べ、大きな音を出し、音が聞こえた順に手をあげる等の合図をする"という実験を行なうことで見ることが出来る。音が無限に速い速度を持つときには全員の合図が一斉に現われるはずである。実際には音の速度は有限である。
具体的には、音の伝わる速さは空気中ではおよそ340m/秒であることが知られている。一方、光の伝わる速さはw:真空中で約30万km/秒であることが知られている。これは音の伝わる速さよりもはるかに速く、1秒間に地球を7周半するほどの速度である。
[編集] 力と圧力
ここでは、w:力とw:圧力について述べる。一般に「力が強い」、「強い力が働く」、「学力」「気力」など力という言葉はいろいろな意味で用いられる。しかし、科学的な考え方をする時には、力は常に1つの意味で用いられる。ここでは、力の性質のうちで特に基本的な性質を扱う。
圧力は、力と似た性質を持つw:物理量だが、ある面積当たりに働く力という点で力と異なる。ある面に働く圧力が一定だとすると、働く面積に比例してその面に働く力の合計は大きくなる。圧力の重要な応用として、w:大気圧があげられる。大気圧とは、大気の中にものがあるときに、そのものに対して働く圧力のことである。大気の中にあるものに対しては、w:浮力が働くことが知られているが、これは物体の上面に働く大気圧と、下面に働く大気圧との差によって与えられる。
ここからは、力と圧力の性質についてより詳しく見ていく。
[編集] 力の性質
止まっている物体を動かしたいときには、その物体を手で押したり、道具を使って押したりする。ここで、そのように止まっている物体を動かす性質を持つものをw:力と呼ぶ。力は、手を使ったり道具を使ったりして物体に対して与えることが出来る。また、磁石などを用いることで、物体に触れることなく力を与えることも出来る。
物体を動かす時、対象が粘土などの柔らかいものなら、物体を変形させることができる。この様に力には物体を変形させる働きもある。
- 注意
実際には、あらゆる物体がw:分子の集合によって出来ていることを考えると、物体を変形させることは、分子の並びを変化させることであり、物体を動かす働きの一つとして考えられることに注意。分子については後に扱う。
ここでは力のつりあいの条件について考える。力のつりあいとは、物体に複数の力が働いていて、しかも物体が動いていない情況のことを指す。変形しない物体に対して様々な方向から複数の力を働かせる実験を行なう。この実験の結果によると、物体に対して反対向きの方向に、同じ大きさの力をかけているときには、物体は動かないことが知られる。この情況を、物体に働く力がつりあっているという。また、同じ方向に2つの力をかけたときには、物体に働く力はそれら2つの力の和と同じだけの力がかかった時と同じ振舞いを示す。また、反対方向に2つの力をかけたときには、物体に働く力はそれら2つの力の差と同じだけの力がかかった時と同じ振舞いを示す。このように、物体にかかった力は、互いに強めあったり弱めあったりすることがわかる。 また、全く反対向きで同じ大きさの力がかかったときには、物体が動かないことがわかる。これは、物体について力のつりあいがおこっている状態と、物体に全く力がかかっていない状態は、同じ状態であることを示している。
力の大きさは単位w:ニュートンによって量られる。ニュートンは記号Nで表わされる。1Nはおよそ98gの物体に働くw:重力と等しい。
ニュートンは他の単位によって合成することもできるが、これは高等学校理科 物理Iの範囲である。
- 例
w:質量1kgの物体に1m/s2のw:加速度を与えるのに必要な力は、1ニュートン(1N)である。
ばねの伸びは、ばねに働く力の大きさに比例する。このことをフックの法則という。このことを利用すると、ばねの伸びからばねに働いた力の大きさを知ることができる。これを応用した器具がばねばかりである。
[編集] 圧力の性質
w:圧力とは、単位面積当たりに働く力のことである。体の一部分を指で押した場合と、とがった針のようなもので押した場合とでは、同じ力で押したとしても結果に違いが出る。前者では皮膚がへこむ程度で済むが、後者では皮膚が破れてしまうこともある。これは、後者の方が皮膚に働く圧力が強いことによる。
圧力は単位面積当たりに働く力のことであり、働く面積が小さいときには単位面積当たりに働く力は強くなる。そのため、鋭くとがった針に力をかけたときには、皮膚に対して強い圧力がかかったのである。
圧力の単位は力の単位を面積の単位で割ったもので与えられる。力の単位はN(w:ニュートン)で与えられる。面積の単位はここではm2で与える。このとき、 圧力の単位は、N/m2(ニュートン毎平方メートル)となる。この単位は、Pa(w:パスカル)と呼ばれる。
ここで、空気が与える大気圧と、空気に重さがあることとの関係について述べる。
大気圧は、地表ではおよそ100,000Paである。高山では大気圧は山のふもとよりも低いため、ふもとから密閉された袋を持って行くと袋がふくらむ。
- 写真
このことから、大気圧は高度が低いところではより大きいことがわかる。これは、空気にw:質量があるからである。高度が低い地点での空気は上方により多くの空気があるため、それらを支えるためにより多くの圧力を与えることになり、大気圧も大きくなるのである。空気に重さがあることは、後に気体を用いた実験を行なうことでわかる。
[編集] 水圧と浮力
水中の物体がまわりの水から受ける圧力を水圧という。水圧は,同じ深さなら同じ大きさであり,深さが深いほど大きくなる。また,水圧は,あらゆる物体の面に垂直にはたらく。
水圧が深さが深いほど大きくなるのは、水圧が上にある水の重さによって生じているからである。
水中にある物体や水面に浮いている物体が水から受ける上向きの力を浮力という。これは、物体の下の面が受ける水圧のほうが、物体の上の面が受ける水圧よりも大きいことによって生じる。
浮力の大きさ(N) = 空気中で測定した値(N) - 水中で測定した値(N)
[編集] 身の回りの物質
我々の身の回りには様々な物がある。例えば、教科書やノートなどの本は紙でできており、机や椅子などの家具のうち多くは、木でできている。他にも物を作るための材質としてプラスチックや金属があるが、金属はどれも同じなのではなく、それぞれが異なった性質を持つ。例えば、w:鉄やw:銅、w:アルミニウムではそれぞれ色が異なっている。
ここでは、これら物質の性質について調べ、物質間で共通な部分とそうでない部分について学習する。物質の性質としては、上であげた色という性質以外にも、w:密度、w:電気伝導度、w:融点、w:沸点などがあげられる。ここではそれらの性質の定義と代表的な物質での傾向について解説する。
[編集] 物質のすがた
ここでは物質の性質について調べる。まず上であげた物質の性質について簡単に解説する。最初にここで扱う物質の分類について説明する。
物質の中にはいくつかの物質が混ざってできているものがある。 例えば、空気はw:酸素やw:窒素などいくつかの気体が混ざってできている。このようにいくつかの物質が混ざってできている物質のことをw:混合物と呼ぶ。一方混合物でない物質のことをw:純物質と呼ぶ。 純物質についての詳細は化学変化を扱う項で説明する。
[編集] 物質の密度と電気的性質
物質の性質として目につきやすいものとして、その物質の色があげられる。残念ながら物質の色について一般的に述べることは難しい。これは、物質に色がついて見えるのは、物質がある色(w:波長)の光を選択的に反射していることに対応するのだが、その仕組みが物質のミクロの構造によることが多いからである。例えば、w:ダイヤモンドとw:黒鉛は同じ炭素原子からできていることが知られているが、これらの色は全く異なる。
これは、これら2つの物質では原子の並び方が異なっており、光に対する反応が違うからである。このように物質の色について調べるには光についての知識が必要となるため、ここでは細かく扱うことはしない。高等学校物理などを参照。
ここからは色以外に上で述べた性質についてまとめる。物質の密度とは、物質の単位体積あたりの質量を表す値である。例えば、同じ体積の紙と銅とで重さを比べた場合、銅の方が重い。このことは、銅の密度が紙の密度よりも大きいことを示している。
- 実験
同じ体積の紙と銅を用意し、その重さの違いを確かめよ。重さの違いを確かめるにはw:天秤などを利用することができる。
よく知られた物質の密度は、例えばwikipediaの対応する記事に記載されている。例えば、銅の密度についてはw:銅を参照。密度はあらゆる物質が持つ物理量であり、その値は物質によって非常に異なっている。水のような液体や、空気のような気体の密度は通常固体の密度よりも小さい。すぐ後で扱うが、多くの物質は温度(と圧力)によってその状態を"気体"、"液体"、"固体"に変化させる。このとき、物質の状態変化に伴って、物質の密度はこの順に大きくなることが普通である。ただし、水はこの変化の例外であり、"固体"(氷)の密度が"液体"(水)の密度よりも小さい。これは"氷が水に浮かぶ"性質につながっている。
密度の単位はkg/m3(キログラム毎立方メートル)で与えられる。
次に電気伝導度について説明する。後に扱うが物質に流れる電気とはw:電子の流れのことであり、物質に電気が通りやすいかどうかは、物質の性質によって決まる。電気伝導度は、物質が電気を通しやすいかどうかを表す値であり、物質ごとに決まる定数である。この値は、物質が持つ電子の状態によっており、密度と同様微視的に決まる値である。
例えば、流れて来た電子が入り込む部分が、既に他の電子によって埋まっている場合には、その物質は電気を通しにくくなる。一方、電子が非常に動きやすい状態になっている物質では、流れてきた電子が他の電子を押し出して電子の流れを伝えるため、電気が流れやすくなる。これらは物質ごとの結合の性質によって変化することが知られているが、ここでは詳しくは扱わない。高等学校化学などを参照。
幸いにも電気の通りやすさには物質の種類ごとにある程度共通性がある。ここではその性質についてまとめる。
- 実験
物質に対して電気を流す実験を行う。特に、いくつかの金属について電気が通りやすいことを確認する。水溶液について実験を行うときには十分に安全上の注意を払うこと。
実験の結果から金属については電気が通りやすいことがわかる(これは、金属原子間の結合方法によっているが、これについては高等学校化学、w:金属結合などを参照。)。一般に電気を流すためにはw:導線が用いられるが、導線の材質には通常何らかの金属が用いられる。これは金属の電気伝導度が高いことに加え、丈夫であることや加工が可能であることによるものである。
- 発展 雷と金属
電気が関わる現象としてw:雷がある。
雷は、雲の中の水滴と地面との間に非常に高い電圧が生じた結果、本来なら電気を通しにくい大気中を電気が通過していく現象である。電気は基本的に電気を通しやすい物質に向かっていく傾向があるため、電気伝導度の高い金属製の物体は雷を呼びやすく、注意が必要である。一方、この性質を利用して雷を誘導する器具としてw:避雷針がある。
また、物質によっては固体の時に電気を通さなかった物質で、水溶液にすることで電気を通すようになる物質もある(w:食塩など)。これらの物質は大抵w:イオン結合によって結合する物質だが、これについて詳しくは高等学校化学を参照。
[編集] 物質の融点と沸点
ここでは物質のw:沸点とw:融点について説明する。物質は温度や圧力を変化させることで"気体"、"液体"、"固体"の間を移り変わることが知られている。ここでは特に、温度による変化について述べる。上であげた"気体"、"液体"、"固体"のことを物質のw:三態と呼び、これらの間の変化をw:状態変化と呼ぶ。特に、状態変化のうち固体から液体への変化をw:融解と呼び、液体から気体への状態変化をw:蒸発と呼ぶ。また、融解が起こる温度を融点、蒸発が起こる温度を沸点と呼ぶ。日常的な例では水の温度を0度にすることで水を固体にすることができる。また、水の温度を100度にすることで、水をw:水蒸気にすることができる。これらは状態変化の例である。
純物質の状態変化の際に物質の温度変化を観察すると、特徴的な結果が観察できる。
- 実験
水などの物質を状態変化させその温度変化を観察せよ。特に物質の状態変化が続いているときの温度に着目せよ。
この実験では、熱を加え続けても、状態変化が続いているときには物質の温度は変化しないことが観察できる。これは、熱を加える働きと、物質が、融解(蒸発)の際に周囲から熱を吸収する働きとが、つりあっているためである。
また、混合物について同じ実験を行うと、状態変化の最中にも混合物全体の温度が変化することが観察できる。これはそれぞれの物体で融点や沸点が異なることによる。
一般に融点と沸点は(同じ圧力では)物質ごとに決まった値を持つ。このことは、混合物を分離するために利用することができる。例えば沸点がより低い物質の沸点近くに温度を保ったとき、蒸発した気体には沸点が低いほうの物質が多く含まれると考えられる。この手法で物質を分離することをw:蒸留と呼ぶが、この方法はw:原油を精製する際に用いられるなど多くの応用がある。詳しくはw:蒸留を参照。
融点と沸点は物質にかかる圧力によって変化することが知られている。例えば、高山で水を沸騰させるには100度より低い温度で十分なことが知られている。これは高山ではw:大気圧がより低いため、水を蒸発させるのに必要なエネルギーが減るからである。圧力の変化に対する沸点、融点の変化についてはw:クラウジウス-クラペイロンの式などが知られているが、これについて詳しくは述べない。
最後に、物質が状態変化を起こすとき物質の体積は変化するが物質の質量は変化しないことを説明する。このことは例えば、"氷をコップに入れて重さを測り、氷が融けた状態での重さと比較する"などの実験を行うことで確認できる。 状態変化は分子と分子と間の相互作用を変化させるが、分子自体は変化させない(物質が分子と呼ばれる小さい粒でできていることは後に説明する)。例えば、固体では個々の分子間の距離は近く分子が自由に動くことができない一方、気体では分子が自由に動くことができる。このときにも分子自身の数や重さが変化するわけではないため、状態変化によって物質の質量は変化しない。
[編集] 気体の性質
ここでは、理科の実験でよく用いられる気体の性質についてまとめる。
- 酸素
w:酸素は空気中に20%ほどの割合で含まれる気体であり、我々にとって身近な気体である。我々はw:呼吸をする際体内に酸素を取り入れている。これは、我々が生命活動を行うのに必要なエネルギーを生産するために、食物から吸収した栄養素と酸素とが必要になるからである。
また、酸素は物体が燃えるために必要である。例えば、木に火をつける際、よく火が起こりかかった所に息を吹きかけて火を起こすが、これは木が燃えるために必要な酸素を送り込んでいるのである。より詳しくいえば、木の表面は炭素を含んだ物質でできており、物質中の炭素と空気中の酸素が結合する反応によって熱が発生するのである。
実験室では、w:過酸化水素水を用いて酸素を発生させることが多い。過酸化水素水は平時でも酸素と水とに分解するが、w:二酸化マンガンを加えることでその反応を促進することができる。ただし、この時反応を行うのはあくまで過酸化水素水のみであり、二酸化マンガンは反応の際変化することが無い。このように反応の際に自身は変化せずに他の反応を促進する働きがある物質を、w:触媒と呼ぶ。触媒について詳しくは高等学校化学などを参照。
- 水素
w:水素は非常に軽い気体であり、空気中で燃える。このとき、水素が酸素と結合することで水が発生する。
実験室では、w:塩酸などの酸性の溶液と、金属(例えばw:アルミニウムやw:鉄)を反応させることで水素を発生させることができる。水素は空気よりも軽い物質なので、水素をw:捕集する際は、捕集用の器具を水素を発生させる器具の上方に置く必要がある(w:上方置換)。
- 二酸化炭素
w:二酸化炭素は、空気中に0.03%程含まれる気体であり、我々に取って身近な気体である。我々は呼吸をする際、酸素を吸収して二酸化炭素を排出している。これは我々が食物からエネルギーを取り出す際酸素を消費すると同時に、二酸化炭素を排出することと対応している。一方、植物はw:光合成によって二酸化炭素を吸収しつつ、酸素を排出する。これは呼吸と逆の反応である。光合成について詳しくは、中学校理科 第2分野を参照。
二酸化炭素は炭素と酸素が結合する(炭素が燃える)ことで生じる。我々の身の回りにある物の多くも炭素を含んでいる。例えばw:綿などのw:天然繊維でできた衣類は炭素を含んでおり、それらが燃えるときには二酸化炭素が発生する。また、w:石油やガソリンも炭素を含んでおり、燃えるときには二酸化炭素を発する。
二酸化炭素は空気よりも重い気体であるので、二酸化炭素を集める時には捕集器具を下方に置く(w:下方置換)。二酸化炭素を水に溶かした溶液は、w:炭酸と呼ばれ、弱い酸性の溶液になる。
- 窒素
w:窒素は大気の80%を占める気体である。水に溶けにくく、化学反応を起こしにくい。
- アンモニア
w:アンモニアは窒素と水素からなる、匂いの強い気体であり、水に溶けやすい。アンモニアの水溶液はアルカリ性を示す。アンモニアは空気より軽く、器具を上に置いて捕集する。
[編集] プラスチック
プラスチックは,天然には産出せず、石油などを原料として人工的につくられた物質で合成樹脂ともよばれる。
プラスチックは,炭素をふくむ物質であり、有機物のなかまである。そのため共通して加熱するととけてやわらかくなったり、燃え出したりする性質がある。また、熱や電気を通しにくい性質をもっている。しかし、近年は電気を通すものが開発されている。
プラスチックにはいろいろな種類がある。例えば、ペットボトルに使われている栓はポリエチレン(PE)でできており、本体はポリエチレンテレフタラート(PET)とよばれるプラスチックである。
- ポリエチレン(PE)
水に浮く。加熱するととけながらよく燃え,けむりはほとんど出ない。
- ポリエチレンテレフタラート(PET)
水に沈む。加熱するととけながら燃え,黒いけむりを出す。
プラスチックは軽くて、割れにくく、加工しやすいので、いろいろな形のものをつくることができ、我々の生活を快適にしている物質といえる。
[編集] 水溶液
[編集] 水溶液の性質と再結晶
砂糖を水に溶かすと砂糖水ができる。このとき、砂糖のように水に溶けている物質を溶質といい、水のように溶質を溶かしている液体を溶媒という。また、溶質が溶媒に溶けた液を溶液という。溶媒が水の溶液を水溶液という。
水溶液は透明である。また、濃さはどの部分でも同じである。
ある物質を一定量の水に溶かしていき、その物質がもうこれ以上溶けきれなくなったときのことを飽和といい、その水溶液を飽和水溶液という。水100gに物質を溶かして飽和水溶液にしたとき、溶けた溶質の質量の値をその物質の溶解度という。
水溶液から出てきた固体をルーペや顕微鏡で観察すると、その物質に特有な規則正しい形をしていることがわかる。純粋な物質で規則正しい形をした固体を結晶という。
物質をいったん溶媒に溶かし、温度を下げたり溶媒を蒸発させたりして再び結晶として取り出す操作を再結晶という。再結晶により物質をより純粋にすることができる。
[編集] 質量パーセント濃度
[編集] 中和
ある物質の水溶液を作ったとき、その水溶液がw:酸性、w:アルカリ性などの性質を持つことがある。これは各々のw:溶質の性質である。例えば、二酸化炭素の水溶液は酸性であり、アンモニアの水溶液はアルカリ性である。一方酸性でもアルカリ性でも無い水溶液をw:中性の水溶液と呼ぶ。
酸性とアルカリ性は互いに反対の性質であり、両者を混ぜた水溶液を作ると、その水溶液は中性に近づく。この反応をw:中和と呼ぶ。酸とアルカリが中和した際には水が生じる。これは、酸の中の水素原子Hと、アルカリの中のOH(ここでは仮に水酸化物と呼ぶ)が結合し、水H2Oが生じたことによる。なお、同時に塩(えん)もできる(下部参照)
- 発展
厳密には、中和に際して水を作るのは酸の中のw:水素イオンH + と、アルカリの中のw:水酸化物イオンOH − である。現在の指導要領ではw:イオンについては詳しく述べない。高等学校化学などを参照。後の議論でも同様で、w:塩を作るのは、酸の陰イオンと、アルカリの陽イオンである。
また、酸の中のHやアルカリの中のOHが取り去られた後、残った物質(イオン)が結合して新たな物質を作ることがある。ここでできる物質をw:塩("えん"と読む)と呼ぶ。反応に用いた酸とアルカリによって生じる塩が決まる。例えば、塩酸とアンモニア水が反応した時には水とw:塩化アンモニウムが生じる。この反応は次の化学反応式で書かれる。
また、水溶液中での酸性やアルカリ性には強さがある。酸性やアルカリ性の強さは、物質の種類と水の中に溶けている物質の量で決まる。
- 発展
より正確には、溶液中の水素イオンH+の濃度で決まる。
ここで、水溶液の酸性やアルカリ性の強さを表す値をw:pH(ピーエイチ、もしくはペーハー)と呼ぶ。pHが7のとき溶液は中性であり、pHが小さくなるほど溶液は酸性に近づく。またpHが大きくなるほど、溶液はアルカリ性に近づく。pHは普通、0から14の範囲で動く。-->
[編集] 電流とその利用
電流とは単純には電気の流れのことである。ここで、単に電気と呼んでいるものの性質については高等学校理科 物理IIで扱うのでここでは詳しく述べない。しかし、電気の流れで実際に動いているのはw:電子であり、電子が動くことが出来ることは、電流を流すために用いられるw:金属の性質によっている。ここでは、電流の微視的な性質には踏みこまず、電流の性質について扱う。
[編集] 電流
ここでは、電流の性質についてまとめる。しかし、電流について述べる前に、電流がどのようなものから出来ているかについて簡単にまとめる。
[編集] 静電気
電気を通さない物質同士(絶縁体という)をこすり合わせることで、物質にw:静電気を貯めることが出来る(静電気が溜まった状態のことを帯電しているという)。静電気は、磁石と同じように触れることなくお互いの間に力を働かせることが知られる。例えば、下敷きをこすった後に髪の毛に近づけると髪の毛が逆立つが、これは静電気によって、髪の毛が下敷きに引っ張られているということである。また、静電気にはプラスとマイナスがあり、磁石のSとNのようにプラス同士、マイナス同士を近づけると反発し、プラスとマイナスを近づけると引き合う性質がある。こすった時にプラスとマイナスのどちらに帯電しやすいかは、絶縁体の性質による。
静電気は電流と関係があり、帯電したものを金属に近づけると瞬間的に電気が流れ、放電が起こることが知られている。冬に金属で出来た物に触れようとするとパチッと痛みを感じるのは、皮膚表面が帯電していて、金属に触れた瞬間に放電が起こるからである。実際には静電気として蓄積されているものと電流として流れているとされているものは、どちらもw:電子と呼ばれるw:粒子であることが知られている。電子は容易に観察することは出来ないため、ここではその性質については詳しく述べない。高等学校理科 物理IIなどを参照。
[編集] 電気回路
金属は空気などの気体と比べて電流を運ぶ性質がとても強いため、適切な方法で金属の導線をを繋ぎ合わせることで、電流の流れる「道」を作ることが出来る。この「道」で電気的な機器(例えば、電池や電球)を繋いだ一セットをw:回路と呼び、回路の要素を記号を使って表した設計図を回路図と呼ぶ。回路図は形式が標準化されているので、回路図を見て回路を組み立てたり、逆に作った回路を回路図に表したりということが誰にでも出来る。例えば、w:電池(直流電源)は
と表され、w:抵抗は
と表される。また、導線は直線で表される。電池には陽極(+極)と陰極(-極)があるが、回路記号では線が長い方が陽極に対応する。実際の電池では突起のある方が陽極である。
電池と抵抗だけをつないだ簡単な回路図は
で与えられる。回路の中では各点でその点を流れる電流値と電圧値が決まる。(それぞれの意味については後述)一般にw:電池はその電池の中の物質の性質によって定まるある電位差を電池をつないだ地点に与える。詳しくは高等学校化学を参照。
電池というのはそもそも何であろうか?電池(電源)を省いて回路を作ったとしても何も起こらない。例えば輪っかのようにため池を作っても、エッシャーの滝のように水が急に流れだすことはなく、止まったままである。だが、池に高低差を作って、低い方から高い方へポンプで水を送ってやれば、水は自然と流れだすことになる。このポンプの役割をするのが電池であり、水の高低に対応するのが電位である。また、高低の傾斜をきつくすれば水の流れる勢いも速くなるが、同じように電位の高低差、電流の勢いのことを電圧と呼ぶ。
このことによって、上の回路中で電池の両端に電位差があることが分かった。更に、電池については陽極がより電位の高い方とする。さて、このとき回路図中の2点についてその2点が異なった電位を持っていることが分かる。上の回路中でも電位差があるので電位が高い点から低い点へと電流が流れるが、この際に電気抵抗を通過するため、ここで電圧降下をおこす。電気抵抗は導線と比べて「電気の流れにくい場所」と理解することが出来る。その場所を電流が通ることで熱が発生し、また電流が勢い(=電圧)を失う。このことによって回路中に異なった電位があることと整合的になるのである。ここまでの話では、電圧降下の量が電気抵抗の性質によって変化し、電位の差を埋めるのに十分でなくなるように思えるかも知れない。しかし、このような場合には常に、抵抗の値と合わさってちょうど電位差を埋めるように対応する電流が流れるのである。回路中の電位についてより詳しくは高等学校理科 物理IIを参照。
電池を2つ縦に並べるようなつなぎ方を、w:直列接続と呼ぶ。
また、直列に対して電池を横に平行に並べるようなつなぎ方を、w:並列接続と呼ぶ。
直列接続を用いると、電池全体の両端に対する電位差は、各々の電池の両端に対する電位差の和になる。一方並列接続では両端の電位差は1つの電池を用いたときの電位差と比べて変化しない。ただし、電池の寿命は、1本だけを用いたときと比べて、並列つなぎに用いた電池の数だけ長くなる。
同様にして抵抗の接続の仕方にも直列接続と並列接続がある。このときの全体としての抵抗値を計算することが出来るが、これは高等学校物理の範囲である。
[編集] オームの法則
一般に抵抗の両端で、ある電位差があるときに、抵抗に流れる電流は
- E = IR
で与えられることが知られている。ここで、E[V]は抵抗の両端の電位差で単位[V]はw:ボルトと読まれる。また、I[A]は抵抗を流れる電流値で 単位[A]はw:アンペアで与えられる。更に、R[Ω]は、抵抗の大きさを表わす値であり単位[Ω]は、w:オームと読まれる。 上の式は電圧と電流の関係を表わす式であり発見者の名前にちなんでw:オームの法則と呼ばれる。オームの法則は実際には一種の近似式であるが、 特に通常の温度では多くの材質に対して成り立つため、よく用いられる。
- 問題例
- 問題
抵抗300[Ω]を持つ電気抵抗に9[V]の電位差を与えたとき、抵抗中を流れる電流は何[A]か。
-
- 解答
オームの法則を用いればよい。E = 9, R = 300を用いると、
- I = 9 / 300 = 0.03
を得る。よって流れる電流は0.03[A]である。
一般に抵抗の大きさは使われている物質が同じ材質なら用いられている材質が長いと抵抗も大きくなり、材質が細いと大きくなる。また、同じ長さでの抵抗値は 物質によって異なっている。
[編集] 電流の利用
[編集] 磁界
磁石に鉄などを近づけると鉄は磁石に引きよせられることが知られている。このような磁石の性質を見るために、w:磁界という考え方を用いる。磁界とは磁石の 回りの各々の点にある矢印が張りつき、その矢印によって、その点の近くに鉄などが現われたときにそれらが引きよせられる方向を記述する方法である。 このとき、鉄などが引きよせられる強さは矢印の長さで表わす。
一般に、ある磁石にはN極とS極があるが、磁界は通常N極からS極に向けて伝っていくように書かれる。磁界は途中で途切れることが無い。
導線を棒状のものにまきつけて、ある一定の長さにしたものを、w:コイルと呼ぶ。コイルに電流を流したときにも磁石のときに見たような磁界が流れることが知られている。
実際にはコイルの形にするまでもなく、ある導線に対して電流を流したときには常に、その回りには磁界が生じているのである。
コイルの回りに生じる磁界の強さは電流の回りに生じる磁界の強さの和で表わされる。また、電流の周りに生じる磁界の強さは電流の強さと導線からの距離だけで決まることが知られている。しかし、ここでは具体的にその強さを求めることはしない。高等学校理科 物理IIなどを参照。
[編集] 電磁誘導と誘導電流
ここでは、磁界の中に電流を流したときに起こる現象について述べる。磁石を使って生じる磁界の中に、電流を流してみる。このとき、電流を流す導線は、電流の向きと磁界の向きによって定まるある方向に力を受ける。この力の向きは、電流の向きを反対にすると反対になり、磁界の向きを反対にすると反対になる。また、力の向きは電流の向きと磁界の向きの両方に直交する。ここで、電流の向きと磁界の向きから力の向きを定めることは、指導要領の範囲外である。w:フレミングの法則、高等学校理科 物理IIなどを参照。
次に、コイルを置き、その回りで磁石を動かす実験を行なってみる。ただし、コイルの両端には電圧計を接続し、コイルに流れる電流の電圧を測定するものとする。この実験では、コイルの回りで磁石を動かしたときに、コイルの中に電流が流れるという結果が得られるはずである。流れる電流の大きさは、磁石を動かす速度に比例し、また、磁石の作りだす磁界の強さに比例する。例えコイルの中を磁石からの磁界が横切っていても、磁石が静止しているときには、コイルの中を電流が流れることはない。電流が生じるのは磁石を動かしたときだけである。
- 注意
実際には流れる電流の向きも定まっており、その電流によってコイルの回りに生じる磁界が磁石によって生じた磁界を打ち消すように電流が流れるはずである。しかし、このことは指導要領の範囲外である。w:レンツの法則、高等学校理科 物理IIを参照。
この現象をw:電磁誘導と呼び、磁石の動きによって実際に生じた電流をw:誘導電流と呼ぶ。現在のw:発電所でも同じ原理を用いて発電を行なっている。磁界の中で蒸気を用いてw:タービンをまわし、それによって誘導電流を発生させるのである。
[編集] 電流による発熱
ここでは、電流を電熱線に流す実験と、電球に流す実験を行なう。ここでは、電流を流すことで電熱線では発熱が得られ、電球に流すことで光が得られることがわかる。得られる光や発熱の強さは、それらにかける電圧を大きくすることで強くなる。
ここで、得られる光や発熱の強さは、電熱線や電球が消費するw:電力によって定まる。電力はある時間当たりに抵抗が消費するw:エネルギーのことだが、ここでは詳しくは述べない。更に電力は
電力 = 電圧 * 電流
で与えられ、単位は[W](w:ワット)である。詳しくは、高等学校理科 物理IIを参照。
[編集] 化学変化と原子、分子
ここでは物質の性質が保たれる最小の単位がw:分子であることを説明し、それらは個々の分子の性質をうまく扱うことで他の分子に変化させられることを説明する。また、具体的に分子の組成やw:化学変化の過程を記述する方法として、w:化学式とw:化学反応式を導入する。
[編集] 物質の成り立ち
[編集] 物質の分解
炭酸水素ナトリウムを加熱すると二酸化炭素と水が発生し、加熱後の物質は炭酸ナトリウムになる。また、酸化銀を加熱すると酸素が発生し、加熱後の物質は銀になる。
もとの物質とは異なる性質を持った物質ができる変化を化学変化または化学反応といい、1種類の物質から2種類以上の物質に分かれる化学変化を分解という。
電気を通すことによって物質を分解することを電気分解という。
水を電気分解すると、+極には酸素、-極には水素が発生する。発生した水素の体積は酸素の2倍である。水は水素と酸素に分解できる。
塩化銅水溶液を電気分解すると、+極には塩素が発生し、-極には銅が付着する。塩化銅は塩素と銅に分解できる。
[編集] 原子と分子の記述
各々の物質はそれぞれ異なる性質を持っている。後に実験で様々な気体を扱うが、これらはどれも性質が違う。例えば気体の重さや水に対する反応、気体の発生法などがこれらの例である。これらの性質の違いは物質を形作る構成物の性質の違いにさかのぼることができる。物質がその性質を持つ最小の単位をw:分子と呼ぶ。例えば、水の分子と酸素の分子は異なった性質を持っている。例えば、水の分子は水の分子同士でお互いに引き合う性質を持っており、このことが原因で水の融点や沸点は酸素と比べて高くなる。 分子は物質の性質を持つ最小単位であるが、分子自身もいくつかの原子が組み合わさることで構成されている。同じ分子が常に同じ性質を持つのと違い、原子は他の原子との組み合わせで分子を作り、各々の分子はそれぞれ異なった性質を持つ。また、同じ原子からできていても、原子の配置によって異なった性質を示す分子ができる場合もある。そのため、ある分子がどの原子で構成されているかを知るだけでは、物質の性質を予測することはできない。また、反対にある分子がどのような原子でできているかを調べるには、物質ごとの特別な手段を用いる必要がある。ここでは既に性質がよく知られている分子だけを扱うが、分子の性質を調べる手法を知ることが重要である。
ここまでで、各々の分子がいくつかの原子からなっていることを説明した。このとき、ある分子がどの原子で構成されているかを述べるために、それぞれの原子にわかりやすい名前をつけておくことが望ましい。実際にはそれぞれの原子にはラテンアルファベット1文字か2文字で書ける記号がつけられており、分子の構成を記述するためにはその記号を用いる。この記号はw:元素記号と呼ばれる。ここで、よく知られている原子の元素記号を列記しておく。
- 水素 H
- 酸素 O
- 窒素 N
- 炭素 C
他にも様々な元素があり、それらはw:周期表などにまとめられている。周期表はそれぞれの元素をある順序に従って並べたものであるが、その理由について詳しくは述べられない。下の発展や高等学校化学を参照。
- 発展 周期表の順序
各々の原子は実は物の最小単位では無く、原子はそれぞれw:原子核とw:電子から構成されている。実際には原子核もいくつかのw:中性子とw:陽子から構成されているのである。個々の原子の違いはその原子の原子核が含む陽子の数と中性子の数によって決まるが、このうち原子の電気的な性質は陽子の数で決まる。周期表はその原子の原子核中の陽子の数によって元素を並べている。例えば、水素原子は陽子を1つ含むので1番目であり、酸素は8個含むので8番目である。また、周期表には各行で原子の数がまちまちだが、これにも理由がある。これについては高等学校化学、w:遷移元素などを参照。
ここまで分子が原子の組み合わせでできていることを説明した。また、それぞれの原子を扱うために、それぞれの原子に名前が与えられていることを説明した。実際には分子の構成を記述するためにもこれらの名称が用いられる。このような分子の記述法をw:化学式と呼ぶ。ある分子の化学式を書くためには、その分子がどのような原子から構成されているかを把握している必要がある。また、化学式から分子の構成を読み取ることもできる。ただし、化学式からは分子の構成以上の情報は読み取れない。
例えば、気体の実験で用いる水素(水素分子)は、2つの水素原子からなっている。この分子の化学式は、
- H2
である。ここで、Hは水素原子の元素記号であり、2はそれが2つあることを表す。また、水素分子の例にあるように、分子中の原子の数は対応する元素記号の右下に小さい文字でつけるのが書き方である。
上の例は水素分子である。ここで、他の気体についても化学式をまとめておく。
- 酸素(酸素分子) O2
- 窒素(窒素分子) N2
- アンモニア NH3
- 二酸化炭素 CO2
ここで、水素や酸素のように単一の原子でできている分子をw:単体と呼ぶ。また、アンモニアや二酸化炭素のように複数の原子からできている分子を、w:化合物と呼ぶ。
[編集] 化学変化と物質の質量
[編集] 物質の化合
鉄と硫黄の混合物を加熱すると硫化鉄ができる。また、銅と硫黄の混合物を加熱すると硫化銅ができる。
このように、2種類以上の物質が結びついてもとの物質と違う別の1種類の物質ができる化学変化を化合という。
1種類の原子だけからできている物質を単体、2種類以上の原子からできている物質を化合物という。硫化鉄や硫化銅は化合物である。
銅の粉末を加熱すると、銅が空気中の酸素と化合して酸化銅ができる。また、炭素を加熱すると、炭素が空気中の酸素と化合して酸化銅ができる。
[編集] 化学反応式
既にいくつかの場合に、複数の物質が反応し別の物質を作る過程を見てきた。ただし、一口に反応といってもその種類は様々であり、熱を発する物や、複数の物質を生じる物があることには注意が必要である。扱った過程の中には、いくつかの分子から別の分子を生じる過程もあった。例えば、過酸化水素水から水と酸素が生じる反応はこの例である。これらの反応は、どれも分子と分子の反応であり、反応の中で個々の原子が変化することはない。この理由については下の発展を参照。
- 発展 原子核が変化する反応
原子が他の原子に変化する反応はw:核反応と呼ばれ、一般にここで扱う反応より高いエネルギーが必要になる。ただし、元々不安定な元素は、勝手に原子核中の中性子が崩壊し、他の元素に変化する場合がある。詳しくは、w:ベータ崩壊などを参照。
それぞれの分子を化学式で記述する方法を既に学んだ。同じように反応の過程も化学式と似た記号で記述できると便利である。このような記述法をw:化学反応式と呼ぶ。化学反応式は化学反応を記述するための一般的な方法だが、反応の詳細(例えば、熱を発するかどうかや反応が進む速度)については記述できないことに注意が必要である。
化学反応式を書くときには真ん中に矢印を書き、左側に反応前の物質の化学式を書き、右側に反応前の物質の化学式を書く。また、複数の物質があるときにはその間に+記号を置く。例えば、上であげた過酸化水素水が水と酸素に分解する反応は次のようになる。
ここで、それぞれの分子の化学式の前の数字は、反応に関わる分子の数を表す。上の反応では2つの過酸化水素水分子に対して2つの水分子と1つの酸素分子が生じる。このとき全体に定数をかけても関係は変わらないが、それぞれの定数が公約数1を持つ整数に取る必要がある。
反応中で原子が変化しないことから、式の左辺と右辺で分子の数は変化しない。上の例では、左辺でも右辺でもHが4つと、Oが4つ存在する。
[編集] 化学変化と質量
塩酸と石灰石を反応させると、二酸化炭素が発生される。密閉されていない容器の中で反応させると、発生した二酸化炭素は空気中に逃げていき、反応前後の質量を比べると、質量が減少する。
密閉された容器の中で反応させると、発生した二酸化炭素は空気中に逃げていかないため、反応前後の質量は変化しない。
化学変化の前後で、その変化に関係している物質全体の質量は変わらない。これを質量保存の法則という。
金属を熱したとき、化合した酸素の分だけ質量が増える。しかし、たとえ酸素がじゅうぶんに存在しても、一定量の金属に化合する酸素の質量には限界がある。また、金属の質量と化合した酸素の量の質量の間には比例の関係がある。
化合する物質の質量の比は一定である。これを定比例の法則という。例えば、銅の質量と酸素の質量との比はつねに4:1であり、マグネシウムの質量と酸素の質量との比はつねに3:2である。
[編集] 運動の規則性
ここでは物体の運動について述べる。既に物体の運動は物体に力をかけることによって引き起こされることを見た。ここでは運動の様子について詳しく見ていく。ある物体に力をかけると物体は動きだすことと、物体に力をかけないと物体は動きださないことは確かである。では、既に動いている物体に力をかけたり、逆に力をかけずに放置した場合の運動はどうなるだろうか。ここでは、それらの運動には規則性があることを見出す。
[編集] 運動の規則性
[編集] 運動の観察
ある非常に滑りやすい物体を取り出し、それを地面に滑らせその様子を観察する実験を行なう。このとき、物体の運動は変化することなく滑り続けることがわかる。物体の運動はその速度と、動く方向によって特徴づけられる。この様な運動をw:等速直線運動と呼ぶ。
[編集] 力による運動の変化
再び物体を用いて、既に動いている物体に更に力を加える実験も行なってみる。このとき、物体の運動は物体に力をかけたときだけ変化することがわかる。物体に力をかけないときには物体は常に等速直線運動をし続ける。
[編集] エネルギーとは
既に、物体の運動は物体に力が働いたときだけ変化することを見た。ここで、物体の運動の速度を特徴づける量を物体が持つw:エネルギーと呼ぶ。エネルギーを考えるときには物体の速度の大きさだけに注目し、速度の方向は考えないことに注意が必要である。ここで、あるエネルギーを持った物体は他の物体に衝突することで、持っているエネルギーを衝突した物体に与えることが出来る。このように、ある物体が持つエネルギーは他の物体に与えることが出来る。一方、衝突の際には、音が発生することがある。音は上で述べた通り空気の振動であるので、空気自身も振動を行なうために、速度を持たなければならず、エネルギーを持つことがわかる。この時には、もともと物体が持っていたエネルギーは、他の物体に移っただけでなく、音として放出されたということが出来る。
このように、ある物体が持っているエネルギーは、他の物体のエネルギーになることや全く違った種類のエネルギーとなることが知られている。エネルギーの種類としては、w:運動エネルギー、w:位置エネルギー、w:電気エネルギー、w:熱エネルギー等がある。また、光や音もそれぞれエネルギーを持っている。
このようにエネルギーはお互いに移り変わることが出来る。しかし、エネルギーの形が変化しても、変化したエネルギーを足し合わせた総量は変化しないことが知られている。これをw:エネルギー保存則と呼ぶ。エネルギー保存則は音や光なども考えると検証することが難しい。しかし、理論的にエネルギー保存則はよく知られた結果であり、正しいと信じられている。
[編集] 仕事と仕事の原理、仕事率
理科では物体に力を加えてその力の向きに動かしたとき、仕事をしたという。
仕事の大きさを数値で表すには、力の大きさと力の向きに動いた距離との積を用いる。
仕事の大きさ(J)=力の大きさ(N) × 力の向きに動いた距離(m)
仕事の大きさの単位は(J)(ジュール)である。
1秒間にする仕事の大きさを仕事率という。
仕事率(W)=仕事の大きさ(J) ÷ かかった時間(秒)
仕事率の単位は(W)(ワット)である。
動滑車やてこなどの道具を使った場合、物体を動かすのに必要な力は小さくなるが、力をはたらかせる距離は大きくなり、仕事の大きさは道具を使わない場合と変わらない。このことを仕事の原理という。
[編集] 化学変化とその利用
[編集] 水溶液とイオン
[編集] 水溶液の電気伝導性
水にとかしたときその水溶液に電流が流れる物質を電解質という。
水にとかしてもその水溶液に電流が流れない物質を非電解質という。
[編集] 原子の成り立ちとイオン
原子は, 陽子と中性子からなる原子核とそのまわりを回る電子からできている。原子の直径は1億分の1cm程度である。
原子の中心には+の電気をもつ原子核が1つあり、−の電気をもついくつかの電子がそれを取り巻いている。
原子核がもつ+の電気の総量と、電子のもつ−の電気の総量が等しいので、原子全体は電気を帯びていない。
電気を帯びた原子をイオンという。イオンのうち+の電気を帯びたものを陽イオン、−の電気を帯びたものを陰イオンという。
イオンは原子が電子を失ったり受けとったりすることにより、安定な状態になったものである。陽イオンは、原子が電子を失って+の電気を帯びたものである。電子を2個失うと、1個の場合の2倍の+電気を帯びる。一方、塩素原子などは電子を受けとり-の電気を帯びる。
原子の記号の右肩に,帯びている電気の種類と量を書いた記号をイオン式という。
水素イオン(H+)……水素原子が電子を1個失った陽イオン
銅イオン(Cu2+)……銅原子が電子2個を失った陽イオン
塩化物イオン(Cl-)……塩素原子が電子1個を取りこんだ陰イオン
水酸化物イオン(OH-)のように、イオンには原子がいくつか集まったもので電気を帯びたものもある。
電解質が水にとけて陽イオンと陰イオンとに分かれることを電離という。非電解質は電離しない。
塩化水素は、気体の状態では水素原子と塩素原子が結合したもので電気的に中性である。水にとけると、水素イオンH+と塩化物イオンCl-となる。1つの塩化水素からは1つの水素イオンと1つの塩化物イオンができる。
- HCl → H+ + Cl-
[編集] 電池のしくみ
化学変化や温度差、光などの作用によって電気エネルギーをつくり出す装置を電池という。化学変化を利用して化学エネルギーを電気エネルギーに変える化学電池を一般に電池とよぶ。
導線の内部を-の電気をもつ電子が流れているのが電流の正体である。
金属線を電池などの電源に接続すると、金属線中の電子は-極から+極に向かっていっせいに移動する。回路を流れている電流とは、このように電源の-極から+極に流れる電子の移動である。
電流の向きは電源の+極から出て-極に入る向きに流れると決められている。これは、電流の向きが決められた当時は電子がまだ発見されていなかったことによる。電流の正体が-の電気をもつ電子の流れであることがわかってからも、「電流は電源の+極から出て-極に入る向きに流れるもの」と定義されている。
うすい塩酸に亜鉛板と銅板をひたした電池にモーターをつないだとき、電極で起こる化学反応は以下の通りである。
- 亜鉛板
亜鉛原子が電子を2個失って亜鉛イオン(Zn2+)になり水溶液にとけ出す。
- 銅板
亜鉛板にたまった電子が導線へ流れ出し、モーターを通ったあと銅板に流れこむ。この電子は、水溶液中の水素イオン(H+)と結びつき水素原子になる。できた水素原子2個が結びついて水素分子(H2)になる。
電子の流れは「亜鉛板 → 銅板」なので、電流の向きは、「銅板 → 亜鉛板」となり、亜鉛板が−極、銅板が+極となる。
[編集] 科学技術と人間
科学技術の発展によって我々の生活は多くの恩恵を受けている。しかし、科学技術は様々な問題をかかえていることにも注意する必要がある。
[編集] エネルギー資源
我々の生活には電気が不可欠である。電気は現在ではw:火力発電、w:原子力発電、w:水力発電などの方法で供給されている。しかし、火力発電に使われるw:石油は、w:化石燃料の一種であるため、無限に使い続けることはできない。更に、原子力発電で用いられる放射性物質も、無限に手に入るわけではない。そのため、我々は現在の生活を続けることはやがて不可能になると考えられる。現在でもエネルギー資源の保護を考えた議論も進んでいるが、明確な結論は出ていない。実際にはこの議論は結論が出る類の議論ではないので、各国が妥協をくり返すことが現実的な解決策となるだろう。
[編集] 科学技術と人間
我々の生活は多くの先人達の知恵によって支えられている。ビルを建てることも電気を使うことも、物理学に支えられた近代的な技術がなければ不可能である。また、我々が用いている多くの素材は、化学の手法によって開発されて来た。このように、我々が用いている技術と知識に敬意を払い、科学技術の発展を支えていくことが望ましい。






