刑法第204条

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条文[編集]

(傷害)

第204条
人の身体を傷害した者は、15年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金に処する。

改正経緯[編集]

2022年、以下のとおり改正(施行日2025年6月1日)。

(改正前)懲役
(改正後)拘禁刑

解説[編集]

参照条文[編集]

特別法

判例[編集]

  1. 傷害(最高裁判決 昭和25年11月09日)刑法第208条
    1. 傷害罪において暴行と傷害の結果との間に因果関係ありと認められる特異な事例
      被告人が被害者に対して大声で「何をボヤボヤしているのだ」等と悪口を浴せ、矢庭に拳大の瓦の破片を投げつけ、なおも「殺すぞ」等と怒鳴りながら側にあつた鍬を振りあげて追いかける気勢を示したので被害者がこれに驚いて難を避けようとして夢中で逃げ出し、約二十間走り続けるうち過つて鉄棒に躓いて顛倒し、打撲傷を負うた場合には、右傷害の結果は、被告人の暴行によつて生じたものと解するのが相当である。
    2. 傷害罪の犯意
      傷害罪は結果犯であつて、その成立には傷害の原因たる暴行についての意思があれば足り、特に傷害の意思の存在を必要としない。
  2. 傷害致死、傷害、業務上横領(最高裁判決 昭和26年09月25日)刑法第205条,刑法第54条
    毒物であるメチルアルコールをBが飲用として多数に販売することを知りながらBに売却した事例
    1. 傷害罪における傷害の意義と、中毒による全身倦怠、膝蓋健反射亢進
      原判決がAに対する傷害として認定した中毒による全身倦怠、膝蓋健反射亢進は人の生活機能の障害を惹起したものであり、これ等は傷害罪にいわゆる傷害に当る。
    2. メチール入ドラム罐を売渡した行為により数人に対し夫々傷害致死、傷害の結果を生ぜしめた場合の罪数
      原判決のメチール入ドラム罐をBに売渡したため右メチールアルコールが被告人不知の間に順次被害者に飲用された判示犯罪行為の態様から見て、傷害致死、傷害の各所為は所論の如く一所為数法の関係と見るのが相当である。
  3. 傷害、性病予防法第違反(最高裁判決 昭和27年06月06日)
    傷害罪が暴行を手段としないで成立する一事例
    性病を感染させる懸念のあることを認識しながら婦女子に対し詐言を弄して性交し、その結果病毒を感染させた場合、傷害罪が成立する。
  4. 傷害(最高裁決定 昭和32年04月23日)
    胸部打撲痛と身体傷害
    他人の身体に対する暴行により、その胸部に疼痛を生ぜしめたときは、たとい、外見的には皮下溢血、腫脹または肋骨骨折等の打撲痕は認められないにしても、身体傷害にあたるものと解すべきである。
  5. 傷害被告事件(最高裁判決 平成17年03月29日)
    自宅から隣家の被害者に向けて連日連夜ラジオの音声等を大音量で鳴らし続け被害者に慢性頭痛症等を生じさせた行為が傷害罪の実行行為に当たるとされた事例
    自宅から隣家の被害者に向けて,精神的ストレスによる障害を生じさせるかもしれないことを認識しながら,連日連夜,ラジオの音声及び目覚まし時計のアラーム音を大音量で鳴らし続けるなどして,被害者に精神的ストレスを与え,慢性頭痛症等を生じさせた行為は,傷害罪の実行行為に当たる。

前条:
刑法第203条
(未遂罪)
刑法
第2編 罪
第27章 傷害の罪
次条:
刑法第205条
(傷害致死)
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