刑法第6条

出典: フリー教科書『ウィキブックス(Wikibooks)』

条文[編集]

(刑の変更)

第6条
犯罪後の法律によって刑の変更があったときは、その軽いものによる。

解説[編集]

この条文は、法の不遡及(遡及処罰の禁止、事後法の禁止)の原則を定めたものと解されている。

法の不遡及とは罪刑法定主義から派生する原則であり、行為時に合法であったにもかかわらず後からそれが違法として処罰することを認めると、個人は安心して活動することができなくなり、自由が侵害されることになるから、そのようなことを防止するために存在するものである。

ただし、刑が軽く改められた場合や廃止された場合には、改正後の法によることが行為者の利益になるのであり、改正後の法を適用することは問題がない。

日本では判例法源ではなく、判例によれば、判例変更は刑の変更には当たらないとされているが、問題となり得る。また公訴時効の期間の変更が刑の変更といえるかについては、学説では見解が分かれている。

刑の執行猶予の条件に関する規定の変更は、刑法第6条にいわゆる「刑の変更」にあたらない。執行猶予は刑の執行方法に関する規定で、刑そのものでは無いからである。

判例[編集]

  1. 傷害致死(最高裁判所第三小法廷昭和23年6月22日判決)刑法第36条
    1. 刑の執行猶予の条件に関する規定の変更と刑法第6条
      刑の執行猶予の条件に関する規定の変更は、特定の犯罪を処罰する刑の種類又は量を変更するものではないから、刑法第6条にいわゆる「刑の変更」にあたらない。
    2. 判決後の刑の執行猶予の条件に関する規定の改正と上告理由
      判決後の刑の執行猶予の条件に関する規定の改正は、上告理由とならない。

前条:
刑法第5条
(外国判決の効力)
刑法
第1編 総則
第1章 通則
次条:
刑法第7条
(定義)
このページ「刑法第6条」は、まだ書きかけです。加筆・訂正など、協力いただける皆様の編集を心からお待ちしております。また、ご意見などがありましたら、お気軽にトークページへどうぞ。