労働基準法第9条

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コンメンタール労働基準法

条文[編集]

(定義)

第9条  
この法律で「労働者」とは、職業の種類を問わず、事業又は事務所(以下「事業」という。)に使用される者で、賃金を支払われる者をいう。

解説[編集]

参照条文[編集]

判例[編集]

  1. 解雇無効確認請求(最高裁判決  昭和37年05月18日)
    会社のいわゆる嘱託が労働者と認められた事例
    会社において塗料製法の指導、研究に従事することを職務内容とするいわゆる嘱託であつて、直接上司の指揮命令に服することなく、また遅刻、早退等によつて資金が減額されることはない等一般従業員と異なる待遇を受けているいわゆる嘱託であつても、毎日ほぼ一定の時間会社に勤務し、これに対し所定の賃金が支払われている場合には、労働法の適用を受ける労働者と認めるべきである。
  2. 療養補償給付等不支給処分取消](最高裁判決 平成8年11月28日)労働者災害補償保険法第7条
    車の持込み運転手が労働基準法及び労働者災害補償保険法上の労働者に当たらないとされた事例
    自己の所有するトラックを持ち込んで特定の会社の製品の運送業務に従事していた運転手が、自己の危険と計算の下に右業務に従事していた上、右会社は、運送という業務の性質上当然に必要とされる運送物品、運送先及び納入時刻の指示をしていた以外には、右運転手の業務の遂行に関し特段の指揮監督を行っておらず、時間的、場所的な拘束の程度も、一般の従業員と比較してはるかに緩やかであったなど判示の事実関係の下においては、右運転手が、専属的に右会社の製品の運送業務に携わっており、同社の運送係の指示を拒否することはできず、毎日の始業時刻及び終業時刻は、右運送係の指示内容のいかんによって事実上決定され、その報酬は、トラック協会が定める運賃表による運送料よりも一割五分低い額とされていたなどの事情を考慮しても、右運転手は、労働基準法及び労働者災害補償保険法上の労働者に当たらない。
  3. 未払賃金請求事件(最高裁判決 平成17年06月03日) 医師法(平成11年法律第160号による改正前のもの)16条の2第1項,労働基準法(平成10年法律第112号による改正前のもの)9条,最低賃金法(平成10年法律第112号による改正前のもの)2条
    医師法(平成11年法律第160号による改正前のもの)16条の2第1項所定の臨床研修を行う医師と労働基準法(平成10年法律第112号による改正前のもの)9条所定の労働者
    医師法(平成11年法律第160号による改正前のもの)16条の2第1項所定の臨床研修として病院において研修プログラムに従い臨床研修指導医の指導の下に医療行為等に従事する医師は,病院の開設者の指揮監督の下にこれを行ったと評価することができる限り,労働基準法(平成10年法律第112号による改正前のもの)9条所定の労働者に当たる。
  4. 労働者災害補償保険給付不支給処分取消請求事件(最高裁判決  平成19年06月28日) 労働基準法(平成10年法律第112号による改正前のもの)9条,労働者災害補償保険法(平成12年法律第124号による改正前のもの)7条1項
    作業場を持たずに1人で工務店の大工仕事に従事する形態で稼働していた大工が労働基準法及び労働者災害補償保険法上の労働者に当たらないとされた事例
    作業場を持たずに1人で工務店の大工仕事に従事する形態で稼働していた大工が,特定の会社が請け負っていたマンションの内装工事に従事していた場合において,(1)上記大工は,自分の判断で上記工事に関する具体的な工法や作業手順を選択することができたこと,(2)上記大工は,事前に同社の現場監督に連絡すれば,工期に遅れない限り,仕事を休んだり,所定の時刻より後に作業を開始したり所定の時刻前に作業を切り上げたりすることも自由であったこと,(3)上記大工は,他の工務店等の仕事をすることを同社から禁じられていなかったこと,(4)上記大工と同社との報酬の取決めは,完全な出来高払の方式が中心とされていたこと,(5)上記大工は,一般的に必要な大工道具一式を自ら所有し現場に持ち込んで使用していたことなど判示の事実関係の下では,上記大工は,労働基準法及び労働者災害補償保険法上の労働者に当たらない。

前条:
労働基準法第7条
(公民権行使の保障)
労働基準法第8条
削除
労働基準法
第1章 総則
次条:
労働基準法第10条
(使用者の定義)
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