大阪弁/過去

出典: フリー教科書『ウィキブックス(Wikibooks)』

過去のことについて述べる文章の述語の品詞別に解説する。

名詞[編集]

後ろに「やった」を付ける

彼は医者やった。 HLL HHLL
彼は医者だった。

形容詞[編集]

共通語と同じ

昨日は楽しかった。 HLLL HHHLL

形容動詞[編集]

語幹+「やった」の形で

昔はこの川もきれいやった。 LLHH HHHLL HLLLL
昔はこの川もきれいだった。

動詞[編集]

基本的には共通語と同じであるが、ワ行五段活用の動詞は連用形がウ音便となる。

本を買うた。 (注)「買うた」は「こうた」と読む HLL HLL
本を買った。
駅で先生に会うた。 (注)「会うた」は「おうた」と読む HHH HLLLL LLH
駅で先生に会った。
その話を聞いて笑た。 (注)「笑た」は「わろた」と読む HH HLLL HLL HLL
その話を聞いて笑った。
えらいもんもうたなぁ。 HLL HL HLLLL
大変な物をもらったねぇ。

付属語の付加[編集]

「んや」、「わ」、「で」、「てん」などの付属語を述語の後ろに付けることもできる。

「んや」、「わ」、「で」[編集]

そのまま付ける。「んや」と「わ」を組み合わせて「んやわ」、「んや」と「で」を組み合わせて「んやで」も可能。

ちゃんと洗たで。 (注)「洗た」は「あろた」と読む LHL HLLL
ちゃんと洗ったよ。
そうや思たわ。 (注)「思た」は「おもた」と読む HLL HLLL
そうだと思ったよ。
君は京大受かったんやで。 HHH LLLH HLLLLL
君は京大に受かったんだよ。

「てん」[編集]

名詞・形容詞・形容動詞[編集]

「た」を「てん」に置き換える。

来るんが遅かってん。 LHLL HHLLL
来るのが遅かったんだ。
あの状況はほんま悲惨やってん。 HH HHHHH LLH LHHLLL
あの状況は本当に悲惨だったんだよ。

動詞[編集]

「読んだ」、「はしゃいだ」など「だ」で終わるものは「だ」を「でん」に置き換え、そのた(「た」で終わる)は「た」を「てん」に置き換える。

去年もここに来てん。 HLLL LHL HLL
去年もここに来たんだ。
手順を間違うてん。 (注)「間違う」は「まちごう」と読む LLLL HHHLLL
手順を間違ったんだ。
セーターが縮んでん。 HLLLL HHLLL
セーターが縮んだんだ。

「てん」+「で」[編集]

「てん」と「で」を組み合わせることができる。

ずっと待っててんで。 HL LHHLL
ずっと待ってたんだよ。