慶應義塾大対策

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本項は、慶應義塾大学の「一般入学試験」対策に関する事項である。

慶應義塾大学ホームページ(入学試験の概要が記載されている)https://www.keio.ac.jp/ja/admissions/

慶應義塾大学(慶應、または慶大)は、東亜最古の段階で高等教育機関となった旧制大学の一つであり、我が国で最初に設立された私立大学である。

概要[編集]

特徴
慶大入試は、学部によって入試問題の出題形式・内容が全く異なるが、概して、受験生の処理能力の高さを測る傾向にあり、限られた時間の中で膨大な問題を解くことが求められる。そのため、受験科目の知識を盤石なものにし、多くの問題演習を積んだ上で、過去問研究に取り組むことが求められる。過去問研究を通じて、受験学部の問題形式と解答の方向性はある程度想定できるような状態になっていないと、試験時間内に合格点を獲得するのは難しい。
また、入試形態がやや変則で、受験科目に「国語」を設置しておらず、その代わりに「小論文(論述力・論文テスト)」試験を行っている。小論文試験が国公立の後期日程以外で受験科目に登場すること自体珍しく、一般の受験生が受験勉強として普段から学習するような科目ではないため、勉強法が他の科目ほど確立されていない。しかも、慶大の小論文では、非常に高い読解力・分析力・論述力が求められるため、十分に対策しないと得点につながらない。そのため、慶大を第一志望もしくは併願受験すると決めたら、その時から継続して小論文対策を行うべきであり、入試直前数か月の対策では対応できない。
私立大学では珍しく、SFC以外の全ての学部の全ての科目において問題の形式・傾向が学部ごとに大きく異なる(例えば、経済学部のようにすべての科目で記述・論述式の問題が多い学部もあれば、法学部のように小論文試験以外の科目はすべてマーク式の学部もある。また、法学部の小論文では、社会科学的な素養に基づいた解答が求められるが、SFCの小論文では、膨大な情報の中から問題発見を提議する解決力が求められる、など内容・形式は全く異なる。そのため、ある学部の過去問演習が他の学部の対策に役立つということは稀で、複数学部を受験する場合、学部ごとに最適な対策をする必要がある。早稲田大は、英語は(慶應ほどではないが)学部間によって問題形式は異なるが、国語と社会科目の出題形式は学部間で多少異なるだけで基本的には類似している。その一方で、慶應受験に関しては、各学部の各科目の出題形式がそれぞれ別の大学のようなものであると思って臨むべきである。
足切り
経済学部、法学部、総合政策学部、環境情報学部では、一部の科目もしくは問題が一定の点数に達していない場合、残りの科目もしくは問題を採点せず足切り不合格にするため、注意が必要である。
入学検定料
医学部医学科のみ60000円。それ以外の学部は、1学部につき35000円となる。

入試情報[編集]

受験状況
一概には言えないが、本学を第一志望にしている人の多くは複数の学部を受験する(例えば、法学部志願者でも、文学部を受験する者もいる)。中には受験は水物ということを考慮し、4学部以上を受ける者も珍しくない。
試験日は学部毎に異なるが、2月中旬頃に行われる。私立大学としては遅い方であるが、それでも国立大学前期試験とは日程が若干空くため、東大京大一橋大志望者の併願受験が多い。
試験会場
学部毎に試験日は異なるが、試験会場はどの学部も日吉キャンパス(神奈川県横浜市)か三田キャンパス(東京都港区)で行われる。矢上キャンパス、信濃町キャンパス、共立芝キャンパス、湘南藤沢キャンパスで行われることはない。
合格人数・合格状況
辞退者を織り込んで、どの学部も募集人員の2倍程度の人数が合格になっている。
一学年の定員は全学部合わせて6400名程度(一般入試枠は4000名程度)、男女比率は全学部合計で7:3、看護医療学部と文学部に関しては男性より女性の比率が高い。

学部別対策[編集]

慶大は、問題の形式・傾向が学部ごとに大きく異なるため、ある学部の過去問演習が他の学部の対策に役立つということは稀で、複数学部を受験する場合は学部ごとに対策をする必要がある。

文学部[編集]

 一学年の定員は850名程度であり、そのうち一般受験組が7割程度、残りが附属高校推薦入学者、自主公募推薦合格者、帰国生・留学生入試枠合格者である。指定校推薦入試とAO入試は導入していない。1年生の間は一般教養科目を中心に、第2学年以降は三田キャンパスで17の専攻から1つを選び、学んでいく体制をとっている。人気の専攻は相対競争が激しい分、高水準の成績が要求されるため、大学に入学してからも学び続ける姿勢が必要である。

 慶應文学部では、外国語(150点)・地歴(100点)・小論文(100点)の3科目(計350点満点)が課される。外国語は、英語・ドイツ語・フランス語・中国語の中から1つ選択する。小論文はもちろんのこと、外国語・地歴もほとんどが国公立ニ次型の記述式である。科目別では、特に英語と小論文の難易度が非常に高い。その割には合格最低点は65%程度でありあまり低くないため、激しい競争を強いられることになる。

外国語(英語)[編集]

 試験時間は120分、配点は150点。合格点の目安は7割である。慶應文学部の英語では、辞書の使用を許可されている(ただし電子辞書は一切不可)。大学入試で辞書を許可することは非常に珍しく、言い換えれば、構文解釈能力や国語的読解力、日本語能力が問われる超長文が出題されるということである。勿論難易度は非常に高い。

 英語は抽象度の高い1,000words前後の総合問題2題、もしくは2,000words前後の総合問題1題が出題される。(1977年~2005年、2007年~2010年。2006,2011年度入試では出題形式に変化あり。)

 和訳や説明、英訳など殆どの設問が記述式なので、過去問・予想問を中心に、最難関国立大学二次試験型の問題に対応できる実力を養成する必要がある。

  文学部はそもそも長文出題が特徴だと言われてきたが、出題テクストの長さや総語数などさしたる意味を持たなく、そもそも文学部は総語数は少ない部類である。なぜなら文学部の英語入試こそはとりわけ「観念の把握」を重視した出題であるからである。文学部だけあり、出題文の抽象度の高さは群を抜いている。どれだけ入試対策で英単語を理解していようが、辞書を何冊持ち込もうが、背景知識がなく理解出来ない観念はいつまで経っても理解しようがないわけで、テクスト分析に対する素養そのものを求める出題姿勢が伺える。 具体的には、「存在とは」「意識とは」「宇宙とは」「歴史とは」「美とは」「感情とは」―――――などなど、常日頃の読書における質と量に裏打ちされた哲学的考察と素養を要求される。 なぜ試験時間が2時間もあるのか、受験生は過去問を吟味しながらよく考えてみるべきだろう。受験生一人ひとりがどれだけテクストを読みこなせるか、どこまで的確に概念を把握できるか、そして咀嚼した文意から考察し、どれだけ論理的整合性のある解答を導き出せるかが勝負のカギである。

 また、2012年度から超長文に加えて和文英訳の問題が出題されている。

世界史[編集]

試験時間は60分、配点は100点。大問が4題出題される。ほぼすべての問題が記述式で、出題時代・地域も多岐に渡る(例えば2013年度の場合、中国史、ウィーン史、アメリカ合衆国史、北アフリカ・インド・イランのイスラーム史がそれぞれ大問で1つずつ出題され、時代も古代~現代史まで出題されている)。しかし、標準的な語句からの出題であっても、一般的な問い方とは違う形で問われることが多く、解答に辿り着くことが困難な問題も多い。市販の問題集等でパターンにはめ込むような学習ばかりしていると、慶應文学部特有の捻って盲点を突く問題に対応しにくいため、様々な年度の過去問を演習すべきである。近年は中国に関連する東洋史からの出題が目立ち、文化史の比重が高い。史料文(漢詩)が提示されることもあり、年代そのものを書かせるものも出題された。更に慶應大ではギリシア神話の知識など、常日頃の読書量を試すような出題もなされるため、注意が必要である。また、日本史より平均点が高いため、得点調整で減点されやすいことに注意しよう。合格点の目安は素点8割である。

日本史[編集]

 試験時間は60分、配点は100点。原始時代が2006年度以後隔年に出題されている他、史料問題が毎年出題される(未見史料が頻出である)ため、史料を読む読解力やそこから様々な推測を立てる思考力を鍛える練習をしておきたい。そのため、一問一答やレジュメの丸暗記だけで済ませている受験生を排除するような出題をしていると言える。勿論難易度は高い。

 ジャンルは政治、法律、経済、産業、外交、文化と広範囲にわたり、短答記述式の問題が4割程度、選択式の問題が4割程度、論述問題が2割である。そのため、教科書・用語集で知識を固めた上で論述対策をし、過去問研究をする必要がある。どの範囲が出るかは年によって異なり、かつて戦後の文化史の問題も出題されたことがあるため満遍なくどの単元も対策する必要がある。

大問1と2がマーク式、大問3が用語記述、大問4と5が史料とそれに関する設問及び論述問題で構成されている。

大問1と2では例年、語群から単語を探し与えられた短文の穴埋めをしていく形式であるが、語群の中に適当な語句がない場合は0を回答欄に記入しなさいという文学部特有の形式が存在する。0を選べるかで差がつくので用語暗記だけで止まらず、一歩踏み込んだ学習をしたい。大問3では1と2の穴埋めが記述になったものが出題される。日頃から歴史用語を正しい漢字で書けるよう練習をしておく必要がある。大問1〜3は基本平易な問題が多いため高得点を狙いたい。

 史料を出題してくる大問4と5は、史料の読解を誤ると芋づる式に(連鎖的に)複数の設問が不正解になりやすくなるため、焦らずに精緻に読解すべきである。この2つの大問は最も差が付きやすい重要なポジションである。

 論述問題は予備校の問題分析で難問に分類されることが多いくらいに難易度はかなり高いので、しっかりやらないと過去問研究がスムーズにいかなくなってしまうだろう。慶應文学部は全体的に記述論述問題が多いため最難関国公立志望者の併願も多い。そのため、論述の対策を怠っていると差をつけられてしまう。論述問題を解くときの注意点としては、要素(ポイント)を欠かさないことと、設問の要求と関係無いことを記述しないということである。字数が余るようなら、何かしらの要素が欠けていると思ってほしい。また、関係の無い余計な情報を入れると、採点者側は「この受験生は思考や理解をせずに、適当に沢山書いておいて当たるのを待っている」と判断するため、減点されるリスクが高い。何でもかんでも書くというのは、設問の指示や歴史事実を正しく理解せず、思考さえも放棄していると解釈されるため、採点者の印象がかなり悪いのである。このミスをしがちな受験生はそれなりにいるため、是非とも注意しておきたい。

 ここ最近、出来事の年度を選択式ではなく記述式で書かせる問題が出題されているので、細かな出来事でも年度までしっかり覚えこまないといけない。合格点の目安は素点7割(論述問題以外の短答式の問題は8割)である。

小論文[編集]

試験時間は90分、配点は100点。抽象的で長い文章になることが多いため、難易度の高い小論文や現代文を読み慣れておく必要がある。また、抽象的な本文を要約するためには高度な読解力が必要である。慶應の小論文は半分は国語(記述式現代文)であり、一般的に小論文と言われる意見論述問題は2問目である。現代文と小論文の融合問題のようなイメージである。

 時間と余裕があれば新書や学術文庫などで深めていくと良い。与えられた資料を読み解き、考察とともに要約し、更に自分の意見を述べるという、小論文試験としては基本的な能力を試す良問であるが故に、かえって難問となっている。言い換えれば、癖があまり無いため、逆に傾向に合わせた対策というのが難しく、実力が如実に出やすいということである。

 社会学系の文章から、卑近な時事問題まで、出題分野は毎年多岐に渡るので、油断禁物である。

経済学部[編集]

慶應経済学部は、一学年の人数は1,200名程度であり、そのうち700名程度が一般入試入学者、残りが内部進学者、帰国生・留学生入試枠合格者である。しかし、帰国生・留学生入試枠合格者数はごく僅かであるため、実質的には一般入試合格者と内部進学者が殆どである。慶應経済では、指定校推薦入試とAO入試は導入していない(2025年度入試から導入(定員30名))。受験方式は、数学受験のA方式(定員400名)と歴史受験のB方式(定員200名)が存在する。定員比が数学選択に傾斜しているため、大学側が数学のできる受験生を特に需要していることは明白である。裏を返せば、その分、歴史選択のB方式は狭き門となっていることを意味する。

A方式(英語・数学・小論文受験)(定員400名)
A方式では、英語(200点)・数学(150点)・小論文(70点)の3科目(計420点満点)が課される。慶應経済A方式では東大、京大、一橋志望の文系の受験生の併願が多いのはいうまでもなく、東大理系や医学部志望の理系または文転の受験生も多く非常にハイレベルな競争を強いられる。合格最低点は近年低下傾向にあり49%〜58%と5割を切っている年もあり、6割を切ることが多い。
B方式(英語・歴史・小論文受験)(定員200名)
B方式では、英語(200点)・歴史(150点)・小論文(70点)の3科目(計420点満点)が課される。歴史は世界史・日本史から1科目選択である(歴史よりも学習量が少なく合格点を取りやすい政治経済の選択は認められていない)。論述系問題(和文英訳、自由英作文、歴史論述、小論文)の割合が高く、420点満点中論述系問題が約260点分(和文英訳と自由英作文の合計が110点、歴史論述が約80点、小論文70点)あるため、私立文系専願者でも論述系の問題の対策を十分に行う必要があり、合格に必要な学力は非常に高い。

英語[編集]

 試験時間は100分、配点は200点。慶應経済の英語では、長文読解問題3題と本格的な英作文問題2種類(和文英訳4問、自由英作文150~200語)が出題される場合が多く、私立文系専願者にとっては非常に難しい内容になっている。

 なお、長文読解問題(マーク式)は、一定の点数を取らないと、後半部分(和文英訳・自由英作文)の問題は採点されないので、受験生は注意が必要である。

 一次選抜(英語長文のみ)の満点が90点であるため、長文の配点は90点であり、残りの配点である110点が和文英訳と自由英作文の合計である。そのため、明らかに記号問題の対策だけでは慶應経済には太刀打ちできず、本格的な和文英訳や自由英作文の対策が必要である。

 また、長文や歴史の記号問題である程度の高得点を取ったのに不合格になった例が一定数あり、得点開示も当初の見込みより低かったケースが多い。それに加えて、論述系の問題を採点されるのは足切りを通過した層であるため、採点対象者の全体の学力が高い分、和文英訳と自由英作文、歴史論述、小論文の採点は厳しめと推測される。 そのため、マーク部分で得点を稼ぐ必要があると考えると、長文の合格点の目安は易化年なら9割弱、難化年なら75%程度であり、記号問題は高得点勝負となる。これは歴史科目においても同様である。後半の和文英訳と自由英作文で差が付きやすいが、これは長文で時間内に高得点を取れることが前提となっているため、当たり前の基準が高く競争が激しい試験となっている。

  • 長文読解問題
  •  時間制限が厳しい中で難しい設問を処理し高得点を取る労力を考慮すると、非常にハイレベルな競争である。
  • 基本的に3題であるが、年によっては2題の場合もある。しかし、合計語数が2500語程度であることに変わりはない。時間配分の目安は60分程度である。
  • 長文の設問は非常に練られているため、選択肢が切りにくく難しい。長文そのものは慶應義塾大学が入試用に作ったオリジナルの長文であり語彙レベルは高くなく本文は非常に読みやすいが、紛らわしい引っ掛けが多いため、解いた直後の手応えが良くても、実際に採点すると当初の予想より誤答が多く、正答率が悪かったという例は多い。設問の選択肢の切りにくさに対応するためには、国語的な内容把握力(読解力)や、英文法・構文・英単語のニュアンスの本質的な理解などが必要である。本文の内容把握が浅いと、一見読めたつもりにはなるものの、設問には太刀打ちできない。
  • そして、英作文が本格的で時間がかかるため、長文読解問題は素早く正確に処理できるようにしておかないといけない。
  • 特に、設問と時間制限という2つの別種の難しさが掛け合わさると相乗効果でさらに難しく感じる。実は使用されている語彙レベルは低いのだが、だからこそ知識量でアドバンテージを取ることができず、本当の意味で読解本位の勝負になるため、より激しい競争を強いられる。
  • ちなみに、自由英作文問題は、この長文読解問題で出題された文章の内容に基づいたテーマの見解論述をする形で出題されるため、内容を漠然と理解しただけでは、自由英作文のクオリティを低下させてしまう可能性がある。
  • 和文英訳問題

 和文英訳は、短い時間内に素早く正確に解ききる労力を加味すれば、非常に難しい問題である。

 時間配分の目安は10〜15分であり、砕けた日本語が使用されている軟らかい文体の会話文を英訳する問題である。

 和文英訳問題というのは、出題された日本文が適度に硬質なくらいが最も解きやすく、硬すぎても軟らかすぎても難しい。慶應経済の和文英訳は会話文の文体が軟らかすぎるが故に、直接英訳することは非現実的であるため、文脈に応じて、英語に訳しやすい日本語表現に適宜読み替えていく思考力が求められる点でハイレベルである。

 対策としては、一般的な和文英訳の参考書学習を行った後に、会話文の参考書を使って会話文に慣れ、その後会話文の参考書の和訳を読んでそれを英訳する練習などが有効である。

  • 自由英作文問題

 主要な予備校は軒並み毎年、解答速報の自由英作文の難易度の講評を「難」としている。

 時間配分の目安は25〜30分である。近年は、2つのテーマから1つを選んで、自分の見解を150~200語程度で英語で論述する形式で出題されている。

 出題されるテーマは、先に解く3題の長文の内容に関しての自身の見解を述べるもので、専門性は高い。形式としては語数は指定はされていないものの、解答欄の大きさや内容の深さからして、かなり長めの論述が求められている。また、本文から正しい形式をとって引用したり、反対意見に言及してそれに反論しなければならないなど、条件面の指定が厳しい意味でも難しい。このような内容面の指定があることや語数が多いこと、そして別途和文英訳が出題されていることなどを考慮すると、慶應経済の自由英作文では、文法語法での減点だけでなく構成点や内容点が存在することが推測される。その証拠に、文法語法の正誤検査なら50語程度で十分であり、その機能は和文英訳が果たしているからである。 わざわざ和文英訳と自由英作文を独立して出題するということは、それぞれの出題に異なった目的が存在すると考えるのが自然である。また、文法語法の正誤検査が目的なら、前述のような内容面での指定はしてこないはずである。つまり、採点基準が多い上に書く語数も膨大であるため、減点されやすく高得点が難しい。そのため、早い段階で対策を開始し、減点されにくいような質の高い答案を作る練習を積んでおくべきである。

 ちなみに、正しい引用の形式をとらずに本文をそのまま書き写すと減点の可能性があるため、注意してほしい。

数学[編集]

 試験時間は80分、配点は150点。数学Ⅰ・数学Ⅱ・数学A・数学B(数列)・数学C(ベクトル)が出題範囲で、特に領域・確率・微積分・数列・ベクトルは頻出である。

 制限時間の割に問題量が非常に多いため、スピードが鍵となる。大問は例年6題出題され、前半3題は正確な高速処理能力を求めるマーク式の問題、後半3題は応用的な思考力を求める記述式の問題となっている。合格点の目安は、易化した年だと8割で、難化した年だと5〜6割である。難化した年と易化した年の難易度の乱高下が激しいため、どちらにも対応できるような実力と慣れを身に付けておくべきである。

 近年難化傾向にあり、文系で数学が得意な受験生でも点数を取ることが厳しくなっている。なお、受験者層のレベルが非常に高いため、難化した年も易化した年も、問題難易度に対する必要得点は割高という点で、激しい競争を強いられるのは言うまでもない。

 易化した年は、マークで高得点を取れるのは当たり前であり、その上で記述で差がつく。難化した年は、記述が難しすぎて差がつきにくいため、マークで稼ぎつつ記述で耐えるのが良い。また、著しく難しい問題は捨てて先に進み、取れる問題を確実に取るという手法も重要になってくる。このように、問題難易度の変化によって戦略が全く変わってくるため、注意が必要である。

 応用的な問題に対処するために「チャート式基礎からの数学(数研出版)」(青チャート)などの網羅系参考書を徹底的にやり込み、大学受験数学の応用問題まで取れるようにし、過去問研究を十分に取り組むことが必要条件である。これらを行っていれば、難度が高い問題にも食らいつく力が養成されているだろう。慶應経済学部の数学では時間配分を間違えると数学が得意な者でも失敗することが多い。したがって、赤本に載っているここ6年分の過去問をしっかり復習も含めてやって本番のイメージを作っておくべきである。本番に時間をロスしないように受験生が忘れやすい「メネラウスの定理&チェバの定理」や「方べきの定理」などの幾何定理にも慣れておくこと。また、数列の漸化式から一般項を求める分野では、3項間の場合であるan+2=αan+1+βanまでをしっかりと理解しておきたい。そして、ベクトルの係数設定のために座標を設定する応用的な手法も頭に入れておきたい。

 因みに難易度の高い問題の一例として、複数の場合分けが必要な確率漸化式、座標を設定して容積を求める問題、曲線の移動、高次の複接線などが過去に出題されている。

世界史[編集]

 時間は80分、配点は150点。出題範囲は1500年以降を中心とする。だからといって、その範囲だけを対策すればいいわけではないことは言うまでもない。現に、それ以前の歴史の知識を遠回しに聞いている問題、その知識がないと理解できない問題も出題されている。思考力や応用力等が必要な記号問題で高得点が必要なことに加え、本格的な論述問題の労力も加味すれば、非常にハイレベルな試験と言える。

 論述問題は7~8題出題され、合計字数は約600字である。世界史は配点が公表はされていないものの、数学は記号問題の配点が70点、記述問題の配点が80点であるため、世界史でも記号や用語記述などの短答式の問題の配点が70点、論述問題の配点が80点という可能性が高い。そのため、記号問題の対策だけでは足りず、論述問題の対策が肝要であり、むしろ慶應経済の歴史科目は論述問題で最も差がつくと思われる。論述は付け焼き刃の丸暗記が通じず、本質的な理解や言語化が必要であるため、実力差が出やすい良問である。

 英語でも述べたように、論述以外の部分で得点を稼ぐ必要があるため、記号や用語記述などの短答式部分の合格点の目安は例年は8割程度(難化年は75%程度、易化年は9割程度)であり、高得点勝負となる。

 歴史的な流れや本質の理解が重視される出題形式になっており、教科書の用語や年号を全部知っているのは当たり前として、教科書内容を順序立てて「自分で説明できる」レベルまで学習をやりこめば、合格点を取ることは可能である。慶應経済学部の世界史は、使用されている用語自体はあまり細かくはない(但し後述する年表と並べ替えは除く)ものの、それらを複数組み合わせつつ、上手く受験生の盲点を突いたり応用力を試したりする点で難しい。知識そのものの細かさというよりは、知識を使いこなすことが重視されている(但し、知識が細かい出題も一定程度はされるため、その対策も必要ではある。)。あとは、ある種感覚やイメージで理解を済ませがちな部分を言語化させてくるような性質もある。全体的に、あまり思考せずに一問一答やレジュメの丸暗記ばかりしている受験生を排除しようとする出題だと思われる。

 論述問題を解くときの注意点としては、要素(ポイント)を欠かさないことと、設問の要求と関係無いことを記述しないということである。字数が余るようなら、何かしらの要素が欠けていると思ってほしい。また、関係の無い余計な情報を入れると、採点者側は「この受験生は思考や理解をせずに、適当に沢山書いておいて当たるのを待っている」と判断するため、減点されるリスクが高い。何でもかんでも書くというのは、設問の指示や歴史事実を正しく理解せず、思考さえも放棄していると解釈されるため、採点者の印象がかなり悪い。このミスをしがちな受験生はそれなりにいるため、是非とも注意しておきたい。

 また、慶應経済学部の世界史は、地図、統計図表、グラフ、年表を用いた問題が例年出題される。これらに対応できるように分析力や推測力、歴史的な流れの理解等を養成することも必要である。教科書レベルの知識をマスターした後に過去問分析をして、資料集や年表を学習してこれらの多角的な出題形式に対応できる実力を養成するのが鍵となる。

特に並べ替え問題に関しては、同じ年号の中での前後関係が問われることが多々ある。そのようなときは年号の丸暗記だけでは対応できないため、年号暗記に加えて歴史の大きい流れと細かい流れの両面、そして同年号内の順序を学習することが必要である。ちなみに、同年号内の順序を覚えていなければ解けないことがある。同年号の事項が問題内に複数出てきた場合、特定の位置(n番目、特に最初と最後)さえ知っていれば解けてしまったり、或いは消去法が通じたりすることが一般的だが、そのような甘い手法は慶應経済には通用しない。慶應経済の並べ替えや年表中にある1つ1つの事項の用語自体は標準レベルであり、参考書の年表を使用すれば対策は可能であるため、同年号内の並べ替えや年表は捨て問にはならない。そこでどれだけ得点できるかで差がつく。

日本史[編集]

 時間は80分、配点は150点。出題範囲は1600年以降を中心とする。だからといって、その範囲だけを対策すればいいわけではないことは言うまでもない。現に、それ以前の歴史の知識を遠回しに聞いている問題、その知識がないと理解できない問題も出題されている。思考力や応用力等が必要な記号問題で高得点が必要なことに加え、本格的な論述問題の労力も加味すれば、非常にハイレベルな試験と言える。

 論述問題は7~8題出題され、合計字数は約600字である。日本史は配点が公表はされていないものの、数学は記号問題の配点が70点、記述問題の配点が80点であるため、日本史でも記号や用語記述などの短答式の問題の配点が70点、論述問題の配点が80点という可能性が高い。そのため、一般的な記号問題の対策だけでは足りず、論述問題の対策が肝要であり、むしろ慶應経済の歴史科目は論述問題で最も差がつくと思われる。論述は実力差が出やすい良問である。

 英語でも述べたように、論述以外の部分で得点を稼ぐ必要があるため、記号や用語記述などの短答式部分の合格点の目安は例年は8割程度(難化年は75%程度、易化年は9割程度)であり、高得点勝負となる。

 歴史的な流れや本質の理解が重視される出題形式になっており、教科書の用語や年号を全部知っているのは当たり前として、教科書内容を順序立てて「自分で説明できる」レベルまで学習をやりこめば、合格点を取ることは可能である。慶應経済の日本史は、使用されている知識自体はあまり細かくはない(但し後述する年表と並べ替えは除く)ものの、それらを複数組み合わせつつ、上手く受験生の盲点を突いたり応用力を試したりする点で難しい。知識そのものの細かさというよりは、知識を使いこなすことが重視されている(但し、知識が細かい出題も一定程度はされるため、その対策も必要ではある。)。あとは、ある種感覚やイメージで理解を済ませがちな部分を言語化させてくるような性質もある。全体的に、あまり思考せずに一問一答やレジュメの丸暗記ばかりしている受験生を排除しようとする出題だと思われる。

 論述問題を解くときの注意点としては、要素(ポイント)を欠かさないことと、設問の要求と関係無いことを記述しないということである。字数が余るようなら、何かしらの要素が欠けていると思ってほしい。また、関係の無い余計な情報を入れると、採点者側は「この受験生は思考や理解をせずに、適当に沢山書いておいて当たるのを待っている」と判断するため、減点されるリスクが高い。何でもかんでも書くというのは、設問の指示や歴史事実を正しく理解せず、思考さえも放棄していると解釈されるため、採点者の印象がかなり悪い。このミスをしがちな受験生はそれなりにいるため、是非とも注意しておきたい。

 また、慶應経済学部の日本史は、歴史的史料、地図、統計図表、グラフ、年表を用いた問題が例年見受けられるため、これらに対応できるように分析力や推測力、歴史的な流れの理解等を養成することも必要である。教科書レベルの知識をマスターした後に過去問分析をして、資料集や年表を学習してこれらの多角的な出題形式に対応できる実力を養成するのが鍵となる。 特に並べ替え問題に関しては、同じ年号の中での前後関係が問われることもある。そのようなときは年号の丸暗記だけでは対応できないため、年号暗記に加えて歴史の大きい流れと細かい流れの両面、そして同年号内の順序を学習することが必要である。ちなみに、同年号内の順序を覚えていなければ解けないことが多々ある。同年号の事項が問題内に複数出てきた場合、特定の位置(n番目、特に最初と最後)さえ知っていれば解けてしまったり、或いは消去法が通じたりすることが一般的だが、そのような甘い手法は慶應経済には通用しない。慶應経済の並べ替えや年表中にある1つ1つの事項の用語自体は標準レベルであり、参考書の年表を使用すれば対策は可能であるため、同年号内の並べ替えや年表は捨て問にはならない。そこでどれだけ得点できるかで差がつく。ちなみに、未見史料問題に対応するためには、史料の中の複数のキーワードに着目して解答や推測の根拠にする方法が良い。それを可能にするためには、様々な知識を流れやセットなどで関連させて定着させることが有効である。

 慶應経済学部の日本史は、前述のように近現代史の比重が大きいため、受験生はかなりやりこんでおかなくてはいけない。特に戦後史は論述も含めて毎年出題され、その配点も約3分の1とかなり高い(一般的な私大だと戦後史の配点は5分の1か6分の1程度であり、出題されない年もある。)。しかし現役生の場合、近現代史(特に戦後史)は学校の授業でも最後に学ぶ所がほとんどであり、授業で習う内容だけでは不十分になってしまう場合が多い。そのため、早めに自分で対策していくことが必要となる。また、現在の経済や政治とも関わる内容が出題されるので、日本や世界の動きなど、最新のニュースは常にチェックしておく必要がある。

小論文(1999年~)[編集]

 試験時間は60分、配点は70点。読ませられる本文の分量が年々増加傾向にある。公共性の高い具体的かつ専門的なテーマが選ばれることが多い。小論文の難易度は慶應の学部の中では標準レベルだが、十分な対策をしなければ、手も足も出ないだろう。また、得点開示のデータから、経済学部の小論文は他学部よりも採点が厳しいと推測されるため、問題難易度が標準的な割には高得点が難しい。対策を行っていないと70点満点で20点どころか10点台になる人も多い。採点が厳しいと推測されるのは、英語の和文英訳や自由英作文、歴史論述も同様である。

対策としては、まず参考書を使用して小論文の書き方の基礎をしっかりと把握する。その後、当学部の過去問を実際に解いていく。はじめは全くできないだろう。問題によっては、何をすべきなのかも分からないこともある。それでも、小論文の書き方に沿って考えに考えて書き上げる。解答例と見比べるとクオリティーは程遠いだろうが、それを実際に小論文の講師などに厳しく添削してもらう。そうすれば解答の質は上がっていく。

設問は2問ある。1問目は200~300字の本文要約か内容説明であり、ここは国語的な読解力があれば対応可能であるため、現代文の学習の延長線上で要約や記述対策を行っておけばいい。1問目は高得点勝負であるため、高度な読解力と正確な記述力をつけることが肝要である。一般的に「小論文」と言われているのは2問目の300~400字の意見論述問題である。慶應の小論文は半分は国語であり、現代文(記述式)と小論文の融合問題のようなものである。

慶應経済の小論文で最も困難な点は、60分という短い制限時間内に課題文を読み、答案を完成させることだと言える。600字前後をこの時間で書くというのは、実質的に下書き無しで簡単なメモを取る程度で、解答用紙にいきなり書かねばならないということだ。ゆえに、文章を簡潔に短時間でまとめる力が求められる。その実力を付けるためには、言語化能力と文章構成力を養成する必要がある。

経済学部の課題文のテーマは生命科学的もしくは自然科学的な内容の時もある。例えば、2012年の霜柱に関する科学的研究についての課題文を読むには化学の基礎的な知識(状態変化など)が不可欠であった。このように適度な背景知識が必要であるため、参考書の背景知識欄は適宜読んでおきたい。2012年の問題は経済学部があらゆる学問と通じているという大学側のメッセージとも解釈できる。

入学後の履修分け[編集]

慶應経済学部は入試方式によって入学後の履修タイプが分かれる。A方式(数学受験)で入学した者・附属高校推薦入学者(内部進学者)・留学生の一部は高校数学1A・2Bの知識を前提とした講義でカリキュラムが組まれた「タイプA」とし、B方式(歴史受験)で入学した者・留学生の一部、内部進学者のごく一部はそれらを前提としていない「タイプB」となる。「タイプA」から「タイプB」への変更は認められないが、「タイプB」から「タイプA」への変更は可能。「タイプB」の学生で、高度な数学を多く使う分野(金融論・金融工学・ゲーム理論・計量経済学・数理経済学・応用ミクロ経済学・応用マクロ経済学・統計学・解析学・情報処理など)を学びたい場合は「タイプA」に変更したほうがよい。履修タイプの変更は第1学年の4月初旬に受けられる標準レベルのテスト(範囲は数学1A・2B)である一定の基準を超えれば認められる。B方式合格者で数学色のより一層深い分野を専攻したい者にはお勧めである。逆に、経済体制論・財政社会学・経済地理学・経済史・経済学史・経済思想史・社会政策論・社会福祉論・経営学・会計学・商法など数学色がそこまで強くない分野に興味がある者は「タイプB」のままでもいい。 ただ、一つ重要なことは、「タイプB」の学生は高度ではないものの高校数学の初歩レベル(微積、確率、三次関数、ベクトルなど)の計算をある程度行うようになっているため、中学時から数学が苦手な受験生は注意が必要である。ちなみに、内部進学者は基本的に数学3まで高校時に勉強している。また、慶應附属高校では、経済学部「タイプB」のほうが経済学部「タイプA」より人気が高い傾向にある。

法学部[編集]

 一般入試組は全体の36%程度であり[1]、残りがFIT入試枠、内部進学者、帰国・留学生入試枠合格者等である。
 内部進学者と一般入試組の合計人数は法学部全体の3分の2程度である。※FIT入試は、「目標と構想が明確であり、そのために慶應義塾大学法学部法律学科・政治学科で勉強を望む」優秀な成績をおさめている学生と、「この学生を教えたい」という法学部教員との良好な相性(FIT)を実現しようとするものとしてスタートした入試である。具体的には、書類選考によって志願者の志望動機や将来のビジョン、学業成績等を調べられ、論述(考察)試験やグループ討論、面接によって、志願者の思考力や表現力、人間性、コミュニケーション能力が見られる。出願条件が厳しい。

 慶應法学部(一般受験組)では、外国語(200点)・地歴(150点)・小論文試験(100点)の3科目(計450点満点)が課される。外国語は英語・ドイツ語・フランス語から1言語、地歴は世界史・日本史から1科目選択である(歴史よりも学習量が少なく合格点がとりやすい政治経済の選択は認められていない)。

 どの科目も難易度は非常に高い。特に、小論文試験は国語の現代文では出題されないような法学・政治学系の難しい課題文が出題されている。数学受験が出来ず英語と社会科目は全問マークであるため、国立大学の併願で受験を考えている受験生は注意が必要である。

 外国語と地歴で足切りを行い、これらの合計が一定ライン以上に達しないと論述力試験の採点対象から外される。この足切りの基準が高めであるため、注意が必要である。

外国語(英語)[編集]

 試験時間は80分、配点は200点、全問マーク式。発音・アクセント問題、文法・語法問題、会話文読解問題、長文読解問題が出題されており、問題難易度は全体的に非常にハイレベルである。長文読解問題では論説文だけでなく、小説が出題される年度もある。会話文読解問題では、空所補充問題が出題される。前置詞や副詞、受験生には馴染みのないような慣用句を完成させる問題が中心である。副詞や前置詞の意味を理解しないで、ただ単に熟語や慣用句を暗記している受験生は歯が立たない内容であり、ハイレベル受験生の間でも差が付きやすい。熟語や構文を暗記する際、その前置詞や副詞が「意味の形成」にどのように影響を与えているのかを日頃から意識していこう。全体的に相当な語彙力が必要であるが、それだけではなく、「英文の記述から論理的に判断できる内容は何か」という視点で作られた設問が多いため、高度な論理的思考力も求められる内容になっている。

  • 発音・アクセント問題

頻出ではあるが、出題されない年度もある。出題される場合は最初に出題される。アクセントの位置の法則は押さえておくべきである。固有名詞のアクセントの位置を問うなど、英語が得意な受験生でも得点は安定しないことが往々にしてあるため、すぐに処理して、次の問題へ行こう。

  • 文法・語法問題

1つの文中に4つないしは5つの下線が最初から引かれているのではなく、正誤を判定する箇所が指定されていない。そのため、1つの文の中で正誤を判定するための焦点を自分で絞り込むのが難しい。さらに、設問1つにつき1文ではなく、選択肢1つにつき1文になっているため、焦点を絞り込んで且つそこの正誤を判定する作業を4~5回行わなければならない。一般的な文法正誤に比べたら圧倒的に難易度が高く、厄介である。対策としては、まず参考書や過去問などを使用し、早稲田大学人間科学部や上智大学の文法正誤問題で8割が安定する実力をつける。(社会科学部の正誤問題は悪問が目立つため、練習には適さない。)ただ、その実力をつけても最初は慶應法の文法正誤には歯が立たないだろう。あとは慶應法の過去問の文法正誤をできるだけ多く解いて慣れることが重要である。ある程度の実力がある状態なら、問題に慣れることで得点力の上昇が見込める。

  • 会話文読解問題

会話文の中にある空所に適切な副詞や前置詞を入れていく問題として出題される。熟語や構文をそのまま覚えるような暗記学習をしている受験生は歯が立たないだろう。なぜなら、前置詞や副詞の本質的なイメージやニュアンス、用法などを掴み、それを実際の文脈や文構造に当てはめる能力が必要であるからだ。また、前後の文の意味や全体の流れから、どの副詞を入れて、動詞にどのような意味を持たせるかを考えさせるため、相当な読解力も必要とされる。難易度は非常に高く、英語が得意な受験生の間でも差が生まれやすい問題である。

  • 長文読解問題

 例年、2題出題される。1題は下線を引かれた難単語や難熟語の定義を選択する問題。難単熟語は英検1級レベルである。文章自体難しい内容のものが多いため、相当の語彙力と推測力が求められる。ハイレベルの受験生の中には、受験範囲を逸脱した英検1級レベルの語彙を丸暗記している人もいる。ただし、これの実施に関しては個人の自由である。むしろ、よほど余裕のある受験生以外には勧めない。まずは受験範囲内の基礎~やや難レベルの内容を固めるのが先決であるからだ。  もう1題は、空所補充問題、語句整序問題、内容説明問題からなる総合読解問題。会話文読解問題同様に、相当な語彙力と読解力が求められる難易度の高い問題が多く、受験生の間で差が生まれやすい。また、設問が練られており、選択肢が非常に切りにくい。自分の手応えよりも得点が大幅に低いことはよくある。そのため、高度な国語的読解力をつけるのは当たり前として、とにかく過去問演習をできるだけ多くこなすことが重要である。英語を日本語に訳すまでは標準的な難易度であるが、訳してから内容を正確に把握して選択肢を吟味するのが難しい。どちらかというと国語に近い難しさである。


世界史[編集]

試験時間は60分、配点は100点、全問マーク式(2025年度より90分、150点、マーク式と記述式併用に変更)。合格点の目安は7割であるが、そこに到達するためには用語集の使用が必須であるくらい難しい。特に近年難化傾向にあり、語群の選択肢数が非常に多く、時間制限が厳しい中で正答を見つけなければならない。空所補充は約80択の語群から選ぶ問題であり、史料問題や正誤問題、並べ替え等は6択中2つ選んで完答のみ得点できる問題であるなど、全問マーク式といえどもまぐれでは正解できない工夫がされているため、確固たる実力が必要である。年度によって難易度が異なり、例年、大問は4題、小問数は50問で、社会史、経済史、文化史からの出題が目立ち、広範囲で広地域を扱い、かつ時代範囲が広い。近年、現代史の割合が増えてきており、一部の教科書にしか記載されてないような内容も出題されている。西アジア史や東欧史からもかなり踏み込んだ内容の出題が見られ、歴史を多角的な視点から論じた文章が提示される。一見基本レベルの問題のように錯覚させながら解答の文脈が違っているなど高度な問題が目立つ。また、近年は設問の種類が増え、空所補充だけでなく並べ替えや正誤問題、史料問題の出題が増加しており、幅広い対策が必要になっている。一問一答の丸暗記だけでは通用しない総合力が問われており、史料問題では細かい知識だけでなく推測力や応用力も必要である。

日本史[編集]

 試験時間は60分、配点は100点、全問マーク式。合格点の目安は7割であるが、7割に到達するためには用語集の使用が必須であるくらい難しい。特に近年難化傾向にあり、語群の選択肢数が非常に多く、時間制限が厳しい中で正答を見つけなければならない。空所補充は約80択の語群から選ぶ問題であり、商学部より答えとなる以外のダミーの用語が多い。かつては与えられた文章の穴埋めをしていく形式がほとんどであったが、近年その傾向は姿を消しつつあり、史料問題や正誤問題、並べ替え等は6択中2つ選んで完答のみ得点できる問題であるなど、全問マーク式といえどもまぐれでは正解できない工夫がされているため、確固たる実力が必要である。また、内容面に関しては、時代もジャンルも比較的偏りが少ないため、全体的にバランスの良い学習が必要である。なお、戦後の政党史に関しては頻出であるので、重点を置いて学習すべきである。また、近年は設問の種類が増え、空所補充だけでなく並べ替えや正誤問題、史料問題の出題が増加しており、幅広い対策が必要になっている。一問一答の丸暗記だけでは通用しない総合力が問われており、史料問題では細かい知識だけでなく推測力や応用力も必要である。

商学部の問題自体は法学部より簡単なものの、本番この慶應特有の語群から探し出してマークするという解答形式は意外に時間が厳しい。特に法学部は商学部のように穴埋めだけでなく、早稲田のような史料問題、正誤問題といった形式の問題も出題されるため、難問を捨て、取れる問題を見極めて、素早く解く練習が必要である。

論述力[編集]

 試験時間は90分、配点は100点。法学部独自の「資料を与えて、理解、構成、発想、表現の能力を問う」という科目である。制限字数は全体で1000字。

 論説・評論を速く正確に読み解く力が必要である。問題自体は受験生の高度な読解力や思考力、表現力を問う難問(良問)ぞろいである。

 最初の400字は本文の要約を記述する。ここは国語的な読解力があれば対処可能であるため、現代文学習の延長線上として、抽象的なテーマの要約や記述問題の練習をやりこんでおくことが重要である。

 一般的に「小論文」と言われているのは後半の意見論述問題のことである。慶應の小論文は半分は国語(現代文)であり、現代文と小論文の融合問題のような形式である。  

 提示される課題文の内容はかなり専門的で、大学受験生にとっては読みづらいと思われる。求められている知識は、古代ギリシアの都市国家における政治判断を問うもの(2010年度)、政治的空間としての日本社会という切り口からセキュリティー社会をとらえる(2009年度)、現代日本における知識人像の考察(2008年度)などで、これらを論述するための能力は一朝一夕に身に付くものではない。下地作りとしては、現代社会と法との関係についてコンパクトにまとめられた参考図書として『法哲学講義』(東京大学出版会)、『法の臨界』(東京大学出版会)などをお勧めしたい。これらを読み、理解し、法学や政治学の基礎的な枠組みの把握が出来たら、当該学部の過去問研究に取り組むとよい。また、京都大学法学部後期の小論文が傾向として似ているため、こちらに取り組むこともお勧めする。例えば、09年にはハンナ・アレント(Hannah Arendt)の『公共空間論』が出題されているが、思想家の概念についての知識・理解・関心が無ければ、受験生は問題の解答を論述することが難しい。

商学部[編集]

一学年の定員は約1,000名であり、そのうち600名程度が一般入試組、残りが内部進学者、指定校推薦入学者、帰国生・留学生入試枠合格者である。指定校推薦と帰国・留学生の人数は少なく、実質的に一般入試組と内部進学者がほとんどである。

受験方式は英語・数学・地歴のA方式(定員480名)と、英語・論文テスト・地歴のB方式(定員120名)が存在する。定員比が明らかに数学選択に傾斜しているため、大学側が数学ができる受験生を特に需要しているのは明白である。逆に言えば、B方式はその分狭き門となっている。

地歴の中で、地理を受験科目として選択できるのは慶應の中でも商学部だけである。なお、地歴よりも学習量が少なく合格点を取りやすい政治・経済の選択は認められていない。

A方式(英語・数学・地歴受験)
A方式では、英語(200点)・数学(100点)・地歴(100点)の3科目(計400点満点)が課される。地歴は世界史・日本史・地理から1科目選択である。数学・地歴が2次試験で必要な国立大学を第一志望にする受験生は、A方式で受験するべきである。受験方式上、東大、京大、一橋受験生の併願や地理受験ができるため医学部志望等理系でも受ける人が多く、受験生のレベルは経済に次いで非常に高い。専願の受験生は上位国立志望の受験生との戦いになる。ただし一流国立大志望者といえども英語の苦手な受験生には厳しい。経済学部と同じく速読速解が要求されるため、過去問を参考にしながら速いペースでの処理能力を付けておくべきである。数学は発想力とスピーディな計算力を求める問題が多いため、数学が得意な者でも過去問対策をして傾向を掴めるよう努めるべきである。合格最低点は数学が難しい年で240点台後半、標準の年で250点台と62〜63%ほどになっている。数学は基本難しいため差が付きにくく英語と地歴で逃げ切るという合格の仕方をする人が多い。
B方式(英語・地歴・論文テスト受験)
 B方式では、英語(200点)・地歴(100点)・論文テスト(100点)の3科目(計400点満点)が課される。地歴は世界史・日本史・地理から1科目選択である。募集人数がA方式の4分の1と極端に少ない。出題の殆どはマークシート或いは記述短答であり、英作文や地歴論述、小論文などの本格的な論述系問題は出題されない。しかし合格最低点は400点満点中290点~320点程度であるため、全科目で高得点を取らなければ合格は厳しい。
 英語に関しては、経済学部と同じく速読速解が要求されるため、過去問を参考にしながら高速で正確な処理能力を付けておくべきである。
 また、論文テストは数理パズル的な問題が多く出題される。数学が受験科目に無いといえども数理的思考能力が低い受験生を排除しようとしているのは明白なので、過去問をよく研究するべきである。

英語[編集]

 試験時間は90分、配点は200点。例年大問が7,8題出題される。そのうち3題が長文読解問題(本文は合計約2500語)で、その他の大問では400語程度の文章の空所補充、文法・語法問題、100語程度の短い文章4つを読んでそれぞれ1問だけ答える内容一致問題、語形変化・派生語の空所補充も出題される。大問1~3の長文以外の問題も含めた総語数は約3500語であり、とにかく本文設問共に量が多く、時間制限が厳しい。合格点の目安は8割であり、高得点勝負である。方式問わず英語の出来が合否を決めると言っても過言ではない。

 本文については、商学部だけあって、社会科学系の様々な文章が出題されている。経済、政治体制、自然環境破壊、社会保障や福祉、科学技術などなど、どこまでも広範な出題テーマはどことなく面白い。そのため経済学的な単語(例:austerity緊縮財政、progressive taxation累進課税)といった過去問で出てきた単語は覚えるべきである。しかも商学部ゆえに「企業と競争」に視座をおいたミニ論文が目立つのも特徴。いわば社会人向けの常識力を問う課題ともいえる。「実学の慶應」らしい出題である。

 いかに速読速解を円滑にできるかが合格点を取る鍵である。当該学部を受験する者は、日ごろから正確な高速処理に力を入れなければならない。 ちなみに、設問の形式は全体的に比較的スタンダードであり、あまり癖が無い。しかし、長文のそれぞれの大問の空所補充1〜2問、内容一致1〜2問は難問であるため、英語全体で8割を安定して取るのは想像以上に難しい。解答のスピードに加えて正確性も高く要求されるハイレベルな試験となっている。

数学[編集]

 試験時間は70分、配点は100点。数学I・数学II・数学A・数学B(数列・ベクトル)が範囲。試験時間70分に対し、大問4,5題と問題量が多いため、すべての問題に取り組むには相当スピーディな計算力が求められる。また、近年は難化傾向にあるため、適度な取捨選択も重要である。

 全範囲からまんべんなく出題されているが、特に「微分・積分」、「場合の数と確率」は毎年出題されている。チャートシリーズ(数研出版)のような網羅系の参考書には載っていないような発想力を求められる問題や複数分野の融合問題(例:2014年大問5の三角関数と期待値の融合問題)が最低でも半分を占めるので、まずは着実に解答が出来る問題から解いていくこと。特に「場合の数と確率」の分野で見たこともないような問題が出題される傾向が強いか。

 共通テスト風の実生活をモデルにした問題も過去に出題されている(例:2018年大問3の銀行の手続きの確率を一般化して数学的帰納法で証明する問題)ため、過去問演習でどのような問題が出ているかを確認すべきである。

世界史[編集]

 試験時間は60分、配点は100点。しかし、マークが120個程度あり、マークシートに記入するだけで15分弱はかかってしまうため、実質的には45分で全ての問題の答えを出すことが必要である。

 近年、大問3題の構成となっている。文化史に関する出題が多く、20字程度の短論述問題が頻出である。問題の数が多いが、ほとんどがマーク式或いは短答記述式の空所補充問題であり、出題形式は単純である。

 難問・奇問が数問は見られるが、教科書レベルで解答可能な問題がほとんどである。慶應大の世界史の中では形式・内容共に最も平易である(とはいえ、センター試験や共通テストよりは明確に難しい)。しかし、得点調整によって10点程度減点されるため、平易な問題が多いからこそ合格するには9割以上の高得点を取る必要がある。受験は相対評価であるため、問題自体の難易度が低かったとしても、その分高得点勝負になってミスが許されなくなるため、問題が難しいときとは別種の難しさが発生する。

 学部の性格上、経済史からの出題の可能性がとても高くなっている。特に、産業革命や大航海時代、アジア・アフリカの植民地化、世界恐慌、経済のグローバル化などの経済上の変化には要注意である。大きく経済が変わっているポイントなので、その変化に注意して学習を深めなければならない。

日本史[編集]

 試験時間は60分、配点は100点。しかし、マークが120個程度あり、マークシートに記入するだけで15分弱はかかってしまうため、実質的には45分で全ての問題の答えを出すことが必要である。

 社会史、経済史、文化史の出題割合が高い。法学部同様、与えられた文章の穴埋めをしていき、例年3題ほど短文論述が出題されており、稀に正誤問題が出ることもある。問題の数が多いが、ほとんどがマーク式或いは短答記述式の空所補充問題であり、出題形式は単純である。

難問・奇問が数問は見られるが、教科書レベルで解答可能な問題がほとんどである。慶應大の日本史の中では形式・内容共に最も平易である(とはいえ、センター試験や共通テストよりは明確に難しい)。しかし、得点調整によって10点程度減点されるため、平易な問題が多いからこそ合格するには9割以上の高得点を取る必要がある。受験は相対評価であるため、問題自体の難易度が低かったとしても、その分高得点勝負になってミスが許されなくなるため、問題が難しいときとは別種の難しさが発生する。

 商学部では、ここ数年で、何度か戦後史までが問われている。また、銀行再編という時事問題も一部扱われている。近・現代史や時事問題に関しては、学校の授業だけでは対応できない。なので、近・現代史や時事問題に関しては、独自で対策を進めていくことが必要である。そのためには、日本史の枠におさまらないことが重要である。日本史の教科書だけで勉強するのではなく、普段から新聞やニュースで流れている政治・経済の状況は確実にチェックするようにするべきである。

 用語記述は難しめの単語を記述させたこともあり、日頃から歴史用語を正しく漢字で書けるように練習すべきである。

 2007年の銀行史、2015年の平賀源内の生涯など、数年に一度教科書範囲外は言うまでもなく、用語集にすら載ってない単語が出題される年がある。もしそのような問題に本番直面したなら他の設問に力を入れて得点調整に期待するほうが良い。

 

地理[編集]

試験時間は60分、配点は100点。大問数は3題で、出題形式は選択式・短答記述式の空所補充がほとんどである。時事的なテーマが多く、詳細な地名・人物名を問う問題も見られる。問題の数が多いが、ほとんどがマーク式或いは短答記述式の空所補充問題であり、出題形式は単純である。

難問・奇問が数問は見られるが、教科書レベルで解答可能な問題がほとんどである。しかし、得点調整によって10点程度減点されるため、平易な問題が多いからこそ合格するには9割以上の高得点を取る必要がある。

商学部の地理では、時事問題がかなりの頻度で出題されている。時事問題対策を無視して、合格点まで届かせることは不可能なので、きちんと対策をすべきである。まず、日頃から新聞・テレビなどのニュースに普段から関心をもつことが大切だ。『現代用語の基礎知識』(自由国民社)などを利用して、世界経済や国際情勢、民族問題、環境問題に関して、最新の知識を身につけることがポイントとなる。

論文テスト[編集]

 試験時間は70分、配点は100点。教養や論理的・数学的思考力、国語的読解力を求める独特の科目である。受験生の地頭を見る科目と言ってもよい。年によって問題難易度の差が激しいため、問題難易度の乱高下に左右されない実力をつけるべきである。

 数学の確率・集合・命題の基礎を復習し、論理学を身につける必要がある。一朝一夕に対策ができる科目ではない。例えば、確率・統計に関する問題、科学理論についての課題文を読ませたうえでの論理学分野の出題、ゲーム理論などの商学分野の問題、古典を読ませた上での要約問題やシンプルな現代文的な読解問題などの国語に近い問題は頻出である。また、例年かなり特殊な問題も出題されている。2012年度の場合、ノーベル経済学賞受賞者ミルトン・フリードマンの企業の社会的責任や渋滞学に関する問題も出題された。

 これらの問題に対処するには、政治・経済の知識があれば取り組みやすいものの、本文の内容把握を正確に行える国語力があれば問題ない。とはいえ、テーマに関して全く未知だと、概念を理解して文脈を追うのに時間がかかる上に正確さも下がるため、ある程度の背景知識は付けておくべきである。

 慶應大他学部とは異なり、論述式の小論文ではなく、マーク式の論文「テスト」であり、比較的マーク式の国語に近い問題形式である。

理工学部[編集]

一学年の定員は、全「学門」あわせて900名程度であり、そのうち650名程度が一般入試組、残りが内部進学者、指定校推薦入学者、帰国生・留学生入試枠合格者である。指定校推薦入学者や帰国性・留学生入試枠合格者は少なく、実質一般入試組と内部進学者がほとんどである。

慶應理工学部では、英語(150点)・数学(150点)・物理(100点)・化学(100点)の4科目(計500点満点)が課される。理工学部は5つの「学門」に分かれており、それぞれに合格定員が設けられているが難易度に大差は無い。それぞれの学門ごとに進学できる学科が概ね決まっているので、まず希望する学科をある程度見据えて学門を選ぶ必要がある。 入試問題は全学門で共通。基礎をしっかり固め、様々な良問や応用問題を解くという王道こそが最も効果的である。 よく誤解されるが、文系学部と同じく1・2年次は日吉校舎で授業が行われ、以降は矢上校舎となる。入試は日吉校舎と三田校舎で行われる。

英語[編集]

試験時間は90分、配点は150点。他学部に比べると比較的平易な難易度である。例年、長文読解問題と文法・語法問題(条件英作文)という構成であり、長文としては自然科学系の論説文が出題されることが多い。問題自体は簡単であるが、文章レベルはかなり高いので、相当な語彙力が必要になる。語彙力を身に着けるために単語王などの難関大学受験生用の単語集を一冊しっかりと取り組んでから長文対策はおこないたい。文法・語法問題は法学部のそれほど難易度は高くないが、それでも基礎問題集をしっかりやってから過去問で対策するべきであろう。お勧めは桐原書店の「頻出英文法・語法問題1000」と河合出版の「英文法・語法 正誤問題」の2冊である。これらを何度もやれば、すんなり過去問の問題に取り組めるはずである。最後の和文対照空所補充問題のみ記述式であり、他は客観式。最後の大問は出題傾向が安定していない。イディオムの知識に留意しておけば特に悩む出題はないと思われる。但し稀に、得点調整のためか特異な英文が出題されることもある。

数学[編集]

試験時間は120分、配点は150点。大問数は例年5題である。場合の数と確率・整数問題、数Ⅱ図形と方程式が頻出であるが、全体的に数学Ⅲの内容が中心。そして、いくつかの分野にまたがる繁雑な融合問題がほとんどであり、試験時間120分に対し、150分でも足りないくらいの問題量であるため相当の思考力、計算力が要求される。特に、後半の問題は、計算の煩雑さ、計算量の多さも相まって数学が得意な理系トップクラス受験生でも難しい内容になっている。例え穴埋め形式の問題であっても計算量は多く、むしろ記述式問題より多いこともしばしば。また、記述式問題は証明問題が中心に出題されているので、証明の対策も怠らないようにしなければならない。対策としては、まず「チャート式基礎からの数学(青チャート)」もしくは「大学への数学 1対1対応の演習」といった標準レベルの問題集を利用して『典型問題の処理能力』を養い、「理系数学の良問プラチカ」や「大学への数学増刊 新数学スタンダード演習」のような応用力を養う問題集を1冊やって『煩雑な計算にも耐えうる力』を養った後に過去問対策をするとスムーズに対策が出来るだろう。

物理[編集]

試験時間は化学と合わせて120分、配点は100点。例年、力学から1題・電磁気(電気)から1題・波動又は熱力学から1題の計3題の構成であるが、2020年度入試では原子が出題された。図やグラフを描く問題が毎年のように出題され、特に力学分野では力の図示の問題、電磁気分野ではグラフを扱った問題の出題頻度が高い。医学部レベルの難問も出題されたり、目新しい題材や一見複雑な出題されることもある。電気分野では、平行平板コンデンサーを扱った問題が頻出される。

スターリングサイクル、カルノーサイクルを題材に使った問題など目新しい出題や高難易度の出題もあったりするが、丁寧な誘導がついているのでそれにうまく乗っていき計算量を少しでも減らしていきたい。特に物理は化学とセットで120分しか与えられない。化学の計算量や難易度などを考えれば物理にかける時間は少しでも抑えたいところである。出題者がどのような考えで問題を作っているのかを日ごろ考えて解いていき、本番でも問題の意図を読みきり解けるところは素早く解けるようにしよう。

勉強の流れとしては、まず基礎・標準部分を固めるために、教科書等で知識を吸収したら「物理のエッセンス(河合塾シリーズ)」と言った基礎固めの問題集を一冊徹底的に取り組もう。そして、難しい頻出問題が解けるように「難問題の系統とその解き方(ニュートンプレス)」に移ってほしいのだが、この本はかなり骨太で難しい。旧帝大・早慶の理系受験生や医学部受験生で物理で高得点を狙いに行く受験生がやる問題集であるため人を選ぶが、当該学部合格のためにも諦めず何周も取り組んで欲しい。そうすれば過去問対策も楽になるだろう。

化学[編集]

試験時間は物理と合わせて120分、配点は100点。大問3題の構成。頻出のテーマは、無機と理論計算の融合問題、反応速度、化学平衡、レベルの高い構造決定などである。化学の全範囲にわたって偏りなくしっかりと学習することはもちろんだが、これらの分野には特に力を入れた学習が必要となる。やや難化傾向にあり、高校範囲外から出題されることもある。例えば、2012年度の1(1)の閃亜鉛鉱の構造は、教科書では「参考」や「発展」として扱われることが一般的であり、例え化学が得意な者であったとしてもそこまで馴染みのある内容ではなかったと思われる。

有機化合物は大問3で必ず出題されており、難易度は一貫して高めであることからも深い知識を持ち、それを応用できる実力をつけていくことを平素の学習でも心がけよう。他にも結晶構造や結合の出題をよく見かけるが、上述のテーマより難易度は低いのでこれらの分野は取りこぼすことのないようにしたい。また、全体的に求値計算は煩雑な場合が多く物理との時間の兼ね合いも考えても、完答を目指すならば相当の計算力が要求される。

勉強の流れとしては、まず基礎・標準部分を固めるために、教科書等で知識を吸収したら「実戦化学1・2重要問題集(数研出版)」と言った基礎固めの問題集を一冊徹底的に取り組もう。そして、物理同様に難しい頻出問題が解けるよう「化学Ⅰ・Ⅱの新演習(三省堂)」に移ってほしい。こちらの問題集もかなり難易度は高いが、当該学部合格のためにも諦めず何周も取り組んで欲しい。

医学部[編集]

一学年の定員は110名であり、そのうち66名程度が一般受験組、残りの44名程度が附属高校推薦入学者である。

慶應医学部の1次試験では、英語(150点)・数学(150点)・理科2科目選択(200点)の4科目(計500点満点)が課される。慶應医学部は、第一志望の受験生だけでなく東大理Ⅲなどの受験生の大部分も併願受験するため、合格難易度は非常に高い。

出題傾向はあまりはっきりせず、全科目記述・論述問題が多く出題される。よって、過去問題集をしっかりとやり込み、医学部特有の難問にも取り組める深い思考力を養うべきである。

文系科目の英語は他学部と比較しても標準レベルであるが、理系科目、特に生物、数学の難易度はずば抜けて高い。例えば、数学は短時間で相当な量の計算を要求され、難度の高い問題が多く出題される。 全問完答を狙うのはまず無理なので、標準レベルの問題を確実に取り、難度の高い問題も部分点を少しでも取れるように訓練していくのが大切だ。

例年、実質倍率は8~10倍程度である。


1次試験[編集]

英語[編集]

試験時間は90分、配点は150点。文・経済・法ほどの難易度ではないが、それでも受験英語の中では最高レベルの英語力が求められる。非常に高い語彙力、構造解釈力が求められる。大学受験用の単語帳に載ることはまずないような単語・構文が含まれた英文を和訳させる問題も出題される。慶應義塾大学の出題英文は接続詞が少なく文脈の方向を把握しにくい傾向にあるが、医学部の英語では特にその傾向は目立たない。稀に難度調整(得点調整?)のためにとてつもなく特殊な英文が出題されることもあるが、それらの例外を除けば、概して真面目に受験勉強に取り組んでいれば対処出来るはず。かつ、医学部の出題文は文系理系などという瑣末な範疇を超越した、質の高い「名文」が多く、他学部の受験者でも医学部英語をトレーニング素材としていることはよく知られている。 なお出題文中、比較的特殊性の高い語彙については特に解釈リファレンスが付録でついている。さらに、英作文は「書き手の主客を変えて書いてみる」など大きな発想転換を求めるものが多く、これまた極めて良質な出題といえる。学力上位の受験生の得点差はこの英作文で大きく発生すると思われる。

数学[編集]

試験時間は100分、配点は150点。慶應医学部の数学は理系最高峰の受験生らを篩に掛けることを意識して作られているため、難易度も大学受験最高レベルである。 大問は4題あり、毎年半分は数ⅢCから出題されている。特に微積からは毎年出題されている。大問1だけは例年標準レベルの小問(空所補充問題)で構成されることが多い。そして、毎年1、2題はかなり難易度の高い問題が出題されているが、受験生のレベルと倍率を考えると、これらの問題にもしっかりと食らいついていくことが求められる。2次曲線・行列・微積分(解析系)・数列・数列(漸化式)が多く、100分で完答するには予備校講師でさえも厳しい。問題の特徴としては、いくつかの分野が融合されている総合(融合)問題(2つの粒子が複雑に動く確率漸化式、帰納的に処理する関数列、多項式の漸化式など)が頻出である。したがって、単純に解法パターンを暗記するだけの勉強をしてきた人では全く歯が立たない。大学入試数学の中でも最高レベルの論証能力・計算処理能力が求められる。よって、しっかりと基礎を固めたら様々な応用問題に挑戦していき、発想力を高め、過去問演習をすることでその計算力をさらに高める必要がある。

また、近年、大問2、3では「操作(T)」の確率問題が出題されることが多くなっているため、この分野は徹底的に対策し得点できるようにしよう。予備校には長年の慶應医学部数学対策のノウハウもあるので、過去問研究には予備校の冬期講習や直前講習の「慶医数学」みたいな講座を受講すると良いかもしれない。

物理[編集]

試験時間はもう一つの選択科目と合わせて120分、配点は100点。論述問題・作図問題・数値計算問題が頻出。日本国内では見慣れないレベルの題材が出され、実力が無いと現象を理解することすら難しい。1999年度以降、大問は3題でⅠは小問集合という構成が続いている。学習指導要領の「物質と原子」の「原子・電子と物質の性質」及び「原子と原子核」が出題範囲に含まれているため、原子分野を重要だと考えている教授が多い為か、必ずと言って良い程、原子物理が出題され、力学も必ず出る。難易度は化学・生物に比べると易しい。グラフ作図の練習、数値に対する勘を養い、京大・東工大等の過去問演習も有効であろう。また、日本の大学入試物理最高難易度と呼ばれている滋賀医科大の問題もやってみるとよい。

化学[編集]

試験時間はもう一つの選択科目と合わせて120分、配点は100点。大問は3題の構成で、論述問題は必ず出題される。高校範囲外からの出題や参考書外からもあり、有効数字については問題文には触れられないため、自らで判断する必要がある。受験者層を考慮すれば、標準~やや難なレベルと言えるため、高得点争いが必至であり、1つの取りこぼしが命取りになり、ほぼ満点に近い得点が必要である。理論または無機1問と有機が2問出題されることが多い。生物に絡んだ問題も多く出題される。2008年度入試で易化したことにより、今後の展開が読めない状況になっているが、09・10では難化している。生命化学や高分子化学まで、幅広い知識が必要で、有機分野は重視傾向にある。反応速度・平衡移動・電離平衡等の演習も欠かせない。

生物[編集]

試験時間はもう一つの選択科目と合わせて120分、配点は100点。大問は3題であるが、ほとんどが記述・論述であり、時間に対する分量も多い。考察問題では見慣れない題材を扱った実験考察問題及び知識問題では細かな知識が問われ、複雑な考察問題が課されるため、現在では対策無しには高得点を望めない問題構成になっているが、対策次第では7〜8割程度の点数で安定させることはさほど難しくない。そのための対策として、教科書の基本的事項を暗記した後、当該学部の過去問の考察問題を解き、解説を熟読し、自分なりの解答をまとめるといった地道な作業が必要である。論述問題の文章が長いため、相当な考察力と読解力が必要である。また、「Nature」などの科学雑誌で生物関係の記事があればそれを読んでみるのも良い。ブルーバックス等でもそういった生物関連の書籍がいくつもあるはずだから、興味があれば読んでみて、大学入試生物にとらわれずに生物学を学ぼうとする姿勢も重要である。物理と生物を両方履修しているわけではないにも関わらず、物理選択者よりも不利と(主にネット上で)吹聴されている生物選択者だが、高校卒業時点で物理・化学・生物全てを履修し、生物と化学で当該学部を受験した筆者からすれば、その差は個人の努力によるものがかなり大きい。ここを読んだ生物選択者は、物怖じせずに自分の道を突き進もう。あなたの健闘を心より願っている。

2次試験[編集]

慶應医学部の2次試験は複数回の面接と小論文が行われる。受験できるのは1次試験(学科)で合格ラインを超える成績をおさめた者だけである。この2次試験を突破し入学許可を勝ち取るのは、例年1次試験(学科)を通過した者の5~6割であるので、しっかりと面接対策と小論文対策をしておくべきである。

個人面接[編集]

医学部にふさわしい人材かどうかの適性をみる質疑応答がされる。医師になる自分をどれだけ具体的に現実的に考えられているかが重要になってくる。医師になる姿勢が本気でないと答えられない質問内容もあるので、「どうして医師になりたいのか」「医師になって何をしたいのか」など今一度じっくり考え、その内容を必ず「自分の言葉で」相手に伝えられるようにすることが重要なポイントである。 通常15分程度の面接が2回行われるが、再受験生や3浪以上、宅浪生などは3回行われる。面接1回目と2回目の内容で言っていることが違わないように注意すること。実施前にカードを記入するので、記入した内容を覚えておくこと。

面接の質問内容例

  • 医学部の志望理由
  • 本学志望理由
  • どのような医師になりたいか
  • 臨床と研究どちらに進みたいか
  • 進みたい診療科はあるか
  • 興味のある研究分野は何か
  • 理想の医師像
  • 最近気になったニュースは何か
  • 自分と集団のどちらを大切にするか
  • 高校生活、部活動について
  • 失敗・挫折の経験はあるか
  • 自分の長所と短所
  • 併願校の合格状況
  • 国公立医学部と本学両方受かったらどちらに行くか(国公立受験生限定)

小論文[編集]

試験時間は50分。2008年までは難易度の高い生命科学に関する課題文を読ませて、要約させ、自分の考えを記述させるものであったが、2009年度から内容ががらりと変わり、受験生の人間性を問うような内容が出題されている。他学部と違って問題は非公開。

新傾向の内容例

  • 2010年 自分の中の背反する2つの性格に悩む医師の文章を読み、医師へのアドバイスと自分の意見を書く。
  • 2011年 大洪水で被災した途上国の衛生状態の実態調査を行うチームのリーダーになったと仮定する。同行する医師A,B,Cの意見(どれもあまり好ましくない)を読んで、このような部下を持ったことについての感想と、今後最も関わりを持つべき部下を一人あげ、その部下とどのように関わるかを述べる。
  • 2012年 嘘をつく患者の心理に対する考察
  • 2013年 1.あなたの持っている資質について 2.その資質を見極めるために、どのような入試を行うべきか

薬学部[編集]

一学年の定員は薬学科(6年制)で150名、薬科学科(4年制)で60名であり、一般受験組は薬学科で100名程度、薬科学科で50名程度で、残りが附属高校推薦入学者等である。

慶應薬学部では、英語(100点)・数学(100点)・化学(150点)の3科目(計350点満点)が課される。化学の配点が高いため、化学が得意でない受験生にとっては厳しい内容である。因みに合格最低点は例年60~70%である。数学はハイレベル理系受験生にとっては標準的な内容であるが、英語・化学の難易度は非常に高い。

薬学部生のキャンパスは芝共立キャンパスであるが、入学試験は三田キャンパスもしくは日吉キャンパスで受験することになる。

実質倍率は薬学科で5倍程度、薬科学科で4倍程度である。


英語[編集]

試験時間は80分、配点は100点。長文読解問題が3題出題される。長文の内容は、医学、心理学、動物行動学など、自然科学系のテーマを扱った専門的で硬質な難易度の高いものばかりである。しかも設問も非常に高度な語彙力や読解力を求めるものばかりであるため、高い英語力を持つ受験生でも手がかかる問題ばかりである。そういう意味では、同じく高度な学術英文と難しい設問を課す慶應法学部の英語と受験生に求める能力は似ている(もちろん英文の内容は全く違う)。受験生の間では、「化学」以上に差が生まれると言える。 問題形式は選択問題が多いが、和訳や内容説明などの記述式の問題も出題されている。和訳は1,2問出題されるが、構文が複雑で内容がつかみづらい英文を和訳させるものが多く、対策のできていない多くの受験生はここで取りこぼすと思われる。過去問研究するときは、どんな難しい文でもすべて和訳して練習するのが効果的である。

数学[編集]

試験時間は80分、配点は100点。数学ⅢCまでの出題である。かなり繁雑な計算、工夫を要する計算が含まれる。80分の試験時間で合格に必要な高得点を取るにはかなりの計算力と数学的センスを要求される。「チャート式基礎からの数学(数研出版)」(青チャート)のような網羅系参考書を用いて標準的な問題を数多く解いて計算力をつけ、さらにやや難しい問題にも挑戦し、十分な数学的思考力を培った上で、過去問をしっかりやるべきである。

問題の難易度は高いが、それ以上に受験生のレベルが高いので、7割を目指してほしい。

化学[編集]

試験時間は100分、配点は150点。大問が4,5題出題される。選択問題と記述問題の両方が出題される。量としては記述問題の方が多い。化学Ⅱの理論分野からの出題が多く、無機分野からの出題が少ない。ペプチド配列や溶解度積など難しい分野から問題が出題されることも多い。化学Ⅱも含めた全分野の基礎力を十二分に確立した上で、数多くの演習問題にあたり、計算力を培うように努める必要がある。例年目新しい題材を扱う問題が出題されるため、問題をしっかり読み取る力を養成すること。

毎年大問1,2題難易度の高い問題が出題されている。例えば、2012年に出題された大問2の触媒と反応速度、酵素が触媒として働く反応の問題はかなりの難問で、酵素反応の反応速度式を誘導なしに求めさせたり、過酸化水素の触媒下での分解が一次反応であることを前提としているなどかなり解答が困難なものであった。慶應薬学部を受験する受験生のレベルはかなり高いため、そのような問題にどれだけ食いついていけるかが合否を分けることになる。

対策としては、まずは受験基礎~標準レベルの網羅系問題集を1冊徹底的に仕上げること。次に、推薦図書として「化学I・II標準問題精講(旺文社)」を紹介しておきたい。この参考書は難易度の高い良問揃っている。当学部は化学の配点が高く(150/350)、できる受験生にとっては周囲に差をつけやすい科目であるため、この問題集の問題が8割程度スラスラ解けるようになった後に、過去問対策をすれば実のある過去問研究ができるだろう。また、当学部の過去問対策をしっかりやるのはもちろんのこととして、医学部や理工学部の化学の過去問にも取り組むことが望ましい。

SFC対策[編集]

SFCとは、湘南藤沢キャンパスに設置されている総合政策学部・環境情報学部・看護医療学部の3学部を指す。両学部の小論文は慶大の他学部や他大学で見られるものとは違い、SFCオリジナルの非常に独特で重厚な内容になっているため、受験生は早い段階から小論文対策に取り組むこと。また、SFCではAO入試を積極的に導入しており、多種多様な学生を集めているが、本項では一般入試対策についてのみ記述する。

総合政策学部[編集]

SFCと呼ばれる学部群の1学部。一学年の定員は450名であり、大学受験一般入試枠は225名。残りはAO入試・帰国生入試・留学生入試枠・附属高校推薦が占める。例年、実質倍率は10倍程度である。環境情報学部とは別の学部であるが、学部間に垣根は無い。

学科試験
Ⅰ.英語(100点)+数学(100点)+小論文(200点) Ⅱ.英語(200点)+小論文(200点) Ⅲ.数学または情報(200点)+小論文(200点)のいずれかから選択
3段階採点方式
採点方法は、選択した試験科目(英語+数学、英語、数学or情報)の得点が1次選考基準点に達した受験生についてのみ小論文が採点される。次に、小論文が2次選考基準点に達した受験生に対して、選択した受験科目の得点と小論文の採点結果を組み合わせて、最終選考が行われる。つまり、選択した試験科目でどれだけ得点できていても、小論文が一定の点数取れていない場合(逆もまた然り)は、合計点が合格最低点を上回っていても不合格ということである。SFCは英語(数学)だけできても合格はできない。英語(数学)と小論文の両方ができていないと合格はできない。


英語[編集]

試験時間は120分、配点は200点。全て客観式の設問で、1200~1500wordsの超長文読解問題が2題出題される。学術的内容の長文の出題が多く、例年1つの長文につき20箇所もの空所補充問題があるのが特徴。大学入試としては非常に高いレベルの語彙力、読解力をまともに問うこの形式は環境情報学部の出題と共通している。本文の抽象度が高く語数が多いため、1つの文章を読みきるだけでも体力を消費する。そのため、重厚な長文に慣れて耐性をつけておくべきである。また、分野を問わぬ文章が出題されるため、幅広い単語力や背景知識は必須であり、食わず嫌いは厳禁である。

数学[編集]

試験時間は120分、配点は200点。範囲は数学ⅡBまでとなっているが、教科書範囲外の独創的な出題が多いのが特徴である。問題文も長く複雑なものが多い。幅広い分野から、SFCらしいパズルのような複雑な問題が出題されるが、頻出分野は集合と論理・整数・場合の数と確率・数列である。対策としては、受験レベルの基礎を確立し、その後は過去問でとにかく演習を積むしかないと思われる。特に、数学のみの受験生用の問題は大学入試レベルを逸脱しているものが多いので、数学のみの受験生は覚悟が必要である。環境情報学部の数学の問題もやっておこう。

情報[編集]

2016年度から新しく「情報」という科目も選択可能となる。

問題の難易度は国家試験のITパスポート試験より高く、基本情報技術者試験よりはやや低い、という感じである。

ただし、ボーダーラインが予め得点率60%以上と決まっている基本情報技術者試験と異なり、SFCの情報科目のボーダーラインは基本情報技術者試験より高い。また、出題傾向も基本情報技術者試験とは若干異なるため、既に基本情報技術者試験に合格している受験生でも油断するなく、実際に出題された過去問等でしっかり対策しておくこと。

小論文[編集]

試験時間は120分、配点は200点。総合政策学部の小論文は、5種類以上の膨大な資料が与えられる難問である。資料や自身の知識の事実に基づいた根拠から自分の考えまでを記すことになる。全体の論述字数は1,500字~1,800字程度である。資料から素早く重要な情報を正確に読み取り、頭の中でそれらを組み合わせる力が求められる。国語の現代文の要領で一文一文を丁寧に読んでいては、資料を読むだけで試験時間が終わってしまう。よって、小論文の書き方を覚えただけでは到底歯が立たない。小論文の基礎的な問題が解けるようになったら、当該学部の過去問や環境情報学部の小論文に取り組み、学校や予備校の小論文の講師に添削してもらうことが重要である。 総合政策学部の小論文では、具体的な問題設定・構造的分析・解決法・新しいビジョンを提示させるものが多い。いずれも、総合政策学の理論を使わないと導き出せないようになっている。大量の資料から共通するテーマを発見する力だけでなく、総合政策学とはどういう学問なのかも勉強しておく必要がある。 資料のテーマは、時事問題が中心である。近年では、教育・介護・政策・日本の望ましい将来像の設計など、幅広いテーマが出題されている。また、資料は新聞記事や政府の公文書、論文、学術書、政党のマニフェスト等が出題される。政治経済や現代社会の知識がなければ、読み解けない内容になっている。年度によっては統計表や英文資料が出ることもある。 総合政策学部の小論文の問題形式は年度によって変わる。文章を書かせるだけでなく、「図示とその図の解説」を求める年度もあった。また、意見論述だけでなく、政策評価などが問われることもある。

具体的対策法[編集]

以下の内容は、小論文の基礎が確立されていることが前提である。

  • 過去問を通じて、出題テーマや設問のパターンを知ると同時に、読解力・思考力を養う。
  • 総合政策学とは何か、他の学問との比較、そして実際にどのような研究が行なわれているか調べ、この学部の研究領域と学問の方法に慣れ親しむ。
  • 広義の公共政策の争点(TPPをはじめとした経済連携協定、エネルギー政策、地球環境問題、憲法解釈、社会保障問題など)について広い関心を持ち、常日頃から知識を蓄える。特に、どのような意見対立が起こっているのか、政党間やイデオロギー間の対立に留意する。

環境情報学部[編集]

SFCと呼ばれる学部群の1学部。一学年の定員は450名であり、大学受験一般入試枠は275名程度。残りはAO入試・帰国生入試・留学生入試枠・附属高校推薦が占める。例年、実質倍率は9倍程度である。総合政策学部とは別の学部であるが、学部間に垣根は無い。

学科試験
Ⅰ.英語(100点)+数学(100点)+小論文(200点) Ⅱ.英語(200点)+小論文(200点) Ⅲ.数学または情報(200点)+小論文(200点)のいずれかから選択
3段階採点方式
採点方法は、選択した試験科目(英語+数学、英語、数学or情報)の得点が1次選考基準点に達した受験生についてのみ小論文が採点される。次に、小論文が2次選考基準点に達した受験生に対して、選択した受験科目の得点と小論文の採点結果を組み合わせて、最終選考が行われる。つまり、選択した試験科目でどれだけ得点できていても、小論文が一定の点数取れていない場合(逆もまた然り)は、合計点が合格最低点を上回っていても不合格ということである。SFCは英語(数学)だけできても合格はできない。英語(数学)と小論文の両方ができていないと合格はできない。


英語[編集]

試験時間は120分、配点は200点。全て客観式の設問で、1200~1500wordsの超長文読解問題が2題出題される。学術的内容の長文の出題が多く、例年1つの長文につき20箇所もの空所補充問題があるのが特徴。大学入試としては非常に高いレベルの語彙力、読解力をまともに問うこの形式は総合政策学部の出題と共通している。本文の抽象度が高く語数が多いため、1つの文章を読みきるだけでも体力を消費する。そのため、重厚な長文に慣れて耐性をつけておくべきである。また、分野を問わぬ文章が出題されるため幅広い語彙力や背景知識は必須であり、食わず嫌いは厳禁である。総合政策学部に比べればかなり理系分野にシフトしたテーマが目立つため、この点を鑑みれば概して語彙の対策は立てやすいはずである。

数学[編集]

試験時間は120分、配点は200点。範囲は数学ⅡBまでとなっているが教科書範囲外の独創的な出題が多いのが特徴である。選択問題ではコンピュータの問題が出される。他大学の入試では見られないような異質な問題が頻出する(特に、数学のみの受験生用の問題は発想力が求められるパズルのような問題が多く、理系受験生でも難しいと言われている)。環境情報学部は総合政策学部に比べて数学の難易度が毎年若干高めに設定されている。あらゆる分野の基礎をきちんと押さえた上で、日頃から数学的パズルに親しむとよい。総合政策学部同様に、数学のみの受験生用の問題は大学入試レベルを逸脱しているものが多いので、数学のみの受験生は覚悟が必要である。

情報[編集]

2016年度から新しく「情報」という科目も選択可能となる。

問題の難易度は国家試験のITパスポート試験より高く、基本情報技術者試験よりはやや低い、という感じである。

ただし、ボーダーラインが予め得点率60%以上と決まっている基本情報技術者試験と異なり、SFCの情報科目のボーダーラインは基本情報技術者試験より高い。また、出題傾向も基本情報技術者試験とは若干異なるため、既に基本情報技術者試験に合格している受験生でも油断するなく、実際に出題された過去問等でしっかり対策しておくこと。

小論文[編集]

試験時間は120分、配点は200点。非常にハイレベルな小問が複数課されるが、全体の論述字数は1,200字~1,600字程度。環境情報学部の小論文はアイディア提示型の特殊な内容である。他の学部の小論文のような抽象度の高い課題文が出題されることはないが、①総合政策学部と同様に膨大な資料に向き合い、クリティカルに読み、そこから自分のアイディア(商品の企画案や改善案)を構築する問題発見・問題解決力、そして②タイトルを考えるといったセンス・要約力が評価される特殊な入試である。

出題形式は総合政策学部と違う。総合政策学部は、大量の資料を分析し、事実に基づいた根拠から自分の考えまでを、600~800字程度でまとめる問題が数問出題される。一方で、環境情報学部の小論文は、複数の小問にわかれて、根拠や考えが別個で問われる。200字で解答しなければならない問題もある。聞かれたことに対して最小限の文字でわかりやすく解答する力が求められる。

具体的対策法[編集]

①の問題発見・問題解決力は、やみくもに問題演習をしても身に付く力ではないため、戸山田和久氏の『「科学的思考」のレッスン』(NHK出版新書)等の優良な参考書を使って、問題発見・問題解決の正しい考え方・やり方を身につけておくことが重要である。

環境情報学部は、総合政策学部と同様に自己意識の強い学部であって、受験生に対して環境情報学ではどんな研究がおこなわれているか、そのコンセプトとはどういうものかに関する深い理解を小論文試験で試している。したがって、まずは環境情報学部の研究について詳しく理解しなければならない。当該学部は実に多様なことを研究しているから、入試ではどの分野(テーマ)が出題されるか分からない。地球環境問題や生活用品のデザイン、メディア・アート、科学論といった実に様々な分野から出題されている。よって、当該学部で研究されている幅広い分野の全てについて、自分なりにある程度の見識を持っておく必要がある。また、入学後どのような研究を自分はしていきたいか、考えておくことが不可欠である。

看護医療学部[編集]

SFCと呼ばれる学部群の1学部。一学年の定員は100名であり、大学受験一般入試枠は70名程度。残りは附属高校推薦・AO入試・帰国生入試・留学生入試枠が占める。

試験形態は1次試験(学科試験)と2次試験(面接+小論文)からなる。当学部に合格するのに鍵となるのは2次試験だと言われている。それは、当学部が人物面をかなり重視しているからである。よって、例年1次試験を上位で通過した非常に優秀な者でも2次試験の内容によっては合格できないことも多い。因みに当学部の1次試験の問題の難易度はどの科目も本学にしては簡単だと言われている。

例年、実質倍率は4倍程度である。


1次試験[編集]

1次試験は、Ⅰ.英語(300点)+数学(200点) Ⅱ.英語(300点)+化学(200点) Ⅲ.英語(300点)+生物(200点)のいずれかから選択する(小論文は1次通過者のみに対して、面接と共に2次試験として課される。)。

英語[編集]

試験時間は90分、配点は300点。問題のレベルは、慶大の英語の中で最も易しい。客観形式による文法問題や長文空所補充といった選択式の問題(PART1)と、下線和訳といった記述式の問題(PART2)の2パートに分かれた形式であり、PART2の最後には100-150語で書く自由英作文がある。

PART1 はさして難しいものはなく、文法正誤問題などは他学部の受験生の演習素材としても格好のもの。むしろ、PART2 にこそ若干留意すべきであり、文脈整序問題は出題文の短さに比して存外難しく感じさせることがある。その理由は接続詞の希少な文章が出題されるためで、速読だけで対処出来るほど甘いものではない。また、PART2 最後の自由英作文は特に抽象度の高い設問ではないが、語数は自由英作文を出題する大学の中ではかなり多い方であり、自己の見識のみを書き連ねて事足れりとしないように。

数学[編集]

試験時間は80分、配点は200点。5題構成で、3番までは空所補充形式、4番5番が記述形式になっている。試験時間80分のわりには問題数が多い為、迅速かつ的確に解答できる力が必要である。出題範囲はII・Bまでである。問題のレベルは、慶大の数学の中で一番易しい。慶大の他学部を受験しないのであれば、「チャート式解法と演習数学(数研出版)」(黄チャート)をお薦めする。こちらをしっかりとマスターすれば、空所補充形式の3題はすべてカバーできる。また、若干難しい問題が出題される記述形式の2題でも部分点を取ることが出来るだろう。これだけで7割は得点できるはずである。

例年、5番で出題される証明問題(「整数問題」や「式と証明」の分野が多い)は文系受験生にとっては取り組みにくい内容で、受験生の間でも差が出るため、数学で差をつけたい受験生は十分に対策しておくこと。

化学[編集]

試験時間は80分、配点は200点。大問数は3題で固定されている。思考力を問う問題が多く,暗記した知識のみでは対応できないが、それでも、他学部(理工、医、薬)に比べると解きやすい問題が多い。問題形式としては、選択式・記述式問題と30~60字程度の論述問題が出題されている。出題分野も年々変化するため、化学Ⅰ・Ⅱの全分野にわたってしっかりと対策しておく必要がある。電離平衡・天然有機化合物がよく出題される。教科書・参考書や大学入試標準レベルの問題集で徹底的に基礎を固め、過去問対策を十二分に行えば、65~70%は得点できるだろう。

生物[編集]

試験時間は80分、配点は200点。生物IIからの出題が多く、特に、遺伝子、進化、系統・分類などの分野からの出題が目立つ。知識問題の難易度が比較的高い。教科書に載っていないハイレベルな問題もいくらか見られる。DNAについては医学的内容や新しい内容が出題されることが多く、受験生に単なる受験用の知識ではなく、普段から医療に通じる生物学にどれだけ興味を持っているのかが問われている。よって、話題になっている問題は日頃から関心を持って学習すべきである。似たような傾向の問題が出題されることが多いため、過去問演習はできるだけ多くの年度の問題を解くべきである。

2次試験[編集]

医学部同様、1次試験合格者には、小論文と面接の2次試験が控えている。前述の通り、看護医療学部は受験生の人物面をかなり重視している。それは、患者との心のふれあいを仕事とする看護に携わる者にとってとても重要だからである。当学部を志望する受験生は、普段から成績だけでなく、求められている人物像や看護というものが何なのかを常に意識しておく必要がある。2次試験を突破できるのは、例年1次の学科試験を通過できた者の6割ほどである。換言すると、学科試験を通過できた受験生でも、4割が合格できないのである。従って、十分に面接、小論文の対策をしておかないと合格するのは非常に難しいと言うことだ。

面接[編集]

看護を学ぶ者にふさわしい人材かどうかの適性をみる質疑応答についての質問がされる。通常約20分と比較的長時間の面接が行われる。内容は、志望動機、高校時代の活動、趣味、ボランティア経験の有無などの基本的なことから始まり、理想の看護師像、医師と看護師の違い、看護師として活躍したい分野、趣味が将来仕事にどのように役立つか、自己の欠点とそれが看護師にどのように影響するのか、看護師以外の道などしっかり対策していないとすぐにはきちんと答えられないようなことまで聞かれる。年によっては、時事問題従って、学校や予備校で実際に模擬面接を何度もやって練習して置くことを勧める。

小論文[編集]

試験時間は70分。設問は2問、もしくは3問出題される。設問内容は、例年通り要約・説明と論述である。字数は2問出題の場合、要約・説明が200字、論述が600字程度である。課題文は、社会や個人に関するような看護学に関連するものが比較的多い。(年度によっては、いささか古く、非常に読みにくい文章も出題されている。)現代文で読んだ文章を200字程度で要約する練習を普段からやっておくべきだろう。また、論述問題対策としては、面接対策同様に、看護に関する自分の考えを膨らましておくことが大切である。

その他[編集]

 様々な学習予備校が慶大対策を分析したサイトを開設している。主だったところだと、河合塾が慶大受験生向けに入試情報をまとめた慶大塾というサイトは過去の入試データや傾向分析が充実している。特に、「全統模試から見た合否の実態」や「全統模試から見た差のつく教科」は、入試の偏差値(合格者平均偏差値)に関する詳細なデータを参照できるため、お勧めである。

 また、受験についての各種関連記事や合格後の学生生活に対する話題については、慶應塾生新聞にて【受験生応援特集】が定期的に組まれているため、参考にすると良いだろう。

模試[編集]

慶大対応模試として、代ゼミ・駿台共催(受験申込は、代ゼミで受付)の「慶大入試プレ」と、河合塾の「早慶レベル模試」がある。また、慶大小論文対策として、「全統論文模試(河合塾)」もある。各予備校は慶大の入試傾向を徹底的に分析し、精度の高い予想問題を作成しており、多くの慶大志願者がこれらを受験する。その為、受験すれば本番入試に向けての大きな指針となり、本番の雰囲気にも慣れることになるので、慶大志願者は、これらの模試をできる限り受験するべきだろう。ただし、これらの慶大対応模試は、東大京大一橋大などの国立志望者はほとんど受けていない。そのため判定が高く出やすく、あまり判定を鵜呑みにすべきではない。
模試は厳選された良問ばかりである。模試で出題された=塾講師達が重要と考えている問題=受験生は当然正解すべき問題と解釈できる。また、模試の結果に対して一喜一憂してはならない。というのは、全学部の志望者を同時に試験するため、多分に志望学部の出題傾向とは異なるからである。しかし、不得意な分野についてはしっかりと復習をし、確実に身につける必要がある。判定が悪くても合格するためには、基礎の徹底を怠ってはならない。それには、一度解いたことのある問題を確実に解けるように復習するのが一番の近道である。

関連リンク[編集]