民法第427条

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法学民事法民法コンメンタール民法第3編 債権 (コンメンタール民法)

条文[編集]

分割債権及び分割債務

第427条
数人の債権者又は債務者がある場合において、別段の意思表示がないときは、各債権者又は各債務者は、それぞれ等しい割合で権利を有し、又は義務を負う。

解説[編集]

債権者又は債務者が数人ある場合で、別段の意思表示がない場合、権利義務がどのように割り当てられるかを定めた規定である。

民法では原則として分割債権、分割債務となり、それぞれ別個の債権、債務とみなされる。別々の債権債務関係であるから、債権者はそれぞれの割合に応じて別々に権利を行使していくことになる。また、分割債権、債務関係における各当事者について発生した事由は他の債権者債務者には影響を及ぼさない。なお商法では連帯債務が原則となる点で異なっている。

参照条文[編集]

判例[編集]

  1. 貸金請求(最高裁判決 昭和34年06月19日)民法第432条民法第898条民法第899条
    連帯債務の相続。
    連帯債務者の一人が死亡し、その相続人が数人ある場合に、相続人らは、被相続人の債務の分割されたものを承継し、各自その承継した範囲において、本来の債務者とともに連帯債務者となると解すべきである。
  2. 売掛金等請求 (最高裁判決 昭和48年10月09日)民法第33条民法第675条民事訴訟法第46条
    権利能力のない社団の取引上の債務と社団構成員の責任
    権利能力のない社団の代表者が社団の名においてした取引上の債務は、社団の構成員全員に一個の義務として総有的に帰属し、社団の総有財産だけがその責任財産となり、構成員各自は、取引の相手方に対し個人的債務ないし責任を負わない。
  3. 約束手形金(最高裁判決 昭和57年09月07日)民法第442条,民法第465条1項,手形法第17条,手形法第30条1項,手形法第47条1項,手形法第47条3項,手形法第49条,手形法第77条1項1号,手形法第77条1項4号,手形法第77条3項
    約束手形の第一裏書人及び第二裏書人がいずれも保証の趣旨で裏書したものである場合に手形を受戻した第二裏書人に対し第一裏書人が負うべき遡求義務の範囲
    約束手形の第一裏書人及び第二裏書人がいずれも振出人の手形債務を保証する趣旨で裏書したものである場合において、第二裏書人が所持人から手形を受戻したうえ第一裏書人に対し遡求したときは、第一裏書人は民法第465条1項の規定の限度においてのみ遡求に応じれば足り、右の遡求義務の範囲の基準となる裏書人間の負担部分につき特約がないときは、負担部分は平等である。
  4. 所有権移転登記手続等,更正登記手続等請求事件(最高裁判決 平成16年04月20日)民法第898条,民法第899条,民法第907条
    相続財産である可分債権につき共同相続人の1人がその相続分を超えて債権を行使した場合に他の共同相続人が不法行為に基づく損害賠償又は不当利得の返還を求めることの可否
    共同相続人甲が相続財産中の可分債権につき権限なく自己の相続分以外の債権を行使した場合には,他の共同相続人乙は,甲に対し,侵害された自己の相続分につき,不法行為に基づく損害賠償又は不当利得の返還を求めることができる。
  5. 預託金返還請求事件(最高裁判決 平成17年09月08日)民法第88条2項,民法第89条2項,民法第601条民法第896条民法第898条民法第899条民法第900条民法第907条民法第909条
    共同相続に係る不動産から生ずる賃料債権の帰属と後にされた遺産分割の効力
    相続開始から遺産分割までの間に共同相続に係る不動産から生ずる金銭債権たる賃料債権は,各共同相続人がその相続分に応じて分割単独債権として確定的に取得し,その帰属は,後にされた遺産分割の影響を受けない。

前条:
民法第426条
(詐害行為取消権の期間の制限)
民法
第3編 債権

第1章 総則

第3節 多数当事者の債権及び債務
次条:
民法第428条
(不可分債権)
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