民法第437条

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法学民事法民法コンメンタール民法第3編 債権 (コンメンタール民法)

条文[編集]

(連帯債務者の一人についての法律行為の無効等)

第437条
連帯債務者の一人について法律行為の無効又は取消しの原因があっても、他の連帯債務者の債務は、その効力を妨げられない。

改正経緯[編集]

2017年改正

  1. 改正前は以下の条項が規定されていたが削除。
    連帯債務者の一人に対する免除
    連帯債務者の一人に対してした債務の免除は、その連帯債務者の負担部分についてのみ、他の連帯債務者の利益のためにも、その効力を生ずる。
    • 改正前条項解説
      連帯債務の消滅につき、絶対効が生じる場合を定めた規定群のひとつである。
      文言どおり解釈すると、債権者が連帯債務者の一人に対して免除をした場合、免除を受けた連帯債務者の負担部分の額だけ、連帯債務全体が縮減することになる(絶対的免除)。ただし本条は任意規定であることから、絶対的免除ではない意思で免除することも可能である。
    • 改正後の取り扱い
      継承条文を残さず削除したことにより、絶対効を否定。連帯債務の原則である相対的効力の原則(第441条)に従うものとし、連帯債務者間においては求償で解決することを明確にした。
  2. 改正前、第433条に置かれていた「連帯債務者の一人についての法律行為の無効等」の条項を移動。

解説[編集]

本条は、連帯債務者の一人に債務の消滅事由が発生した場合の連帯債務関係全体に対する影響力に関する規定の一つである。

連帯債務者の一人について生じた事由は、他の連帯債務者に対して効力を生じないのが原則である(相対的効力の原則 第441条)。したがって、連帯債務者の一人について法律行為の無効又は取消原因があっても他の債務者の債務の効力に影響を与えないことは当然であるが、本条は注意的にこのことを規定したものである。

参照条文[編集]

判例[編集]


前条:
民法第436条
(連帯債務者に対する履行の請求)
民法
第3編 債権

第1章 総則

第3節 多数当事者の債権及び債務
次条:
民法第438条
(連帯債務者の一人との間の更改)
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