民法第492条

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法学民事法民法コンメンタール民法第3編 債権 (コンメンタール民法)民法第492条

条文[編集]

弁済の提供の効果)

第492条
債務者は、弁済の提供の時から、債務を履行しないことによって生ずべき責任を免れる。

改正経緯[編集]

2017年改正により、以下の文言から現行のものに改正された。「債務不履行」では履行不能の責任を免れることが弁済の提供の効果だとも読めるので、「債務を履行しないこと」と改正し履行不能の責任の問題を受領遅滞の効果であるとしたものである。

債務者は、弁済の提供の時から、債務の不履行によって生ずべき一切の責任を免れる。

解説[編集]

「弁済の提供」とは「債務者が弁済を実現するためみずからできる限りの準備をして,債権者の受領 (協力) を求めること」である[1]民法第533条の規定に従って「履行の提供」と呼ぶこともある。

弁済の提供の効果についての規定の一つである(ほかの規定は第533条)。弁済の提供の方法については、民法第493条に規定がある。

債務不履行によって生じる責任を免れるのは、原則として債務者が債権者に弁済した時である。しかし債務者が「できる限りの準備」をしたのに債権者の協力がなかった場合にも債務者が債務不履行による責任を負うのは不当である。この場合債権者は債務者に責任を問えないことを規定した。

また、給付債務に約定利息が発生する場合、債権者はこれも債務者に請求できないと解釈されている(そうでなければ履行遅滞の場合に遅延利息を請求するのを認めるのと同じだから)。

参照条文[編集]


前条:
民法第491条
(数個の給付をすべき場合の充)
民法
第3編 債権

第1章 総則
第6節 債権の消滅

第1款 弁済
次条:
民法第493条
(弁済の提供の方法)
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