民法第919条

出典: フリー教科書『ウィキブックス(Wikibooks)』

法学民事法コンメンタール民法第5編 相続 (コンメンタール民法)

条文[編集]

(相続の承認及び放棄の撤回及び取消し)

第919条
  1. 相続の承認及び放棄は、第915条第1項の期間内でも、撤回することができない。
  2. 前項の規定は、第1編注:(総則)及び前編注:(第5編 親族)の規定により相続の承認又は放棄の取消しをすることを妨げない。
  3. 前項の取消権は、追認をすることができる時から6箇月間行使しないときは、時効によって消滅する。相続の承認又は放棄の時から10年を経過したときも、同様とする。
  4. 第2項の規定により限定承認又は相続の放棄の取消しをしようとする者は、その旨を家庭裁判所に申述しなければならない。

解説[編集]

相続に関して、承認・限定承認・放棄の意思表示を一旦してしまうと、意思表示が可能な期間であっても撤回はできない。明治民法第1022条を継承。
しかしながら、承認・放棄が詐欺・強迫・錯誤などの下に行われ、取り消しうるものである場合は取り消すことは可能である。ただし、一般の取消権の時効・除斥期間(第126条)よりも期間は短く設定されている。

参照条文[編集]

参考[編集]

明治民法において、本条には後見人の被後見人に対する債権又は債務の申出義務に関する以下の規定があった。趣旨は、第3項を削除の上、民法第855条に継承された。

  1. 後見人カ被後見人ニ対シ債権ヲ有シ又ハ債務ヲ負フトキハ財産ノ調査ニ著手スル前ニ之ヲ後見監督人ニ申出ツルコトヲ要ス
  2. 後見人カ被後見人ニ対シ債権ヲ有スルコトヲ知リテ之ヲ申出テサルトキハ其債権ヲ失フ
  3. 後見人カ被後見人ニ対シ債務ヲ負フコトヲ知リテ之ヲ申出テサルトキハ親族会ハ其後見人ヲ免黜スルコトヲ得

前条:
民法第918条
(相続財産の管理)
民法
第5編 相続

第4章 相続の承認及び放棄

第1節 総則
次条:
民法第920条
(単純承認の効力)
このページ「民法第919条」は、まだ書きかけです。加筆・訂正など、協力いただける皆様の編集を心からお待ちしております。また、ご意見などがありましたら、お気軽にトークページへどうぞ。