民法第98条の2

出典: フリー教科書『ウィキブックス(Wikibooks)』

法学民事法コンメンタール民法第1編 総則 (コンメンタール民法)

条文[編集]

意思表示の受領能力)

第98条の2
意思表示の相手方がその意思表示を受けた時に意思能力を有しなかったとき又は未成年者若しくは成年被後見人であったときは、その意思表示をもってその相手方に対抗することができない。ただし、次に掲げる者がその意思表示を知った後は、この限りでない。
  1. 相手方の法定代理人
  2. 意思能力を回復し、又は行為能力者となった相手方

改正経緯[編集]

2017年改正前条文

意思表示の相手方がその意思表示を受けた時に未成年者又は成年被後見人であったときは、その意思表示をもってその相手方に対抗することができない。ただし、その法定代理人がその意思表示を知った後は、この限りでない。

解説[編集]

本項は、意思表示の受領能力について規定する。

意思表示の相手方が、その意思表示を受けた時点で、事実として意思能力を有しなかったとき又は未成年者(第5条第1項)若しくは成年被後見人(第7条)であった場合は、意思表示をした者は、その相手方に対してその意思表示を主張することはできない。一方、逆に未成年者や成年被後見人の側から意思表示をしたことを、法定代理人を通じるなどして、主張することは差し支えない。なお、本項では、制限行為能力者のうち、未成年者と成年被後見人についてのみ規定しており、被保佐人(第12条)と被補助人(第15条第1項)に対しては、受領能力があるので、本条の対象となっておらず、通常の行為能力者と同じように、意思表示の受領を主張することができる。

ただし、①その法定代理人及び②意思能力を回復し又は行為能力者となった相手方がその意思表示を知った後は、その相手方に対してその意思表示を主張することができる。②の例としては、未成年者が成年になった場合などがある。

参照条文[編集]


前条:
民法第98条
(公示による意思表示)
民法
第1編 総則

第5章 法律行為

第2節 意思表示
次条:
民法第99条
(代理行為の要件及び効果)
このページ「民法第98条の2」は、まだ書きかけです。加筆・訂正など、協力いただける皆様の編集を心からお待ちしております。また、ご意見などがありましたら、お気軽にトークページへどうぞ。