経済学 現代経済の仕組み 金融機関とその働き

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経済学現代経済の仕組み金融機関とその働き


どうやって銀行は儲けている?[編集]

銀行は私たち(顧客)が口座に預けたお金を、仕事をするためにお金が必要な企業に貸します。企業は借りたお金に利子をつけて銀行に返します。銀行はこの利子で儲けているのです。そして銀行は利子の一部を私たちの口座に返します。一連のやり取りは現金ではなく、口座の上で行われます。

資金の循環と金融[編集]

資本[編集]

貨幣[編集]

貨幣の役割には、次の4つがあります。

  • 価値尺度…
  • 交換(流通)手段…
  • 支払い手段…
  • 価値蓄蔵手段…

通貨(流通貨幣)の種類には次の3つがあります。

  • 現金通貨…日本銀行券(紙幣)、補助貨幣(硬貨)
  • 預金通貨…普通預金、当座預金、小切手
  • 準通貨…定期預金

現金通貨と預金通貨の2つを「M1」、これに準通貨を加えた3つを「M2」といいます。Mはマネーサプライ(通貨供給量)のことです。

日本は、1931年に金本位制(金貨と兌換紙幣(だかんしへい)の併用)から管理通貨制度(不換紙幣)に移行しました。

金融とは[編集]

資本主義社会では、家計・企業・政府の3つの主体が活動しています。この3主体の間にが行き交っています。これら財物の仲介役となるのが貨幣です。これに加え、貨幣にはもう一つの役割があります。それが「金融」という、貨幣の融通(貸し借り)をすることです。資金の余裕者(お金持ち)が資金を必要とする者に資金を貸すのですが、この時、金融機関を介す場合と介さない場合とがあります。いずれの場合も、資金は他人資本となります。

直接金融[編集]

資金の余裕者と企業の間での貸し借りで、余裕者は企業へ株式・社債の購入によって交付し、企業は余裕者へ資金を渡します。アメリカは、直接金融中心です。

間接金融[編集]

個人・企業と金融機関の間での貸し借りで、個人・企業は金融機関へ預金し、金融機関は(別の)個人・企業へ貸し付けをします。日本は、以前から間接金融中心でしたが、近年、直接金融が増えつつあります。

銀行と信用創造[編集]

信用創造預金創造通貨創造ともいい、銀行が預金額の一部(支払準備金)を残して預金額以上を貸し付けることを指します。信用創造は景気変動の要因の一つです。

信用創造された額は次の計算式で求められます。

最初の預金額×(1÷支払準備率)-最初の預金額=信用創造された額

つまり、支払準備率が20%のとき、Aから預金された5000万円から支払準備金1000万円を除いた4000万円をZ銀行がBに貸し出し、Bはその金をY銀行に預金し……というモデルでは、

5000(万円)×(1÷)-5000(万円)=2億円

となり、2億円創造されたことになります。

金融機関[編集]

金融機関は次の種類があります。

金融政策[編集]

金融政策は、日銀政策委員会がマネーサプライを操作することによって実行されます。これにより、物価・景気・為替の安定が保たれています。金融政策には次の3種類があります。

公開市場操作
  • 支払準備率操作(預金準備率操作)
支払準備率操作
  • 公定歩合政策(金利政策)
公定歩合政策

日本では、これまで公定歩合政策がとられてきましたが、2001年3月19日からゼロ金利政策をとり、公開市場操作(量的緩和策)を採用しています。

これからの金融[編集]

日本では金融再編(銀行の吸収・合併)が進んでいます。金融再編によって誕生した巨大な金融グループはメガバンクと呼ばれ、資産規模としては海外のメガバンクに並んでいます。しかし、海外の銀行に比べ、日本の銀行は収入の多くを受信授信業務で生まれる利ざやに頼っており、不良債権処理を進めつつ、収益構造の改善をしなければならなくなっています。