線型代数学/逆行列
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この章では逆行列の性質について議論する。
なお、行列の演算(和、積等)については 行列概論 を参照のこと。
目次 |
[編集] 逆行列の定義
に対して、
となるような
が存在するとき、
は
の逆行列であるといい、
と書く。
が逆行列をもつとき
は正則である、という。
逆行列という言い方のほうが馴染みがあるかもしれないが、線形代数学では、正則という言い方をよくするので慣れてもらいたい。
[編集] 逆行列の性質
[編集] 逆行列の一意性
逆行列は一意的に定まる。
の逆行列として
の他に
が存在したとすると
を左からかければ
∴
である□
[編集] 逆行列であるための条件
次のうちどちらかが成り立てば、
は正則であり、
は
の逆行列である。 
証明は後述する。
[編集] 逆行列に関する演算
が正則であるとき、以下が成り立つ。
[編集] 逆行列であるための条件の証明
ここから先は行列の基本変形を理解しているものとして話を進める。
まず、次の補題を示す。
が正則
が正則 (
,
)
の逆行列を
とすると、

したがって、
が成り立つので、
は正則□
は、
の逆行列である。したがって、
は正則□
それでは、定理を証明することにする。
数学的帰納法で示す。
のとき
行列はただの数字となるので、正しい。
のとき定理は正しいと仮定する。
が
をみたしているとき、
なので、基本行列の積
が存在して、
と変形できる。また、
とおけば、
より
となる。
ここで、帰納法の仮定と補題より
は正則
は正則
は正則だから
も正則。
以上より
のときも定理は正しい。
のときも同様である□
[編集] 逆行列の求め方
[編集] 方法
が正則であるとする。このとき、
をみたす基本行列の積
が存在する。
は正則だから
が成り立つ。基本行列の逆行列は基本行列であるから、正則行列は基本行列の積で表わせることがわかる。
すなわち、正則行列は左基本変形だけ(もしくは、右基本変形だけ)で単位行列にすることができる。
以上のことから次の定理が成り立つ。
が正則行列のとき、
を左基本変形することで以下の行列を得たとする。
(
)
このとき、
である。
[編集] 例題
の逆行列を求めよ。

(第2行の-2倍を第1行に、2倍を第3行に加える)
(第2行と第1行を入れ替える)
(第2行を第1行に加え、第2行の2倍を第3行に加える)
(第3行を第2行に加え、さらに第2行を-1倍する)
よって逆行列は、
[編集] 練習問題
以下の(1),(2)の行列の逆行列を求めよ。
(1)
(2)
答え(1)
(2)








