自然公園法第21条

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条文[編集]

(特別保護地区)

第21条

  1. 環境大臣は国立公園について、都道府県知事は国定公園について、当該公園の景観を維持するため、特に必要があるときは、公園計画に基づいて、特別地域内に特別保護地区を指定することができる。
  2. 第五条第三項及び第四項の規定は、特別保護地区の指定及び指定の解除並びにその区域の変更について準用する。この場合において、同条第三項中「環境大臣」とあるのは「環境大臣又は都道府県知事」と、「官報」とあるのは「それぞれ官報又は都道府県の公報」と読み替えるものとする。
  3. 特別保護地区内においては、次の各号に掲げる行為は、国立公園にあつては環境大臣の、国定公園にあつては都道府県知事の許可を受けなければ、してはならない。ただし、非常災害のために必要な応急措置として行う行為は、この限りでない。
    一 前条第三項第一号、第二号、第四号から第七号まで、第九号、第十号、第十五号及び第十六号に掲げる行為
    二 木竹を損傷すること。
    三 木竹を植栽すること。
    四 動物を放つこと(家畜の放牧を含む。)。
    五 屋外において物を集積し、又は貯蔵すること。
    六 火入れ又はたき火をすること。
    七 木竹以外の植物を採取し、若しくは損傷し、又は落葉若しくは落枝を採取すること。
    八 木竹以外の植物を植栽し、又は植物の種子をまくこと。
    九 動物を捕獲し、若しくは殺傷し、又は動物の卵を採取し、若しくは損傷すること。
    十 道路及び広場以外の地域内において車馬若しくは動力船を使用し、又は航空機を着陸させること。
    十一 前各号に掲げるもののほか、特別保護地区における景観の維持に影響を及ぼすおそれがある行為で政令で定めるもの
  4. 環境大臣又は都道府県知事は、前項各号に掲げる行為でwikt:環境省で定める基準に適合しないものについては、同項の許可をしてはならない。
  5. 都道府県知事は、国定公園について第三項の許可をしようとする場合において、当該許可に係る行為が当該国定公園の景観に及ぼす影響その他の事情を考慮して環境省令で定める行為に該当するときは、環境大臣に協議し、その同意を得なければならない。
  6. 第三項の規定により同項各号に掲げる行為が規制されることとなつた時において既に当該行為に着手している者は、同項の規定にかかわらず、引き続き当該行為をすることができる。この場合において、その者は、その規制されることとなつた日から起算して三月以内に、国立公園にあつては環境大臣に、国定公園にあつては都道府県知事にその旨を届け出なければならない。
  7. 特別保護地区内において非常災害のために必要な応急措置として第三項各号に掲げる行為をした者は、その行為をした日から起算して十四日以内に、国立公園にあつては環境大臣に、国定公園にあつては都道府県知事にその旨を届け出なければならない。
  8. 次に掲げる行為については、第三項及び前二項の規定は、適用しない。
    一 公園事業の執行として行う行為
    二 認定生態系維持回復事業等として行う行為
    第四十三条第一項の規定により締結された風景地保護協定に基づいて同項第一号の風景地保護協定区域内で行う行為であつて、同項第二号又は第三号に掲げる事項に従つて行うもの
    四 通常の管理行為、軽易な行為その他の行為であつて、環境省令で定めるもの

   

解説[編集]

本条は、特別保護地区に関する規定である。特別保護地区は、特別地域内が指定の対象となる(第1項)。

第2項は、特別保護地区の指定及び指定の解除並びにその区域の変更については、第5条の準用により、官報等での公示により効力が発生することとなる趣旨の規定である。

第3項以下は、許可を受けなければしてはならない対象となる行為に関する規定である。特別保護地区以外の特別地域に比べて許可が必要となる行為が増えている。第32条により、この許可には条件をつけることができる。

第3項への違反には懲役又は罰金に処する罰則がある(第83条第3号)。

  • 自然環境保全地域と自然公園の区域(地域)分け対比
自然環境保全地域 特別地区(自然環境保全法第25条
一定の行為についての許可制
海域特別地区(自然環境保全法第27条
一定の行為についての許可制
普通地区(自然環境保全法第28条
一定の行為についての届出制
自然公園 特別地域(自然公園法第20条
特別保護地区、利用調整地区の指定も可
一定の行為についての許可制
海域公園地区(自然公園法第22条
利用調整地区の指定も可
一定の行為についての許可制
普通地域(自然公園法第33条
一定の行為についての届出制

自然環境保全地域、自然公園とも、右に記載のいずれかの地区・地域に含まれる。



参照条文[編集]

施行規則[編集]

本条に直接関係する環境省令を一括して掲載する。なお、容量の観点から、自然公園法第20条関係省令に全文を掲載し、ここでは抄録のみにとどめる。

(特別地域、特別保護地区及び海域公園地区内における行為の許可申請書)

第10条

法第二十条第三項 、第二十一条第三項又は第二十二条第三項の規定による許可を受けようとする者は、次の各号に掲げる事項を記載した申請書を、国立公園にあつては環境大臣に、国定公園にあつては都道府県知事に提出しなければならない。

(以下略)

(特別地域、特別保護地区及び海域公園地区内の行為の許可基準)

第11条

法第二十条第三項第一号 、第二十一条第三項第一号及び第二十二条第三項第一号に掲げる行為(仮設の建築物(土地に定着する工作物のうち、屋根及び柱又は壁を有するものをいい、建築設備(当該工作物に設ける電気、ガス、給水、排水、換気、暖房、冷房、消火、排煙若しくは汚物処理の設備又は煙突、昇降機若しくは避雷針をいう。第二十条第六号イ(4)において同じ。)を含む。以下同じ。)の新築、改築又は増築に限る。)に係る法第二十条第四項 、第二十一条第四項及び第二十二条第四項の環境省令で定める基準(以下この条において「許可基準」という。)は、次のとおりとする。ただし、既存の建築物の改築、既存の建築物の建替え若しくは災害により滅失した建築物の復旧のための新築(申請に係る建築物の規模が既存の建築物の規模を超えないもの又は既存の建築物が有していた機能を維持するためやむを得ず必要最小限の規模の拡大を行うものに限る。)又は学術研究その他公益上必要であり、かつ、申請に係る場所以外の場所においてはその目的を達成することができないと認められる建築物の新築、改築若しくは増築(以下「既存建築物の改築等」という。)であつて、第一号、第五号及び第六号に掲げる基準に適合するものについては、この限りでない。

(以下略)

(土地所有者等との協議)

第11条の2

法第二十条第三項第十六号 及び第二十一条第三項第一号 (法第二十条第三項第十六号 に係る部分に限る。)の区域の指定に当たつては、その区域内の土地について所有権、地上権又は賃借権(臨時設備その他一時使用のため設定されたことが明らかなものを除く。)を有する者(以下「土地所有者等」という。)の財産権を尊重し、土地所有者等と協議すること。



前条:
自然公園法第20条
(特別地域)
自然公園法
第2章 国立公園及び国定公園
第四節 保護及び利用
次条:
自然公園法第22条
(海域公園地区)


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