電気回路理論/変圧器

出典: フリー教科書『ウィキブックス(Wikibooks)』

交流回路では電圧を変化させる電気機器である変圧器(transformer, voltage converter)を用いることがある。変圧器はごくごく単純な原理でできており、この節では変圧器の回路理論的取扱いについて述べる。

変圧器のしくみ[編集]

変圧器の構造[編集]

変圧器は入力された電圧を定数倍した電圧に変換して出力する電気機器である。入力側を一次側、出力側を二次側と呼ぶ。

変圧器の構成

変圧器は右図のように2つのコイルと鉄心によって構成されている。2つのコイルを鉄心に巻きつけてあり、一次コイルの巻数を、二次コイルの巻数をとする。

電気回路理論ではいったん鉄心の存在を忘れて、2つのコイルが近接しておかれているものとして考える。より厳密には鉄心による影響も考えなければならないが、これは電気機器学のテキストにゆずることにする。

相互インダクタンス[編集]

種々の物理量を次のようにおく。

  • 一次コイルのインダクタンス、一次コイルの両端の電圧、一次コイルを流れる電流
  • 二次コイルのインダクタンス、二次コイルの両端の電圧、二次コイルを流れる電流

さて、一次コイルに電流が流れると、この電流はコイルの周囲に磁束を生じる。一次コイルを流れる電流がつくる磁束をとすれば、インダクタンスの定義より

である。しかし、2つのコイルが近接しておかれていれば、一次コイルに鎖交する磁束はこれだけではない。二次コイルを流れる電流が作る磁束の一部も一次コイルに鎖交するはずである。これをとすれば、一次コイルに鎖交する磁束

である。ここで、は二次コイルを流れる電流が発生する磁束なのだから、二次コイルを流れる電流に比例するはずである。そこでこの比例定数をとすれば、であるから、結局

となる。同様に、二次コイルを流れる電流が二次コイルの周辺に作る磁束と、一次コイルを流れる電流が二次コイルの周辺につくる磁束を考えれば、二次コイルに鎖交する磁束

が成り立つ。ここで、2つのコイルに可逆性があればである。すなわち、一次コイルに電流を流して二次コイルに生じる磁束と、同じ電流を二次コイルに流したときに一次コイルに生じる磁束は等しい。このときとすれば

となる。このM相互インダクタンスと呼ぶ。これに大してを、それぞれのコイルの自己インダクタンスと呼ぶ。

これによって、各コイルの両端に生じる電圧は、

となる。複素ベクトルを用いて

とすれば、

となる。

理想変圧器の動作[編集]

回路図が無いため、しばらく記号で代用します

    →I1   M   →I2 
┌───────┐ ┌───────┐
│+       ・│ │・        │
〜V1      L1 L2       R
│-        │ │       │
└───────┘ └───────┘

図のような変圧器を考えてみよう。回路図中の・記号はドット規約といい、相互誘導による誘導起電力の生じる向きを表すものである。

一次側コイルについて、KVLより

が成り立つ。また、二次側コイルにKVLを適用すれば、

となる。2式を連立してを求めると、

である。

物理的な意味はあとで説明するとして、ここでは天下り的に

という条件があるものとして計算を進める。これは、この変圧器が理想変圧器であることを表す式である。このとき、

となる。

変圧器が理想変圧器である条件の式は、

と書き直すことができる。この定数aを用いれば、二次側電流は

となり、したがって二次コイルに発生している電圧は

となる。理想変圧器は、一次側電圧をa倍した電圧を二次側コイルに発生する。

#aとは、一次コイルと二次コイルの巻数比である

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変圧器の等価回路[編集]

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