高等学校化学I/脂肪族化合物/アルデヒド
| 脂肪族化合物 | 官能基 | アルコール | エーテル | アルデヒド | ケトン | カルボン酸 | エステル | 油脂 | セッケン |
|---|
アルデヒド基(-CHO)を分子中に含む物質を一般にアルデヒドと呼ぶ。右には主なアルデヒドを示す。
| 示性式 | 名称 | 構造式 |
|---|---|---|
| HCHO | ホルムアルデヒド | |
| CH3CHO | アセトアルデヒド |
[編集] 一般的な性質
アルコールの部分で学んだように、第一級アルコールを酸化するとアルデヒドが得られる。
アルデヒド基には還元性があり、他の物質を還元して自らは酸化されやすい。アルデヒド基は酸化されるとカルボキシル基となる。
- (*) 酸素を受け取る酸化反応が起こる。
そのため、アルデヒドは銀鏡反応やフェーリング反応といった還元性の有無を調べる反応により検出することができる。
[編集] 銀鏡反応
銀鏡反応は、アルデヒドのような還元性のある物質を検出することのできる反応である。還元性のある物質を用いた場合に、試験管に銀が付着して鏡のようになることから、「銀鏡」という名前が付いている。
硝酸銀水溶液(AgNO3)に薄いアンモニア水を少量ずつ加えると、はじめは酸化銀(Ⅰ)の褐色沈殿を生じるが、過剰に加えるとやがて沈殿は溶け、ジアンミン銀(Ⅰ)イオンを生じて無色の水溶液となる。この反応は銀のページで学んだ。こうして調製したアンモニア水を加えた硝酸銀水溶液をしばしば「アンモニア性硝酸銀水溶液」と呼ぶ。
- 2Ag+ + 2OH- → Ag2O↓ + H2O
- Ag2O + 4NH3 + H2O → 2[Ag(NH3)2]+ + 2OH-
このアンモニア性硝酸銀水溶液にアセトアルデヒドなどの還元性のある物質を加え、湯浴で加熱すると、ジアンミン銀(Ⅰ)イオンが還元されて銀が析出し、試験管の壁に付着する。アルデヒド自身は酸化されてカルボン酸となる。
- CH3CHO + 2[Ag(NH3)2]+ + 3OH- → CH3COOH + 4NH3 + H2O + 2Ag↓
[編集] フェーリング反応
アルデヒドのような還元性のある物質の検出には、銀鏡反応のほかにフェーリング反応も用いられる。フェーリング反応では、フェーリング液と呼ばれる液体にアルデヒドを加えて加熱すると色が変化し、沈殿が生成することから還元性の有無を確認することができる。
フェーリング液は、硫酸銅(Ⅱ)、酒石酸ナトリウムカリウム(ロッシェル塩)、水酸化ナトリウムの混合水溶液である。硫酸銅(Ⅱ)水溶液をA液、酒石酸ナトリウムカリウムと水酸化ナトリウムの混合水溶液をB液として、A液とB液とを使用直前に混合して調整する。これは、フェーリング液が不安定で、長期間保存することができないためである。A液は硫酸銅(Ⅱ)水溶液なので青色をしているが、これにB液を加え混合したフェーリング液は、銅(Ⅱ)の錯イオンを生じて深青色の水溶液となる。
フェーリング液にアセトアルデヒドなどの還元性のある物質を加えて加熱すると、銅(Ⅱ)イオンが還元されて銅(Ⅰ)イオンとなり、水溶液中の水酸化物イオンと反応して酸化銅(Ⅰ)の赤色沈殿を生じる。アルデヒド自身は酸化されてカルボン酸となる。
- CH3CHO + 2Cu+ + 4OH- → CH3COOH + 2H2O + Cu2O↓
[編集] ホルムアルデヒド
ホルムアルデヒド(HCHO)はもっとも単純な構造のアルデヒドである。無色刺激臭の気体であり、水溶液は「ホルマリン」と呼ばれる防腐剤として生物標本の保存に用いられる。
ホルムアルデヒドはメタノールを酸化することで得られる。銅線を熱して酸化銅(Ⅱ)とし、これを試験管に入れたメタノールに近づけると、メタノールが酸化されてホルムアルデヒドを生じる。
- CH3OH + CuO → HCHO + H2O + Cu
[編集] アセトアルデヒド
アセトアルデヒド(CH3CHO)は分子中に炭素が2つあるアルデヒドであり、酢酸などの有機化合物の原料として重要である。
アセトアルデヒドはエタノールを酸化することで得られる。エタノールに酸化剤として硫酸酸性二クロム酸カリウム水溶液を加え加熱すると、アセトアルデヒドが生じる。
- 3C2H5OH + Cr2O72- + 8H+ → 3CH3CHO + 2Cr3+ + 7H2O
また、アセトアルデヒドはアセチレンに水を付加することでも得られる。アセチレンに水を付加すると、三重結合の一つが切れてビニルアルコール(CH2=CHOH)を生じるが、ビニルアルコールは非常に不安定なため、すぐにアセトアルデヒドとなる。