高等学校化学I/非金属元素の単体と化合物/ハロゲン
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| 非金属元素 | 元素と周期表 | 水素・希ガス | ハロゲン | 16族元素 | 15族元素 | 14族元素 |
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ハロゲンは、17族に属する元素の総称であり、フッ素(F)、塩素(Cl)、臭素(Br)、ヨウ素(I)、アスタチン(At)の5つがある。
ハロゲンは最外殻に価電子を7つ持ち、容易に1価の陰イオンになる。そのため酸化力があり、その強さは原子番号が小さいほど大きくなる。たとえば、ヨウ化カリウム水溶液に塩素を加えると、ヨウ素は酸化されて単体となる。
- 2KI + Cl2 → 2KCl + I2
逆に、塩化カリウム水溶液にヨウ素を加えても、反応は起こらない。
[編集] ハロゲン単体の性質
ハロゲンは反応性が高く、いずれの単体も有毒である。原子番号の大きいものほど沸点・融点が高く、反応性は小さくなる。また、いずれも陰イオンとなりやすいため酸化力が強く、原子番号が小さいほど酸化力は大きい。単体はいずれも二原子分子であり、原子2つで1つの分子を形成している。
[編集] 塩素
塩素(Cl2)は常温常圧で黄緑色の気体である。酸化マンガン(IV)に濃塩酸を加え、加熱することで塩素の単体が得られる。
- MnO2 + 4HCl → MnCl2 + 2H2O + Cl2↑
なお、この反応では塩素と同時に水も生成する。さらに、濃塩酸には次節に見るように揮発性がある。したがって、この反応により得られる気体は純粋な塩素ではなく、水や塩化水素を少量含んでいる。それらを取り除くため、この気体を水と濃硫酸に順番に通す。まず水に通すことで、揮発した塩化水素が吸収される。次いで濃硫酸に通すことで、濃硫酸の吸湿作用により気体中の水が吸収され、純粋な塩素を得ることができる。なお、この水・濃硫酸に通す順番を逆にしてはならない。先に濃硫酸に通した後水に通しても、得られる気体の中には最後に通した水から蒸発した水蒸気が含まれているためである。
さらし粉(主成分:CaCl(ClO)・H2O)または高度さらし粉(主成分:Ca(ClO)2・2H2O)に塩酸を加えることによっても塩素の単体を得ることができる。
- CaCl(ClO)・H2O + 2HCl → CaCl2 + 2H2O + Cl2↑
- Ca(ClO)2・2H2O + 4HCl → CaCl2 + 4H2O + 2Cl2↑
工業的には水酸化ナトリウム水溶液の電気分解を用いた、イオン交換膜法により製造される。
塩素は水に少し溶け、塩化水素(HCl)と次亜塩素酸(HClO)を生じる。
- Cl2 + H2O → HCl + HClO
次亜塩素酸は酸化力が強く、殺菌作用があるため、水道やプールの水の殺菌などに広く用いられている。またこの酸化力により色素を酸化するため、漂白剤としても用いられる。
- HClO + 2H+ + 2e- → HCl + H2O
塩素はさまざまな金属と反応して塩化物となる。たとえば、単体の塩素の中に加熱した銅線を入れると、煙状の塩化銅(II)を生成する。
- Cu + Cl2 → CuCl2
[編集] ヨウ素
ヨウ素(I2)は常温常圧で黒紫色の固体である。昇華性があり、加熱すると固体から液体にならず直接気体となる。これを利用して、固体のヨウ素の純度を上げることができる。1リットルビーカーに不純物を含むヨウ素の固体を入れ、ガスバーナーで加熱する。ビーカーの上部には冷水を入れた丸底フラスコを置いておく。加熱によりヨウ素のみが気体となり、上昇してフラスコの底部付近で冷やされて固体に戻る。そのため、フラスコ底部に純度の高いヨウ素の針状結晶が析出する。
ヨウ素は水に溶けにくいが、エーテルなどの有機溶媒にはよく溶ける。また、ヨウ化カリウム水溶液にもよく溶けて褐色の溶液となる。
デンプン水溶液にヨウ素を溶かしたヨウ化カリウム水溶液を加えると、青紫色を呈する。このようにデンプンにヨウ素を作用させて青紫色となる反応をヨウ素デンプン反応と呼ぶ。これにより、ヨウ素やデンプンの検出ができる。
ヨウ素デンプン反応を用いた試薬に、ヨウ化カリウムデンプン紙がある。これは、ろ紙にデンプンとヨウ化カリウムを含ませたものであり、酸化力の強い物質の検出に用いられる。酸化力の強い物質がある場合、ヨウ化カリウムは酸化されてヨウ素の単体となる。
- 2I- → I2 + e-
このヨウ素がデンプンに作用して紫色から青紫色に変化する。
[編集] ハロゲンの化合物
[編集] ハロゲン化水素
ハロゲンは水素と化合してハロゲン化水素となる。いずれも無色刺激臭の気体である。
| 名称 | フッ化水素 | 塩化水素 | 臭化水素 | ヨウ化水素 |
|---|---|---|---|---|
| 組成式 | HF | HCl | HBr | HI |
| 水溶液 | フッ化水素酸 | 塩酸 | 臭化水素酸 | ヨウ化水素酸 |
| 水溶液の液性 | 弱酸 | 強酸 | 強酸 | 強酸 |
- フッ化水素(HF)
フッ化水素は水によく溶け、弱酸のフッ化水素酸となる。フッ化水素酸はガラス(SiO2)を腐食するため、ポリエチレン容器に保存する。
- SiO2 + 6HF → H2SiF6 + 2H2O
- 塩化水素(HCl)
塩化水素は、塩化ナトリウムに濃硫酸を加え加熱することで得られる。
- NaCl + H2SO4 → NaHSO4 + HCl↑
塩化水素は水によく溶け、その水溶液は塩酸である。濃度の濃いものは濃塩酸、薄いものは希塩酸と呼ばれる。塩酸は強酸性を示し、多くの金属と反応して水素を発生する。
- 2HCl + Zn → ZnCl2 + H2↑
また、強酸性であることから、弱酸の塩と反応して塩を生じ、弱酸を遊離させる。
- HCl + NaHCO3 → NaCl + H2O + CO2
塩酸には揮発性があり、常温で一部が気体となる。そのため、アンモニアと触れさせると塩化アンモニウムの白煙を生じる。この反応は、塩化水素やアンモニアの検出に用いられる。
- HCl + NH3 → NH4Cl
[編集] ハロゲン化銀・ハロゲン化鉛
ハロゲンの化合物は一般に水によく溶ける。しかし、Cl-、Br-、I-はAg+やPb2+を含む水溶液中で化合物となって沈澱する。この反応を利用して、これらの陽イオンの検出をすることができる。
| 名称 | 塩化銀 | 臭化銀 | ヨウ化銀 | 塩化鉛(II) | 臭化鉛(II) | ヨウ化鉛(II) | |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 組成式 | AgCl | AgBr | AgI | PbCl2 | PbBr2 | PbI2 | |
| 色 | 白色 | 淡黄色 | 黄色 | 白色 | 白色 | 黄色 | |
| 水への溶けやすさ | 溶けにくい | 溶けにくい | 溶けにくい | 溶けにくい | 溶けにくい | 溶けにくい | |
| 熱水への溶けやすさ | 溶けにくい | 溶けにくい | 溶けにくい | 溶ける | 溶ける | 溶ける |
塩化銀、臭化銀、ヨウ化銀には感光性があり、生じた沈澱に光を当てると銀が遊離する。また、これらはいずれもチオ硫酸ナトリウム水溶液によく溶ける。アンモニア水への溶けやすさは異なり、塩化銀はよく溶け、臭化銀も一部溶けるが、ヨウ化銀は溶けない。
[編集] 塩素のオキソ酸
塩素のオキソ酸には、酸化数の異なる次の4つがある。
| 名称 | 次亜塩素酸 | 亜塩素酸 | 塩素酸 | 過塩素酸 |
|---|---|---|---|---|
| 化学式 | HClO | HClO2 | HClO3 | HClO4 |
| 性質 | 殺菌・漂白作用 | 殺菌・漂白作用 | 強力な酸化剤 | 塩は爆発性 |
- さらし粉
さらし粉(化学式: CaCl(ClO)・H2O または Ca(ClO)2)は、次亜塩素酸イオンを含むため、その酸化作用により漂白剤や殺菌剤として広く用いられている。水酸化カルシウムと塩素を反応させることで得られる。
- Ca(OH)2 + Cl2 → CaCl(ClO)・H2O
- 塩素酸
塩素酸HClO3は不安定な物質だが、カリウムやナトリウムの塩は安定で、強い酸化剤である。塩素酸カリウムKClO3は酸化マンガン(IV)を触媒として用いて加熱すると酸素を発生するため、花火やマッチの火薬中に燃焼を助けるため含まれる。
- 2KClO3 → 2KCl + 3O2↑
[編集] ハロゲン化物と日用品
ハロゲンの化合物は日用品の中に広く用いられている。たとえば、フッ素化合物の一つ、ポリテトラフルオロエチレン(テフロン)はフライパンの表面に薄く塗られ、焦げ付きを防ぐ役割を果たしている。また、臭化銀はその感光性を利用して、写真のフィルムに用いられている。塩素は多くのビニル・プラスチック製品に含まれている。また、ヨウ素は消毒剤やうがい薬に用いられている。
