高等学校理科 物理II 原子と原子核

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本項は高等学校理科 物理IIの原子と原子核の解説である。


目次

[編集] 原子と原子核

[編集] 粒子性と波動性

小さいスケールの世界では、粒子は粒子の性質と波動の性質をあわせ持ち、波動は波動と粒子の両方の性質を持つようになる。

[編集] 光電効果

波動が粒子としての性質を示す代表的な現象として、光電効果について考えてみよう。

光電効果とは、物質中(主に金属)の電子が光のエネルギーを受け取って外部に飛び出す現象のことである。 この飛び出した電子を光電子という。 光電効果には,次のような特徴的な性質がある。

  • 光電効果は、光の振動数がある振動数(限界振動数)以上でないと起こらない。
  • 光電子の運動エネルギーの最大値は、当てた光の振動数のみに依存し、強さには依存しない。
  • 単位時間あたりに飛び出す光電子数は、光の強さに比例する。

これらの性質のうち、1番めと2番めの性質は、古典物理学では説明できない。 つまり、光を波動だと捉えていては、つじつまが合わないのである。

この矛盾を解決するために、次のような光量子仮説がアインシュタインによって提唱された。

  • 光は、光量子(光子)の流れである。
  • 光子1個のエネルギーEは、光の振動数に比例する。

この2つめの条件を定式化すると、E = hνとなる。

この式における比例定数hはプランク定数とよばれる定数で、  h = 6.626 \times 10 ^{-34} [J·s]という値をとる。


仕事関数とは、光電効果を起こすのに必要なエネルギーのことである。 これをWとすると、光子の得る運動エネルギーの最大値K0について、次式が得られる。

K0 = hν − W

この式より、光電効果が起こる条件はhν=Wとなる。 これより、光電効果が起こる限界振動数ν0の光を照射したとき、hν0=Wが成り立つ。

この光量子仮説により、光電効果の性質を矛盾なく説明できるようになった。 このように、波動は粒子のように振舞う。


[編集] 物質波

先程とは逆に、ヤングの実験に代表されるように、粒子も波動のように振舞う。 質量m、速さvの粒子は波動性をもち、その波長は次式で与えられる。

\lambda = \frac h {mv}

これはド・ブロイによる仮説であったが、現在では正しいと認められている。 この波は、物質波(ド・ブロイ波)と呼ばれる。 すなわち、光子や電子に限らず、あらゆる物質は粒子性と波動性をあわせ持つといえる。 これを粒子と波動の二重性と呼ぶことがある。


[編集] 原子核と素粒子

[編集] 原子核

原子は全体としては電気的に中性で、負の電荷を有する電子をもつ。 ここで、ミリカンの実験結果などから、電子の質量は水素イオンの質量の約1/1840程度しかないことが分かっている。 すなわち、原子は電子と陽イオンとが含まれるが、質量の大部分は陽イオンがもつことが分かる。

原子は、中心に原子核があり、そのまわりを電子が運動するというラザフォードモデルとよばれるモデルによって説明される。 原子核の大きさは原子全体の1/10000程度であるため、原子の大部分は真空である。 原子核は、正の電荷をもつZ個の陽子と、電気的に中性な(A−Z)個の中性子からなる。 陽子と中性子の個数の合計を質量数という。 陽子と中性子の質量はほぼ等しいため、原子核の質量は、質量数Aにほぼ比例する。


[編集] 量子論と原子の構造

原子の構造を説明するのには量子論が用いられる。 量子論では、エネルギーは連続にならず、とびとびの状態だけが許される。 これは古典論とは異なっている。 例えば、太陽の回りを回転する惑星は太陽からの距離を自由に選ぶことが出来る。 (どの距離でも安定な軌道となりうる。) 量子論ではこれは正しくなく、ある軌道だけが許されるようになる。

このようにとびとびの軌道だけが許されることは、ボーアの仮説によって説明される。 具体的には、軌道の長さが電子波の波長の整数倍にならなければならない。 すなわち、軌道上の電子波が定常波になることが必要である。 軌道半径をr、電子質量をm、速さをvとしてこれを定式化すると、次のようになる。

 2 \pi r = n \frac h {mv}

ここで、hはプランク定数で、整数倍を表すnを量子数という。


[編集] 放射能と放射線

元素の中には、放射線を出す性質をもつものがあり、この性質を放射能という。 また、放射能をもつ物質は放射性物質といわれる。 放射線には3種類存在し、それぞれα線、β線、γ線という。

α崩壊は、親原子核からヘリウム原子核が放射される現象である。 このヘリウム原子核はα粒子とよばれる。 α崩壊後、親原子核の質量数は4小さくなり、原子番号は2小さくなる。

β崩壊は、親原子核の中性子が陽子と電子に変化することで、電子が放射される現象である。 このとき、反ニュートリノとよばれる微小な粒子も同時に放出される。 なお、この電子はβ粒子とよばれる。 β崩壊後、親原子核の質量数は変化しないが、原子番号は1増加する。

γ線は、α崩壊またはβ崩壊直後の高エネルギーの原子核が、低エネルギーの安定な状態に遷移するときに放射される。 γ線の正体は光子で、X線より波長の短い電磁波である。

α崩壊やβ崩壊によってもとの原子核の数は徐々に減っていくが、これらの崩壊は原子核の種類ごとに決まった一定の確率で起きるので、崩壊によってもとの原子核の数が減る速度は原子核の個数に比例して変化する。しかし、崩壊によってもとの原子核の数が半減するのにかかる時間は、原子核の種類だけによってきまる。そこで、この時間のことをその原子核の半減期と呼ぶ。崩壊によって原子核の個数がどれだけになるかは、この半減期を用いて記述することができる。原子核の半減期をT、時刻tでの原子核の個数をN(t)とすると、

N(t)=N(0)(\frac{1}{2})^{\frac{t}{T}}

が成り立つ。

[編集] 発展・公式の導出

原子核の崩壊速度は、原子核の個数に比例すると述べた。実は、上に述べた公式はこの情報だけから純粋に数学的に導き出すことができるものである。高等学校では扱わない数学を用いるが、興味のある読者のためにその概要を記しておく。

原子核の個数と崩壊速度の間の比例定数は原子核の種類によって決まる。この定数をその原子核の崩壊定数という。崩壊定数がλの原子核の時刻tでの個数をN(t)とすると、その変化速度、すなわちN(t)の微分は、

\frac{d}{dt} N(t) = -\lambda N(t)

で表される。このような、ある関数とその微分との関係を表した式を微分方程式といい、微分方程式を満たすような関数を求めることを、微分方程式を解くという。詳しい解法は解析学基礎/常微分方程式に譲るが、この微分方程式を解くと

N(t) = N(0)e − λt

が得られる。(この式が確かに先ほどの微分方程式を満たしていることを確かめてみよ)

半減期Tとは、N(t)=\frac{1}{2}N(0)となるtのことなので、先ほどの式から

T=\frac{\log 2}{\lambda}

が得られる。したがって、

N(t)=N(0) e^{-\lambda t}=N(0) 2^{\frac{-\lambda t}{\log 2}}=N(0) (\frac{1}{2})^{\frac{t}{T}}

が得られる。

[編集] 素粒子と宇宙

前節で見たようにある粒子はそれよりも小さい粒子によって構成されていることが多い。 このため、もっとも小さい粒子がどのようなものかを調べることが現在も行われている。 現在の知識では、中性子と陽子はさらにクォークと呼ばれる粒子によって構成され得ることが知られている。 電子の内部構造は今のところ知られていない。

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