高等学校英語オーラルコミュニケーション

出典: フリー教科書『ウィキブックス(Wikibooks)』

小学校・中学校・高等学校の学習高等学校の学習>高等学校英語オーラルコミュニケーション

英語>高等学校英語オーラルコミュニケーション


本項は高等学校英語オーラルコミュニケーション の解説である。

始めに[編集]

オーラルコミュニケーションでは特に英語での会話を扱う。 通常言語を学ぶ際に、会話でそれを用いることこそが最も重要な 目的であると考えられがちである。しかし、より深く考えてみると必ずしも それが常に正しいといえるわけではないことが分かる。


ある情况では自分がやりたいと考えていることや仕事でやらなくてはいけないと 考えられることに関する情報が英語でしか与えらえられていないことがある。 このような場面にあたって英語を学ぶときには、英語はあくまで自分の本来の 目的を果たすための方法であり、そのことを学ぶ事自体が目的であるわけではない。 そのため、例えば、対応する情報が常に文書の形で与えられていることが 既に知られているなら、英語の話し方というよりも読み方に集中して学べばよい。


また、仮に対応する情報伝達が主に会話を通じてなされるとしても それだけで英語の会話を詳しく学ぶことが必要という結論に到ることは できない。なぜなら、あらかじめ十分な準備をしなくても、ある場面に おいては、片言の英語や単語の羅列だけでも十分必要なことをなすことが出来、 文法的に正しい会話や正しい発音を用いる必要が無いことがある。 そのため、特に英語の会話により重点を置く内容があることは一見不思議に思える。


このことはしかし、正しい発音と正しい文法に裏打ちされた正確な英語が 必要でないということを意味してはいない。 例えば、国際会議などの公の場で用いられる英語に、正確でない英語を用いることは 情况によっては面倒な自体を引き起こしかねない。この様な情况では 1語1語が日常会話とは異なる重要な意味を持つため、どんな言い間違いや 言葉の間違いも重大な不利益を引き起こす可能性があるからである。 このようなことから、より重要な地位を得たいと思うものはより正確な英語を 修得しておいた方が英語を用いるいろいろな場面で有利に働くと考えられる。


更に重要なことには、上のように英語を読むことが必要であるから 読むことを特に重点的に練習するという方法が効率的な方法であるかどうかが 必ずしも明らかでは無いことによる。 そうではなく、英語に関する能力を全体的に伸ばす方がより効果的な勉強法である という意見もある。ここでいう英語に関する全体的な能力とは 読む、書く、聞く、話すの4つの能力であり、これらは互いに関係しあって いるので、1つだけを伸ばそうとするよりもより効果的であるという 考え方である。 しかし、これは経験的な結果であり、このことが仮に正しいとしても どんな人に対してもこのことが当てはまるわけではない。


いずれにしても正確な英語を身に着けることはそれ自体興味深いことでもあるので、 ここで扱うのである。

基本事項[編集]

発音[編集]

既に英語の音が日本語の音よりもかなり多いことを中学校英語で 学んだ。母音を表わすアルファベットは日本語と同じく

a, i, u, e, o

の5つであるが、それぞれに対応する音が複数ある。そのうえ、 日本語でいうそれぞれの音に対応する文字が常に英語でも同じ文字で表わされる 訳でもない。例えば、

enough

の強勢音節の母音はouで与えられるが、この語は /ɪˈnʌf/ とよみ 対応する日本語の文字は /ʌ/ である。同じ様に

birth

という単語では ir は /ɜː(r)/ と発音され、とは読まれない。 このように英語の音は文字と異なった発音をすることがあり、 特にいくつかの文字がつらなった時にその傾向がある。


ここではおもな母音と対応する発音をまとめる。

a: /æ/ apple packageなど
   /ə/ 強勢が無い場合通常この音になる。
   /eɪ/ case tableなど
i: /ɪ/ pick, kickなど
u: /uː/ June nuclearなど
   /ʌ/ supper summerなど
e: /e/ neck deskなど,
   また、語の最後のeはしばしば読まれない。更に母音+子音+eで
   終わる単語は母音を長母音で読む。
   safe knife cute codeなど
o: /ʌ/ college tongueなど
   /əʊ/ code, homeなど
ai: /eɪ/ paint mountainなど 
ay: /eɪ/ play clayなど
au: /ɔː/ August fraudなど
aw: /ɔː/ law drawなど
ei: /eɪ/ weightなど
ey: eɪ/ they mayなど
ee: /iː/ knee teethなど
ea: /iː/ cease teaなど
ie: /iː/ piece fieldなど
ou: /aʊ/ loud cloudなど, 
    /ʌ/ enough country accountなど
oa: /əʊ/ load, soapなど 
ow: /aʊ/ how, nowなど 
au: /ɔː/ pause sauceなど
al: /ɔː/ call tallなど
oo: /ʊ/ hook goodなど
    /uː/ shoot chooseなど 
ir, ur, er: どれも /ɜː(r)/ third hour winter これらの発音は等しい。
ar: /ɑː(r)/ hard yardなど
or: /ɔː(r)/ lord swordなど


更に、英語の単語にはそれぞれアクセントと呼ばれる強く読まれる位置が 定められている。アクセントの位置の母音とその前の子音は通常の 音よりもすこし長く読むようにするとよい。 一方、アクセントが無い位置の母音は通常弱く読まれ、多くの場合に əと同じ様な発音になる。これは、aに対応する文字だけでなく、 i, u, e, o に関しても同じである。また、əと同じような発音になった 母音は情况によって全く発音されないことがある。そのため、このようなときには アクセントがある母音だけが発音され、それ以外はただ子音だけが発音される ようになる。このような音だけでも英語を母国語とする人間はこれらの単語を 聞き取ることが出来るようである。例えば、

efficient

という単語ではアクセントはiの上につく。このときそれ以外の母音である e, ieはどちらもəのような発音になり、情况によっては発音されないこともある。 それぞれの場合について上の語の発音は

əˈfɪʃənt

または

ˈfɪʃnt

のようになる。一方仮にアクセントの位置が最初のeの上にあるとかんちがいしたと する。このときには上の単語は

*efəʃənt

または

*efʃnt

のように発音され全く違う語のように聞こえてしまう。この様にアクセントの位置は 英語の発音の中で非常に重要な位置をしめるため、それぞれの単語に対する アクセントの位置を記憶しておく必要がある。


更に、子音に対しても子音のつながり方次第で発音が変わることが知られている。 例えば、appleという単語があるが、この単語のplの発音はlの位置に舌をつけて pという様な音に対応する。日本語の音と音を続けて読んだような音は 通常pulのような語に対応してしまうので注意が必要である。この様な発音を 行なう必要がある子音の並びはいくつかあるのでここでまとめておく。 まず、

bl pl kl sl

ではlの位置に舌をつけたまま対応する子音の発音をする。一方、

br pr kr 

ではrの位置に舌をつけたまま対応する子音の発音をする。


また、上のような発音とは異なっているが、thという子音の並びが出て来たときには この語は /θ, ð/ という特別な発音になる。 このように子音の並びで特別な発音が生じる語をまとめる。

th: /θ, ð/
sh: /ʃ/
ch: /ʧ/

などがある。

強勢[編集]

通常英語の文章では重要な単語や新しく出て来た情報は強く読まれそれ以外の 単語は弱く読まれる。例えば、

Did you eat this apple?

などの文章では食べたということを強調したいときにはeatを 強く読み、リンゴをという点を強調したいときにはappleを強く読む。 一方それ以外の単語は弱く読まれるのであるが、実際にはこの時単に弱く読まれる だけでなく速く読まれる。また、読まれる速度が速くなるにしたがって 特に冠詞や代名詞などの重要な情報を担っていないと思われる語については、 その母音はアクセントが入っている文字ですらəに近い音になることがある。 ただし、名詞などの比較的重要度の高い語ではアクセントの音だけは保たれる 事が多い。そのため、例えば上の文でappleを強調するときには

dɪd j ˌiːt ðɪs ˈæpl?

というように eat と apple 以外の母音がほとんど落ちて聞こえる。このため 日本語的に全ての語に母音が入っているものとして聞こうと思うとけっして聞き取る 事が出来なくなるので注意が必要である。また、最後のpl音は通常の発音と 比べて変化することに注意。


また、英語の発音では日本語の感覚と比べると息継ぎと息継ぎの感覚がかなり 長くなっている。 例えば、

I think that this plan just must be the one that you have to choose,
since if you did that, you will have got a lot of good experience.
訳:私はこの案こそあなたが選ばなくてはならない案だと思う、なぜなら
もしあなたがそうしたならあなたはとてもよい経験をたくさんすることになるからだ。

という程度の文は通常1度も息継ぎをすること無く発声されるものと思われる。 もちろん話す速度によるので、sinceの前などで息継ぎが入ることも ありそうだが、たいていは息継ぎ無しで十分と思われる。 これは実際に上の文を読むときには母音を読む語が

think plan must choose did experience

程度であり、しかもそれらの語に対しても発音するのはアクセントが入った 文字だけである。それ以外の語は単に軽く口の形を適当な発音の音の形に 変化させる程度ですむのである。一方、日本語ではそれぞれの字に対して 母音を明確に定める必要があるためこの様な読み方をすることは難しい。

レストラン[編集]

ここからは実際の会話に近い文章をあげていく。この様な文章は 会話の基本になるものなので十分に身に着けておくとよい。 ここでは本文は単に文として書いたが、実際にはこれらの文章は 通常音声としてだけ与えられ、それらの本文は与えられないことも多い。 しかし、ここでは技術的な問題で音声を受け渡す方法が無いので、 さしあたり文章だけを書いている。



  • 本文
A: What is your order, sir?
B: Well, I wanna have a steak and potato salad. Mary, what would you
like?
C: I also want to have a steak, but I also want to have a cup of coffee.
A: Would you like your coffee after the lunch or before the lunch?
C: I want that after the lunch.
A: Okay, uh, do you need something else?
B: Oh, well, I want to have a glass of wine.
C: George, you can't. You have to go to your office this afternoon.
B: Well, I guess I could. Since such little amount of wine is not 
bad at all to do my work.
C: George, absolutely you can't. If you did, you should be just fired 
from your job.


  • 解説

ほとんどが中学校程度の文法だが中学校程度の英文でも、 日常会話程度にはほぼ十分であることがわかる。


場面としてはそれほど高級でないレストランに来た夫婦を想定している。 例えばここがより高級なレストランだったときには店員に対する注文では 単にwantではなく、would like toなどのより丁寧な表現を使った方が 無難である。一方、店員の側はB,Cに対して丁寧な口調で話している。 また、男の方も店員に対してはwantで話しているが自分の妻に対しては would like toで話している。


  • 文法

店員の会話の1つに

A: Okay, uh, do you need something else?

という文章があるが、疑問文であることからsomethingはanythingとなった方が よいように思える。ただし疑問文の中でanyの代わりにsomeを用いることは可能であり、 その場合には実際にそれが存在することをより強く前堤としている言い方となる。 ここでは、anythingとすると既に十分に買いものをしているという 表現になりsomeではもう少し買ってもよいのではとすすめるような表現になる。 ここでは、店員の発言と言うことで後者を選んでもよさそうである。

買いもの[編集]

  • 本文
A: Excuse me, but may I help you?
B: Yes, I need a chair for my husband. The old one is a bit shabby.
A: Ok, then you could have this. That is made of the finest wood from
an Asian country Malaysia. Where would you like to put this chair in your
house?
B: I'd like to put it in the living room.
A: If you put this in your room, the atmosphere of your house will be
much warmer since the chair is created by the best worker in that
country. 
B: You mean you know the best worker in such a distant country?
Is that really? I don't see why you could say such a thing.
That is a bit too good to occur around me.
A: Well, the company I belong to collects a large amount of 
catalog of each piece of our furniture. Then since I read that,
I naturally could say what I have told.


  • 解説

一応ここでは店員の言っていることは全て本当であると言う 前堤で話を進めている。

ここでは、彼らの会社がカタログを集めて、それぞれの家具の特徴をつかんでいる 事にしているが、実際の商売の場面ではw:posシステムなどコンピューターを からめる場合が多い。日本でも、スーパーなどの生鮮食品を扱うコーナーでは それぞれの野菜や肉の生産者をリアルタイムで表示するシステムを 用いているところがある。これらはよりよいものを使いたいという消費者の 声に答えて導入されているが、情報技術の技術的な発展がそのことを助けたことは 興味深い。

上の例では特に店員の属する会社がそのような技術を用いているという記述は 無いのだが、マレーシアの情况をつかんでいることからおそらく何らかの 形で情報技術を用いているといえるだろう。


  • 文法
much warmer

形容詞の比較級が形容詞に-erをつけて作られることは既に中学校英語で 学んだ。ここで、形容詞の比較級に適切な副詞をつけることで、 比較の意味を強めたり、和らげたりすることが出来る。例えば、上の例では

warmer: よりあたたかい
much warmer: ずっとあたたかい

などとなり、muchは比較級を強める働きをする。ここで、通常の形容詞を 扱うときのように

>< very warmer

などとすることは出来ない。 他に比較級を修飾する副詞として

a bit: 少し
by far: はるかに

などがあげられる。


furniture

英語の名詞には数えられる名詞と数えられない名詞があることを中学校英語で 学んだ。このような名詞のことをそれぞれ可算(countable)名詞、 不可算(uncountable)名詞と呼ぶ。ここで、不可算名詞の例として 物質で出来た名詞があげられるがこの様な名詞を特に物質名詞と呼ぶことがある。 例えば、

metal, wood, silver ...

などがあげられる。また、ある数えられる名詞が集まって出来た名詞の中には それ自体が複数形の様な意味を持ち、複数形を持たなくなる名詞がある。 例えば、

people, furniture ...

などがあげられる。furnitureは日本語では家具と訳されるため、数えられる 名詞と考えられがちだが、実際に1つのfurnitureといいたい時には

a piece of furniture

などを用いるとよい。単語によってはその名詞をどのように解釈するかで、 複数形となったり単数形となったりする。例えば、

family, police

などはそれらを構成するメンバーについて考えるなら複数と考えられ、 全体を1つとして考えるなら単数となる。


インタビュー[編集]

  • 本文
A: Good morning, Mr Sato.
B: Good morning.
A: I wanna give you several questions about what you did.
   If you have something you couldn't tell us, please let me know.
B: I see. If I have, I could say so.
A: Well, uh, you're a soccer player belonging to a famous German football
club. Is that true?
B: Yes, it is. I went there in the year before last.
A: You have played a lot of games in that soccer league and have much
contribution to the success of the team you belong to.
B: Yes, I did. I played most games held this year and got three goals
that could be a winning goal.
A: Oh, that seems wonderful. Well, you also have a lot of fans in that
country and in your hometown, is that true?
B: Well, yes. In my hometown, I seem sort of famous and many soccer fans 
seem to visit my house. In Germany, since soccer is very popular sports
in that country, there could be many persons watching our playing games
and our training. 
A: To have a lot of fans is so nice that I sort of envy you.
Well, lastly, do you have something to say the persons who wanna play
in German league?
B: Well, uh, I want to say that it is very nice to play soccer 
in that country since the people there generally like soccer very much.
Since the people there also are very kind, it is not very hard to live
there. Since they generally don't speak Japanese, you could learn
German. Speaking English could also help you.
A: Ok, that is the best comment to end this interview. Thank you for your
cooperation.
B: Thank you.


  • 解説

ドイツに渡った日本のサッカー選手が有名になって何らかのニュースのインタビューを 受けているという設定である。


やや長い英文だが例えばw:TOEICリスニングの終盤の問題ではこの程度の 長さの英文を聞いてその内容から質問されるという形式の問題が 多い。この種の問題はかなり難易度が高く差がつきやすいところである。


  • 文法
sort of

上の文章中でsort ofという言葉が何か所か見られた。この言葉は本来文法的には 後に名詞がつくはずだが現在では副詞に転用されて単に後の語を和らげる 働きを持つようである。 他にkind ofなども使われる。 ただしこれらの文法はあくまでinformalなもので、formalな場では用いられない ようである。