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アイルランド語/入門

出典: フリー教科書『ウィキブックス(Wikibooks)』

アイルランド語学習を始めるにあたって

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アイルランド・ゲール語には2つの特色があるといえ、著しい言文不一致方言の乖離が挙げられます。
そもそもケルト語派のゲール諸語を話す人々がグレートブリテン諸島に移住して以降はアイルランド島でも広く話し言葉として普及し、12世紀以降にイングランド王国の実効支配のなかで政治の場からは除外されたものの、依然として文化やコミュニティにおける重要性は変わりませんでした。
しかしながら17世紀以降、都市のエリート層を中心に母語が英語へとってかわられ、19世紀以降には大飢饉時代における人口流出や公教育の場での排除によって庶民の間ではその影響力が大きく減退し、アイルランド語コミュニティは小規模に離散して「各方言」として大きな乖離を見せることとなります。
20世紀に入ってナショナリズムの隆盛とともに文芸復興運動がおこると、マンスタ、アルスタ、コナハトの方言を中心として標準語(愛:An Caighdeán Oifigiúil)が整備され、政治的も英国本国から独立したことで第一公用語に制定され、そして欧州連合の公用語としても認められることとなりましたが、一方で最初に挙げた特色は学習面において大きな障壁であり、同国の義務教育で必修とされながら修了後には英語が話し言葉の中心になっているという問題点もあります。
これらを踏まえてもなお、日本人がアイルランド語を学ぶ意義は十分にあるでしょう。言語は政治経済上でのメリットだけでその是非を問うのはナンセンスであり、文化的な多様性や継承は万人が担うことが可能で、それらの成果は人類社会にとってかけがえない財産となります。