中学校高等学校保健体育実技編/体つくり運動

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歴史[編集]

発祥[編集]

 1999年の高等学校学習指導要領の改定で、「体操」は「体つくり運動」に変更されました。

 紀元前から古代ギリシア・インド・中国などで、人々の健康を保ったり、丈夫な体を作ったりするために運動が行われてきました。特に、古代ギリシャと古代中国で身体鍛錬法・健康法・養生法が考えられ、このような方法から美しく丈夫な体を手に入れました。ドイツ体操・スウェーデン体操・デンマーク体操が19世紀に考えられ、現在の体つくり運動となっています。このような体操は、走ったり跳んだり、棒やロープに登ったり、木馬に飛び乗ったり飛び降りたりしていました(ギムナスティック)。ギムナスティックは、近代体育の父ヨハン・クリストフ・グーツ・ムーツが命名しました。ギムナスティックの語源は古代ギリシャのギムナスティーケです。

日本への普及と発展[編集]

 長生きするためにはどうすればいいのかを日本の貝原益軒[江戸時代の儒学者・医者]が、84歳の時に「養生訓」へまとめました。「養生訓」は8巻から成り立っています。「養生訓」でも運動の大切さが語られています。体操の名称は幕末から明治初年にかけて使われました。

 1868年からドイツ軍隊が体操を始めると、1878年にアメリカ人のジョージ・アダムス・リーランドが日本の学校体育現場にヨーロッパの体操を取り入れました。

 国民体育大会前身の明治神宮競技大会は、1924年から1943年まで行われ、集団体操も人気の種目でした。中でも、ラジオ体操は1928年から始まりました。その後、学校現場の体操は「体つくり運動」に変わりました。最近、健康意識の高まりもあって、子供から高齢者まで家庭や体操クラブで幅広く行われています。スポーツの運動能力・身体諸器官の働き・健康・美容を高めるために様々な種類の体操などを行っています。

世界体操祭[編集]

 1950年、オランダのフランソワ・ソマーが世界体操祭の開催を思いつきました。1953年、オランダのロッテルダムで初めて「世界体操祭」を行いました。通常4年ごとに「世界体操祭」が開かれます。世界中の体操愛好家が集まって、それぞれの体操を発表し合いながら世界の体操を広め、発展させています。第1回ロッテルダム大会では14の国と地域からおよそ5000人の体操愛好家が集まりました。約2万人の観客の前で体操が行われ、大成功をおさめました。その後、参加国や参加者は徐々に増えました。2019年、オーストリアで第16回ドルンビルン大会が開催されました。65か国からおよそ18500人の体操愛好家が第16回ドルンビルン大会で集まりました。

資料出所[編集]

※下記、2冊を読み比べて執筆しました。

  • 佐伯年詩雄ほか編著 年度版『中学体育実技』学研教育みらい
  • 高橋健夫ほか編著 年度版『ステップアップ高校スポーツ大修館書店