中学校保健体育/喫煙・飲酒・薬物乱用の要因と適切な対処

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小学校の保健で、相手からの誘いや好奇心から、煙草を吸ったりお酒を飲んだりしてしまうと習いました。中学生では、薬物乱用・飲酒・喫煙の要因と薬物乱用・飲酒・喫煙の防止対策について学びましょう。

キーワード[編集]

自分の心理状態や断りにくい人間関係・社会環境の影響

自分の心理状態や断りにくい人間関係[編集]

※体に悪いと分かっているのに、なぜ薬物を使ったり、お酒を飲んだり、煙草を吸い始めたりしてしまいますか?

問い:下の事例を読んで、次の点について考えてみましょう。

事例
中学生の結衣さんは友達を連れて楓さんの家に遊びに行きました。楓さんの家族はいないみたいです。みんなで遊んでいたら、楓のお姉さん(大学生)が家に帰ってきました。

そして、缶チューハイを持ってきてみんなに勧めました。実は、その缶チューハイは、結衣さんの好きなタレントが宣伝していたので、以前から気になっていました。最初、楓さんから「ほら、さんも飲もう。」と手渡されても、結衣さんは少し戸惑いました。結局、みんなも飲んでいるので、飲んでしまいました。

  1. どうして結衣は断れなかったのですか?
  2. 結衣はどのような時にどのような対応をしなければならなかったのですか?

興味があったり、嫌な気持ちがあったり、大きなストレスを少しでも減らしたい気持ちがあったりなど、自分の心理状態から喫煙・飲酒・薬物乱用を始めてしまいます。

★喫煙、飲酒、薬物乱用の要因

先輩や友達からの誘い
  • 吸ってみようよ。
  • 怖いの?
  • 仲間だよね。
  • 空気読んで。
心理状態
  • ちょっと試してみたくなりました。
  • 頭にくるから、何とかしたくなります。
  • 自分に何かあっても関係ありません。
  • 体に悪くても構いません。
嫌だと思っても断りにくい人間関係
  • 取り残されたくありません。
  • あなたを怖がっていると思われたくありません。

また、友達や先輩からの誘いに「断りたい」と思っていても、断りにくくなるのも理由の1つとなっています。

このように、薬物乱用・飲酒・喫煙を始めるかどうかは、本人の知識や考え方・対処能力・心理状態などに左右されます。

社会環境の影響[編集]

※社会的環境はどのような要因で成り立っていますか?

喫煙・飲酒・薬物乱用のきっかけは、社会環境の影響もあります。例えば、友達・先輩・後輩・家族などが煙草を吸ったり、お酒を飲んだりすると、同じ行動を取るようになります。また、喫煙・飲酒・薬物乱用を友達・先輩・後輩・家族などから誘われる場合もあります。また、喫煙場面や新聞・雑誌・インターネット・テレビなどで煙草や酒の広告なども影響します。さらに、薬物・酒類・喫煙の入手のしやすさも影響しています。薬物犯罪はどんどん複雑になり、進んでいます。例えば、インターネットの発達から密売が出来るようになりました。

★社会的環境(飲酒の例)

喫煙・飲酒・薬物乱用をしないための対処[編集]

※喫煙・飲酒・薬物乱用を防ぐためにはどうすればいいでしょうか?

★誘われる時の言葉と断り方の例

煙草 お酒 薬物
誘われ方
  • 1本ぐらい平気だよ。
  • みんな吸っているよ。
  • 落ち着くよ。
  • 少しぐらい平気だよ。
  • みんな飲んでいるよ。
  • おいしいよ。
  • 楽しくなるよ。
  • 元気が出るよ。
  • 徹夜しても平気。
  • リラックスできるよ。
  • 痩せられるよ。
  • 1回ぐらい平気だよ。
  • すぐやめられるよ。
断り方
  • とりあえず断りましょう。
  • 理由をつけて断りましょう。
  • 身振り手振りを使って断りましょう。
  • 黙ってその場から逃げましょう。
  • 自分の戸惑い・不安な気持ち・やめてほしい気持ちなどを正直に伝えましょう。

煙草・お酒・薬物は体に悪いので、煙草・お酒・薬物に手を出さないようにしましょう。そして、自分の健康や未来のために自分を大切にしなければなりません。私達は、自分の選択を慎重に考えなくてはなりません。私達は、何かを新しく試したくなるような小さな理由で健康を失わないように、自分の選択を慎重に考えなければなりません。もし、先輩・後輩・友人・家族などから喫煙・飲酒・薬物を勧められたら、きちんと断る意思と勇気も求められます。また、先輩・後輩・友人・家族などから勧められたらどのように答えるかも考えなくてはなりません。

成人識別ICカード「taspo」のロゴ

さらに、社会的環境に合わせて、喫煙・飲酒については、警告表示・宣伝や広告の規制・自動販売機の規制・年齢確認・罰則の強化などを進めています。同じように、諸外国では、自動販売機や広告の禁止・煙草や酒の値上げなども進められています。薬物は有害性と悪影響がもっと大きいので、もっと厳しい対策がとられています。例えば、密売密輸を防ぐために、法律を制定したり、取り締まりを厳しくしたりしています。

資料出所[編集]

  • 東京書籍『新しい保健体育』戸田芳雄ほか編著  2021年
  • 学研教育みらい『中学保健体育』森昭三ほか編著 2021年