中学校保健/身体の環境に対する適応能力・至適範囲

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適応[編集]

人の体温は、周りの環境の変化に合わせて、暑いときは汗をかいたり、寒いときは鳥肌がたったりします。

人の体は、まわりの温度が変化しても、体温が一定になるようにする仕組みがあります。このように、体の状態を一定に保つしくみを適応(てきおう)と言います。

また、このような体の状態を一定に保とうとする能力のことを適応能力(てきおうのうりょく)と言います。

適応には、気温の変化に対する体の調節だけでなく、ほかにも気圧の変化に対する調節などもあります。空気のうすい高所に行くと、呼吸が速くなったりするのも、そのような適応の例です。 また、呼吸が速くなる事を利用する高所(低酸素)トレーニングもあります。

適応能力の限界[編集]

暑すぎる場合[編集]

気温・室温などの温度が高い場所では、適応による体温調節によって、体温を上げ過ぎないように調節されるが、温度が高すぎると適応しきれなくなり、体温調節がうまく行かず、めまいや吐き気、筋肉痛、失神、けいれんなどの障害を起こすことがある。 このような症状を熱中症(ねっちゅうしょう)という。

湿度(しつど)の高い多湿(たしつ)な場所でも、発汗が阻害され、熱中症が起こりやすくなる。

熱中症は、死に至る場合もあるので、軽視せずに、しっかりと予防をする必要がある。熱中症が発生したら、しっかりと治療をする必要がある。

熱中症は、高温多湿な場所で起こりやすいが、必ずしもそれほど暑い場所だけで起こるとは限らず、運動が激しい場合や、水分補給や塩分補給が不十分な場合でも起こる。睡眠不足などでも、より起こりやすくなる。


熱中症の応急手当の方法は、中学の範囲外。もし緊急時などで熱中症の応急手当が必要なら、教職員などに連絡をしたうえで、知識が必要な学生は、 高等学校保健体育保健/応急手当 などを参照せよ。おおよその内容を話すと、患者を、すずしい場所に移動させて、そして患者に水分と塩分を塩水やスポーツドリンクなどを飲ませて補給(ほきゅう)することである。

寒すぎる場合[編集]

いっぽう、寒すぎて適応できない場合には、低体温症(ていたいおんしょう)などにかかり、最悪の場合、凍死(とうし)することもあります。また寒すぎると凍傷(とうしょう)にかかる場合もあります。

冬の雪山などで遭難すると、低体温症などになって死亡する可能性が高いので、注意が必要です。

また海での事故では、冬でなくとも、水によって、かなり体温を奪われるので、注意が必要です。

  • クーラーや扇風機の利きすぎに注意

夏場にクーラーや扇風機をつけたまま、寝た場合、もしクーラーが利きすぎて温度が下がりすぎても、寝ていますから気づかず、体温が低くなり体調が悪くなっていしまいます。かといって、暑くて寝苦しいときなどは、クーラーをつけないわけにもいきません。

だから、夏場でも、家で寝るときには、やや温度を高めにして、パジャマなどの服を着て、布団や毛布などをかぶったほうが良いでしょう。

 至適範囲[編集]

まわりの環境の、気温や光の強さや酸素濃度などの条件には、無理なく快適に行動できる範囲があります。このような、無理なく快適に行動できる環境条件の範囲を 至適範囲(してき はんい) といいます。

温熱条件[編集]

快適な温度(おんど)は、湿度(しつど)や気流によっても違います。同じ温度(おんど)でも、湿度(しつど)が高いと、より暑く感じます。また、同じ温度(おんど)でも、気流があると、より寒く感じます。

気温(きおん)・湿度(しつど)・気流(きりゅう)の3つのことを温熱条件(おんねつ じょうけん)と言います。

温熱条件の至適範囲は、活動の内容によっても変わってくる。激しいスポーツをしているときと、室内で学習するときとでは、至適範囲が違ってくる。

おおむね、温熱条件の至適範囲は、つぎの範囲である。

気温: 夏季 25℃~28℃ 、 冬季 18℃~20℃
湿度: 30% ~ 80%
気流: 0.5m/秒の以下

※人によって多少の誤差が生じる

明るさの適切な範囲[編集]

明るさにも、適切な明るさがあります。つまり、明るさにも至適範囲があります。

また、室内で明るさの差があると、目が疲れやすくなります。たとえば、昼間の教室なら、窓際に近いほうが明るく、奥に行くほど暗くなりますので、そのままでは目が疲れます。このような場合、教室内の明るさを均一にするため、照明やカーテンなどで調節する必要があります。


暗すぎたり、明るすぎたりする場所で目を使う事は、目を疲れさせるだけでなく、視力の低下の原因にもなります。適切な明るさに調節する必要があります。

照度計(しょうどけい)の例。
  • 明るさの基準(学校にて)

下記の「ルクス」と言うのは明るさの単位。明るさを数値化したものを照度(しょうど)と言う。照度が大きいほど、明るい。照度が小さいほど、暗い。

明るさの物理量には、照度のほかにも、光度(こうど)という量があるが、照度と光度は別の量なので、混同しないように。


明るさの基準
明るさ(ルクス) 場所
  1000   
  750   製図室(せいずしつ)、    
  500   コンピュータ室、被服(ひふく)教室、実験室、図書閲覧室(としょ えつらんしつ)、保健室
  300   教室、体育館
  200   便所、洗面所、ロッカー室
  150   階段
  100   ろうか、昇降口(しょうこうぐち)
・文部科学省の「学校環境衛生基準」に、これらの学校施設での明るさの基準が定められている。
・教室の300ルクスは下限(かげん)であり、なるべく教室および黒板は500ルクス以上あることが望ましい。
・その施設を使用中に、これらの表の明るさの値を下回らないように維持すべき照度の値が、表に示されている。
・視力の弱い人が使用している場合は、照度を高くする。

照度を測定するときは、照度計(しょうどけい)で測定できる。 「ルクス」の表記は lx とも書く。たとえば「500 lx」とは、500ルクスのことである。