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中学校技術/ディジタル作品の設計・制作

出典: フリー教科書『ウィキブックス(Wikibooks)』
注意

ここで紹介した制作手法は、あくまでも一例にすぎません。読者が中学生で、もし学校の先生が別の手法を要求した場合は、読者は学校の先生の指示に従ってください。


作品と言っても、いろいろとあるが、ここでは想定する作品として、中学校でも使いそうな、学校の宣伝ポスターや文化祭のクラスの出し物の宣伝ポスターをコンピュータグラフィックスで描く場合や、あるいは他科目での自由研究の成果発表プレゼンテーション用の報告ファイルなどを考えるとする。

(※ 範囲外:)なお、現代の商業でのポスターデザインの制作、パンフレットデザインの制作は、もうすでにコンピュ-タを用いています[1]
※ 決して、「ぼくの将来志望はイラスト系・美術系だから、コンピュータとか関係ないもん」とか思って中学の勉強とか、サボってはいけません。中学卒業までの教育内容はほぼすべて、日本国内なら、ほとんどの仕事で活用できるものです。中学の苦手科目は苦手でもいいので、とりあえず勉強しておくことが大事です。
そもそも高校のデザイン科とかある専門学科の高校でも、1年の授業で国語や数学などの必修(ひっしゅう)[2]科目を習います。(※ なお、教育行政的には必履修(ひつりしゅう)科目という)
(※ 範囲外:)なお、グラフィックデザインでも印刷業界[3]でもよく用いられる代表的なソフトは、Photoshop(フォトショップ) と illustrator (イラストレーター)です[4]。ロゴの編集はiluustratorで、写真やイラストの編集はPhotoshopで行うのが一般的ですす[5]
商業では、「DTP」(ディーティーピー)と言われるお仕事で、上記のようなパソコンと専用セフトを使って印刷物の画像やロゴなどを編集する仕事して、印刷所で印刷できるデータを出力して持っていくのがDTPの仕事です[6]
(※ 範囲外:) DTP用の専用ソフトは値段が高いので、中学校では似た機能のあるフリーソフトなどで対応することになるでしょうか。たとえば有料の illustrator ではなく 無料フリーソフトの inkscape(インクスケープ) など。有料で高額な Photoshopの代わりに、ネット上に無料または低価格販売のお絵かき系のフリーソフト、またはフリーソフトの GIMP(ギンプ) などで代用でしょうか。
なお映像系の業界のパソコンの場合(※ ポスターと動画は微妙に違う業界だが置いとく)、使用するオペレーテングシステムは、mac または windows が普通です[7]


大まかな流れ

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大まかな流れ[8]

企画 → 見本の作成 (→ 契約のためのプレゼン)→  デザインの決定 → デザインの制作 (→ 依頼人によるチェック) → 印刷


※ 学校内制作なのでプレゼンは省略できる。
※ 学校内の発注なので、依頼人のチェックは無い。

企画は文字だけではなく、最終的に見本にまとめられるようにすることが必要です。見本では細部は未定ですが、しかし第三者が視覚で見ればデザインが大まかに分かるようにします。


※ 「企画」とは、作品の実物を作るよりも前に、アイデア出しのために大まかな構想をまとめたものです。一般的に、現代のポスター制作・パンフレット制作などといった実務の仕事でも、(実物を作るよりも前に)先に企画を先に立てます[9]

企画が先です。本格的なデザインはその後です[10]

(※ 範囲外)なお、商業では、一人のデザイナーが、印刷・納品(のうひん)まで立ち合います[11]
(※ 範囲外)商業では、見本を作ってから、お金を出してくれる人(依頼主など)にプレゼンです[12]
もし、見本の絵が無いのに言葉だけを並べても、どんなに立派な言葉でも、企業は画像系・映像系のデザインの分野において、絵が無いアイデアを信用しないのです。グラフィックデザインに限らず、世の中の多くのデザイン職はそうであり、画像などのある見本が必要です。
このためもあって、企画の段階などでも、デザイナーが1~2分で書ける下書きでいいので、絵を使ってグループ内でのアイデアの確認をするのが必要です。
絵がうまくなくてもいいので、きちんと絵を下書きとして書いて、確認をしながら企画などの工程をいきましょう。

※ 範囲外のノウハウ

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企画のさいの下書きや、見本を作る際、

絵の配置や、文字の大きさがどれくらいか、といったことを重視します。

(※ 範囲外)缶コーヒー『BOSS』の企画スケッチが実際にそうです。完成品の絵にある顔は、企画段階のスケッチでは、顔が書かれていないですし、そもそも誰の顔を書くかも検討中であり「海の男」「農園主」「喫茶店マスター」など色々なアイデア出しをしていて未決定ですが、しかし缶に顔を書くことだけは決まっており、どれくらいの大きさで顔を書くかの説明をスケッチ中でしています[13]。BOSSスケッチでは、表情すら未定です。


絵だけで説明するのが難しいなら、必要に応じて説明の文章を付け足します(10文字~15文字程度まで)。この説明の文章は、完成品には無いものです。

※ ポスターデザインだけでなく、アニメ業界などの制作の指示書などでも、絵だけでなく必要に応じて文章を追加しています。
文章で絵のアイデアを説明する際、どの文が絵のどの部分を説明しているのかを分かりやすくするため、図面のように絵と文字をむすぶ矢印を追加するとよい場合もあります。

※ 缶コーヒー『BOSS』の企画スケッチが実際にそうです。絵の「BOSS」というロゴに、説明文として絵の外に「はっきりとした(※改行) ロゴタイプ」と線で結んで、どの説明文が絵のどの部分に対応しているか、誤解ないようにスケッチで明確に図示しています[14]

※ ただし、アニメなどでは、絵と文字を線で結ぶことは、しないのが普通です。
※ 缶コーヒー『BOSS』スケッチでも、文字・絵の配置がスケッチと完成品で変わってます。スケッチでは直線的に「COFFEE」と書かれてたのが、完成品では顔を描いた円の周囲に沿うように曲線上に「COFFEE」と書く、といった変更もあります[15]
ただし、変更の場合でも、文字の大きさはスケッチの通りですし、絵の円の大きさも、スケッチの通りです。このように、なるべく、問題のない限り、スケッチに従います。なるべく、後戻りをしないようにするのです。

※ マンガの下書きである「ネーム」、アニメの「絵コンテ」、などでも一般に、細部ではなく、絵の人物など被写体の大きさを先に決めます。マンガの下書き(ネーム)の場合なら、(ストーリーを先に考えるのはもちろん、)絵の細部ではなくコマの大きさ・吹き出しの大きさとか、そういったことをネームで検討するのが先です。関連づけて、頭の中に整理しましょう。(※ 本ページはマンガ・アニメの教科書ではないので、マンガ・アニメ業界の実務とは多少、違っているかもしれません)


(※ 範囲外)色を決める前に、その色で「何を表現したいのか?」といった意図・コンセプトを具体的に決めます。近コーヒー『BOSS』ならスケッチ中のコンセプトで「ノスタルジ-」(※ 抒情(じょじょう)感という意味 )、「昔からあるような信頼感」とスケッチに書いてあり、そのスケッチ中でその直前に「金銀で飾らない」「単純化された色彩」と具体的な色の方針があります。
「昔からあるような信頼感」→、「単純化された色彩」、「ノスタルジ-」→「金銀で飾らない」と、コンセプトと具体的な色の方針が対応しています。
具体的な色の方針だけでなく、さらにコンセプトを併記・対応させことで、あとの工程でまんがいちのトラブルなどの発生がおきて設計変更があっても、変更が最小限・短時間で済み、ラクになります。良い仕事術です。字面は暗記しなくても良いですが、お手本となる仕事術ですので、ぜひ覚えましょう。
(※ 範囲外) 色について、いきなり大きなデザインを描いて印刷をする前に、色の試作として、プリンタ出力で、小さい紙でいいので、1枚だけ印刷して、本当に意図通りの色が出てるのかを、確認しましょう。
なぜなら一般に、パソコンモニター上の色と、プリンタの出力する色は、微妙に違います。
裏を返すと、モニターとプリンタにこういう色味の違いがあるので、それに気づかず、モニター上だけを見て、細かく色を吟味して「う~ん」とか悩んでいても、あまり価値ないです。
実務でも、印刷所に外注しても、デザイナー・クリエイター側の要求のすべては印刷所が満たせない場合もよくあります[16]
中学校なら、ポスターなどのサイズにあったプリンタが手元にない場合など、あるいは学外の印刷機を使う場合など、モニター上の色と印刷出力の色とが違っている可能性を覚悟しましょう。その色の違いを想定して、大まかに色を決めましょう。
「校正刷り」(こうせいずり)、「ゲラ刷り」と言って、大量印刷する前に、まず1枚だけ印刷して、問題が無いかを確かめるのが普通です。

学校行事などの公的なパンフレットでは不要な考えですが、一般に商業系のデザインでは「主に誰に買ってもらいたいか?」などのターゲット層をしぼるのもコツです。少なくとも缶コーヒー業界、缶ジュース業界はそういうやり方で、パッケージの絵をデザインしています[17]。缶コーヒー『BOSS』ならタクシードライバーやトラックドライバーなど、一人で(屋外で)働く男を想定している[18]、との事です。なぜ、わざわざターゲットを絞るのかというと、商品を買わない人たちにウケる広告を作っても意味が無いのです。

※ 高校の検定教科書でもターゲットの設定は紹介されています(※ 日本文教出版の情報IIの検定教科書)。
他のデザイン入門書を読んでも同様、ターゲット層を絞るのが、デザインの基本テクニックとされています[19][20][21]
缶飲料の業界だけなく、多くの商品の業界で、中心的なターゲット層を絞っています。たとえば、日本のゲーム業界もそうです。


中学美術の教師用の指導書でも、デザインでは「使用者(ターゲット)」の設定が必要だと説明しています[22]。なお、ターゲットの設定のほか、「目的」の設定も必要だと教師用指導書では言っています。たとえば、遊具をデザインするなら、「幼児~小学生を対象に(ターゲット)、楽しく安全に遊んでもらう(目的)」のようにです。

一般向けのデザイン入門書では、「目的」と言う代わりに「ゴール」と呼んでいるかもしれません。高校の検定教科書(日本文教出版の情報IIでも、「ゴール」という言い方はしていませんが、「目標」という言葉で、ゴール設定と同じことを紹介しています。)


ともかく、予算に限りがあるので、ターゲットを絞る必要があるのです。

たとえば、極端な話、日本人以外にもブラジル人やインド人や中国人や(以下略)を対象にして、ポスター中の文字の説明をそれぞれの国の言語すべてで解説していたら、ポスターが文字だらけになってしまい、絵を載せられなくなってしまいます。


さて、企画やプレゼンなどのさい、コンセプトは、依頼人が理解できるように、きちんと言語化する必要があります。少なくとも、日本の『すみだ水族館』のデザイナーはそういう流儀で仕事をしています[23]。この水族館のデザイナーは「ワード化」と言っています、ワードとは「語句」という意味です。1語か2語といった短めの文字で、依頼人が理解できるように言語化しましょう。

中学高校の美術の授業だと、文字や言語を使わないので、てっきり言語を使わない仕事かと誤解するかもしれません。しかし、そんな無言のだまりこくった態度では、依頼人がお金を出してくれません。

「自分さえ分かればいい」という態度の人にも、仕事は来ません(なお、これは他の業界でもそうです。たとえばマンガ業界でもそうです)。

もし自分が外国人などで言葉が苦手なら、代わりに通訳を雇うのでも何でもいいですが、その場合でも、他人が理解できるように伝えようとするコミュニケーションの態度は必要になります。


あるいは、どうしても、「利用者に考えてもらいたいので、あえて分かりづらく作る」などの態度なら、その場合は、「観客がふつうに考えれば、多くの観客が分かるようにデザインしなければなならない」という事であり、決してラクなデザインではありません。

集団作業について

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班などのメンバーで共同制作をする時は、相手に礼儀を尽くしてください。あなたの班のメンバーは、けっして、あなたの部下ではありません。 共同制作では、あなたの企画が通らないこともあります。けっして自分の意見を押し付けるようなことはしないでください。

※ 企画が通らないとは、文字的な意見が通らないどころか、手を動かした描いた絵のデザイン案が通らない場合すら、あります。商業はそうです。複数のデザイナーによる複数のデザイン案から、たった一つのデザインだけが選ばれます[24]。裏を返すと、選ばれなかった、残りの無数の没(ボツ)のデザインがあるのです。自分のデザインが選ばれないデザインになっても、それでもプロは めげずに、これからの仕事でも いくつものデザイン案を出していくのが、お仕事です。
一般に、「商業デザイン」「グラフィックデザイン」などと言われる仕事でも、(一人でデザインする場合もありますが、多くはそうではなく)集団作業なので、協調性が必要です[25]。なお、「商業デザイン」と「グラフィックデザイン」はほぼ同じ仕事を意味しています。


構想

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優先事項の明確化

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まず、作品で最も伝えたい内容を明確にして、優先順位を考えたり等の しぼり込み(しぼりこみ) をする。なぜ しぼり込み の必要が有るかというと、構想段階でやろうと思ったことが、必ずしも全て実現できるとは限らないからである。

ポスターやパンフレットなどの物理的な幅の問題があるので、まず情報が入りきらない。ここまでは小学校あたりの図画工作などの経験からも分かるだろう。

だが、これから大人になるために意識すべきはそれだけでなく、さらにたとえば用事が入ったりして作業が遅れたり、時間が足りなくなったりする場合もありうる。あるいは構想では見落としていたことが製作中に問題になり、方針を修正するのに時間を費やしたりするかもしれない。

あるいは、必要な資料やソフトウェアや素材が見つからない、集まらないかもしれない。

こういった想定外のトラブルにそなえるため、構想段階でやりたかったことの全てが、何らかの実現できなくなった場合、やろうと思ったことのどれかを省く(はぶく)必要が生じる。

だから、最も作品で伝えたいことは何か(※ 範囲外: これがいわゆる「コンセプト」とか「テーマ」とかにある)を明確にする必要が有る。


この際、構想段階で「やろう」と思ってることを順位化すると、自然と、コンセプトがはっきりとしやすい。また、トラブル時のスケジュール調整の際にも、「やろう」と思ってたことを事前に順位化していたことは役立つ。


さて、作品で最も伝えたいことは、人にもよるだろうが、おおむね、ジャンルによって、伝えるべき内容は決まっている。

たとえば、自由研究の発表用のプレゼンテーション・ファイルの制作だったら、まずは研究成果の報告内容が、最も伝えるべきことである。 研究成果を、まずは文章でも良いから、下書き(手書きや文書ソフトなどで)で明確に書くのが先である。

(※ 範囲外:)コピーライターのお仕事もそうで、少ない文字で、宣伝の内容を明確に伝えるのも仕事です。コピーライターの仕事のひとつとして、商品などの宣伝のために人々の注意を引き付ける言葉「キャッチコピー」を考えるのが仕事ですが、しかし仕事内容はそれだけなく、さらに、きちんと商品の説明を短めの語句・文でするのも仕事です(専門用語で「ボディコピー」と言います)。キャッチコピーではなく、ポスターなどにある商品・イベントなどの説明のほうを「ボディコピー」と言い、ボディコピーのほうが「本文」です[26]。キャッチコピーは「見出し」です。けっしてキャッチコピーだけに気を取られて本文のボディコピーを見落としてはいけません。きちんと街中のポスターや、テレビの広告などを観察しましょう。
※ グラフィック・デザインの仕事でも、もし分かりやすい情報伝達のために文章が必要なら、ふつうにポスターなどの作品中に文章も使います[27]。視覚だけで分かるように絵や写真などがポスターなどの中心的な表現ですが、しかしそれは決して文字を使わないことを意味しません。
※ 何度も言うが、作家や画家などになる場合でも、中学校の卒業までに習う国語や英語なども含めて、全教科を勉強しておいてください。中学卒業までに習う内容は、日本のすべてのお仕事で、基礎的に使うことができるものです。
(※ 範囲外:)なお、実際の仕事では分業をすることもあって、キャッチコピーは(デザイナーではなく)コピーライターが考えることもありますす[28]


また、人前で発表する場合は発表時間が限られているので、その場合も、真っ先に発表するべき優先事項を明確化して、その優先事項から発表するべきである。

自由研究で、なるべく先に発表するべき優先事項は、研究して、あなたが分かった研究成果である。なにが研究成果かは人それぞれだが、たとえば理科実験を行った自由研究なら、大まかな実験結果と、その原因の考察を、概略でいいから、冒頭のほうで伝えるべきである。

もし、出来事を実際に起きた順番どおりに説明しようとすると、実験結果や考察はプレゼンの最後になってしまうが、それだと、もし時間分配を間違えると、結論の発表段階で時間不足になり、大事な研究結果を伝えられなくなるおそれが有る。

というわけで、伝えるべき主張を明確化する必要が有るのである。

なにも自由研究の発表だけに限らない。

たとえば、学校の宣伝ポスターの制作だったら、ポスターに学校名か学校の画像などが入ってないと、宣伝対象が不明なので、閲覧者に宣伝のしようがない。

ほかにも、たとえば文化祭の学校全体の広報用の宣伝ポスターだったら、学校名と文化祭の開催日時がポスター内に入ってないと、広報用ポスターとしては価値がない。

下書き

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構想を練るため、作品を手書きで下書きする。

たとえば、パソコンでポスターイラストを書きたいのだったら、2分程度で書いた鉛筆描きで良いから下書きを考える。


※ 児童向けのグラフィックデザインの紹介の専門書でも、企画中にグラフィックデザイナーが実際にペンで下書きをしている写真があります[29]


下書きで大事なのは、けっして名作や大作を、いきなり狙わないことである。最初から名作を狙って、たとえばポスターイラストの下書き段階だったら名画を描こうと構想したりすると、制作段階で頓挫をして、結局は方針の修正に時間を浪費することになる。

ポスターイラストが文化祭の広報イラストなら、ポスター中に、開催日時や学校名を見やすいサイズの文字で書かなければいけないだろうから、イラストが掲載できるスペースは限られるだろう。ポスターのレイアウトなどを下書きして検討・検証する必要がある。(けっして頭の中で考えるだけでなく、下書きでいいので実際に書いてみて、簡単な試作品をつくりアイデアに欠陥がないかを確かめる必要がある。)


頭の中だけで考えているだけでは見落としやすい部分があるので、手書きでもいいから、なるべく下書きを書き残すことが大事である。

このように、作品に要求される仕様(しよう)を満たすように下書きを描く。


また、高価なソフトウェアに頼らなくても、多機能なソフトウェアに頼らなくても、広く出回ってるソフトウェアで作れる範囲の作品を考えるべきである。


時間にも限りがあるので、あまりソフトウェアについては調べる必要ありません。学校にある制作ソフトを数分さわって(授業などで事前に習うでしょう)、だいたいソフトでどんな感じのことができるかを確認しておけば、とりあえずは中学生としては十分でしょう。

「作品制作用のソフトウェアについて細かく調べなくてもいいのか?」と不安に思う読者もいるかもしれないが、ソフトウェアの操作方法は、心配しなくても、たとえば画像制作のソフトなら手書きのノウハウが活かせるようにソフト業者が設計してあるし、同様に音楽制作のソフトも手や口での演奏のノウハウが活かせるように設計してある。

制作手法の細かな検討より、下書きを先に済ませるのは理由が有る。

もし、作品の方針とか全体像とかに、根本的なところに矛盾があると、後から根本方針を修正すると、修正に時間を大幅に費やすことになるので、先に全体像に問題が無いかを確認する必要が有る。

打ち合わせ

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また、複数人で作業する場合は、制作よりも先に、打ち合わせをしてから、大まかでいいから「何を作るか?」を決めて、それから制作にとりかかる必要が有るので、その場合も、打ち合わせのために下書きが必要になる。

(※ 範囲外: )ディジタル作品ではないが、映像作品とかの集団製作なら、「企画」に相当するだろう。このように、大人の仕事は、実作業に取り掛かえるために、まず打ち合わせである。「打ち合わせ」と「下書き」の順序は業界によって異なるかもしれないが、どちらにせよ、本番よりも前に「打ち合わせ」と「下書き」を終わらせておく必要があるだろう。

2014年以降、デザインとは、デザイナーと依頼人(クライアント)とが協力して作り上げるものだと言われており、これを Design with people と言います[30]


(※ 範囲外)依頼人も絵でデザインする必要がある

デザインの依頼をする場合、少なくとも2010年以降の現代では、依頼人も実際に手を動かして絵を描いて制作してアイデアを伝える必要があります。

今や、「俺は芸術・美術に興味ないから。絵なんて描けなくても関係ねえ」という時代ではないのです。外注しようにも、絵を描かないと、絵の注文自体が困難になる場合があるのです。

注文の際、うまい絵である必要は無いですが、依頼人にデザイン絵を描いてもらいように現代はなっているようです。その絵も、デザインの注文なら基本的にはITツールを使ったデザイン画である必要があります。

そうでないと(依頼人が絵も使って説明しないと)、デザイナーが依頼を受け付けてくれなくなりやすいのです。

(※ 範囲外) Design with people

アメリカのデザイン学者リズ・サーンダースが Design with people の用語を提唱しています。

リズが言うには、

かつて1984年ごろは、デザイナーが依頼人のことを考えて作る(依頼人は手を動かさない)、Design for people の時代でした。

そして、2014年、これは依頼人も手を動かしてもらって専門家のデザイナーの手を借りて協力しあって作る Desgin with people の時代。

リズの未来予想では、すべての人がデザインに取り組む 2044年ごろには Design by people の時代になるだろうとよそプしています。

制作手法を考える

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下書きや打ち合わせが終わったら、次に、その作品をコンピュータ上で実現する手段を考える。

自由研究のプレゼンテーション用の作品制作なら、プレゼンテーション用のソフトが使えそうである。 文書作成ソフトを用いるという方法もある。

一般のソフトなら、文書作成ソフトに入力した文字データをプレゼンテーション用ソフトに貼り付けることが可能なので、あまり悩む必要はない。

文書作成ソフトのことを通称でワープロソフトという。

文書作成ソフトでは、文字の大きさの設定や、明朝体やゴシック体と言ったフォントの設定もできるが、あとからでも変更できる設定なので、最初から悩む必要は無い。

文書作成ソフトの拡張子は .doc や .odt などがある。


プレゼンテーション用のソフトでは、説明対象を画像で説明する必要があるから、写真画像を用いることもあるだろう。 写真画像はデジタルカメラで撮影すれば、デジタルデータで保存してくれるので、それを利用すれば良い。 写真データのファイル形式とではJPEGが有名である。拡張子は .jpg などである。

プレゼンテーション

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コンピュータの画面の画像などを、パソコン外部の映写機を使って、白色スクリーン幕などに投影することが可能です。

一般に、このような機械をもちいて、なにかの発表をすることをプレゼンテーションといいます。

パソコン画面の映写では、プレゼン用ソフト(パワーポイント)のほかに、パソコン接続のできる映写機が必要です。一般に「プロジェクタ」などの商品名で、パソコン接続のできる映写機が家電量販店などで市販されています。

ソフトだけでは、映像を投影できません。

一般に、白色のスクリーン幕などに、プロジェクタの映像を投影します。(スクリーン幕は、学校側に置いてあると思います。)もしスクリーン幕が無くても、民間企業ではホワイトボードなどに投影する場合もあります。


ユニバーサルデザイン

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世の中には身体や健康に障害を持った人がいます。なるべく、そういった障害のある人でも鑑賞しやすいように作品をつくるべきです。 たとえば、作品中に文字を書く場合は、なるべく見やすく書くべきです。たとえば、小さく書くと視力に不自由がある人が、その文字を読めなくなる場合があります。

このように、なるべく多くの人が利用できるように作品や製品を設計することをユニバーサルデザインと言います。


自分にしか分からない表現などは避ける

また、自分にしか分からないような表現や、友達どうしでしか分からないような表現などは、作品では避けるべきです。 たとえば文化祭の広報ポスターだったら、学外の人も訪問するかもしれないのだから、学外の人が見ても主張が伝わるように描くべきです。

別の例では、たとえば自由研究のプレゼンテーションなら、たとえクラス内での発表でも、後日に他のクラスの人に紹介されるかもしれません。他にも、もしかしたら、後日、学外にもプレゼン資料が発表されることもあるかもしれません。 もしクラス内でしか通用しない表現をプレゼン資料に組み込むと、修正に手間が掛かります。

障碍者対応に限らず一般にデザイン界隈の基礎的な考えとして、自分の好きなように作る美術とは違って、デザインとは人のために作るものです[31]

出典・脚注

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※ なお参考文献の『時代をつくるグラフィック・デザイナーになりたい!! グラフィックデザイナー』(六曜社)は児童書。中学生のオトナだったら、小学生の児童よりかは頭よくて当然でしょ。
  1. ^ スタジオ248 編『時代をつくるグラフィック・デザイナーになりたい!! グラフィックデザイナー』、六曜社、2016年2月25日 初版 第1刷 発行、P6
  2. ^ スタジオ248 編『時代をつくるグラフィック・デザイナーになりたい!! グラフィックデザイナー』、六曜社、2016年2月25日 初版 第1刷 発行、P34
  3. ^ 美術出版社「クリエイターズバイブル」編集室(※ここまで著者)、『印刷編集デザインの基本2 印刷に適した原稿づくり』(※書籍名)、美術出版社、2000年11月15日 第1刷 、P.72 および P.84 および P.94
  4. ^ スタジオ248 編『時代をつくるグラフィック・デザイナーになりたい!! グラフィックデザイナー』、六曜社、2016年2月25日 初版 第1刷 発行、P38
  5. ^ スタジオ248 編『時代をつくるグラフィック・デザイナーになりたい!! グラフィックデザイナー』、六曜社、2016年2月25日 初版 第1刷 発行、P38
  6. ^ スタジオ248 編『時代をつくるグラフィック・デザイナーになりたい!! グラフィックデザイナー』、六曜社、2016年2月25日 初版 第1刷 発行、P6
  7. ^ 『動画制作の教科書 企画づくりから撮影技術の基礎、編集と公開まで』、技術評論社、P.117
  8. ^ スタジオ248 編『時代をつくるグラフィック・デザイナーになりたい!! グラフィックデザイナー』、六曜社、2016年2月25日 初版 第1刷 発行、P11
  9. ^ スタジオ248 編『時代をつくるグラフィック・デザイナーになりたい!! グラフィックデザイナー』、六曜社、2016年2月25日 初版 第1刷 発行、P11
  10. ^ スタジオ248 編『時代をつくるグラフィック・デザイナーになりたい!! グラフィックデザイナー』、六曜社、2016年2月25日 初版 第1刷 発行、P11
  11. ^ スタジオ248 編『時代をつくるグラフィック・デザイナーになりたい!! グラフィックデザイナー』、六曜社、2016年2月25日 初版 第1刷 発行、P14
  12. ^ スタジオ248 編『時代をつくるグラフィック・デザイナーになりたい!! グラフィックデザイナー』、六曜社、2016年2月25日 初版 第1刷 発行、P11
  13. ^ スタジオ248 編『時代をつくるグラフィック・デザイナーになりたい!! グラフィックデザイナー』、六曜社、2016年2月25日 初版 第1刷 発行、P20
  14. ^ スタジオ248 編『時代をつくるグラフィック・デザイナーになりたい!! グラフィックデザイナー』、六曜社、2016年2月25日 初版 第1刷 発行、P20
  15. ^ スタジオ248 編『時代をつくるグラフィック・デザイナーになりたい!! グラフィックデザイナー』、六曜社、2016年2月25日 初版 第1刷 発行、P20
  16. ^ 美術出版社「クリエイターズバイブル」編集室(※ここまで著者)、『印刷編集デザインの基本2 印刷に適した原稿づくり』(※書籍名)、美術出版社、2000年11月15日 第1刷 、P.89
  17. ^ スタジオ248 編『時代をつくるグラフィック・デザイナーになりたい!! グラフィックデザイナー』、六曜社、2016年2月25日 初版 第1刷 発行、P20
  18. ^ スタジオ248 編『時代をつくるグラフィック・デザイナーになりたい!! グラフィックデザイナー』、六曜社、2016年2月25日 初版 第1刷 発行、P20
  19. ^ 坂本伸二 著『デザイン入門教科書』、SBクリエイティブ、2015年7月30日 初版 第2刷 発行、P20
  20. ^ ARENSKI 著『どこで、誰に、何を見せる? 映えるデザイン』、日貿出版社、2020年9月14日 初版発行、P11、
  21. ^ 平本久美子 著『失敗しないデザイン』翔泳社、2020年7月15日 初版 第1刷発行、P35
  22. ^ 山崎正明『中学校美術 指導スキル大全』、明治図書、2022年5月初版第1刷刊、P51
  23. ^ スタジオ248 編『時代をつくるグラフィック・デザイナーになりたい!! グラフィックデザイナー』、六曜社、2016年2月25日 初版 第1刷 発行、P24
  24. ^ スタジオ248 編『時代をつくるグラフィック・デザイナーになりたい!! グラフィックデザイナー』、六曜社、2016年2月25日 初版 第1刷 発行、P21
  25. ^ ヴィットインターナショナル企画室『知りたい!なりたい!職業ガイド 視覚表現する仕事 』、ほるぷ出版、1998年3月20日 第1刷、P79およびP75
  26. ^ スタジオ248 編『時代をつくるグラフィック・デザイナーになりたい!! グラフィックデザイナー』、六曜社、2016年2月25日 初版 第1刷 発行、P.15
  27. ^ スタジオ248 編『時代をつくるグラフィック・デザイナーになりたい!! グラフィックデザイナー』、六曜社、2016年2月25日 初版 第1刷 発行、P10およびP11
  28. ^ スタジオ248 編『時代をつくるグラフィック・デザイナーになりたい!! グラフィックデザイナー』、六曜社、2016年2月25日 初版 第1刷 発行、P.15
  29. ^ スタジオ248 編『時代をつくるグラフィック・デザイナーになりたい!! グラフィックデザイナー』、六曜社、2016年2月25日 初版 第1刷 発行、P11
  30. ^ 中島幸子『知識ゼロからのSTEAM教育』、幻冬舎、2022年11月25日 第1刷 発行、P73
  31. ^ ヴィットインターナショナル企画室『知りたい!なりたい!職業ガイド 視覚表現する仕事 』、ほるぷ出版、1998年3月20日 第1刷、P.95