情報技術/デスクトップLinux入門/ディストリビュビーションの選び方
ディストリビューションによって使い勝手や機能が異なります。
ディストリビューションを選ぶ基準
[編集]日本語の情報源が豊富か・日本語対応しているか
[編集]ディストリビューション自体が日本語に対応しているか、対応しているならどこまでなのか(初期設定を終えたらすぐに日本語が入力できるのか、すぐには日本語入力ができないのか、それとも日本語を表示するためにすら追加の設定(フォントの導入など)が必要とされるのか)ということは重要です。
ディストリビューションにはさまざまなソフトウェアが含まれていますが、日本語を表示するためのフォントや、日本語を入力するために必要なソフトウェアが含まれていない場合もあります。
疑問があったり操作で困ったりしたときに、日本語の情報が豊富に入手できることも重要です。日本でよく知られ使われているディストリビューションは日本語の情報が豊富ですが、そうでないディストリビューションだと、英語などの他言語で情報を探したり、質問したりしなければなりません。
インストールのしやすさ・使いやすさ
[編集]インストールのしやすさや使いやすさは、特に初心者にとってはとても重要です。
ディストリビューションによっては、インストールしようとしたら真っ黒な背景にアルファベットや記号が並び、カーソルがチカチカと点滅するばかり、などということもあります。最初は、GUIでインストールできるディストリビューションを選んだほうがよいでしょう。
最初からウェブブラウザやオフィスソフト、そしてソフトウェアの追加するためのGUIフロントエンド(パッケージ管理システムと連携して動作しますが、コマンドを打ち込む必要はありません)が揃っていてすぐに使い始められるものもあります。逆に、最初は最低限のソフトウェアだけが入っていて、必要なものをひとつひとつインストールしなければならないものもあります。
デスクトップ環境
[編集]デスクトップ環境とは、GUI(グラフィカルユーザーインターフェイス)のためのソフトウェアで、見た目や操作感を決めます スクトップ環境によって動作の軽重が異なるため、古いパソコンで使おうとする場合は特に考慮する必要があります。
オペレーティングシステムをインストールした後でも、デスクトップ環境を変更することができます。
GNOME
[編集]KDE
[編集]LXQT
[編集]Cinnamon
[編集]自由
[編集]フリーソフトウェアファウンデーションの定義するところによると、自由ソフトウェアとは、利用者が実行する自由、解析し改造する自由、複製を再配布する自由、改造したものを配布する自由を有するソフトウェアをいいます[1]。
LinuxもGNUも自由ソフトウェアであり,ディストリビューションを作って配布できることもこれらの自由の賜物です。しかし、周辺機器のドライバなどの一部は、不自由なソフトウェア(改造が禁じられているなど)もあり、こういったソフトウェアをディストリビューションに含めるべきかが問題となることがあります。
そのほか、よく知られたものや多くの利用者が好むアプリケーションソフトウェアにも、不自由なものがあります。こういったアプリケーションソフトウェアを最初から含んでいたり、簡単にインストールできるようにしていたりするディストリビューションもあります。
ディストリビューションは、ひたすら自由にこだわるものと自由をまったく気にかけないものの二種類だけではありません。その中間もあります。無線LANアダプタのドライバなど、必要と思われるものだけ不自由ソフトウェアを含めているものもあります。
プライバシー
[編集]ディストリビューションのなかには、操作内容やその他の情報を自動的に外部に送信してしまうものもあります。ディストリビューションを選ぶときには、利用者を追跡しないものを選ぶとよいでしょう。
セキュリティ
[編集]ディストリビューションによって、どのようにセキュリティを実現しようとしているかが異なる場合があります。自分以外とパソコンを共有する場合(家族全員が使うパソコンや、会社や学校のパソコンなど)や、機密情報(顧客の個人情報など)を扱う場合などは、特に考慮する必要があります。
対応しているアーキテクチャ
[編集]古いパソコンのなかには、32BitのCPUを使っているものもあります。お使いのパソコンが32BitのCPUを搭載している場合、32Bitに対応したディストリビューションを選ぶ必要があります。
パッケージ管理システム
[編集]パッケージ管理システムとは、ソフトウェアをインストール、更新、アンインストールするための仕組みです。
初心者におすすめのディストリビューション
[編集]ディストリビューションにはさまざまな系統があります。同じ系統であれば、含まれるソフトウェアの組み合わせはある程度似通ってはいます。同じ系統のディストリビューションに関するトラブルシューティングの知識が使えるかもしれません。
Debian系
[編集]Debian系は、Debianおよびそれから派生したディストリビューションを指します。Debian GNU/Linuxからは数多くのディストリビューションが派生しています。
Debian GNU/Linux
[編集]Debian GNU/Linuxは、自由を尊重しているディストリビューションです[2]。完全に自由ソフトウェアだけを含むわけではなく、不自由なファームウェア(無線LANアダプタのドライバなど)を同梱します[3]。
Debian JP Projectが活発に活動しており、日本語の情報も豊富です。
Ubuntu
[編集]Ubuntuは、Debian GNU/Linuxから派生したディストリビューションです。日本語環境により対応させた日本語Rimixも開発されています。Ubuntu Japanese Teamが活発に活動しており、日本語の情報はDebianと並んで豊富です。
Ubuntuの基本的な構成は同じでデスクトップ環境が異なる「フレーバー」が多数開発されていることも特徴です。
Trisquel GNU/Linux
[編集]Trisquel GNU/Linuxは、自由ソフトウェアだけを含むディストリビューションです。一切の不自由ソフトウェアを含まないので、無線LANアダプタなどの周辺機器のドライバが機能しないことがあります。
PureOS
[編集]PureOSは、Trisquelと同じく、自由ソフトウェアだけを含むディストリビューションです。
elementary OS
[編集]elementary OSは、使いやすさを重視したディストリビューションです。ペアレンタル・コントロールや権限管理の機能も備えています。
RedHat系
[編集]Fedora
[編集]FedoraはRedHatに後援されているディストリビューションです。
Slackware系
[編集]OpenSUSE
[編集]OpenSUSEは、安定しており使いやすいディストリビューションです。
脚注
[編集]- ^ 『自由ソフトウェアとは?』GNUオペレーティング・システム; [2025年2月26日閲覧]. 入手元: https://www.gnu.org/philosophy/free-sw.ja.html
- ^ 『Debianについて』; [2025年3月1日閲覧]. 入手元: https://www.debian.org/intro/about.ja.html
- ^ 『Debian が投票によって不自由なファームウェアをインストーラに同梱することに決めた』自由のなる木 2022年10月14日; [2025年3月1日閲覧]. 入手元: https://libre.taiju.info/2022/10/04/debian-firmware-vote-results.html