民法第755条
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条文
[編集](夫婦の財産関係)
解説
[編集]本条から第762条までにおいて、婚姻による夫婦の財産関係について規律する。
比較法的には、婚姻関係が成立すると、夫婦の財産が原則として共有となる「夫婦共有制」や、明治民法のように原則として夫のみに帰属する制度(明治民法第798条から第807条まで、特に第801条参照)などがあるが、現代民法は、憲法第13条及び第24条第2項に基づき、夫婦各々に財産が属し、婚姻費用を各々で分担するという別産・別管理制が採用されている(法定財産制度 第762条)。
夫婦間において、婚姻費用の負担の取り扱いについて、婚姻の届出前の契約により法定財産制度を適用しないことも可能であり、これは「夫婦財産契約」と呼ばれ、明治民法にも存在する規定(旧・第793条)であるが、日本の婚姻慣習において馴染みがない制度であり、また、対抗要件を得るのに登記が必要であり、変更も許されないなど柔軟性に欠けることもあって締結される実例はきわめて少ない。
参照条文
[編集]- 民法第754条(夫婦間の契約の取消権)
- 民法第756条(夫婦財産契約の対抗要件)
- 民法第758条(夫婦の財産関係の変更の制限等)
- 民法第759条(財産の管理者の変更及び共有財産の分割の対抗要件)
- 民法第760条(婚姻費用の分担)
- 民法第761条(日常の家事に関する債務の連帯責任)
- 民法第762条(夫婦間における財産の帰属)
参考文献
[編集]- 『民法(5)親族・相続(第3版)』有斐閣新書(1989年、有斐閣)45頁-66頁(山脇貞司執筆部分)
- 泉久雄『親族法』101-121頁(1997年、有斐閣)
参考
[編集]明治民法において、本条には以下の規定があった。
- 女戸主ハ年齢ニ拘ハラス隠居ヲ為スコトヲ得
- 有夫ノ女戸主カ隠居ヲ為スニハ其夫ノ同意ヲ得ルコトヲ要ス但夫ハ正当ノ理由アルニ非サレハ其同意ヲ拒ムコトヲ得ス
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