民法第90条

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法学民事法コンメンタール民法第1編 総則 (コンメンタール民法)

条文[編集]

(公序良俗)

第90条
公の秩序又は善良の風俗に反する事項を目的とする法律行為は、無効とする。

改正前[編集]

第90条 公ノ秩序又ハ善良ノ風俗ニ反スル事項ヲ目的トスル法律行為ハ無効トス。

意義[編集]

要件[編集]

ある法律行為の目的が公の秩序又は善良の風俗に反する事項であること。

  1. 「公の秩序」:社会の一般的秩序 (例)人を殺す契約
  2. 「善良の風俗」:社会の一般的道徳観念 (例)両性の合意によらない結婚の契約

具体例[編集]

  1. 強行法規又はその精神に反する行為
    個別の法規がある場合は第91条の解釈によることが通例。明確でない場合に援用される。反対解釈として、当該法規が取締法規であると解釈された場合、私法上は有効であると解される。
  2. 人倫に反する行為
    (例1)愛人契約
    愛人関係に関する契約を締結したとしても、そのことのみで対価を求めることはできない。また、一方が契約に反した行動をとったとしても、関係の修復や契約違反を原因とした損害賠償の請求はできない。これは当事者が、双方独身である場合でも同じ結論となる。
    (例2)両性の合意によらない結婚の契約
    婚姻は両性の合意のみに基づき成立するものであるから、例え婚姻を約したとしても、強制執行力を持って婚姻を成立させることはできない。婚姻不履行に対して、精神的侵害等不法行為を理由とする損害賠償請求権が発生することは別論である。
  3. 射倖行為
    日本においては賭博行為は原則として禁止されているので、射倖行為にかかる法律行為は無効となる。
  4. 正義の観念に反する行為
    1. 不正な行為を助長する行為
    2. 非行を行わないことの対価として利益を与える旨の契約
      (例1)総会屋
      (例2)偽証の撤回に対する報酬(最判45.4.21)
    3. 不公平な契約
      (例1)ワンクリック詐欺
  5. 自由を極度に制限する行為
    1. 芸娼妓契約
    2. 営業自由の制限
    3. 財産権行使の制限

限界事例[編集]

  • 動機の違法:「動機に違法があるが、法律行為の内容として表示されていない場合」

代表的判例[編集]

効果[編集]

  • 発生時に遡って無効となる。ただし、不法の原因により支払われた金銭等は、返還等が無条件になされるものではない(第708条 不法原因給付)。

判例[編集]



前条:
第4章 物
民法第89条
(果実の帰属)
民法
第1編 総則
第5章 法律行為
第1節 総則
次条:
民法第91条
(任意規定と異なる意思表示)
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