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沖縄語/動詞文

出典: フリー教科書『ウィキブックス(Wikibooks)』

例文

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話し手 沖縄口(うちなーぐち) 大和口(やまとぅぐち)
宮城(みゃーぐしく) 今日(ちゅー)(わー)解剖(かいぼー)すん。 今日は豚の解剖をする。
まじぇーしーばいぶくる(みー)あちーん。 まずは膀胱を見つけ出す。
うりから、顕微鏡(けんびきょー)っしんーじゅん。 それから、顕微鏡で見る。
しーばいぶくろぬ大腸(うふわた)(ふぃじゃい)んかいあん。 膀胱は大腸の左にある。
人間(にんじん)とー(びち)(とぅくる)んかいあんどー。 人間とは別の所にあるよ。
生徒(しーとぅ) うー。 はい。
大城(うふぐしく) 宮城先生(みゃーぐしくしんしー)、くれーしーばいぶくるやいびーみ? 宮城先生、これは膀胱ですか?
宮城(みゃーぐしく) いー。しーばいぶくるやん。 うん。膀胱だ。
大城(うふぐしく) にふぇーでーびる。 ありがとうございます。
先生(しんしー)(しちゃ)んかいはぶぬうぅいびーん。 先生、下にハブがいます。
宮城(みゃーぐしく) あぎじゃびよい! わあ!
くれーおーってんやん。 これはアオダイショウだ。

アオダイショウ おーってん

単語

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  • (わー) - 豚
  • すん - する
  • まじ - まず、はじめに
  • しーばいぶくる - 膀胱
  • しーばい - 尿
  • (みー)あちーん - 見つけ出す
  • うりから - それから
  • 〜っし - 〜で(手段、原因・理由を表す助詞)
  • 〜さーに - 〜で(原因・理由を表す助詞)
  • 〜ぬ、〜が - 〜が(主格を表す助詞)
  • んーじゅん - 見る、観る
  • 大腸(うふわた) - 大腸
  • (ふぃじゃい) - 左
  • (にじり) - 右
  • 人間(にんじん) - 人間
  • (びち) - 別、ほか
  • (とぅくる) - 所、場所
  • にふぇーでーびる - ありがとうございます
  • にふぇーどー - ありがとう
  • ちゅーん - 来る
  • (あら)いん - 洗う
  • (ゐー) - 上
  • (しちゃ) - 下
  • はぶ - 蛇。基本的にハブの事を言う
  • おーってん - アオダイショウ
  • あぎじゃびょい - 驚きを表す感動詞
  • 南蛮瘡(なばんがさ) - 梅毒
  • まーすん - 亡くなる
  • (みじ) - 水
  • はなしち - 風邪
  • ゆくいん - 休む
  • (わた)すん - 渡す

文法

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主格「ぬ」「が」

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日本語で主語を表す「が」にあたる助詞は「ぬ」と「が」の2つがあり、疑問詞や固有名詞、代名詞について言う場合は「が」、それ以外の場合は「ぬ」を使います。しかし例外的に、「(ぬー)」は「ぬ」を使います。また、「私が」は「わんが」ではなく「わーが」になります。 これは、日本語の古典の助詞「の」に当たります(例:紫だちたる雲ほそくたなびきたる)。

はぶうぅいびーん。 ハブいます。
比嘉(ふぃじゃ)さんちゅーん。 比嘉さんくる。
わーがすん。 私がする。

動詞文

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動詞は-uN、-iiN、-iNのいずれかの語尾で終わります。

沖縄方言辞典などの辞典を引くと、-juNで終わる動詞がよく出てきます。これは那覇言葉であり、首里言葉の-iN、-iiNに対応します。

動詞のビーン体

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ビーン体とは丁寧語のことです。「〜やん」を「〜やいびーん」にすると「〜です」となり丁寧になるように、動詞にもビーン体があります。

-uNで終わる動詞
語尾の-uNを-abiiNに変えます。
すん(する)→さびーん(します)
-iNで終わる動詞
語尾の-iNを-ibiiNに変えます。
あらいん(洗う)→あらいびーん(洗います)
-iiNで終わる動詞
語尾の-iiNを-ijabiiNに変えます。
みーあちーん(見つけ出す)→みーあちやびーん(見つけ出します)
例外
「ちゅーん」のみ「ちゃーびーん」になります。
ちゅーん(来る)→ちゃーびーん(来ます)

存在文

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沖縄語では動かないものに対して「あん」を、動物など動くものに対して「うぅん」を使います。日本語の「ある」「いる」と同じですね。「あん」「うぅん」は動詞ですが、状態を表すという点で形容詞や「やん」と似ているため、「あん」「うぅん」の文を「存在文」と言います。

存在文では、主語は助詞「や」ではなく助詞「ぬ」または「が」で表します。

しーばいぶくろ大腸(うふわた)(ふぃじゃい)んかいあん 膀胱大腸の左にある
(しちゃ)んかいはぶぬうぅいびーん。 下にハブがいます。
存在文のビーン体
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あん
「あん」は他の動詞たちと異なり、-uN、-iiN、-iNで終わりませんね。「あん」のビーン体は「あいびーん」になります。
うぅん
「うぅん」は-uNで終わる動詞なので、「うぅいびーん」になります。

助詞「んかい」

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助詞「〜んかい」は日本語で言うところの助詞「〜に」にあたり、場所や相手を表します。「んかい」が「ん」で終わる言葉につく場合、前の名詞の終わりの「ん」が「ぬ」に変わります。

しーばいぶくろぬ大腸(うふわた)(ふぃじゃい)んかいあん。 膀胱は大腸の左ある。
大城(うふぐしく)さぬんかい(わた)すん。 大城さん渡す。

助詞「っし」「さーに」

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手段や理由・原因を表す助詞「で」は、沖縄語で「っし」といいます。

顕微鏡(けんびきょー)っしんーじゅん。 顕微鏡見る。
南蛮瘡(なばんがさ)っしまーすん。 梅毒亡くなる。

理由・原因を表す助詞「で」は「さーに」ともいいます。

南蛮瘡(なばんがさ)さーにまーすん。 梅毒亡くなる。

練習問題

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(1)以下の文章を沖縄語に訳しなさい。
1:あそこに比嘉先生がいる。
2:ここに私がいます。
3:そこに本がある。
4:膀胱の右に大腸があります。

(2)以下の動詞をビーン体にしなさい。
1:すん
2:かむん
3:とぅいん
4:かめーいん
5:ちゅーん
6:ちーん
7:しーん
8:あん

(3)以下の動詞を普通体にしなさい。
1:んーじゃびーん
2:しなびーん
3:ぬいびーん
4:ふいびーん
5:いやびーん
6:みやびーん
7:ちゃーびーん
8:うぅいびーん

(4)次の文章を沖縄語に訳しなさい
1:水で洗う。
2:糖尿病で亡くなる。
3:顕微鏡で見つけ出します。
4:風邪で休みます。

練習問題解答

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(1)
1:あまんかい比嘉先生(ふぃじゃしんしー)がうぅん。
2:くまんかいわーがうぅいびーん。
3:んまんかい書物(すむち)ぬあん。
4:しーばいぶくるぬ(にじり)んかい大腸(うふわた)ぬあいびーん。

(2)以下の動詞をビーン体にしなさい。
1:さびーん
2:かまびーん
3:とぅいびーん
4:かめーいびーん
5:ちゃーびーん
6:ちやびーん
7:しやびーん
8:あいびーん

(3)以下の動詞を普通体にしなさい。
1:んーじゅん
2:しぬん
3:ぬいん
4:ふいん
5:いーん
6:みーん
7:ちゅーん
8:うぅん

(4)次の文章を沖縄語に訳しなさい
1:(みじ)っし(あら)いん。
2:糖尿病(とーにょーびょー)さーにまーすん。 または 糖尿病(とーにょーびょー)っしまーすん。
3:顕微鏡(けんびきょー)っし(みー)あちやびーん。
4:はなしちさーにゆくいん。 または はなしちっしゆくいん。