「著作権法/概論」の版間の差分

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工業図面や企業の社内マニュアルは、著作権法では保護されない。それらを保護する法は、不正競争防止法などの、著作権法以外の法律である。
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:※ 本ページでは主に著作権法を説明するが、必要に応じて、特許権などの知的財産権も説明したり、あるいは不正競争防止法などの、関連する法律も説明する。

== 参考文献 ==
== 参考文献 ==
本ページの執筆に際し、以下の参考文献を用いている。(まだ本ページは執筆中)
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なお、美術思想や音楽思想などの思想(アイデア)そのものは、著作権では保護されない。著作権で保護されるのは、作品だけである。保護されうる作品は、必ずしも画集や音楽CDなどの物体の形でなくとも、構わない。演劇や歌謡の公演などであっても、それを作品として披露すれば著作権は発生し、著作権法によって保護される。
なお、美術思想や音楽思想などの思想(アイデア)そのものは、著作権では保護されない。著作権で保護されるのは、作品だけである。保護されうる作品は、必ずしも画集や音楽CDなどの物体の形でなくとも、構わない。演劇や歌謡の公演などであっても、それを作品として披露すれば著作権は発生し、著作権法によって保護される。


また、工業図面や企業の社内マニュアルは、著作権法では保護されない。それらを保護する法は、不正競争防止法などの、著作権法以外の法律である。(※ 個人的意見: 民法の不法行為で損害賠償など請求される可能性もあるかも、)
また、工業図面や企業の社内マニュアルは、著作権法では保護されない。それらを保護する法は、不正競争防止法などの、著作権法以外の法律である。営業秘密は、防競争防止法により保護される。(※ 個人的意見: 民法の不法行為で損害賠償など請求可能性もあるかも?)


そもそも工業図面や社内マニュアルは、思想や感情を表現したものではない。
そもそも工業図面や社内マニュアルは、思想や感情を表現したものではない。
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つまり、誰がつくっても同じような形態になるような作品は、著作権の保護対象から外れる。
つまり、誰がつくっても同じような形態になるような作品は、著作権の保護対象から外れる。

文章の著作物の場合、は、誰が保護されない。




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そもそも、ほぼ毎日、どこかで誰かが創作物を著作しているのに、いちいち著作物を行政機関などにより審査するのは、労力の無駄であり、税金の無駄でもあろう。もっとも、このような登録機関が無いために、古い映画などのように、複数人で作られた古い作品の著作者が誰なのかがハッキリしないので、メディア関連企業などがその作品を扱うさいに訴訟リスクがひそんでしまう問題もある。
そもそも、ほぼ毎日、どこかで誰かが創作物を著作しているのに、いちいち著作物を行政機関などにより審査するのは、労力の無駄であり、税金の無駄でもあろう。もっとも、このような登録機関が無いために、古い映画などのように、複数人で作られた古い作品の著作者が誰なのかがハッキリしないので、メディア関連企業などがその作品を扱うさいに訴訟リスクがひそんでしまう問題もある。


著作権の保護期間は、日本では、原則として、公表後から著作者の'''死後50年'''まで、である。ただし映画は、公表後から著作者の死後70年まで、である。


== 美術の著作物 ==
著作権法では、著作権法で保護される「美術」の例としては、絵画・版画・彫刻が、例に挙げられている。(著作権法10条1項目4) だが、それ以外の美術的な著作物でも、実際に著作権が保護されている。具体例をあげれば、舞台装置、生け花、書(書道)、マンガなども、著作権が保護されている。建築物の形にも、それが美術的な目的で創作されたなら、著作権法の保護対象。


いっぽう、たとえばCD(コンパクトディスク)の裏側の面は、虹色に反射していて美しいが、しかし、けっして美術的な目的でCD裏面が制作されてはいないので、CD裏面は著作権法の保護対象にならない。このように、どんなに美しかろうが、美術的な目的で制作されてないかぎり、著作権法の保護対象には、ならない。(※ 参考文献: 有斐閣『著作権法』中山信弘。 参考文献では半導体チップの模様を例に、どんなに美しくても著作権法の保護対象にならない事を説明してたが、一般読者は日常生活では半導体チップを見る機会が少ないだろうから、本ウィキブックスでは他の工業製品(CD裏面)に説明を置き換えた。)

== 建築の著作物 ==
土地に定着する工作物にも、創作性があれば著作権法の保護対象である。(民法学などに「土地の工作物」のような用語がある。)庭園は、工作物と見なせるので、建築物としての保護を与えられる。いっぽうで、庭園を美術と見なしてもよい。このように、美術と建築の境界が不明瞭な事例もある。(東京地決平15・6・11判時1840号・106項<ノグチ・ルーム事件>にて、庭園が建築物と見なされるという判決がある。)


== 映画の著作物 ==
著作権の保護期間は、日本では、原則として、公表後から著作者の'''死後50年'''まで、である。ただし映画は、公表後から著作者の死後70年まで、である。

したがって、「映画」とは何かが、法的にも重要になる。

著作権法では、実は「映画」とは何か定義無い。(※ 参考文献: 有斐閣『標準 著作権法』、高林龍、第2版、60ページ) なので、映画館で見ないビデオ作品やビデオ録画映像やテレビ番組などは、はたして「映画」に入るのかどうか、実は、なやみどころであるようだ。とはいえ、判例や国際的な著作権動向などにより、市販されてるビデオ作品などは、たいてい「映画」と見なされるようである。たとえば参考文献『現代法入門』(三省堂)では、テレビの報道番組は、映画の著作物と見なされる、と紹介している。

いわゆる「アニメーション」も、著作権法でいう「映画」に含められる。一般にゲームソフトの映像部分も、著作権法でいう「映画」と見なされる。(※ 参考文献: 三省堂『現代法入門』)

防犯ビデオの映像のように、単にビデオカメラをどこかに固定して、そして単にビデオカメラに写る物を録画しただけの映像は、創作性が認められないため、著作権法では保護されない。


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:↓ まだ、書き換えてない。
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著作権の保護期間は、日本では、原則として、公表後から著作者の'''死後50年'''まで、である。ただし映画は、公表後から著作者の死後70年まで、である。

:※ 著作権法では、実は「映画」とは何か、細かい定義無いようである。なので、映画館で見ないビデオ作品やビデオ録画映像やテレビ番組などは、はたして「映画」に入るのかどうか、実は、なやみどころであるようだ。とはいえ、判例や国際的な著作権動向などにより、市販されてるビデオ作品などは、たいてい「映画」と見なされるようである。たとえば参考文献『現代法入門』(三省堂)では、テレビの報道番組は、映画の著作物と見なされる、と紹介している。


公表後の、著作者の生存期間中は、当然、著作権は保護される。
公表後の、著作者の生存期間中は、当然、著作権は保護される。

2017年1月6日 (金) 05:31時点における版

※ 本ページでは主に著作権法を説明するが、必要に応じて、特許権などの知的財産権も説明したり、あるいは不正競争防止法などの、関連する法律も説明する。

参考文献

本ページの執筆に際し、以下の参考文献を用いている。(まだ本ページは執筆中)

有斐閣『標準 著作権法』高林龍、第2版、
有斐閣『著作権法』中山信弘、第2版、
有斐閣『知的財産権法概論』紋谷暢男、
三省堂『現代法入門』、
高校の情報科目の検定教科書など

総論

著作権法により、著作権についての決まりが定められている。

著作権の対象は、おもに小説・音楽・絵画・映画などであり、書籍や新聞、書籍、音楽や絵画などでの作品などが対象だが、コンピュータのソフトウェアも著作物に含まれる。

ひとくちに著作権法におけるルールを説明するにも、コンピュータソフトウェアと、それ以外(通常の小説、音楽、絵画、映画)とでは、大きく違う。 なので、本ページではとりあえず小説・音楽・絵画・映画の著作権法における保護について説明する。


さて、「1600年 関ヶ原の合戦」などのように単なる事実を記した文章は、著作権の保護対象にならない。「2017年1月5日、天気は晴れ。」のような文章も、単なる出来事を記録したものであり、著作権の保護対象にはならない。著作権で保護されるためには、思想または感情を表現する事が必要である。なので、単なる出来事やデータの記述は、著作権の保護対象にならない。

著作権法では「思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。 」(著作権法2条1項)と定めている。

なお、「1234年 関ヶ原の合戦」は事実でなく間違いであるが、当然、著作権では保護されない。なぜなら、思想や感情が表現されてないからである。

さて、たとい幼児の描いた絵画であっても、あるいはアマチュア作曲家の作曲した曲でも、著作権での保護対象になる。著作権法で要求される芸術性あるいは創作性とは、作家が芸術性や創作を目指したものであれば充分であり、けっして技巧のうまさは要求しない。けっして、その作品の価値が、えらい肩書きをもった芸術家に認められなくても、あるいは美大や音大や芸大の教授に作品価値を認められなくても、誰かが小説や絵画をつくりさえすれば、その作品は著作権の保護対象物である。

つまり、プロかアマチュアかに関係なく、芸術性・創作性のある著作物をつくれば、著作権の保護対象になる。著作者が、大人か子供かにも関係なく、芸術性・創作性のあるのある作品を作りさえすれば、著作権の保護対象になる。

つまり、ある著作物が、著作権法で保護されるためには、その著作物が、思想や感情を(小説や絵画などの)創作的手法で表現したものである事が必要である。だが、その思想や感情そのものの創作性は、いっさい要求されない。つまり、すでに充分に知られた思想であっても、それを(小説や絵画などの)創作的手法で表現さえしていれば、著作権法での保護に値する。

なお、美術思想や音楽思想などの思想(アイデア)そのものは、著作権では保護されない。著作権で保護されるのは、作品だけである。保護されうる作品は、必ずしも画集や音楽CDなどの物体の形でなくとも、構わない。演劇や歌謡の公演などであっても、それを作品として披露すれば著作権は発生し、著作権法によって保護される。

また、工業図面や企業の社内マニュアルは、著作権法では保護されない。それらを保護する法は、不正競争防止法などの、著作権法以外の法律である。営業秘密は、防競争防止法により保護される。(※ 個人的意見: 民法の不法行為で損害賠償などの請求の可能性もあるかも?)

そもそも工業図面や社内マニュアルは、思想や感情を表現したものではない。

(※ 勉強法について:) けっして断片的に「工業図面や企業の社内マニュアルは、著作権法では保護されない」だけを単独で覚えるのではなく、「工業図面や社内マニュアルなどは、思想や感情を表現する目的のものではない。よって、著作権法では保護されない。なぜなら、著作権法で保護される著作物とは、思想や感情を表現している必要があるから」のように、関連づけて覚える事。
(※ 個人的な意見:)工業図面を作図したり、社内マニュアルを執筆する行為だって、日本語の「著作」の定義に当てはまるかもしれない。しかし、著作権法は、図面や社内マニュアルを、保護しない。つまり、著作権法は、その名に反して、けっして日本国内の著作物全体を保護対象にしない。著作権法が保護対象にする範囲は、あくまで小説・絵画・音楽・映画・演劇などのような、特定の芸術や芸能のようなジャンルの作品と、市販されている書籍、論文などの著作物である。

学術論文などの論文も、著作権による保護対象になる。ただし、学術的発見そのものは、著作権の保護対象ではない。学術的発見を文章でどう表現するかは、一般に、書き手ごとに千差万別である。なので、学術論文なども著作権の保護対象になるのである。

「1600年 関ヶ原の戦い」などの歴史的時事そのものは、著作権保護の対象ではないが、しかし歴史評論書や歴史教科書などは著作権保護の対象になる。なぜなら、ある歴史的な出来事について、どう評論するかは、一般に、千差万別であるため。


さて、他人の著作物の盗作には、著作権は発生しない。これは当然であろう。また、模倣にも、著作権は発生しない。つまり、あくまでも、少なくとも何らかの創作性が無いと、著作権は認められない。

また、ゴッホなどの絵画をそのまま正面から撮影した写真などは、誰が撮影しても同じような写真になるため、この場合は著作権の保護対象から外れる。写真そのものは著作権の保護対象になるし、しかし、絵画撮影の場合、このような場合は保護されない。

つまり、誰がつくっても同じような形態になるような作品は、著作権の保護対象から外れる。


さて、特許では、特許庁などの機関が審査して特許として承認されることで特許権が発生する。いっぽう、著作権は、そのような審査は無い。(無審査主義、無方式主義) 著作権は、その著作物を創作した時点で権利が発生し、その創作者じしんが著作者となり、創作者じしんが著作権者になる。


著作権は、登録を必要としない。たとい、なにかの機関(たとえば「著作権保護団体」のような団体名を名乗る機関)に作品を登録しなくても、作品を創作さえすれば、著作権は発生します。(※ 検定教科書の範囲内。たとえば、数研出版『情報の科学』に、そのような記述あり。)

そもそも、ほぼ毎日、どこかで誰かが創作物を著作しているのに、いちいち著作物を行政機関などにより審査するのは、労力の無駄であり、税金の無駄でもあろう。もっとも、このような登録機関が無いために、古い映画などのように、複数人で作られた古い作品の著作者が誰なのかがハッキリしないので、メディア関連企業などがその作品を扱うさいに訴訟リスクがひそんでしまう問題もある。

著作権の保護期間は、日本では、原則として、公表後から著作者の死後50年まで、である。ただし映画は、公表後から著作者の死後70年まで、である。


美術の著作物

著作権法では、著作権法で保護される「美術」の例としては、絵画・版画・彫刻が、例に挙げられている。(著作権法10条1項目4) だが、それ以外の美術的な著作物でも、実際に著作権が保護されている。具体例をあげれば、舞台装置、生け花、書(書道)、マンガなども、著作権が保護されている。建築物の形にも、それが美術的な目的で創作されたなら、著作権法の保護対象。


いっぽう、たとえばCD(コンパクトディスク)の裏側の面は、虹色に反射していて美しいが、しかし、けっして美術的な目的でCD裏面が制作されてはいないので、CD裏面は著作権法の保護対象にならない。このように、どんなに美しかろうが、美術的な目的で制作されてないかぎり、著作権法の保護対象には、ならない。(※ 参考文献: 有斐閣『著作権法』中山信弘。 参考文献では半導体チップの模様を例に、どんなに美しくても著作権法の保護対象にならない事を説明してたが、一般読者は日常生活では半導体チップを見る機会が少ないだろうから、本ウィキブックスでは他の工業製品(CD裏面)に説明を置き換えた。)

建築の著作物

土地に定着する工作物にも、創作性があれば著作権法の保護対象である。(民法学などに「土地の工作物」のような用語がある。)庭園は、工作物と見なせるので、建築物としての保護を与えられる。いっぽうで、庭園を美術と見なしてもよい。このように、美術と建築の境界が不明瞭な事例もある。(東京地決平15・6・11判時1840号・106項<ノグチ・ルーム事件>にて、庭園が建築物と見なされるという判決がある。)


映画の著作物

著作権の保護期間は、日本では、原則として、公表後から著作者の死後50年まで、である。ただし映画は、公表後から著作者の死後70年まで、である。

したがって、「映画」とは何かが、法的にも重要になる。

著作権法では、実は「映画」とは何かの定義が無い。(※ 参考文献: 有斐閣『標準 著作権法』、高林龍、第2版、60ページ) なので、映画館で見ないビデオ作品やビデオ録画映像やテレビ番組などは、はたして「映画」に入るのかどうか、実は、なやみどころであるようだ。とはいえ、判例や国際的な著作権動向などにより、市販されてるビデオ作品などは、たいてい「映画」と見なされるようである。たとえば参考文献『現代法入門』(三省堂)では、テレビの報道番組は、映画の著作物と見なされる、と紹介している。

いわゆる「アニメーション」も、著作権法でいう「映画」に含められる。一般にゲームソフトの映像部分も、著作権法でいう「映画」と見なされる。(※ 参考文献: 三省堂『現代法入門』)

防犯ビデオの映像のように、単にビデオカメラをどこかに固定して、そして単にビデオカメラに写る物を録画しただけの映像は、創作性が認められないため、著作権法では保護されない。


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↓ まだ、書き換えてない。

公表後の、著作者の生存期間中は、当然、著作権は保護される。

※ 著作物の発表後に著作者が長生きすると、たとえば、もし発表後に著作者が100年間生きた場合、著作権が切れるのは発表後から150年(=100+50)という計算になる。

また、著作権の一部は、財産的な権利であると見なされるので、他人に譲渡できるし、著作者の死後には相続もできる。 著作権が侵害された場合に、損害賠償を請求する事もできる。この事も、財産権が侵害された場合に損害賠償が請求できるのと同様の現象だと理解できるだろう。

  • 著作者人格権
公表権 - 著作物を公開するかどうかを、著作者じしんが決める権利。
氏名保持権 - 公開するさいに自分の氏名を公表するかを、著作者じしんが決める権利。また、公開するさいに自分の名称(氏名やペンネームなど)をどう表記するかを決める権利。
同一性保持権 - 著作物を許可なく改変されない権利。


  • 著作権
  • 著作隣接権

たとえば、音楽作品のレコード製作者やCD製作者などの、著作物を伝達する仕事の人にも、著作隣接権(ちょさく りんせつけん)という権利がある。

このため、たとえばベートーベンやバッハなどの、中世や近世のクラシック音楽を、現代の人が演奏したCDやレコードなどは、 たとえ作曲家がずっと昔に死んで著作権がきれていても、現代のCD製作者の著作隣接権は切れてないし、そのCDに演奏を提供した演奏者の著作隣接権もまだ切れていないのが普通なので、クラシックCDであっても、決してCD製作者などの権利者に無許可ではインターネット上に公開してはいけない。

複製権(ふくせいけん) - 著作物を、著者などの権利者に無断で複製されない権利。
上演権・演奏権・上映権 - 著作物を無断で上演・演奏・上映されない権利。
口述権(こうじゅつけん)・展示権(てんじけん) - 著作物を無断で口述したり展示したりされない権利。
頒布権(はんぷけん) - 著作物が映画の場合の権利で、著作物(映画)を無断で譲ったり貸したりされない権利。
翻訳権(ほんやくけん)・翻案権(ほんあんけん) - 無断で翻訳、加工、編曲などされない権利。
譲渡権(じょうとけん)・貸与権(たいよけん) - 無断で譲ったり貸与されたりしない権利。

著作権について

著作権

人間がつくった文章や、人間がつくった音楽や歌詞、人間が描いた絵やアニメーション、人間が撮影した写真やテレビ映像や映画などの動画には、すべて著作権(ちょさくけん)があり、勝手に他人が公開してはいけません。 著作権法(ちょさくけんほう)という法律によって、著作権のありかたが決められています。

なお、著作権についての国際条約としてベルヌ条約があり、日本国もベルヌ条約に加盟しています。なので、日本の著作権は、ベルヌ条約などの著作権にかんする国際条約に、なるべく整合性をもつようになっています。

さて、著作権は、その作品をさいしょにつくった人に、権利があります。なので、たとい他人がつくった作品を書き写したりしても、著作権はさいしょにつくった人にあるままです。


さて、たとい お金を出してお店で買ったイラスト集や音楽CDや映画DVDなどでも、著作権のため、けっしてインターネットなどで公開してはいけません。

イラスト集や音楽CDなどを買ったときに購入品とともに付いてくる権利は、単に、その作品を自分が見てもいいという権利と、自分の家族などがその作品を見てもいいという権利だけなので、インターネットの第三者には勝手に作品を公開してはいけません。


著作権のある物を、著作者以外が許可なく利用することは、法律できびしく罰せられる場合があります。


インターネット上でデジタル化された文章や音楽や映像にも、著作権があります。

また、大人や子どもの区別なく、作品をつくれば、その作品についての著作者になります。たとえば、中学生でも、何か作品をつくって発表すれば、つくった作品についての著作権をもちます。


なお、写真を撮影した場合は、撮影した人のもつ著作権とは別に、撮影された被写体の人に肖像権(しょうぞうけん)があります。


  • 範囲外
※ じっさいには、衣服など工業製品の形にも、その形を考えた人の権利( 意匠権(「いしょうけん」と読む)など )があったりする場合があるのだが、かといって衣服を撮影できないと裸を撮影するハメになってしまうので、慣習では、衣服の場合は例外的に、人物の写真などを公開するという目的なら、インターネットにも公開しても良いという慣習になっている。
また、他人の作品を公開するかどうかの有無にかかわらず、他人がつくった作品を「自分が作りました」という行為は、法律で罰せられる場合がある。
※ 著作権は、作家のアイデアを直接には保護しません。(※ 参考文献: 有斐閣『知的財産権概論』、紋谷暢男、2012年第3版) 具体例を考えてみましょう、たとえば、アメリカのあるアニメ会社が「ネズミを主人公にしたアニメをつくったら面白いんじゃないか?」と思ったとして、そのアメリカの会社が実際にそういうアニメを作ったとしましょう。それに対して、数年後に日本のあるマンガ家が、「動物を主人公にしたマンガを書いたら面白いんじゃないか? そうだ、ライオンを主人公にしたマンガを書こう。」とか思って、そういうマンガを書いたとしましょう。一切、その日本のマンガ家の作品は、著作権を侵害した事になりません。
※ 発明家のアイデアを保護する制度は、特許権や実用新案権の制度です。著作権は、アイデアを保護しません。
※ (絵画を描いたり、作曲するなりして、)作品を創作すれば、たとい、その作品に大したアイデアが無くても、著作権によって保護されます。つまり、アイデアと著作性とは、切り離されています。
※ ある著作物が、「著作権法によって保護されるべき」と見なされるには、要件として思想や感情が必要ですが、しかし、その思想や感情のアイデアの利用権は、著作権法では保護しません。
※ 個人的な意見ですが、「著作権では、アイデアが保護されない」と聞くと、なんとなく著作者の権利が軽視されてるような印象を始めはいだくかもしれませんが、アイデア保護しない事の目的はそうではなくて、たとい大したアイデアが無くても作品を著作さえすれば、誰でも著作権者になれる、という意味でしょう。つまり、多くの人が(たとえば、たといプロの芸術家でなくても、たといプロの小説家でなくても)、作品を著作さえすれば、著作権の恩恵を受けられるようにしよう、という意味なのでしょう。


※ ただし、間接的には、不正競争防止法などによって、商品のアイデアが守られる可能性があります。 (※ 不正競争防止法については、情報科の検定教科書の範囲外。記述が見当たらない。ただし、公民科目の「政治経済」や「現代社会」のほうで、ひょっとしたら紹介されてる可能性はあるかも?) 芸術作品だって、それを販売したり商用利用すれば、りっぱな商品でしょう。不正競争防止法により、他社商品と類似しすぎている商品は、規制されます。この規制は、いわゆる「コピー商品」を規制する目的です。たとい模倣品が、完全に同じコピーでなくても、ほとんど同じ機能・形態なら、実質的なコピー商品だろうと見なされ、不正競争防止法などにより規制されます。不正競争防止法による「コピー商品」排除の保護期間は、元ネタの商品の販売開始日から3年間です。

その他の権利

自分の顔や すがた には肖像権(しょうぞうけん)があり、この肖像権によって、顔写真など(自分を特定できる写真)が無断で撮影されるのを拒否できたり、無断で似顔絵などを書かれるのを拒否できる。

肖像権は著作権ではない。また、肖像権についての法律による定めがない。 しかし、日本では、判例などによって肖像権が認められている。


引用や二次利用

引用のさいのルール

文章で書かれた書籍などの文章作品は、必要最低限なら、評論や紹介などの正当な目的なら、一定の条件を守れば、著作者の許可がなくても、自分の作品のいちぶに組み入れて発表できます。

このような、他人に著作物を、正当な手続きのうえで、著作者の許可なく、自分の著作物にとりこむ行為を引用(いんよう)といいます。

引用のさいには、つぎの事が必要になります。

・ もとの著作物の題名および著作者の名称、出版社などを明示すること。出典(しゅってん)を明示するため。
・ 引用された文章は、かぎ括弧(『』や「」など)を付けるなどして、引用された部分を、自分の著作した部分と区別できるようにすること。
・ 必要最低限の量だけ、引用している事。


現代の慣習では、音楽や絵画などは、引用が認められていません。また、歌詞も、引用が認められていません。

なので引用をするさいは、書籍や新聞の、文章だけを引用するのが、安全でしょう。


  • 出典の表示のしかた
・ 書籍から引用する場合 - 最低でも、著者名、その出版物のタイトル、出版社名、出版年、引用ページ番号、を書くこと。(一般に書籍はページ量がとても多いので、どのページから引用したかを書かないと、第三者が確認するさいに手間が掛かってしまう。)
・ インターネットから引用する場合 - 最低でも、URL、ページ名、確認した年月日、を書くこと。(引用後にページ内容が変更される場合があるので、ページをいつ確認したかを表示する必要がある。)
・ 新聞から引用する場合 - 新聞社名、いつの日付の新聞か、朝刊や夕刊かの区別、などを表示する。


  • 著者に連絡すべきかどうか?

引用のさい、著作者にも連絡して許可をもらったほうがいいか、それとも連絡しないべきかについては、議論があります。(※ 検定教科書でも、教科書出版社によって、意見が分かれている。)

「どの程度が『必要最低限』かどうかは人によって基準が異なるので、連絡したほうがイイ」という意見もあれば、「著作者への連絡によって、著作者は連絡に対応させられてしまうため、著作者に時間と手間をかけてしまう。なので、著作権法で『引用』として認められるていどの範囲であれば、無断で引用するべきだ」という意見もある。


※ とりあえず、個人的な見解としては、もし小学校〜高校の教科書や高校生用の参考書で紹介されるていどの著作物であれば、授業や学級新聞など、学校での活動でつかう目的での引用であれば、著者に連絡しないほうが、著作者に手間をかけないで済むだろう(ただし、著者名の表示などの引用ルールは、きちんと守ること)。
たとえば、もし小学校国語の検定教科書に作品が紹介されてる現代文学の作家に、日本中の小学校の生徒や保護者や教員から、その作家に問い合わせが来たとしたら、著者には、かなりの手間が掛かって迷惑であろう。


著作物の二次利用の許可

自由利用マーク

著作者が、じぶんの作ったその著作物を、読者などの利用者が自由に利用してもいいと認める場合には、その意志を表示するためのマークがあります。

たとえば、文化庁のさだめた「自由利用マーク」があります。(※ 中学・高校の検定教科書の範囲内)

※ もし、文化庁の「自由利用マーク」を実際に利用する場合には、文化庁のホームページに細かい決まりが書いてあるので、それを確認のこと。(中学の検定教科書でも、そういった感じのことを呼びかけている。)


※ クリエイティブ・コモンズについては科目「社会と情報」の範囲外。科目「情報の科学」にてクリエイティブ・コモンズについて習う。

フリーウェア、フリーコンテンツの著作権

インターネット上では、著者みずからが無料で公開してるコンテンツ(小説、絵画、音楽などの作品)や、無料で使わせてくれるソフトウェアなどがあります。

このような、無料のソフトウェアを「フリーウェア」「フリーソフト」といいます。また、このような無料コンテンツを「フリーコンテンツ」といいます。あるいは単に「無料ソフト」「無料コンテンツ」などといいます。

これら無料のソフトウェアやコンテンツは、一般に、著作者は著作権を放棄していません。

ユーザが無料で出来ることは、あくまで、ユーザが個人で利用する範囲内です。


ファイル共有ソフトと著作権侵害とウイルス

ファイル共有ソフトを導入したコンピュータどうしのネットワークでは、有料のソフトウェアや有料の動画や音楽などのコンテンツなどを不正コピーしたファイルが、無料で出回っていることがある。

このような、不正コピーは、著作権侵害行為であり、違法行為である。

なお、ファイル共有ソフト自体は、単にコンピュータどうしの送受信の手段のソフトであり、著作権侵害ではないし、違法ソフトでもない。)

しかし、ファイル共有ソフトのネットワークでは、ウイルスも多く出回っており、しかも、それらのウイルスが、アイコンを動画ファイルや音楽ファイルなどのアイコンに偽装している場合もある。

※ 一般のネットワークと異なり、ファイル共有のネットワークには管理者などが居ないので、ウイルスなどが放置されやすい。

このような危険性もあるので、ファイル共有ソフトは、あまり用いないほうが安全である。