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OR回路
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:※ ANDやORの概念については、『[[高等学校情報 社会と情報/検索]]』 を参照せよ。
:※ ANDやORの概念については、『[[高等学校情報 社会と情報/検索]]』 を参照せよ。


== はじめに ==
== ダイオードAND回路 ==
:(※ 普通科の範囲外)
:(※ 普通科の範囲外)
ダイオードという半導体素子を用いた回路により、物理的にANDやORの処理を実行できる。
ダイオードという半導体素子を用いた回路により、物理的にANDやORの処理を実行できる。


結論を先に示すと、{{-}}
結論を先に示すと、{{-}}
:[[File:ANDゲート.svg|thumb|left|AND回路]]{{-}}
[[File:AND,OR,NOT検索.svg|thumb|250px|AND,OR,NOT]]
:[[File:ANDゲート.svg|thumb|200px|left|AND回路]]
[[File:OR-gate of diodes.svg|thumb|230px|left|OR回路]]
{{-}}
である。
である。


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このようにして、ダイオードは、P側の電圧が、N側の電圧よりも高い場合にのみ、電流を流す。
このようにして、ダイオードは、P側の電圧が、N側の電圧よりも高い場合にのみ、電流を流す。


== ダイオードによる論理計算 ==
== AND回路 ==
=== AND回路 ===
:(※ 普通科の範囲外)
:(※ 普通科の範囲外)
:(※ 工業高校教科書でも科目『ハードウェア技術』にしか書いてない!)

[[File:AND,OR,NOT検索.svg|thumb|250px|AND,OR,NOT]]
:[[File:ANDゲート.svg|thumb|left|AND回路]]
:[[File:ANDゲート.svg|thumb|left|AND回路]]
なぜ、この回路図がAND処理なのか、見ていこう。
なぜ、この回路図がAND処理なのか、見ていこう。
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よって、ダイオードを用いた回路で、A and B を計算できる。
よって、ダイオードを用いた回路で、A and B を計算できる。

また、この回路図のように、論理計算のAND計算をできる回路のことを'''AND回路'''という。

=== OR回路 ===
[[File:OR-gate of diodes.svg|thumb|ダイオードによるORゲート]]

電圧は、
{| class="wikitable"
|- style="background-color:#cccccc"
! 条件 A !! 条件 B !! A or B
|- align="center"
| H || H || H
|- align="center"
| H || L || H
|- align="center"
| L || H || H
|- align="center"
| L || L || L
|}

となる。(Hは電圧が高い状態。Lは電圧が低い状態。)


これに、Hを論理計算の「真」に対応され、Lを「偽」に対応させれば、

{| class="wikitable"
|- style="background-color:#cccccc"
! 条件 A !! 条件 B !! A or B
|- align="center"
| 真 || 真 || 真
|- align="center"
| 真 || 偽 || 真
|- align="center"
| 偽 || 真 || 真
|- align="center"
| 偽 || 偽 || 偽
|}

となる。

表から分かるように、図の電気回路は、A or B の計算結果と同じである。

よって、ダイオードを用いた回路で、A or B を計算できる。

また、この回路図のように、論理計算のOR計算をできる回路のことを'''OR回路'''という。

2017年5月24日 (水) 08:43時点における版

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※ ANDやORの概念については、『高等学校情報 社会と情報/検索』 を参照せよ。

はじめに

(※ 普通科の範囲外)

ダイオードという半導体素子を用いた回路により、物理的にANDやORの処理を実行できる。

結論を先に示すと、

AND,OR,NOT
AND回路
OR回路


である。

では、まずダイオードについて、学んでいこう。

ダイオード

(※ 普通科の物理IIでも習う)
ダイオードの順方向。電流は流れる。
ダイオードの逆方向。電流は流れない。

p型半導体とn型半導体を接合し(pn接合)た物体が、一方向のみに電流を流す。

このような部品をダイオード(diode)という。

p側に正電圧を掛け、n側に負電圧を掛けた時、電流が流れる。

いっぽう、p側に負電圧を描け、n側に正電圧を掛けても、電流が流れない。

回路において、ダイオードが電流を流す向きを順方向(じゅんほうこう)という。順方向とは反対向きを逆方向という。ダイオードの逆方向には、電流は流れない。

このように一方向に流れる仕組みは、ダイオードでは、つぎのような仕組みで、電流が流れるからである。

  • p側に正電圧を掛け、n側に負電圧を掛けた時

ダイオードのp側に正電圧をかけ、いっぽうn側に負電圧をかけると、p側では正電極の正電圧からホールが反発して接合面へと向かい、いっぽうn側では電子が負電極から反発して接合面へと向かう。そして、接合面で、ホールと電子がであい、消滅する。この結果、見掛け上、正電荷が、正電極から負電極に移動したのと、同等の結果になる。

そして、正電極から、つぎつぎとホールが供給されるので、電流が流れ続ける。

  • p側に負電圧を描け、n側に正電圧を掛けた時

いっぽう、p側に負電圧を描け、n側に正電圧を掛けた時、p側ではホールは電極(電極には負電圧が掛かってる)に引き寄せられ、接合面からは遠ざかる。同様にn側では電子が電極(正電圧が掛かってる)に引き寄せられ、接合面からは遠ざかる。

この結果、接合面には、余分なホールも余分な電子もない状態となり、よって接合面の付近にはキャリアがなく、この接合面付近のキャリアの無い部分は空乏層(くうぼうそう、depletion layer)と呼ばれる。

そして、それ以降は、ホールも電子も、もうどこにも移動の余地がないので、よって電流が流れない。


このようにして、ダイオードは、P側の電圧が、N側の電圧よりも高い場合にのみ、電流を流す。

ダイオードによる論理計算

AND回路

(※ 普通科の範囲外)
(※ 工業高校教科書でも科目『ハードウェア技術』にしか書いてない!)
AND,OR,NOT
AND回路

なぜ、この回路図がAND処理なのか、見ていこう。

まず、図のCは論理計算「A and B」に対応する結果である。

説明の簡単化のため、Aの電圧は0Vか5Vのどちらかを取るとしよう。同様に、Bの電圧は0Vか5Vのどちらかを取るとしよう。

さて、AとBの電圧の両方とも5V以上の場合にのみ、Cが5Vになる。

なぜなら、

・ もし、AとBの電圧の両方とも5V以上なら、ダイオードに電流が流れないから、5Vがほぼそのまま出力Cに伝わる。(抵抗Rでの電圧降下はあるが、充分に無視できるように、回路を設計してあるとする。)
・ 一方、もし、Aが0Vなら、ダイオードD1が導通する。このとき、オームの法則により、抵抗Rで電圧が5Vぶん低下するので、Cの電圧も0Vになる。よって、Bの電圧が0Vだろうが5Vだろうが、もはやCの電圧は0Vである。

この結果を表にすると、5Vを「H」として、0Vを「L」とすれば、

電圧 A 電圧 B 電圧 C
H H H
H L L
L H L
L L L

となる。

一方、論理計算 A and B とは、

条件 A 条件 B A and B

という計算である。

「真」をHに対応させ、「偽」をLに対応させれば、

表から分かるように、図の電気回路は、A and B の計算結果と同じである。

よって、ダイオードを用いた回路で、A and B を計算できる。

また、この回路図のように、論理計算のAND計算をできる回路のことをAND回路という。

OR回路

ダイオードによるORゲート

電圧は、

条件 A 条件 B A or B
H H H
H L H
L H H
L L L

となる。(Hは電圧が高い状態。Lは電圧が低い状態。)


これに、Hを論理計算の「真」に対応され、Lを「偽」に対応させれば、

条件 A 条件 B A or B

となる。

表から分かるように、図の電気回路は、A or B の計算結果と同じである。

よって、ダイオードを用いた回路で、A or B を計算できる。

また、この回路図のように、論理計算のOR計算をできる回路のことをOR回路という。