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* 玉と金以外は敵側の陣地(敵陣)三段目以内に進むと「成駒」にできる。
* 玉と金以外は敵側の陣地(敵陣)三段目以内に進むと「成駒」にできる。
** 成るときには駒を裏返して配置する。
** 成るときには駒を裏返して配置する。
** 成りは強制ではなく、成らないこと(「不成(ならず)」)を選択することもできる。
** 成りは強制ではなく、成らないこと(「不成(ならず)」)を選択することもできる。ただし不成を選択することができるのは駒が次に動ける場所がある場合のみである。
** 飛・角はそれぞれ[[w:龍王 (駒)|龍王]](龍)・[[w:龍馬|龍馬]](馬)になり、元の動きに加えて自分から一マスの範囲すべてが移動可能になる。
** 飛・角はそれぞれ[[w:龍王 (駒)|龍王]](龍)・[[w:龍馬|龍馬]](馬)になり、元の動きに加えて自分から一マスの範囲すべてが移動可能になる。
** それ以外の駒は、それぞれ銀は[[w:成銀|成銀]]、桂は[[w:成桂|成桂]]、香は[[w:成香|成香]]、歩は[[w:と金|と金]]となり、金と同じ動きが出来るようになる。
** それ以外の駒は、それぞれ銀は[[w:成銀|成銀]]、桂は[[w:成桂|成桂]]、香は[[w:成香|成香]]、歩は[[w:と金|と金]]となり、金と同じ動きが出来るようになる。

2006年11月8日 (水) 10:45時点における版

ルール

基本ルール

  • 縦横9マスずつに区切られた将棋盤の上で行う。
  • 競技者双方が交互に、盤上にある自分のを一回ずつ動かす(「指す」と表現する)か、既に取った相手の駒(持ち駒)を一つ盤上に置く(「打つ」と表現する)かどちらかをすることができる。持ち駒を打つときは元の状態で配置する。成った状態の駒を打つことはできない。
  • 駒は、玉将(玉)または王将(王)・飛車(飛)・角行(角)・金将(金)・銀将(銀)・桂馬(桂)・香車(香)・歩兵(歩)の八種類であり、それぞれ動きが決まっている。
  • 玉と金以外は敵側の陣地(敵陣)三段目以内に進むと「成駒」にできる。
    • 成るときには駒を裏返して配置する。
    • 成りは強制ではなく、成らないこと(「不成(ならず)」)を選択することもできる。ただし不成を選択することができるのは駒が次に動ける場所がある場合のみである。
    • 飛・角はそれぞれ龍王(龍)・龍馬(馬)になり、元の動きに加えて自分から一マスの範囲すべてが移動可能になる。
    • それ以外の駒は、それぞれ銀は成銀、桂は成桂、香は成香、歩はと金となり、金と同じ動きが出来るようになる。
    • 一度成った駒は元に戻すことはできない。
    • 敵陣から出る場合にも成ることができる。ただし、成らないまま敵陣から出た駒はもう一度敵陣に入るまで成ることはできない。
    • 桂は敵陣二段目もしくは一段目に進んだときには必ず成らなくてはならない。同様に、香および歩は敵陣一段目に進んだときには必ず成らなくてはならない(成らなかった場合、移動先がなくなるため)。
  • 自分の駒を動かすとき、動く先に相手の駒があるとき、その駒を捕獲することができ、自らの持ち駒にできる。成った駒は元に戻る。
  • 自分の駒を動かすとき、動く先に自分の駒があるときは、そこに移動することはできない。

駒の動き

元の駒 動き 成駒 動き
玉将(ぎょくしょう)
王将(おうしょう)
全方向に1マス動ける。 - - -
飛車(ひしゃ)
   
   
縦横に何マスでも動ける。
飛び越えては行けない。
龍王(りゅうおう)
飛+玉の動き。
角行(かくぎょう)
 
   
 
斜めに何マスでも動ける。
飛び越えては行けない。
龍馬(りゅうめ、りゅうま)
角+玉の動き。
金将(きんしょう)
   
縦横と斜め前に1マス動ける。 - - -
銀将(ぎんしょう)
   
 
前と斜めに1マス動ける。 成銀(なりぎん)
   
金と同じ。
桂馬(けいま)
 
     
   
前へ2、横へ1の位置に移動できる。
その際、駒を飛び越えることができる。
成桂(なりけい)
   
金と同じ。
香車(きょうしゃ)
   
     
前方に何マスでも動ける。
飛び越えては行けない。
成香(なりきょう)
   
金と同じ。
歩兵(ふひょう)
   
     
前に1マス動ける と金(ときん)
   
金と同じ。

上の表では便宜的に成銀を「全」、成桂を「圭」、成香を「杏」と表示している。この表記は、将棋駒の活字がない環境で(特に詰将棋で)しばしば用いられる。成銀を「全」、成桂を「今」、成香を「仝」、と金を「个」で表す流儀もある。

ゲームの進め方

対局者の棋力の差によって手合割がある程度決まってくる。

棋力が同じくらいの場合、平手戦とする。平手戦の場合、開始時には駒を次のように並べる。

先手から見て、将棋盤の右上のマスを基点とし、横方向に1、2、3、…、9、縦方向に一、二、三、…、九とマス目の位置を表す座標が決められている。棋譜はこの数字を用いて表現される。また、先手は▲、後手は△で示すのが一般的である。

先手・後手は、棋力が同じ程度の者同士であれば振り駒により決定することが多い。棋力に多少差がある場合には弱い者が先手をもつ。棋力の差が非常に大きく、平手では勝負にならない場合、ハンデをつけた駒落ち戦とする場合もある。


駒落ち戦の場合、駒を落とした方を上手(うわて)、落とされた方を下手(したて)という。駒落ち戦では上手から指し始める。

勝敗の決め方

  • どちらか一方が、自分の手番のときにルール上可能な着手(合法手)がなくなったとき、負けとなる。すなわち、玉を追い詰めて王手の回避ができない状態にすれば勝ちである。この状態を「詰み」という。
  • 自分の手番で、自玉に王手はかかっていないが合法手がない場合(チェスで言うステイルメイト)、将棋では負けとなる。
  • どちらか一方が、自分の手番のときに投了することで負けとなる。大抵の場合、自玉が詰み筋に入った場合や、自玉にかかった必至から逃れることができない場合、攻めが切れて相手の玉を詰ませる見込みがなくなった場合に投了する。
  • 同一局面が4回現れた場合千日手となり、無勝負指し直しとなる。ただし、一方の側が王手の連続により同一局面が4回現れた場合は王手をかけ続けた側の反則負けとなる。
  • 先後両者の玉(王)が互いに入玉し、玉を詰める見込みがなくなった場合、判定により勝敗を決める場合がある。この判定法により引き分けとなる場合があり、これを持将棋という。
  • プロの公式戦では制限時間を定め、ストップウォッチまたは対局時計を扱い、時間切れによる勝敗を厳正に定める。プロの公式戦以外では制限時間なしの対局もある。

反則

  • 次の行為は反則と決められており、直ちに負けとなる。
    • 二歩の禁止)成っていない歩兵を二枚同じ縦の列に配置することはできない。
    • 行き所のない駒の禁止)盤上の駒を行き先のない状態にしてはいけない。すなわち、1段目の桂馬、香車、歩兵、2段目の桂馬は配置してはいけない。
    • 打ち歩詰めの禁止)歩を打って玉を詰めてはいけない。ただし、盤上の歩を突いて玉を詰ます突き歩詰めは反則ではない。
    • 自玉を相手駒の利きにさらす手の禁止)自らの着手の後、自らの玉が王手のかかった状態にあってはいけない。すなわち、相手に王手された場合は王手を回避しなければならないし、玉を相手の駒の利きに移動してはならない。
    • 連続王手の千日手の禁止)連続王手での千日手は王手している側が指し手を変更しなければならない。
  • その他、基本ルールに反する行為として、移動のできない場所へ駒を移動する、2手続けて指す、持ち駒を裏返して打つ、駒が成れない状況で成ってしまう、玉や金を成ってしまう、成駒を成っていない状態に戻す、なども反則と考えられる。いったん着手した手を変えることは「待った」として禁じられる。プロの将棋で加藤一二三の行為がこれにあたるとして処分を受けたことがある(銀河戦の項参照)。

その他

  • 将棋は「指す」ものであって「打つ」ものではない。打つのは囲碁連珠である。ただし、持ち駒を盤面に配置することは「打つ」という。
  • 「王手をするときには『王手!』と言わなければいけない」と思っている人がいるが、正式にはそのようなルールは存在しない。
  • 王将と玉将について
    • 将棋駒にはもともと「玉将」しかなかったようであるが、字体の類似も相まっていつの間にか「王将」も使うようになったと言われている。「王将」と「玉将」には実質的には違いはないが、「天に二日なく、地に二王なし」との言葉に基づき「王将」は1枚とし、上位者が「王将」を使い、下位者が「玉将」を使うのが慣例となっている。
    • 玉は金、銀、桂、香などと同じように宝物の名称に基づくものである。よって、意味からすると、王将を「王様」と言うのは本来間違いである。しかし、チェスでは玉将に相当するのは「キング」であるし、「王手」とは言うが「玉手」と言う言葉はない。そのため、玉将を表すのに「王」と「玉」のどちらの言葉を使用しても問題ないと考えられるし、実際問題にしている人もほとんどいない。

戦略と戦術

将棋の戦法一覧将棋の戦法一覧)、将棋の格言なども参照のこと。

ゲームの進行ごとの戦略

一局の対局はおおよそ100手前後(先手・後手それぞれの着手を1手と数える)で勝負がつくが、対局全体を大きく以下の3つに分けることができる。ただし、何手目までが序盤であるかなど、明確な線を引くことは通常はできない。

  • 序盤 - 初手から駒組みが完成するまでのおおよその間。
  • 中盤 - 駒組みが完成し、両軍の駒のぶつかり合いが始まってから、劣勢の側または両者の玉の囲いが崩れ始めるまでのおおよその間。
  • 終盤 - 劣勢の側または両者の玉の囲いが崩れ始めてから、終局までの間。

序盤戦

序盤戦はまず自軍の陣形を整えることから始まる。多くは定跡化されており、その知識と研究に加えて、相手の動きを見ながら先々の有利を見据える大局観が重要となる。詳しくは将棋の戦法一覧を参照のこと。

初手は角道を開ける▲7六歩か飛車先の歩を突く▲2六歩のどちらかが常識とされ、ほとんどの対局はこのどちらかで開始される。

基本的には金や銀を使って玉の守りを固め(囲い)ながら、歩や銀、桂、大駒を繰り出して敵を攻める体勢を作ることになる。囲いを簡略化してすぐに攻めに入ることを急戦といい、じっくりと固めてから戦いに入ることを持久戦という。

戦法は、飛車を初期位置から動かさずに攻める居飛車と、左へ動かして展開する振り飛車の二通りに大別され、それぞれに定跡が研究されている。ほとんどの将棋指しは居飛車を好む「居飛車党」と振り飛車を好む「振り飛車党」のどちらかに大別されるほどである。

双方が囲い合い、駒のぶつかり合いが始まると中盤戦に突入する。

中盤戦

中盤戦は、駒を取り合い、敵陣に切り込んで相手の囲いを崩しに行く戦いになる。駒の損得と働きが重要になる。

銀、桂、歩などを繰り出しながら相手の駒を攻めて駒得を狙い、敵陣に攻め入って龍、馬やと金などを作って相手玉の囲いを脅かすこと、またそのような相手の攻めを防ぐ(受ける)攻防が主となる。攻めと受けのどちらに主眼をおくかによって個人の棋風が良く現れる部分である。

一方または両方の囲いが崩れ出すと、終盤戦に突入する。

終盤戦

終盤戦では、いよいよ相手の玉を詰ましに行く(寄せる)戦いになる。駒得よりも玉を寄せるスピードが重要となり、正確な読みの力が重要となる。コンピュータが得意とする部分でもある。

囲いを崩しながら相手玉に迫り、詰めろをかけ続け、最終的には詰将棋のように王手の連続で詰みまで持って行くことになる。お互いに玉に迫りあっている場合、相手への詰めろを一手外すと逆に自玉にかけ返されてしまうので、一手の緩手で勝敗がひっくり返ってしまうこともある重要な局面である。

一方的な場合は詰められるのを逃れるために逃げ道を確保する。入玉を目指し早めに逃げることもある。

駒の価値

玉将は別格として、駒の価値はおおむね次のような順であるとされている。

  1. 飛車、角行
  2. 金将、銀将
  3. 桂馬、香車
  4. 歩兵

飛車と角行を大駒といい、それ以外を小駒という。ただで相手の駒を手に入れたり、価値の低い駒を捨てるかわりに価値の高い駒を手に入れたりすることを駒得(こまどく)といい、一般的には有利になる。その反対は駒損(こまぞん)という。同列の中では角行より飛車、銀将より金将の方がわずかに価値が高いとされるが、それは状況により変化する。序盤の角と飛車の交換は角の方が有利ともされる。

角と銀+桂など、大駒1枚と歩以外の小駒2枚を交換することを二枚替えといい、一般的には小駒2枚を得た側が有利とされる。ただし大駒と桂香2枚の交換では大駒を得た側が有利になりやすい。

交換した駒は再利用することが前提なので、成駒と元の駒の価値は交換に関してはあまり変わらない。また持ち駒をすぐに敵陣近くに打ち込めるため、成りが目前の歩だからといって特に価値が跳ね上がるようなこともない。チェスポーンが二段目、七段目、クイーン昇格後で価値が全く異なるのとは対照的である。

これらの駒の価値は中盤戦で特に意識される。終盤では駒得より詰ますスピードが重要なため、あまり重視されない。