「竹取物語 かぐや姫のおひたち」の版間の差分
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2006年12月2日 (土) 15:40時点における版
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かぐや姫のおひたち
1今は昔、竹取の |
今となっては昔のことだが、竹取の翁というものがいた。
野や山に分け入って竹をとっては、様々なことに使っていた。
名前をさぬきのみやつこまろと言った。
その竹の中に根元が光っているものが一本あった。
不思議がって近づいてみると、竹の筒の中が光っていた。
それを見ると、三寸ほどの人がたいそうかわいらしく座っていた。
翁が言うことには、 |
- 今は昔
- 物語のはじめの決まり文句。
- けり
- 過去の助動詞。助動詞「き」との違いは、「き」が直接経験した過去の意味をあらわすのに対し、「けり」は人から伝え聞いたことの回想をあらわすことである。
- つつ
- 反復・継続の意味の接続助詞。ここでは、「竹をとる」という動作と「よろづのことにつかふ」という動作が同時に行われていることをあらわす。
- をば
- 格助詞「を」に係助詞「は」が付き、「は」が連濁を起こしたもの。「を」を強調する。係助詞「は」の結びで文末の「けり」が連体形の「ける」になっている。
- 讃岐造麿(さぬきのみやつこまろ)
- 竹取の翁の名前である。讃岐氏は朝廷に竹細工を献上していたとされる。
- なむ
- 係助詞。係り結びで文末「ける」は連体形で結ばれている。
- 美しう
- にて
- 理由や原因をあらわす接続助詞。
- なめり
- ば
- 順接の接続助詞。ここでは、前の語「幼けれ」は已然形であるので確定条件である。
竹取の |
竹取の翁はこの子を見つけて以後、竹を取ると、節を隔てて空洞ごとに黄金が入っている竹を見つけることが何度もあった。 このようにして、翁はだんだん豊かになっていく。 この子を育てると、すくすくと大きくなっていく。 三か月ほどたった頃に、成人したので、髪上げなどをあれこれ手配して、髪上げし裳着を行った。 帳台の中からも出さず、心をこめて大切に育てる。 この子の顔だちの美しいことは世に類がなく、家の中は暗いところなど無いほど光に満ち溢れていた。 翁は気分が悪く苦しいときでも、この子を見ると苦しいこともなくなった。 腹立たしいことも気が晴れた。 |
- よ
- 竹の節と節の間の空洞のこと。
- かくて
- このようにして、の意。
- ほどに
- 理由や原因をあらわす。
- よき程
- かぐや姫は、三か月で十二、三歳のように育ち、成人した。
- 髪上げ
- 平安時代、女性は成人(十二、三歳ごろ)すると、髪を結い上げた。これを「髪上げ」という。
- 裳着
- 「裳」は女性が腰から下にまとう衣。女性が成人すると、髪上げと同時に、裳着の式が行われた。
- 世になし
- 世の中に比類がない、の意。
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翁は竹を取ることが長くなった。 財力の大きい者になった。 この子の背丈がたいそう大きくなったので、三室戸斎部秋田を呼んで名前をつけさせた。 秋田は、なよ竹のかぐや姫、と名づけた。 この三日間は酒盛りをして楽しむ。 管弦や歌舞などありとあらゆる遊びをした。 男も女も分け隔てなく呼び集めて、たいそう盛大に楽しんだ。 |
- 久しく
- 長い時間が経過する、の意。
- 勢猛
- 大きな財力や権力がある様。
- なよ竹
- 竹が柔らかくしなる様子を形容する語。しなやかな女性に対しても用いる。
- 遊ぶ
- 現代語とは意味が違い、歌舞や管弦をして楽しむ、の意。
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