「不動産登記法第6条」の版間の差分

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*香川保一 「新不動産登記法逐条解説(88)」『登記研究』716号、テイハン、2007年、57頁・60-61頁
*香川保一 「新不動産登記法逐条解説(88)」『登記研究』716号、テイハン、2007年、57頁・60-61頁


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2010年9月22日 (水) 21:40時点における版

法学民事法不動産登記法コンメンタール不動産登記法不動産登記令不動産登記規則不動産登記事務取扱手続準則

条文

(登記所)

第6条

  1. 登記の事務は、不動産の所在地を管轄する法務局若しくは地方法務局若しくはこれらの支局又はこれらの出張所(以下単に「登記所」という。)がつかさどる。
  2. 不動産が二以上の登記所の管轄区域にまたがる場合は、法務省令で定めるところにより、法務大臣又は法務局若しくは地方法務局の長が、当該不動産に関する登記の事務をつかさどる登記所を指定する。
  3. 前項に規定する場合において、同項の指定がされるまでの間、登記の申請は、当該二以上の登記所のうち、一の登記所にすることができる。

解説

本条の趣旨

本条は、不動産登記に関する事務を行う行政機関について定めたものである。

本条の根拠として法務省設置法がある。すなわち、登記に関する事務は法務省の所掌事務とされ(同法第4条第21号)、この事務を分掌するために法務局及び地方法務局が置かれている(同法第15条第18条第1項)。更に、法務大臣は、法務局又は地方法務局の所掌事務の一部を分掌させるために法務局又は地方法務局の支局を置くことができるとされており(同法第19条第1項)、また、法務大臣は、法務局もしくは地方法務局又はその支局の所掌事務の一部を分掌させるために法務局もしくは地方法務局又はその支局の出張所を置くことができるとされている(同法第20条第1項)。

なお、法務局及び地方法務局の名称・位置・管轄区域は、法務省組織令に定められている。ただし、法務局又は地方法務局の支局、出張所又は支局の出張所を置く場合においては、法務省令の定めるところにより、法務局又は地方法務局の管轄区域(法務局長が管轄区域内の地方法務局の事務を指揮監督する事務以外の事務の管轄区域を)をその一部に限ることができるとされている(同令第71条第68条第2項)。また、法務省組織規則第28条において、法務局及び地方法務局については、法務局及び地方法務局の支局及び出張所設置規則等で定めるとされている。具体的にいずれの不動産の所在地がいずれの登記所の管轄に属するかは同設置規則に定めれらている。ただし、登記事務委任規則により、一部事務が他に委任されている場合がある。

2項の諸問題

本項における不動産とは建物のことである。土地については複数の登記所の管轄区域にまたがることはない。この理由は以下のとおりである。すなわち、1筆の土地には1つの地番が付され(不動産登記法第35条)、その地番は地番区域ごとに起番して定められ(不動産登記規則第98条第1項])、その地番区域は市・区・町・村・字又はこれに準ずる地域をもって定められるのである(同規則第97条])が、1筆の土地の一部が地番区域を異にすることとなったときは、登記官は職権で当該土地の分筆の登記をしなければならない(同法第39条第2項)。そして、分筆した土地が他の登記所の管轄に転属したときは、同規則第32条第1項の規定により、登記官は当該土地の登記記録等を当該他の登記所に移送しなければならない。よって、土地が複数の登記所の管轄区域にまたがることはない。

本項にいう法務省令とは、不動産の管轄登記所等の指定に関する省令のことである。同省令第1条によれば、指定者は以下のようになる。

  1. 数個の登記所が同一の法務局又は地方法務局管内の登記所である場合、当該法務局又は地方法務局の長(同省令第1項第1号
  2. 上記1の場合を除き、数個の登記所が同一の法務局の管轄区域(法務省組織令(平成12年政令第248号)第68条第2項 の事務に関する管轄区域をいう。)内の登記所である場合、当該法務局の長(同省令第1項第2号
  3. 上記1及び2以外の場合、法務大臣(同省令第1項柱書

上記の管轄指定に関する具体的な手続きについては、不動産登記事務取扱手続準則(2005年(平成17年)2月25日民二第456号通達。以下「同準則」という。)に規定がある。上記1の場合には同準則別記第1号様式、上記2の場合には同準則別記第1号様式に準ずる様式、上記3の場合には別記第2号様式による指定請求書により、それぞれの指定者に請求することとされている(同準則第2条)。そして、上記1及び2の場合において、指定者が管轄登記所を指定するには、同準則別記第3号様式による指定書によりすることとされている(同準則第3条)。以上の請求書及び指定書の様式は以下のとおりである。

法務局長又は地方法務局長に対する管轄登記所指定請求書。「下記建物」という文言に要注目。
法務大臣に対する管轄登記所指定請求書
管轄登記所指定書

3項の申請があった場合の処理

概要

本条第3項の規定に従って登記の申請をした場合において、申請を受けた登記所が管轄登記所に指定された場合は問題ない。申請を受けた登記所でない登記所が管轄登記所に指定された場合にいかなる処置を講ずるべきかが問題となるが、これについては不動産登記規則第40条に規定がある。

申請を受けた登記所での処理

登記の申請を受けた登記所の登記官は、管轄指定がされた他の登記所に当該申請に係る事件を移送し(不動産登記規則第40条第1項)、申請人に対してその旨を通知することとされている(同規則第40条第2項)。この移送は同準則別記第10号様式による移送書により、配達証明付書留郵便をもってすることとされており(同準則第11条第1項・第2項)、その様式は以下のとおりである。

管轄指定がされた場合の移送書

管轄指定がされた登記所での処理

管轄指定がされた登記所の登記官は、当該指定に係る不動産について登記を完了したときは、速やかにその旨を他の登記所に通知することとされている(不動産登記規則第40条第3項)。この通知は同準則別記第73号様式による通知書によりすることとされており(同準則第118条第5号)、その様式は以下のとおりである。

管轄区域がまたがる場合の登記完了通知書

登記完了通知発信後の処理

登記完了通知を受けた登記所の登記官は、適宜の様式の帳簿にその通知事項を記入することとされている(不動産登記規則第40条第4項)。この帳簿には、登記をした登記所の表示及び不動産所在事項(不動産登記規則第1条第9号参照)を記載するものとされている(同準則第119条第1項)。

登記完了通知後、通知事項に変更を生じた場合、通知をした登記官は、速やかに同準則別記第86号様式により、変更事項を他の登記所に通知するものとされている(同準則第119条第3項)。そして、この通知を受けた登記所の登記官は、上記の同準則第119条第1項の規定により記載した事項の次に変更事項を記載して変更前の事項を朱抹し、備考欄に「平成何年何月何日変更」と記載して登記官印を押印するものとされている(同準則第119条第4項)。なお、この変更登記の通知書の様式は以下のとおりである。

建物表題部変更登記通知書

参照条文

判例

参考文献

  • 香川保一 「新不動産登記法逐条解説(88)」『登記研究』716号、テイハン、2007年、57頁・60-61頁



前条:
不動産登記法第5条
(登記がないことを主張することができない第三者)
不動産登記法
第2章 登記所及び登記官
次条:
不動産登記法第7条
(事務の委任)


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