「政治学概論」の版間の差分

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国家社会主義、社会資本主義の加筆
(企業資本主義、社会資本主義について加筆)
(国家社会主義、社会資本主義の加筆)
 
=== 資本主義体制 ===
資本主義(capitalism)という経済体制は市場(market)における買い手と売り手の自由な取引に基づいている。その一般的な特徴としては、交換によって財やサービスが各人に分配されること、個々人が生産手段を保有すること、市場の法則にしたがって経済が運営されていること、そして原則的に自己利益によって経済活動が動機付けられていることなどがある。ここでは資本主義の二つの異なる制度について解説する。
 
==== 企業資本主義 ====
==== 社会資本主義 ====
[[ファイル:Friedrich List.jpg|thumb|right|150px|フリードリヒ・リスト(1789年-1846年)はドイツの経済学者。就労しながらテュービンゲン大学で学び、大学教授となるが、後にアメリカへ亡命した。経済学の研究で歴史学派の古典的業績を示し、経済が発展するために経なければならない段階や保護関税の意義について論じた。著作には『政治経済学の国民的体系』、『ドイツ人の政治的・経済的国民統一』など。]]
社会資本主義(social capitalism)はヨーロッパで発展した資本主義の形態であり、特にドイツ、オーストリア、スウェーデン、フランスなどで認められる。社会資本主義の経済体制はスミスの市場経済の古典的な理論よりもフリードリヒ・リストの経済理論に基づいて解説することができる。リストは政治権力の経済的な重要性を強調しており、外国から国内の幼稚産業を保護することの意義を論じる。リストによれば、その社会の経済が発展するためには一定の段階を経なければならず、したがって諸外国との競争関係の中でその社会が経済発展するためには産業基盤が成熟するまでの政府の保護が求められる。またリストは生産力の源泉には知的教育や法的秩序、社会制度など社会全体の精神的要素も含まれている。このようなリストの立場から見れば、資本主義体制にはその経済社会の発達段階や形態の相違が認められなければならない。また社会資本主義体制においては社会市場(social market)の機能が不可欠であり、れはとがミュラー・アルマックにより提唱されている。社会市場は市場原理に加えて社会福祉や公務員制度を通じて整備された社会制度により調整された市場である。社会市場はより幅広い社会的目標を達成するための市場であり、自由市場と比べて協調を重視する。社会資本主義の利点は1960年代までのドイツが奇跡的な経済復興を達成したことに示されている。社会資本主義においては、社会市場の機能に基づきながら労働力を教育訓練によって熟練させ、科学技術の維持発展を可能とする。しかし、社会資本主義は一方でグローバリゼーションのように市場構造の変化に対応する上で硬直的な経済体制であり、またこのような経済体制を維持する上で社会全体が支払わなければならない費用は自由市場と比べれば高くなる。第二次世界大戦後にドイツはこの社会資本主義のシステムを採用しており、ドイツの経営組織はもこれに対応して社会的パートナーシップに基づいて構成されていた。社会資本主義が社会と市場を結び付ける経済体制であるという主張に対する反論として、このような社会市場を管理するための費用は国際競争の激化や経済の福祉的機能の弱化を背景に有効性が低下しつつある
 
=== 社会主義体制 ===
社会主義(socialism)は市場ではなく計画(planning)に基づいた経済体制の類型である。その一般的な特徴としては、少なくとも理論上においては、まず各人の欲求を充足させるための体系性を備え、社会における富は経済の指令を発する部門によって公的に管理されており、経済計画に基づいて資源が効率的に分配されることになる。さらに労働が協働に基づいて実施されていることも特徴の一つである。ここでは社会主義の経済体制をさらに二つの類型を用いることによって説明する。
 
 
==== 国家社会主義 ====
[[ファイル:JStalin Secretary general CCCP 1942.jpg|thumb|right|150px|ヨシフ・スターリン(1878年-1953年)はソヴィエトの政治指導者。ロシア革命の活動家として共産党に参加し、レーニンの死後に政権を掌握した。国家社会主義の経済政策として富農の撲滅や農業の集団化を政策として実践し、またマルクス主義の思想にロシアのナショナリズムの概念を導入した。著作には『レーニン主義の基礎』、『マルクス主義と民族問題』などがある。]]
国家社会主義(state socialism)とは一般的には国家の計画の下に経済を運営する経済体制であり、歴史的に1917年のロシア革命において成立したソビエト連邦の経済体制に認められる。この経済体制は1920年代のレーニンによる新しい経済政策によって組織され、スターリンにより1930年代に本格的に始動した。国家社会主義は国家の集産化、つまり全ての経済資源を国家の管理下に置くことに基づいている。ソビエトでは指導計画のシステムが経済政策を左右しており、共産党の最高組織がその計画を運営することが可能となっている。中でも国家計画委員会がその中心的な役割を担っており、経済全体におよぶ資源の再配分と取引の統制、価格の調整、徴税などの業務を掌握している。このような経済計画を実施する上では経済相の責任の下に国家が管理する銀行、工場、商店、集団農場などの企業の労働指導として実行される。ソビエト以外の現代の事例ではキューバの経済体制があり、キューバは国家による計画に基づいて経済が運営されており、教育部門や医療や福祉の部門では無償でサービスを受けることが可能となっており、ほぼ全ての国民がサービスを受けている。しかしながら、計画に基づいた国家社会主義の経済体制では経済計画を立案する上での困難がある。経済全体を計画するために必要な情報は膨大かつ複雑なものであり、国家組織がそれらの情報を集約して適切な計画を作成するためには大きな労力と費用が必要である。しかも、計画は時間の経過とともに更新されなければならず、経済の成長や変動に伴って見直され続けなければならない。計画立案だけでなく計画を実施する段階にも困難があり、ソビエトの労働者は必ず仕事を持っていたが、失業する事態や賃金待遇が改善される機会がないために彼らを労働意欲を刺激することが難しかった。政治的問題としてミロヴァン・ジラスは1957年に西欧の資本主義社会における資本家の階級に対応し、国家社会主義体制で計画を立案する官僚制が新しい階級となっていると指摘した。このような批判者は国家社会主義の経済体制が実際には経済的資源の適切な分配を行なっておらず、一部の国家組織のエリートにより集中してしまっているために、国家資本主義(state capitalism)の経済体制となってしまっていると考えた。
 
==== 市場社会主義 ====
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