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大学受験の話題に関連し、いわゆる大卒就職での「学歴フィルター」について記述。
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高校生にも、進路について説明をする能力が必要です。たとえ自分の希望する進路が保護者に通らない場合があるとしても、その場合でも論理的に自分の希望進路を伝え、保護者との妥協点をさぐる能力が高校生には求められるのです。
高校生にも、進路について説明をする能力が必要です。たとえ自分の希望する進路が保護者に通らない場合があるとしても、その場合でも論理的に自分の希望進路を伝え、保護者との妥協点をさぐる能力が高校生には求められるのです。

== 大学進学するべきか? ==
*国家資格などを取りやすくなる。
大学を卒業していると、いくつかの国家資格を取得しやすくなります。資格によっては、大学を卒業しないと受験できない場合もあります。(教員免許など。)

国家資格によっては、特定の学科を卒業していないと、取得に必要な実務経験が長くなる資格もあります。

ただし、資格を持っていても、簡単に就職できるとはかぎりません。
また、近年の規制緩和などの流れにより、いくつかの資格の価値が下がっています。


*企業の採用活動は学歴重視
日本の多くの企業は、採用活動では、出身校の評判などの学歴などの肩書で評価します。

さて、日本の大企業は、自社の幹部候補を原則的に、難関の有名大学(主に国立大)の大卒以上から選ぶという慣習があります。下請け企業などの中小企業でも、大企業を真似して、学歴重視に倣う企業が多いです。

なので、そこそこ知名度の高い大学を出てると、出世が早くなって、得をするかもしれません。


企業の採用活動では、学生個人の学力は評価しません。そもそも企業の採用活動では、学力試験や実技試験などの試験は、ほとんど行いません。

仮に採用試験で1次試験などとして筆記試験が行われても、あまり専門的な学力を重視しないのが普通で、中学レベルの数学などのパズル的な問題を出したりすることが多いです。

ともかく、企業は学歴で採用活動の第1選抜をします。


日本の大企業の採用試験では、学力や専門知識をほとんど重視しないくせに、なぜ学歴だけにはコダワリ、難関大卒以上の社員に限定して幹部候補として扱い、高卒や一般大学などを幹部候補にしないのかは、非常に理解に苦しみます。

ですが、当面の間は、大企業や、大企業の下請け企業では、こういった慣習が続くでしょう。



== 大学受験で浪人するべきか? ==
== 大学受験で浪人するべきか? ==
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このため、「浪人は多くても2年まで」しかさせない家庭も、あります。
このため、「浪人は多くても2年まで」しかさせない家庭も、あります。

=== 学歴フィルター ===
日本の大企業の採用活動では、大学卒・大学院卒の採用では、学校の偏差値や知名度などで足切りをして、採用の是非を決めます。
いわゆる「'''学歴フィルター'''」と言う選別です。学歴フィルターで見られるのは、けっして大学卒業時の学力ではなく、入学時の大学の偏差値です。どんなにアナタの大学入学後の学力が高かろうが、企業の多くは入学後の学力なんてチェックしません。
たとえ就職活動で企業によっては筆記試験があっても、多くの場合の試験問題は、中学レベルの国語や数学と、大学レベルの英語の試験の問題しか出ません。

*文系の場合の、学歴フィルター
特に文科系の大学の場合は、文科系の学生の人数が多いので、偏差値による学歴フィルターが、文科系では、より強くなると考えられます。
文科系の場合、学科の種類は、あまり学歴フィルターには、されません。主に、入学時の偏差値が学歴フィルターです。


*理系の場合の、学歴フィルター
たとえ理科系の大学ですら、例外として国家試験のある医学部や薬学部などを除けば、多くの学部の新卒時の就職活動では専門分野の学力なんてチェックされません。

理科系の大学にも入学時の大学の偏差値による学歴フィルターはありますが、偏差値よりも学科のちがいによる学歴フィルターや、国立大学と私立大学とのちがいの学歴フィルターや、教授のコネなどによる研究室の評判などの学歴フィルターのほうが強いでしょう。

理系の場合、研究室の評判の良い大学は、国立大学に多いです。(「実際に、国立は研究レベルが高い」だなんて本文では言ってない。)
日本政府の大学教育の予算配分は、国立大学の東京大学を中心にして、研究費を予算配分しています。なので、国立大学のほうが、予算の都合から、評判の良い研究室が集まります。
研究テーマによっては予算の大きく掛かる場合もあり、予算の足りない私立大学などでは、最初からそのテーマ自体の研究室が存在しない場合もあります。
理系の場合、研究予算や設備が無いと、そもそも研究を行えない分野もあります。

なので、なるべく予算の多い国立大学に進学するほうが、大企業の就職には便利でしょう。

つまり、企業は学生の研究のセンスなんて、採用時に、ほとんど評価していません。企業が評価するのは、出身校の評判です。そもそも企業は、特定の大学の研究室での研究テーマなんて、知りません。なぜなら、日本には多くの大学があり多くの研究室があるので、いちいち研究室の内部なんて、企業は調べないのです。


*大企業にとっての学歴フィルターの必要性
採用する企業側の大企業からすれば、志望者が多いので、なんらかの方法で、書類選考などで機械的に選別する必要があります。書類審査で見る肩書は、保有資格など、あるいは英語の検定試験のTOEICやTOEFLだとか、あるいは簿記検定だとか、資格や検定などの書類選考による救済措置も'''少しは'''ありますが、実質的に多くの学生は学歴で選別されることになるだろうと考えられます。

大学に入ってからの学業には、意外と時間が掛かり、あまり資格試験の対策などを行う時間がありません。税理士や公認会計士や司法書士などの難関の国家資格などは、ほとんどの人は卒業までには資格を取れないのが実情です。

結局、多くの大卒は、就職活動時に学歴以外には肩書が無いことになります。


*大企業を無視する必要性
専門性よりも偏差値や肩書を重視する学歴フィルターが不満ならば、いっそのこと、最初から、その手の大企業を目指さないという手もあります。

学歴フィルターは、裏を返せば、専門性が問われていないのです。「代わりになる人材は、いくらでも居る」というわけです。だから、専門職を目指したい人は、そういった専門知識を要求されない学歴フィルターの強い業界を、進路からは遠ざけるほうが良いかもしれません。

学歴フィルターを設けているのは大企業に多いですが、たとえ現在は大企業であっても、かならずしも将来も大企業という保障はありません。
それに仮に大企業に就職できても、専門分野の仕事を続けられる保障はありません。経営状況によっては現在の事業から撤退したり、人員削減により大幅な解雇を行う場合もあります。


== 高卒で就職する場合 ==
== 高卒で就職する場合 ==

2014年5月28日 (水) 13:25時点における版

小学校・中学校・高等学校の学習 > 高等学校の学習 > 高校生活ガイド
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※注意 編集者の主観的な処世術も、本ページには書かれているだろうと思われるので、このページは、せいぜい参考程度にして、このページをあまり信用しすぎないようにして頂きたい。

また、普通は、学校の入学時に新入生対象の説明などが行われるはずなので、それらを参考にしたほうが無難だろう。どうしても学校生活が上手く送れない場合には、このページよりも市販の専門書などを参考にしたほうが安全だろう。


中学との違い

  • 高校は義務教育では、ありません

高校教育は日本では義務教育でないため、高校側には、あなたに教育を受けさせるという「教育の義務」は、ありません。

  • 非行の処罰は、中学より重い。

高校が義務教育でないこともあり、また法律上の少年法や刑法の関係などから、高校生が非行や犯罪を行った場合、学校側から停学や退学の処分をされる可能性が、中学生と比べて、高まっています。なお、一般に、高校から先の大学や短大では、高校よりも更に悪質行為の処分が厳しくなります。

  • 進級基準が中学よりも厳しい。

中学では学校にキチンと通学していれば、余程の非行や余程の学業不振が無い限りは、普通に進級できます。ですが、高校では成績が悪いと、けっこう、留年をさせられる場合があります。 特に進学校や私立学校の場合には、進級基準が厳しい場合があるので、注意が必要です。 進級基準が厳しい学校の場合、たとえ学生が大学入試レベルの問題がスラスラと解ける学生であったとしても、学校での成績のみが判断材料になるので、定期試験の成績が悪いと留年処分を受けるのが一般です。

というわけで、高校生は 定期試験前に試験対策勉強をしないと、留年する可能性がある。

高校生は、5教科をかたよりなく勉強する必要があります。 5教科だけでなく、家庭家とか保健体育の定期試験も試験対策が必要です。一般的に、一科目がとても得意でほかの科目が苦手なバラつきの大きい学生よりも、全科目が満遍なくソコソコ出来る学生の方が、高校での学業はラクです。

たとえ、どんなに国数英の3教科や国数英理社の5教科が得意な学生でも、保健体育や家庭科の成績が悪いと進級基準に到達せず留年になる場合もあります。

たとえば高校側の設定する進級基準が「3科目以上の科目で赤点(不合格点)をとった場合は留年とする」という基準の場合、保健体育と家庭科と生物の合計3科目で赤点を取ると、学校が追試をさせてくれない場合は、どんなに数学や英語の成績が高くても機械的に留年に処分される場合が考えられたりと、この基準は意外に厳しい基準です。

ほかの例では、文科系の学力が高い高校に理系が得意で文系科目が苦手な理系の生徒が進学してしまったり、あるいは逆パターンで理系の学力が強い高校に文系科目が得意で理系が苦手な文系生徒が進学してしまった場合も、苦手科目で赤点を数個ほど取って留年に処分される場合があります。

特に、このように多数の文系生徒の中に少数の理系生徒がいるような場合、高校側は多数派の文系生徒に合わせた進級基準を設けるので、少数派の理系生徒にとっては厳しい進級基準の場合があります。多数の理系生徒の中に少数の文系生徒がいる場合も同様です。

高校生にとっては、定期テスト対策以外の事も色々と勉強をしてみたいと思うかもしれませんが、現実問題として、このような定期試験の結果のみから機械的に判定する進級基準を定める高校が存在する以上は、生徒の側は対策を取らざるをえないのが実情です。

大学に進学しても、進級基準は同じように、学校での成績のみから機械的に進級/留年を判定し、学校以外での学力は考慮されないので、大学進学後のテスト対策の練習だとでも割りきって、高校でもテスト対策を勉強しましょう。

  • 芸術科目の選択性。

普通科高校での芸術科目は、音楽・美術・書道・工芸の中からどれか一つを選ぶ選択制になっています。一年では芸術科目が必修になっていることが多いと思います。 芸術科目を2つ以上履修することは出来ないのが一般です。


  • 中学技術科に対応する高校科目が無い。

中学にあった技術・家庭科の技術分野は、高校では技術分野が消えて家庭分野のみの家庭科になっています。普通科高校では、職業教育は、ありません

  • 選択科目が多くなる。

学校にもよりますが、法律で定めれれている必修科目や学校が定めた必修科目はあるものの、それら必修以外の科目は選択科目になります。

    • 主な選択科目(2013年度以降)
      • 地歴科:世界史A・B、日本史A・B、地理A・B(世界史A・Bはどちらかを必ず履修しなければなりません)
      • 公民科:現代社会、倫理、政治経済
      • 理科:化学基礎・物理基礎・生物基礎・地学基礎、物理・生物・化学・地学

特に高校3年からは、選択科目が多いのが普通で、高校3年で習うと思われる数学IIIや物理・生物・化学・地学などは、選択科目になっているのが一般的です。

また、普通科高校の課程で扱われる全ての科目を、選択科目もふくめて全科目を履修するのは、授業時間の理由で不可能です。

  • 普通科では文系と理系に分かれる。

選択科目が多くなることと関係していますが、普通科では一般的に3年の始めごろから国英社を中心に学ぶ文系、理数を中心に学ぶ理系にクラスが分けられる学校が一般的です。学校によっては2年に文理のコースが別れる学校もあります。

多くの高校では、3年生までに文理のコースが分かれます。 文理のコースが別れる学校の場合、文系コースと理系コースでは学ぶ内容が大きく変わるので、大まかな志望進路(理系志望か否か)は2年の終わりごろまでに決めておかなければなりません。

少数例ですが学校によっては分かれずに文系志望の生徒にも理系科目を教える文理共通の高校の場合もあります。

なお、英語科目は文系・理系ともに入試で要求されることが一般的なので、「英語が苦手だから理系」という選択は避けましょう。 文科と理科の両方を学習したくて悩んでいる場合には、とりあえず理系コースを選択するのが一般的です。

2年で文理コースが別れる学校の場合、3年になってから文系から理系に、理系から文系に変えることはできるでしょうが、非常に不利です。特に理系に変える「理転」は、ほぼ無理です。

なぜなら、日本の大学の多くは文科系の私立大学なので、もし高校で文系コースを選択した場合、実質的には私立大・文系コースである場合が多く、理系科目の教育は文系コースでは文科省の定める最低基準以外には全く教育されないのが現実だからです。

理系コースの場合、3年になってからも新しいことを3年の2学期終わり頃までは授業で習いますが、文系の3年生の授業では復習中心で2年生終わり頃までに習った知識を用いた入試対策や過去問演習などの復習が増えてきます。また、文系では理系の生徒が学ぶ科目である数学IIIは履修することができず(特に進学校の理系では2年の終わりから数学IIIに入ることもある)、授業が行われる理科も1科目のみということが多く(理系では2科目が一般的)、3年になってから理転しようとしてもスタートラインから極めて大きな差ができてしまうのです。よって、文系コースから理系に「理転」すると、全く習ってないことが続出するので、ほぼ浪人が確定です。

なお、そもそも大学進学には、別に高校で特定の科目を履修する必要は無いので、文系コースに通ってても理系大を受験することは出来ます。理系コースの出身で文系大を進学することも可能です。

ですが、先ほども述べたように、文系コースから理系大に進学するのは、現実的に無理です。文理のどちらかで悩んでいる場合、たとえば理系大に進学したいのだが、文系科目も学習したくて悩んでいる場合には、とりあえず学校のコースは理系コースを選択するのが一般的です。

  • 学科によって教育内容が大きく変わる。

高校では普通科のほかに商業科や工業科など、普通科以外の学科もあります。

学業をどうするか?

  • 定期試験が難しくなる。

学校にもよりますが、中堅レベル以上の普通科高校の場合、高校の定期試験では、中学と比べて試験問題が難しくなるのが一般的です。教科書自体が中学と比べて内容が高度だし、また大学受験に対応するため、定期試験に難しい問題も出される場合があります。

このため、定期試験の試験対策をしないと、定期試験で赤点を取る可能性が高いです。また別の節でも説明してますが、高校では中学よりも進級基準が厳しいので、中学よりも留年しやすいので注意が必要です。

  • 赤点について

定期試験の結果が基準点を下回ると赤点(不合格点)となります。学校によりますが、おおむね「固定された点数(30点など)未満」か「平均点の半分未満」だと赤点となります。赤点をとってしまった場合にはいくつかの処置がとられます。

  1. 補習参加の上、追試で一定点をとれば合格とする。
  2. 補習はないが、追試で一定点をとれば合格とする。
  3. 補習参加の上、課題を提出すれば合格とする。追試はない。
  4. 補習に参加すれば合格とする。追試はない。

救済措置が一切ないという場合もありますが、よほど普段の素行が悪くない限り、そうしたことは起こりません。

部活や委員会活動をどうするか?

  • 部活での文書管理などのノウハウについては、こちらを参考にしてください。 リンク:高等学校部活動

高校の転校は条件がキビシイ

高校の転校は、親の仕事の転勤などによる引越しなどの正当な理由がないかぎり、転校できないのが一般です。 受け入れ先として、転校生を受け入れてくれる高校が無いと、転校できません。中学卒業までの義務教育での転校とは、高校は事情がちがうので、注意してください。

そのため、たとえ転校理由が正当な理由でも、「この高校に転校したい。」というような転校先の細かい指定は普通は出来ません。

私立高校などへの転入・編入では、編入試験(へんにゅう しけん)などに合格しないと、編入学が出来ない場合もあります。また編入の定員も、中退者などの欠員を補充するための数名程度と、とても少ないです。私立学校によっては、そもそも編入者を一般からは募集しない場合もあります。年度によっては欠員が無い場合や、たとえ欠員があっても一般からの編入者を募集してない場合もあります。

一般の入学試験とは違い、高校の編入試験では、試験で高得点を取ったからといって、必ずしも編入を認めるとは限りません。もし「転校の理由が正当な理由で無い」と受験先の高校側が思えば、編入を認めない場合もありえます。

高校の転校の場合、学科の異なる学校への在学中の転校は(たとえば 普通科→工業高校 などは)、法的には可能ですが、学業面でかなり負担が大きいです。

たとえ他の学科への転学科が認められたとしても、単位数の関係で、卒業するのに年月が1年ほど多くかかるハメになります。転校というより、事実上の再入学でしょう。

職業高校への転校は、やむを得ない場合にのみ、たとえば経済的な事情で大学進学が出来ないなどの理由で、普通科高校から職業高校に転校したい場合にのみ、職業高校への編入を検討するべきです。

職業高校への編入には、在学中の編入のほかにも、普通科高校を卒業してから職業高校に編入するという方法もあります。(ただし地域によって制度が違う場合があるので、地元の教育委員会などに確認してください。)

職業高校への編入を検討している場合

大学進学は、工業高校や商業高校などの職業高校(今では専門高校と言う。)の卒業生でも、法的には大学受験が可能です。 ですが、現実的には受験対策などの普通科との差で、職業高校からの大学進学は困難です。

特に職業高校への進学にコダワリが無ければ、普通科高校を卒業したほうが大学進学をしやすいです。

また、商業高校に進学した場合、理系大学に進学するのは、現実的に理系科目の学力面から無理です。(大学受験だけなら、商業高校卒から理系大受験も、法的には可能です。)

工業高校で習う機械工学などの専門教育は、工業大学の入試にすら出ません。農業高校や水産高校の専門科目も同様に、大学入試には出ません。

また、専門科目以外の教育は、職業高校ではあまり行いません。工業高校ですら、数学や物理の時間は少ないです。農業高校でも、生物学や化学の時間は少ないです。

工業高校では、少しは初歩の強度計算や電子工学なども、初歩にかぎり教えますが、しかし工業高校での教育の多くは工具の使い方などの職業訓練です。工業高校は、スパナやドライバーなどの工具の使い方や、はんだごての使い方、はたまた旋盤などの工作機械の使い方、そういった技能を練習する学校です。

農業高校では、少しは農学的なことや最近ではバイオテクノロジーの初歩も教えますが、しかし、農業高校での教育の多くは職業訓練です。バイオテクノロジーの初歩なら、普通科の生物の参考書にも紹介されてますので、べつにバイオを教わるために、わざわざ農業高校に進学する必要はありません。

高卒で就職する場合は、多くの企業は普通科卒よりも職業高校卒を雇いたがるという現実があります。家庭の経済事情で、大学への進学が難しい家庭はこの事に注意してください。

また、職業高校は生活指導などが意外と厳しいです。

職業高校というと「落ちこぼれの不良が集まる底辺校」という感じのイメージが世間ではありますが(特に工業高校など)、実際は就職指導を含めて生活指導が厳しめに行われるので、あまりにも素行の悪すぎる不良・非行生徒だと中退をせざるを得ない場合もあります。 (とは言え、さすがに普通科の難関高校など、優等生の集まる難関と比べたら、不良っぽい生徒は多いかもしれないが・・・)

専門科目でも、実習のレポートなどが膨大な量だったりと、けっこうスケジュールが厳しいです。

「レポート」と言っても、けっして小学生・中学生のレポートのような数枚のレポートを学期に1回・2回ではなく、職業高校の実習レポートでは10数枚〜20枚くらいの枚数のレポート提出を数週間おきぐらいに要求されます。しかもレポートの質が低ければ、書き直しを命じられることもあります。企業に就職した後の報告書の書き方の教育なども含めた教育なので、それだけレポート課題が厳しいのです。

大学入試との兼ね合い

多くの大学の一般入試では、大学入試には部活の実績や委員会活動・生徒会活動などの活動実績は、要求されておらず、一般入試では部活などの活動実績があっても試験に加点されないのが普通です。 大学の一般入試は高校入試と違い、内申書は重視されないのが一般です。

このため、大学進学したい場合は、進学先の希望によっては、受験勉強に時間を多く当てるため、部活などの時間を減らさざるを得ない必要があります。

部活や委員会活動に精を出すのは一般的には前向きで良いことだと思われますが、大学の一般入試には、あまりそれらの活動実績が要求されていない、という現状を知っておいて下さい。

たとえ、あなたが、高校での部活の部長だろうが、委員会の委員長だろうが、クラス委員だろうが、生徒会長だろうが、大学の一般入試では、ほとんど考慮されません。

推薦入試やAO入試を行っている大学では部活などの実績が考慮される場合がありますが、基本的に、多くの高校生は一般入試で大学進学することになります。

以上のように、大学入試では部活や委員会などが考慮されないこともあり、高校生ごろから、受験以外の学校での課外活動をする人は減っていく傾向があります。このため、委員会活動などが、あまり周囲の生徒の興味・関心を集めなくなりる場合があります。

中学ではクラス委員などというと尊敬される場合が多いかもしれませんが、高校では学校によってはクラス委員活動とかにあまり関心を待たず、クラス内にいるクラス委員も、あまり尊敬されない場合があります。

周囲が大学受験を目指し、委員会活動・生徒会活動などに関心を持たないという空気の中で、一人だけ委員会活動に精を出すというのは、学校のことを大切に思っていて立派なことかもしれませんが、周囲の無関心に負けない強い精神力を要します。なので、委員会活動・生徒会活動などに精を出そうとする人は、この冷酷な現状を覚悟しておいて下さい。

芸術科目は5教科と両立できるか?

中学生の頃は、芸術科目の音楽や美術の成績が内申書で評価されたり、芸術教科が必修科目で授業時間数も多いことから、周囲の関心を集めやすかったでしょう。ですが、高校では、ほとんど芸術教科は関心を集めません。大学受験には、多くの大学では芸術科目が要求されないのが理由の一つでしょう。

特に進学校の高校に進学した場合、この周囲の生徒の芸術無関心の傾向が強まるかもしれません。

これが大学に進学すると、さらに、芸術無関心の傾向が強まります。そもそも大学には、高校と違って芸術教科は必修ではありませんし、一般に芸術の実技などは、多くの大学では、そのような科目は無いです。

このようなことを、進路で芸術分野を志す人は、覚悟をしておいて下さい。

高校入試では、内申書制度などで、さんざん芸術の評価を体育の評価などと同様に要求されたのに、高校・大学では全く関心を持たれず、また入試での評価も低いというのは、気の毒かもしれませんが、実情として、このように5教科以外は関心が低いという現状があります。

また、一般に、大学で芸術系の学科のある大学は数が少ないです。このため、そこそこ名のしれた美大・音大は、かなりの「狭き門」になります。芸術分野の要求する実技の能力はハードルが高く、例えば美大対策の美術デッサン練習など芸術を高校在学中に熱心に練習すると、5教科の学習時間が大きく減り、成績が悪くなる、というのが一般的です。 そのように5教科の成績が下がるというリスクを払って芸術を練習し技能を習得しても、大学入試では美大・音大および教育学部の芸術系を除けば芸術の実技・技能は全く要求されません。 ですから芸術を志す人は、覚悟をしておいて下さい。

進路をどう保護者と相談するか?

高校卒業後は、普通科高校のような、共通した普通教育の学校が、ありません。大学は学部ごとに教育内容が分かれています。 なので、高校在学中に進路を決める必要があります。たとえば・・・

「進学するのか?就職するのか?」
進学する場合は「どの分野の学部に進学するのか?」
就職する場合は「どの業界への就職を目指す?」

そして、進学するにも、就職するにも、少なくとも未成年のうちは、保護者の許可が必要です。保護者に進路相談をする必要があります。学校でも進路相談をすると思いますので、そのような機会を活用して下さい。

保護者に希望する進路先を「明確に」伝える必要があります。希望進路が保護者に許可されない場合もありますが、少なくとも希望する進路を伝えないと、希望が伝わらないまま誤解をされつづけます。また保護者が父母の二人いれば、両方の保護者に、高校生本人が直接、希望進路を伝えるべきです。

けっして父母の片方だけにしか希望進路を伝えない、ということをしないほうが良いでしょう。なぜなら伝言ゲームのように、間違って進路希望が伝わる可能性があるからです。

たとえば高校生が女子の場合、同性である母親だけにしか進路を伝えない場合があります。同様に、高校生が男子の場合、父親だけにしか進路を伝えない場合があります。ですが、このような、片方の親にしか希望進路を伝えないことは、やめたほうが良いです。

家庭によっては、普段、子の教育の世話を見るのが、父母のどちらか片方だけになってるかもしれませんが、進路相談では両方の父母に希望する進路を報告するべきです。

もし間接的に希望進路を伝えて、伝言ゲームのように間違って希望進路が伝わった場合、毎日一緒に暮らしてる保護者相手にすらハッキリと直接的に希望を伝えなかったという高校生本人にも、自分一人でも出来る進路説明すら怠ったという失態があるでしょう。

中学から高校への進学では、多くの中学生は普通科高校にすすむように進路の個人差は小さいので、周囲をマネて中学生が中学卒から普通科高校へと進学していても、進路に大きな問題が起きません。ですが、高校から先の進路は個人差が大きいので、キチンと進路を保護者に説明しないと、のちのち進路のトラブルが起きる原因になります。

そもそも高校生を子に持つ保護者には、高校生から希望する進路を聞きとる義務は、ありません。 また、高校生が大学などに進学したい場合、そもそも保護者には、高校生の進学の世話をする義務が、ありません。

高校生にも、進路について説明をする能力が必要です。たとえ自分の希望する進路が保護者に通らない場合があるとしても、その場合でも論理的に自分の希望進路を伝え、保護者との妥協点をさぐる能力が高校生には求められるのです。

大学進学するべきか?

  • 国家資格などを取りやすくなる。

大学を卒業していると、いくつかの国家資格を取得しやすくなります。資格によっては、大学を卒業しないと受験できない場合もあります。(教員免許など。)

国家資格によっては、特定の学科を卒業していないと、取得に必要な実務経験が長くなる資格もあります。

ただし、資格を持っていても、簡単に就職できるとはかぎりません。 また、近年の規制緩和などの流れにより、いくつかの資格の価値が下がっています。


  • 企業の採用活動は学歴重視

日本の多くの企業は、採用活動では、出身校の評判などの学歴などの肩書で評価します。

さて、日本の大企業は、自社の幹部候補を原則的に、難関の有名大学(主に国立大)の大卒以上から選ぶという慣習があります。下請け企業などの中小企業でも、大企業を真似して、学歴重視に倣う企業が多いです。

なので、そこそこ知名度の高い大学を出てると、出世が早くなって、得をするかもしれません。


企業の採用活動では、学生個人の学力は評価しません。そもそも企業の採用活動では、学力試験や実技試験などの試験は、ほとんど行いません。

仮に採用試験で1次試験などとして筆記試験が行われても、あまり専門的な学力を重視しないのが普通で、中学レベルの数学などのパズル的な問題を出したりすることが多いです。

ともかく、企業は学歴で採用活動の第1選抜をします。


日本の大企業の採用試験では、学力や専門知識をほとんど重視しないくせに、なぜ学歴だけにはコダワリ、難関大卒以上の社員に限定して幹部候補として扱い、高卒や一般大学などを幹部候補にしないのかは、非常に理解に苦しみます。

ですが、当面の間は、大企業や、大企業の下請け企業では、こういった慣習が続くでしょう。


大学受験で浪人するべきか?

評判の良い大学は、浪人をしてでも受験をする浪人生が多いので、評判の良い大学は受験競争が激しいです。日本では、高校の数に比べて大学の数が少ないことなどもあり、大学進学では、浪人する可能性があります。また大学の学部の種類が偏っていることもあり、希望する学部によっては競争倍率が高く、大学受験不合格で浪人をする可能性が高くなります。

なお、多くの大手企業では、就職採用時に、入社希望者に年齢制限を設けており、志望者の年齢が25才を超えると新卒では大手企業には就職しづらくなります。一般の大学が4年間なので18歳で高校を卒業し大学進学すると、留年せずに大学卒業しても卒業時の年齢は22才になります。2年浪人すると 22+2=24 と24歳以上で卒業することになります。

このため、「浪人は多くても2年まで」しかさせない家庭も、あります。

学歴フィルター

日本の大企業の採用活動では、大学卒・大学院卒の採用では、学校の偏差値や知名度などで足切りをして、採用の是非を決めます。 いわゆる「学歴フィルター」と言う選別です。学歴フィルターで見られるのは、けっして大学卒業時の学力ではなく、入学時の大学の偏差値です。どんなにアナタの大学入学後の学力が高かろうが、企業の多くは入学後の学力なんてチェックしません。 たとえ就職活動で企業によっては筆記試験があっても、多くの場合の試験問題は、中学レベルの国語や数学と、大学レベルの英語の試験の問題しか出ません。

  • 文系の場合の、学歴フィルター

特に文科系の大学の場合は、文科系の学生の人数が多いので、偏差値による学歴フィルターが、文科系では、より強くなると考えられます。 文科系の場合、学科の種類は、あまり学歴フィルターには、されません。主に、入学時の偏差値が学歴フィルターです。


  • 理系の場合の、学歴フィルター

たとえ理科系の大学ですら、例外として国家試験のある医学部や薬学部などを除けば、多くの学部の新卒時の就職活動では専門分野の学力なんてチェックされません。

理科系の大学にも入学時の大学の偏差値による学歴フィルターはありますが、偏差値よりも学科のちがいによる学歴フィルターや、国立大学と私立大学とのちがいの学歴フィルターや、教授のコネなどによる研究室の評判などの学歴フィルターのほうが強いでしょう。

理系の場合、研究室の評判の良い大学は、国立大学に多いです。(「実際に、国立は研究レベルが高い」だなんて本文では言ってない。) 日本政府の大学教育の予算配分は、国立大学の東京大学を中心にして、研究費を予算配分しています。なので、国立大学のほうが、予算の都合から、評判の良い研究室が集まります。 研究テーマによっては予算の大きく掛かる場合もあり、予算の足りない私立大学などでは、最初からそのテーマ自体の研究室が存在しない場合もあります。 理系の場合、研究予算や設備が無いと、そもそも研究を行えない分野もあります。

なので、なるべく予算の多い国立大学に進学するほうが、大企業の就職には便利でしょう。

つまり、企業は学生の研究のセンスなんて、採用時に、ほとんど評価していません。企業が評価するのは、出身校の評判です。そもそも企業は、特定の大学の研究室での研究テーマなんて、知りません。なぜなら、日本には多くの大学があり多くの研究室があるので、いちいち研究室の内部なんて、企業は調べないのです。


  • 大企業にとっての学歴フィルターの必要性

採用する企業側の大企業からすれば、志望者が多いので、なんらかの方法で、書類選考などで機械的に選別する必要があります。書類審査で見る肩書は、保有資格など、あるいは英語の検定試験のTOEICやTOEFLだとか、あるいは簿記検定だとか、資格や検定などの書類選考による救済措置も少しはありますが、実質的に多くの学生は学歴で選別されることになるだろうと考えられます。

大学に入ってからの学業には、意外と時間が掛かり、あまり資格試験の対策などを行う時間がありません。税理士や公認会計士や司法書士などの難関の国家資格などは、ほとんどの人は卒業までには資格を取れないのが実情です。

結局、多くの大卒は、就職活動時に学歴以外には肩書が無いことになります。


  • 大企業を無視する必要性

専門性よりも偏差値や肩書を重視する学歴フィルターが不満ならば、いっそのこと、最初から、その手の大企業を目指さないという手もあります。

学歴フィルターは、裏を返せば、専門性が問われていないのです。「代わりになる人材は、いくらでも居る」というわけです。だから、専門職を目指したい人は、そういった専門知識を要求されない学歴フィルターの強い業界を、進路からは遠ざけるほうが良いかもしれません。

学歴フィルターを設けているのは大企業に多いですが、たとえ現在は大企業であっても、かならずしも将来も大企業という保障はありません。 それに仮に大企業に就職できても、専門分野の仕事を続けられる保障はありません。経営状況によっては現在の事業から撤退したり、人員削減により大幅な解雇を行う場合もあります。

高卒で就職する場合