「大学生活ガイド/理系」の版間の差分

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→‎大学院への進学について: マーチ卒でも大手製造業では工員になる場合もある。肩書は技術者だが、実態は工員
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=== 大学院は修士課程までは進学したほうが有利かも ===
=== 大学院は修士課程までは進学したほうが有利かも ===
研究職を目指すなら、理科系の場合は、大学院に進学したほうが良いです。また、たとえ研究職を目指さなくても、設計・開発とかを目指すなら、研究職と似たような理由で、大学院に進学したほうが有利です。ただし、あくまでも、ほんとうに本気で研究職を目指す場合、です。
研究職を目指すなら、理科系の場合は、大学院に進学したほうが良いです。また、たとえ研究職を目指さなくても、設計・開発とかを目指すなら、研究職と似たような理由で、大学院に進学したほうが有利です。ただし、あくまでも、ほんとうに本気で研究職を目指す場合、です。



なぜなら、企業では、たとえ製造業などの技術系の企業でも、大卒として入社した社員であっても、なぜか高卒と同じ仕事をさせられる事が多くあります。このため、大卒で入社しても、高卒でも出来る仕事を命令される事があります。なので研究職につきたい人は、なるべく大学院で研究の経歴と実績を積んで研究者のタマゴとしての経歴を積んだほうが、就職には有利です。
なぜなら、企業では、たとえ製造業などの技術系の企業でも、大卒として入社した社員であっても、なぜか高卒と同じ仕事をさせられる事が多くあります。このため、大卒で入社しても、高卒でも出来る仕事を命令される事があります。なので研究職につきたい人は、なるべく大学院で研究の経歴と実績を積んで研究者のタマゴとしての経歴を積んだほうが、就職には有利です。

*大手メーカーでは、マーチ日大の理工学部の学部卒の何割かは、現場の工員に配属
具体的に言うと、マーチ(明治・青山・立教・中央・法政)以下、日大以下の偏差値の私立大学の卒業生の何割かは、実は大手企業では現場工員として採用されます。「設備設計」「生産技術者」とかの肩書ですが、実態が工員だったりします。「設備設計」と聞くと、てっきり「設計」の文字があるので、てっきり大学レベルの工学知識を活用する仕事のように思えますが、本当にその場合もありますが、多くの場合、設備設計の実態は工員です。高卒の現場社員でも、ベテランの工員なら図面を書けますし、英語を読める人も多くいます。単に、図面も書けて、英語も読める、便利屋の工員です。

大手や中堅以上の製造業では、たとえ東大や京大や早慶や東工大の卒業生の新入社員でも、彼らを「下積み期間」として現場で工員として数年ほどの一定期間、高卒社員とともに働かせるのが一般的です。なので、マーチや日大の卒業生は、ほぼ確実に、生産現場で現場工員として、さらに長い年月、働かされ、場合によっては、そのまま現場に「生産技術者」「設備設計」などとして配属されます。

就職時に、エントリーシートなど応募用紙に志望職種を書く欄があって、大卒の場合は「設計・研究」を志望職種にするのが一般的ですが、そうエントリーシートに志望職種を「設計研究」と書いても採用されますが、しかしマーチ・日大卒の就職後の配属先は、現場の工員です。

新卒社員の研修期間中が終わって数年間は、マーチ・日大卒は、設計や研究の仕事を手伝わされる場合はあるかもしれませんが、その期間が終わったら、現場工員に異動の場合があります。

「設計には、製造現場の知識も必要」と、よく大卒を現場に工員として配属させるタテマエが言われます。たしかに製品からすれば量産方法なども必要な知識なのですが、実際には現場の知識が無くても、学歴が高くて、物理や化学の専門知識があれば、研究職をしている人も、います。たとえ研究者が知らない事があっても、現場の工員に教えてもらえば、いいだけです。そもそも、現場技術は多岐に渡るので、すべての技術に精通するのは不可能です。

営業あがりの社長が、あまり現場を知らないのと同様に、研究者も、あまり現場を知りません。

馬鹿正直に「製造現場の知識も必要」タテマエを聞き入れると、そのまま工員として、利用されてしまいます。


さらに私立の4工大(芝浦工業、工学院、東京電機、旧・武蔵工業)は、偏差値の高い芝浦工業以外は、マーチよりも就活で不利です。図面を書かせてもらえる機会が、マーチ卒よりも少ないです。

マーチや日大ですら、大手では、高卒社員とともに現場工員などをさせられるのですから、4工大の卒は、大手では、ほぼ確実に現場工員として採用させられます。大手どころか、名前の知られていない中堅企業でも、現場工員として4工大卒の採用の場合があります。

マーチ卒・日大卒の場合、「生産技術者」「設備設計」などのような、一応は形式的には管理的な職種名を与える場合があります。しかし、4工大の卒はそのような形式的な役職名すら、与えられず、ずばり「製造」など工員としての職種に、4工大の卒は、異動させられ配属させられる場合があります。

新卒社員の研修期間中が終わって数年間は、4工大卒は、下働きで、設計や研究の仕事を手伝わされる場合はあるかもしれませんが、その期間が終わったら、現場工員に異動の場合があります。

すでに4工大への進学している人が、就活で、大手企業でないと研究開発できない分野での設計職・研究職を志望する場合、芝浦工業以外の学生は、よほど条件の良い就職先が内定した場合でない限りは、とりあえずは学部の卒業研究では志望業種の研究室に進み、大学院の修士課程まで進学したほうが、安全でしょう。企業の採用活動は、それほどまでに偏差値と学歴という肩書でしか、学生を見ていません。



なぜ、わざわざ基本給が高卒よりも割高な大卒を雇ってまで、高卒でも出来る仕事をさせるかは謎ですが(この謎解きは経済学部にでも任せましょう)、現実として、そういう謎な採用活動をする企業が多いので、就職を目指す学生は対策しないといけません。
なぜ、わざわざ基本給が高卒よりも割高な大卒を雇ってまで、高卒でも出来る仕事をさせるかは謎ですが(この謎解きは経済学部にでも任せましょう)、現実として、そういう謎な採用活動をする企業が多いので、就職を目指す学生は対策しないといけません。


また、大企業の採用活動での書類選考などは、とても肩書き主義ですから、有名大卒などの高学歴でない場合は、学歴が院卒とかでないと、研究職としてスタートラインに立ちづらいです。特に大企業の採用では、募集者が多い事もあり、学歴でふるいを掛ける必要があるので(俗に「学歴フィルター」と言います)、数の多い学部卒よりも、数が少なくて高学歴である院卒のほうが、研究者になるには有利かもしれません。
また、大企業の採用活動での書類選考などは、とても肩書き主義ですから、有名大卒などの高学歴でない場合は、学歴が院卒とかでないと、研究職としてスタートラインに立ちづらいです。特に大企業の採用では、募集者が多い事もあり、学歴でふるいを掛ける必要があるので(俗に「'''学歴フィルター'''」と言います)、数の多い学部卒よりも、数が少なくて高学歴である院卒のほうが、研究者になるには有利かもしれません。




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*学部卒の就職活動では、研究テーマの詳細を評価されないのが一般
理系の大学院生卒の就活の場合は、少しは研究テーマを面接で聞いてくる場合もありますが、しかし学部卒では、まず学生の研究テーマの研究レベルを企業は調べません。学部卒にも研究テーマについて面接中に聞いてくる場合もあったり、企業の用意するエントリーシート(インターネットでの応募用紙みたいなもの)の記入欄に、研究テーマとその概要について記入する欄があったりしますが、'''単に聞くだけ'''です。だいたい、就活開始の時期である学部3年後半〜4年前半には、まだ卒業研究がほとんど始まっていませんので、企業側も深く調べようがありません。インターネットでは、「大手企業の技術職志望なら、研究レベルを調べるはず」とかデマが出回る場合がありますが、もちろんデマだと思ったほうが良いです。

:(なので、学部生の3年生が卒業研究の研究室を決める時は、志望業種に近い研究室を選ぶのが安全です。せいぜい、その程度しか、企業には卒業研究を評価されないのです。)

*その他
また、たとえ日本の企業のオカシな採用方法に愛想をつかして外国企業や外国の大学に進む場合でも、大学院の経歴はあったほうが有利です。世界的に、大学学部卒よりも大学院卒のほうが就職などが有利です。
また、たとえ日本の企業のオカシな採用方法に愛想をつかして外国企業や外国の大学に進む場合でも、大学院の経歴はあったほうが有利です。世界的に、大学学部卒よりも大学院卒のほうが就職などが有利です。


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理系の場合、一般入試での大学院進学は、大学にもよりますが、かなりの難関です。
理系の場合、一般入試での大学院進学は、大学にもよりますが、かなりの難関です。



== 数学科以外では数学の証明は、やらない ==
== 数学科以外では数学の証明は、やらない ==

2015年6月28日 (日) 12:53時点における版

大学のテスト対策は、「学問」と思うよりも「受験勉強」のようなものと思ったほうが良いです。

タイトルのとおりです。ごく一部の学科では例外もあるかもしれません。(たとえば数学科などは例外的)  ですが、ほとんどの学科では、まるで私大受験の受験勉強のような定期テストのテスト対策が、1年生から4年生まで、ずっと必要です。

「私大」受験と言ったのは、専門科目ばかりが大学で教育されるからです。専門外の教育は、文科省が教養課程として定めた、最低限の授業時間しか、大学側は学生に勉強させないような進級基準を組んでいます。後の節で説明しますが、専門分野以外の学問なんて、ほとんど教えられません。そもそも教授自身の学力ですら、教授の専門外の学科の学力なんて、せいぜい大学の教養課程レベルの学力でしょう。


過去問の必要性

テスト対策では、過去問を入手する必要があります。また、過去問入手のために、友達づきあいや、部活への加入、サークル加入などをする必要があるでしょう。

もし高校時代のテスト対策のように、過去問を用いず、まともに授業の予習復習などで定期テストに挑むと、テストの成績が不合格点になってしまう可能性が高く、留年や退学をするハメになる可能性が上がります。

なぜなら、日本の高校では30点以下が赤点(不合格点)だが、日本の大学では60点以下が赤点であるからです。

本来なら大学は赤点の基準が上がった分、高校の定期試験よりも大学の定期試験は授業と比べて問題を易しめに調整してないとオカシイかもしれない。しかし、すくなくとも理系大学の場合、そのような難度調整はされていません。

外国の高校などでは赤点の基準が60点である国も多い。日本の30点という赤点基準よりも高いが、その分、外国の高校の定期テストは授業とくらべて問題がやさしくなっている。しかし、日本の大学の赤点基準が60点であっても、授業と比べて難度が高くなっています。

したがって、大学の定期テスト対策では過去問などを入手する必要があります。

多くの学生は、留年をいやがりますから、当然、過去問を手に入れようとします。そして普通の大学では、学生間で過去問が出回ります。


このような過去問を前提にした難度のテストを出している、という大学教育の問題点は昔から教育評論などでも指摘されていますが、いっこうに日本国の大学教育では改善のきざしがありません。日本の大学教員たちは、自分たちが悪いとは思っていないようです。

また、文科省などの定める、日本の大学での各科目単位基準は、授業時間の2倍の予習復習で合格する程度が基準とされていますが、実際に1日の時間を計算すると、授業時間の1倍の予習復習ですら、きついスケジュールです。過去問を入手してテスト対策をしないと、現実的には無理です。

大学教授の学力ですら、専門科目以外の知識は、高校レベルか、せいぜい大学低学年レベルでしか無く、教授たちが専門以外の理系分野を学生時代の授業時間の2倍も勉強したように見えないでしょう。


大学の単位基準は授業の2倍の予習復習というが、仮に9時から午後3時まで授業があるとして、1日あたりの時間配分を計算すると、休憩時間と昼休みを除いて、授業に要する時間は4時間。睡眠時間は8時間。1日の残り時間は12時間しか無いです。そのうち、通学で往復2時間(12ー2=10 より、残り10時間)としましょう。下宿などで一人暮らしするなら、家の炊事・選択・掃除などで2時間(10ー2=8 より、残り8時間)。1日の残り時間が授業時間の2倍ピッタリの8時間ほどしかなく、なんと、1日の時間には余裕がありません。


だから、仮に大学の単位設定の基準である「授業時間の2倍の自習を、単位数の基準にする。」を仮に実施すると、学生の1日あたりの学習時間が12時間(4+8=12)ちかくになります。これは、サラリーマンの法定労働基準である1日8時間の労働基準を超えていおり、もはや重労働に相当する勉強時間でしょう。大学教授ですら民間企業のビジネス競争では通用しそうに無いというのに、学生が「授業時間の2倍の自習」という建前を真に受けてマトモに授業時間の2倍も自習で勉強していては、過労になってしまいます。

いくつかの大学では、このような現実離れした単位基準に気付いており、学生に授業時間の2倍の自習時間を余裕を持って確保させるため、履修科目数に制限を掛けている場合もある。だが、最終的な卒業単位数(4年で通常は120単位ていど)が減らないかぎり、計算上では、事実上の自習時間が足りなくなります。

したがって、過去問を入手して定期テスト対策をする必要があります。


科目の履修は、なるべく簡単な科目を履修しよう

また、大学の単位数では、授業時間しか考慮されず、科目の難度は考慮されません。むずかしい科目に合格しようが、簡単な科目に合格しようが、授業時間の量が同じなら、合格でもらえる単位数も同じなのが一般です。

たとえば大学1年の数学の偏微分・重積分と、大学2年の数学の微分方程式・複素関数論が、同じ単位数な大学が一般です。学習負担を考えたら、高学年の科目のほうが負担が重いですが、しかし1科目あたりの単位数は同じです。


これは、そもそも高校の単位基準からして、似た現象があります。高校でも、たとえば文理のコース別の高校数学の履修でも、文系コースの数学の授業時間あたりの単位数と、理系コースの授業時間あたりの単位数が、普通は同じです。たとえ、文系コースの数学が簡単であろうが、授業時間が同じなら、単位数は同じというのが、普通の高校です。

したがって大学の科目履修では、なるべく簡単な科目をさがして、単位数をかせぐ必要があります。必修科目でもないのに、難しい科目を履修してしまうと、テスト対策に多くの時間を取られます。その時間を取られた分、他の科目のテスト時間が減り、多くの科目で単位を落とす可能性が増えます。


このような非現実的な単位基準の問題点は昔から指摘されていますが、いっこうに改善のきざしがありません。当面は、このような単位基準の時代が続くでしょう。


出席を重視する学科も多い

理学部の数学科では、伝統的に、なるべく「出席点」を取らない方針が多いと言われています。「出席点」というのは、授業に出席していると、そのぶん、定期テストの成績に加味されて得点が上がるというものです。 数学科では「勉強というのは、図書館などで自分で調べて頭を使って自分で考えるものだから」という発想らしく、また「意欲の低い学生に出席されて、授業中に私語をされると、数学的思考のさいの邪魔であるので、出席点を取らない。」という発想らしいです。なるべく自分で調べて勉強する態度を身につけて欲しいようです。そのように自分で勉強しないと、数学のプロとしての能力は身につかないと考えているようです。

ですが、この数学科のような方針は、例外です。他の多くの学科では、出席を重視しています。むしろ出席してない時点で、「何も勉強していない」と決めつける学科のほうが多いのです。数学科の常識は、他の学部・学科での非常識なのです。


出席を重視する学科で、実際に授業の前後などに出席を取ることは無いのが通常ですが、ときどき授業中に小テストなどを行い、そのテストの結果を定期テストの結果に加味する場合も多くあります。小テストが抜き打ちの場合も多くあります。つまり、小テストが、事実上の出席点なワケです。


べつに工学部や農学部などの実務系の学部だけで、事実上の出席点があるのでは、ありません。 理学部などでも、物理学科や化学科など、数学科以外では、出席点を取ることは多くあります。

このように、出席点は、べつに実験などの科目だけではありません。理論系の科目でも、出席点を取る場合があります。


日本国の世間の多くの人は、数学科のように、自分で勉強するという学風なんて、知りません。世間の多くの人は、「勉強とは、学校で教員から習わないと身につかない」と考えています。卒業後の就職先であろう民間企業でも、従業員は世間の多くの人たちです。学校教員なども、世間の多くの人たちです。

教育行政は文部大臣など、国会の政権与党の国会議員などによって管理されます。(選挙で国会議員を選ぶ)有権者も、世間の多くの人たちに過ぎません。

出席点を取る講義を擁護すると、教科書では教えきれないこともあります。たとえば教科書では著作権などの理由により、掲載できない映像などもあります。また、講義の授業であっても、教員が、ちょっとした実験(もちろん、一般教室でも安全に行えるような実験)を見せる場合もあります。これは、高校までも、同様にあったことでしょう。教員の個人的な研究ノウハウなども、教科書だけでは教えきれません。

教授によっては、市販の教科書に書いていない知識を定期テストに出題することも

  • オリジナル教科書

教授によっては、市販の一般の教科書に書いていない知識を定期テストに出題することもあります。授業中だけに説明した問題をテストに出すこともあります。教授の書いた教科書が、その大学の指定の教科書として採用されていることも多く、その教授の教科書以外の市販の一般の教科書では、ほとんど書かれていない場合もあります。また、実験科目は、設備が大学ごとによって違うので、各大学のオリジナルの教科書が多くあり、それは仕方の無いことです。

しかし、実験系以外の講義科目や練習問題の科目でも、各大学オリジナルの教科書がある場合もあります。

大学院の科目なら、研究テーマごとに大きく違うので、大学オリジナルの教材があるのも仕方ないかもしれません。しかし、学部の低学年(1年・2年生ていど)ですら、大学オリジナルの教科書を出すこともあります。

オリジナリティーあふれる難問を定期テストで出すべきとする教員の主張と、そのようなオリジナル問題を出さないべきとする教員の主張の、どちらの主張が正しいのかは、ウィキブックスには分かりません。

大学とは研究機関でもありますから、オリジナリティーあふれる研究者育成のため、オリジナリティーあふれる試験問題も出る場合もありるるのかもしれません。

大学オリジナルの教科書が、かならずしも、市販の教科書に書かれていない知識を紹介するものばかりとは限らないです。ですが、どちらかというと、市販の教科書に書かれていない知識を、教員が定期テストに出したいので、大学に出版させた教科書のほうが多いでしょう。定期テストでの、このようなオリジナリティーあふれる問題の、比率が少ないなら、まだしも、たいていは、このタイプの教員の場合はオリジナリティーあふれる問題の定期テストでの比率は大きいです。

オリジナル教科書で解説され定期テストに出される問題が、まったく、どの市販の教科書・問題集にも書かれていないワケではないです。難関の問題集などを見れば、チラッと書いてある問題もありますし、国家試験などに出されるタイプの問題のこともあります。もし、まったく、どの市販の教科書にも書かれていない問題を出すと、さすがに世間から教員が批判されるので、いちおう、教員が出題の根拠として参考文献を挙げられる程度には、大学生用の教材に書かれている問題を出します。


教員が定期テストに出したい問題は、たいてい、授業中に時間をかけて説明します。このため、学生は授業に出席し、教員の解説する問題をノートに取っておいて、テスト前に復習する必要があります。


大学入試では、市販の参考書に書いていないことを出題すると、受験生の多くは解けないので世間から批判されますが、大学では、そのような批判の外部勢力はありません。


なお、大学用の教科書は、市販の教科書でも、かなり難しく情報量も多いです。高校卒業までの教科書とは違います。高校は文系・理系の両方の学生が学ぶので、高校の教科書は、情報量を減らしてあります。ですが、大学の教科書では、専門とする学生が学ぶので、情報量は、かなり多いです。

その市販の大学用の難しい教科書ですら紹介されていない知識を、定期テストで出題する教員も、多くいるのです。

市販の教科書に書かれないということは、その教科書の出版社の執筆陣が、教科書で紹介する価値が低いと判断したわけです。大学生向けの一般の教科書の執筆陣も、ふつうは大学教員です。大学用教科書の教科書出版社は、日本中の多くの大学に教科書を販売している実績があります。


いっぽう、教科書に書かれていない内容をテストに出す教授は、自分の大学の授業以外は、他校の授業のやり方をあまり知りません・・・という場合もあります。ですが、市販の一般の教科書に書かれていない知識を定期テストで出題する大学教員も多いのです。しかも、そういう問題を出す教員は、大学内で権力を持っているか、あるいは、他の権力を持っている教授が後ろ盾をしています。だからこそ、市販の教科書に書かれていない問題でも、定期テストで出せるのです。

しかも、このようなオリジナリティーあふれる難問を出すタイプの教員の場合、「学生を鍛えてあげている。」と、教員自身のことを思っています。けっして、「もしや、自分の教育は、他の大学とズレているのでは?」とは心配してなんて、いないでしょう。実際に学生が鍛えられているのどうかは、ウィキブックスは関知しません。鍛えられている場合もあれば、そうでない場合もありうるでしょう。

ともかく大学生は、そのようなオリジナリティーあふれる教授にも合わせてあげて、テスト対策をする必要があります。


日本の世間の権威主義・経歴主義

日本国民の世間の多くの人々は、大学教育の権威や、大学教員などの権威を信用しています。企業も同じように、大学の権威を信用しています。

したがって、たとえ大学の単位基準が、前節で説明したように非現実的であっても、「留年は不勉強」と世間の多くから見なされます。なので、もし留年したり退学すれば、就職などでも不利になります。


企業を擁護すると、ほかにまともに信頼できる、就職志望者の選別手段が少ないのです。いちおう大学は、日本全国の各都道府県にありますし、また大学入試の出題範囲は全国ほぼ共通の文部省指導要領カリキュラムに基づいているので、公平感もあるのでしょう。

少なくとも、出身地や家柄で就職の採用/不採用が判断されるよりかは、出身学校名による判断のほうが、大多数の国民感情からすればマシです。


さて、多くの企業は、採用では、学歴などの肩書きしか見ません。採用試験での学力テストなんて、企業の採用試験での数学の試験なんて、ごく簡単な中学レベルの数学の試験くらいであり、実質的に学力試験なんて企業採用では行っていません。しかし、英語は、むずかしい長文などが出される場合もあります。英語の長文読解だけは勉強しておいたほうが良いかもしれません。


したがって学生のおくるべき大学生活では、経歴に傷がつかないように、なるべく留年しないで、卒業する必要があります。

就職志望者の学生の(企業就職後での)実務能力なんて、採用試験では、まず評価してもらえませんし、そもそも新卒学生に実務能力なんて期待されてません。そもそも学生が実務経験を積もうにも、なかなか、そういうチャンスがありませんし、時間も足りなければ、設備も足りず、実務教育のための人員も足りません。

大学教育では、工学部などの実用的な学門の学部ですら、企業で働いたことの無い教員が多く授業をしています。

たとえば、工場の実務では、そもそも短時間で問題を解くことは、まず、ありません。そもそも、答えの知られていない未知の問題が実務で出てきます。仮に決まりきった計算処理の手続きが必要なら、コンピュータで計算処理を自動化すれば良いだけです。


しかし大学の授業科目が、たとえ企業の実務とずれた授業をしている科目であろうが、その科目の定期テストに不合格になって、単位数が不足して留年すれば、経歴に傷がつきます。

多くの民間企業は、たとえ大学が実務とずれた教育をしてることを知っていようが、学歴を信用し、留年や退学を就職での企業採用では不利にあつかいます。


外国の大学も経歴主義

外国に留学しようが、外国の大学も経歴主義です。そもそも、外国の大学受験では、日本と違い、学校ごとの入試での学力試験が無いという国も多くあります。そのような国では、推薦などによって、評判の良い人気の大学に進学します。

しかし、推薦をもらうためには、良い経歴が必要です。そのため、外国の高校生は、まず評判の高い「名門」的な高校に進学する必要があります。なぜなら、そうしないと、高校生は、評判の高い「名門」大学への推薦をもらえないからです。そして、そのような名門の高校に進学するためには、さらに中学の時代から経歴を磨かないといけません。

外国の大学もまた、経歴主義・成績主義です。もっとも外国では、大学受験を経歴で判断するぶん、たとえば高校側が学力の低い自校の高校生に良い成績をつけるなどは、不正と見なされ、その高校の今後の推薦を打ち切られるなど、外国は、とてもキビしいです。

  • 成績や経歴が悪いと、留学できない場合も

日本から、海外に留学するにしても、良い経歴が必要になります。日本の大学に所属している大学生として留学する場合、そもそも日本での大学の成績が良くないと、相手国の大学からも留学させてもらえないかもしれませんし、日本側の大学も留学を許可しないでしょう。

英語の検定試験のTOEICやTOEFLなどの成績と言った経歴も、留学で必要になる場合が多いのが一般です。実際に英語が出来るかどうかは、二の次です。そもそも先程も言ったように、外国では、学校ごとの大学入試がありませんので、学校ごとの大学入試の英語科目も存在していません。

他学科の科目は履修できないのが事実上

大学によっては、他学科の科目の履修を制度上は可能としている学校もありますが、実際には授業時間が重なっていたりすることも多く、ほとんど履修できません。

また、理系の場合、専門外の他学科の学習にまで、そもそも学習時間が足りません。 自分の所属する学科ですら、要求される学習時間が多すぎて、なので学生は生活時間を学習に多く当てることで、ぎりぎり単位が取れて、ぎりぎり進級できる程度です。

よって理系では、他学科の履修は、事実上は、ほぼ不可能と考えたほうが良いでしょう。

このように日本の大学教育とは、縦割り社会なのです。

一部の大学には、「教養学部」や「文理学部」などの学際的な異分野融合みたいな学部・学科もありますが、そのような大学は数が少ないです。

また、工学・農学などの実学と、数学などの非・実学とを、学際的に学べる学科は、日本には、ありません。教養学部では、機械工学や電気工学などの工学科目はありませんし、農学などの科目もありません。文理学部も、文系学部と理学部の科目しかありません。それ以外の工学・農学などの科目は、文理学部では存在しません。


文系学問や体育や芸術を学ぶヒマはありません

仮に高校時代の全教科の勉強みたいに、理系の学問と両立しようとして、文系の学問や、体育、音楽や美術などの勉強をしようとしても、しかし日本の大学では、できません。

そもそも一般の大学では、美術や音楽などの実技の授業がありません。せいぜい、芸術史の授業が選択科目であるくらいです。体育の授業はありますが、スポーツの熱心な練習に時間を割くだけの余裕は、理系の大学にはありません。文系の科目の授業は教養課程でありますが、高校時代のように文系科目に予習復習に時間をかけることが、理系の大学では無理です。

理系の大学では、最低限の教養科目と、学科の専門科目にしか、学習時間を割けません。そのような縦割りな学習スケジュールを前提にした進級基準、卒業基準が、理系の大学では組まれています。

ましてや、理系の同じ学部の学問どうしですら、他学科の授業を学ぶヒマが無いほど、縦割り主義的で過密な進級基準が組まれています。

あまりにも、縦割り主義的すぎで問題があるという批判の評論は昔からありますが、あまり改善されません。縦割り主義にも、良い面があります。すばやく専門課程の学習に入れるという長所があります。また、設備投資の費用などが比較的少なくて済みます。

最近では、たとえば機械工学科と電気工学科を共通化しようというような、関連する学科をまとめる大学もありますが、そのぶん、それぞれの学科分野の専門課程の進度は遅れるという短所もあります。

欧米の大学では日本と違う場合もあります。たとえばイタリアの工業大学では日本と違い、工学部では、機械工学・電気工学・土木工学などのすべてを学ばされると言います。しかし、日本の大学では、そのような他学科の科目を学ぶような学習スケジュールは、組めません。

教授自体が他学科の教育を受けていない

日本国の大学教員たちは、そもそも教員自体が、他学科の教育は、あまり受けていません。たとえば、工学部の電気工学科の教授なら、機械工学すら満足に教育を受けておらず、ましてや土木工学なんて、ほとんど知りません。そのような縦割りの人物が大学教員に出世します。そういう縦割りのキャリアを積まないと、そもそも大学教員自体に出世できない場合が多いのです。

いっぽう、企業の製造業の研究・開発の実務では、縦割りではない分野横断的な知識も必要ですし、実際に、そのような分野横断的な研究をしている研究者もいます。しかし、このような企業の研究者は、大学には、あまり就職したがりません。そもそも、日本国の理系の大学には、そのような分野横断的な研究が続けられそうな学科や研究室が、ロクにありません。

もっとも、企業の研究者だって、べつに何でもかんでも幅広く知ってるワケではありません。大学社会での縦割りには企業人は捕らわれてなくても、企業社会での縦割りに、企業の研究者は囚われざるを得ません。企業での研究には、お金が掛かるのですから。


ともかく、大学では、大学的な縦割り主義のキャリアをもつ大学教員が、自己の勤める大学の進級基準などを組んでいます。

教員は、同じ学部の他学科の教育すら、教員自体が満足に教育を受けていないのです。ましてや、ちがう学部の教育なんて、教員は、ほとんど何も知りません。

だから学生は、留年しないためにも、学生時代は縦割りのキャリアを目指すような勉強をせざるを得ません。当分のあいだ、学生は、縦割り主義的な勉強が続きます。

部活に打ち込めるだけの時間がない

同じような理由で、部活やサークル・同好会の活動にも、あまり本格的には打ち込めません。たとえば工学部などにあるロボット技術同好会とか自動車技術同好会などのような専門分野に関係しそうな部活ですら、部活動の時間の余裕が少なく、たとえば、その分野の全国コンテストなどの競技会に各大学が参加しても、学期末などのテスト期間前になるとコンテストに出席する大学生が減るとかいう現象が起きているのです。

なぜなら学生は定期テスト対策に多くの時間をかけないと、留年してしまうような進級基準が組まれているからです。大学側は、べつに部活動を進級基準には組み込んでくれません。なので、学科の専門分野に近いサークルですら、サークル活動の時間が、なかなか取れないのです。

かといって部活動を進級基準に含めたら、それはそれで、不勉強の抜け穴として部活動が悪用されかねないので、やや仕方のない面もあります。

例では、工学部を例にあげましたが、べつに工学部だけではありません。理系のすべての学部で、似たように、部活動の時間がありません。

専門分野に近い活動内容のサークルですら、なかなか時間が取れないのですから、ましてやスポーツや芸術関係の部活・サークルなんて、ほとんど時間が取れません。

定期テストの過去問を入手するために部活・サークルなどに入部するのは有効です。しかし、けっして部活動などに熱心に打ち込まないのが日本国の理系大学での教育の現状です。

大学院への進学について

大学院は修士課程までは進学したほうが有利かも

研究職を目指すなら、理科系の場合は、大学院に進学したほうが良いです。また、たとえ研究職を目指さなくても、設計・開発とかを目指すなら、研究職と似たような理由で、大学院に進学したほうが有利です。ただし、あくまでも、ほんとうに本気で研究職を目指す場合、です。


なぜなら、企業では、たとえ製造業などの技術系の企業でも、大卒として入社した社員であっても、なぜか高卒と同じ仕事をさせられる事が多くあります。このため、大卒で入社しても、高卒でも出来る仕事を命令される事があります。なので研究職につきたい人は、なるべく大学院で研究の経歴と実績を積んで研究者のタマゴとしての経歴を積んだほうが、就職には有利です。

  • 大手メーカーでは、マーチ日大の理工学部の学部卒の何割かは、現場の工員に配属

具体的に言うと、マーチ(明治・青山・立教・中央・法政)以下、日大以下の偏差値の私立大学の卒業生の何割かは、実は大手企業では現場工員として採用されます。「設備設計」「生産技術者」とかの肩書ですが、実態が工員だったりします。「設備設計」と聞くと、てっきり「設計」の文字があるので、てっきり大学レベルの工学知識を活用する仕事のように思えますが、本当にその場合もありますが、多くの場合、設備設計の実態は工員です。高卒の現場社員でも、ベテランの工員なら図面を書けますし、英語を読める人も多くいます。単に、図面も書けて、英語も読める、便利屋の工員です。

大手や中堅以上の製造業では、たとえ東大や京大や早慶や東工大の卒業生の新入社員でも、彼らを「下積み期間」として現場で工員として数年ほどの一定期間、高卒社員とともに働かせるのが一般的です。なので、マーチや日大の卒業生は、ほぼ確実に、生産現場で現場工員として、さらに長い年月、働かされ、場合によっては、そのまま現場に「生産技術者」「設備設計」などとして配属されます。

就職時に、エントリーシートなど応募用紙に志望職種を書く欄があって、大卒の場合は「設計・研究」を志望職種にするのが一般的ですが、そうエントリーシートに志望職種を「設計研究」と書いても採用されますが、しかしマーチ・日大卒の就職後の配属先は、現場の工員です。

新卒社員の研修期間中が終わって数年間は、マーチ・日大卒は、設計や研究の仕事を手伝わされる場合はあるかもしれませんが、その期間が終わったら、現場工員に異動の場合があります。

「設計には、製造現場の知識も必要」と、よく大卒を現場に工員として配属させるタテマエが言われます。たしかに製品からすれば量産方法なども必要な知識なのですが、実際には現場の知識が無くても、学歴が高くて、物理や化学の専門知識があれば、研究職をしている人も、います。たとえ研究者が知らない事があっても、現場の工員に教えてもらえば、いいだけです。そもそも、現場技術は多岐に渡るので、すべての技術に精通するのは不可能です。

営業あがりの社長が、あまり現場を知らないのと同様に、研究者も、あまり現場を知りません。

馬鹿正直に「製造現場の知識も必要」タテマエを聞き入れると、そのまま工員として、利用されてしまいます。


さらに私立の4工大(芝浦工業、工学院、東京電機、旧・武蔵工業)は、偏差値の高い芝浦工業以外は、マーチよりも就活で不利です。図面を書かせてもらえる機会が、マーチ卒よりも少ないです。

マーチや日大ですら、大手では、高卒社員とともに現場工員などをさせられるのですから、4工大の卒は、大手では、ほぼ確実に現場工員として採用させられます。大手どころか、名前の知られていない中堅企業でも、現場工員として4工大卒の採用の場合があります。

マーチ卒・日大卒の場合、「生産技術者」「設備設計」などのような、一応は形式的には管理的な職種名を与える場合があります。しかし、4工大の卒はそのような形式的な役職名すら、与えられず、ずばり「製造」など工員としての職種に、4工大の卒は、異動させられ配属させられる場合があります。

新卒社員の研修期間中が終わって数年間は、4工大卒は、下働きで、設計や研究の仕事を手伝わされる場合はあるかもしれませんが、その期間が終わったら、現場工員に異動の場合があります。

すでに4工大への進学している人が、就活で、大手企業でないと研究開発できない分野での設計職・研究職を志望する場合、芝浦工業以外の学生は、よほど条件の良い就職先が内定した場合でない限りは、とりあえずは学部の卒業研究では志望業種の研究室に進み、大学院の修士課程まで進学したほうが、安全でしょう。企業の採用活動は、それほどまでに偏差値と学歴という肩書でしか、学生を見ていません。


なぜ、わざわざ基本給が高卒よりも割高な大卒を雇ってまで、高卒でも出来る仕事をさせるかは謎ですが(この謎解きは経済学部にでも任せましょう)、現実として、そういう謎な採用活動をする企業が多いので、就職を目指す学生は対策しないといけません。

また、大企業の採用活動での書類選考などは、とても肩書き主義ですから、有名大卒などの高学歴でない場合は、学歴が院卒とかでないと、研究職としてスタートラインに立ちづらいです。特に大企業の採用では、募集者が多い事もあり、学歴でふるいを掛ける必要があるので(俗に「学歴フィルター」と言います)、数の多い学部卒よりも、数が少なくて高学歴である院卒のほうが、研究者になるには有利かもしれません。


もし大学院に進学すれば、すくなくとも学会論文の書き方とかはそれなりに教わるし、学会などでの発表経験も積めます。実験なども、大学の高価な実験装置を使って、実験が出来ます。しかし、学部卒では、そのような経験が、あまり積めません。

もし、就職後に、企業側が、高卒でも出来る単純作業や現場仕事ばかりを仕事させたら、まったく研究開発的なキャリアを積めないまま、社会人生活を送るリスクもあります。

もちろん企業の中には、たとえ院卒でなく学部卒でも、きちんと適性や能力を評価して、研究者としての能力がある社員なら研究の仕事を与える企業も少しはあるでしょうが、しかし、たぶん、そういう企業は少ないです。多くの企業は、肩書きだけで書類選考的に研究職につけるかどうかを判断する企業のほうが、残念ながら、多いでしょう。


  • 学部卒の就職活動では、研究テーマの詳細を評価されないのが一般

理系の大学院生卒の就活の場合は、少しは研究テーマを面接で聞いてくる場合もありますが、しかし学部卒では、まず学生の研究テーマの研究レベルを企業は調べません。学部卒にも研究テーマについて面接中に聞いてくる場合もあったり、企業の用意するエントリーシート(インターネットでの応募用紙みたいなもの)の記入欄に、研究テーマとその概要について記入する欄があったりしますが、単に聞くだけです。だいたい、就活開始の時期である学部3年後半〜4年前半には、まだ卒業研究がほとんど始まっていませんので、企業側も深く調べようがありません。インターネットでは、「大手企業の技術職志望なら、研究レベルを調べるはず」とかデマが出回る場合がありますが、もちろんデマだと思ったほうが良いです。

(なので、学部生の3年生が卒業研究の研究室を決める時は、志望業種に近い研究室を選ぶのが安全です。せいぜい、その程度しか、企業には卒業研究を評価されないのです。)
  • その他

また、たとえ日本の企業のオカシな採用方法に愛想をつかして外国企業や外国の大学に進む場合でも、大学院の経歴はあったほうが有利です。世界的に、大学学部卒よりも大学院卒のほうが就職などが有利です。

ただし、日本では、博士課程まで進むと、年齢の高さにより、就職先が見つかりづらくなる、傾向があります。なので、とりあえずは修士課程までは、理系なら進学したほうが有利です。

大学院の一般受験は難関

理科系の場合、大学院の修士課程の卒業後の就職率が良いことなどもあり、大学院に進学する人も多いです。

大学院の入学には、一般入試と、学部からの内部進学などや、推薦があります。ほとんどの大学院進学する学生は、内部進学や推薦など、一般入試以外で、大学院に進学します。

一般入試で大学院に合格するのは、理系の場合、かなりの難関です。なぜなら、大学院受験の受験勉強をしているヒマがありません。そもそも授業の通常の科目の定期テスト対策が忙しいです。学部の定期テストですら、過去問が無いと太刀打ちできないような難問を出すテストが多いのです。大学院試験は、過去問集は公開されている場合もありますが、けっして過去問通りになんて出題しません。

大学院の受験勉強どころか、そもそも学部の編入学試験ですら、解こうとしてみると、かなりの難問である場合もあります。学部編入学試験の問題ですら、その大学の学部生や卒業生ですら、あらかじめ受験勉強なしでは、ほとんど解けないでしょう。

大学院の入試問題は、それら学部の定期テストや学部の編入学試験よりも、さらに難しい問題が出ます。

多くの学生は、大学院受験の受験勉強にまで、あんまり勉強の時間を割けません。

また、大学4年になったら、たとえ院に進学する人でも就職活動を始めて、企業訪問をしたり、企業研究をしたりするのが一般的です。就職活動もあり、なかなか大学院受験の受験勉強が出来ません。


よく、評論家(自称「教育通」)や大学教授などが「大学院の大衆化で進学率が高くなって、院の教育レベルが下がった。」などとシタリ顔で評論したり、ビジネス評論家などがソレを真に受けて「大学院なんて簡単。」などとデタラメな教育評論(自称)をしたりしますが、院に進学するのが(比較的)簡単な場合とは、内部進学とか推薦で進学できる場合のみです。

理系の場合、一般入試での大学院進学は、大学にもよりますが、かなりの難関です。

数学科以外では数学の証明は、やらない

高校の数学の教科書や参考書では、将来は数学科に進学する学生もいる可能性がありますから、教科書・参考書には問題の解放以外にも、より深い数学的な考えかたや証明法などを解説したり考察したりと、数学的論理を重んじた記述もあります。

しかし、大学では、数学科以外では、数学的な論理なんて重んじません。 数学の授業は、公式を暗記して、たくさんの計算問題を解く能力が重要視されます。そのような公式を暗記する能力を持たないと、定期テストで合格でいないだろう科目も、多く存在するでしょう。

いわゆる「暗記数学」の能力が、理系の多くの学部学科で要求されます。

なにも、工学部や農学部などの、いわゆる「実学」系の学部だけでなく、理学部の物理学科や化学科や生物学科でも、そのような数学の公式を暗記する能力が要求されます。

定期テストでは、公式を覚えておかないと、テスト時間内に解き終わらないような量の、大量の計算問題が出る可能性があります。そのため、公式を覚える必要があります。


大学の数学科では、「大学の数学と、高校の数学は違う。」などと教授がシタリ顔で言ったりして、数学科の数学の授業やテストでは証明に比重が置かれます。ですが、数学科以外では、高校数学以上の公式丸暗記、大量の計算問題を短時間で解く計算力が要求され、いっぽう、証明は重んじられません。

受験勉強の時に、公式を暗記して、短時間で大量の問題をとく計算力が要求されたと思います。数学科以外では、そのような受験勉強のような数学が、大学入学後も続きます。

物理学科以外の物理では、公式暗記の計算力が求められる

数学だけでなく、物理学などの他の理学系の科目も同じです。公式を覚え、短時間で大量の問題を解けるような計算力が要求されます。これは物理学科以外だけでなく、物理学科でも、そのような計算力が要求されます。

たとえば電気磁気学なら、「どのようにして、電気磁気学の公式が導かれたのか?」という考察や理論よりも、実際に電気磁気学の公式を用いて、多くの練習問題を解く能力が、物理学科でも他の学科でも要求されます。

しかも、多くの産業では、電子機器を用いているので、専門科目や教養科目で電磁気学を扱う学科も多いです。

国家試験のような難度の問題が、定期テストに出ることも

国家試験の問題は、ブランド化しやすく、多くの学科で、その分野の難関の国家試験問題が、定期テストに出ます。もっとも、医学部・薬学部などの国家資格が必要な仕事の学部では、仕方ないかもしれません。ですが、工学部などの他の学部ですらも、国家試験がブランド化しており、国家試験のような難度の問題が、定期テストに出ることも、けっこう多くあります。

理系の場合、べつに国家試験のような難度でない通常の難度ですら、かなり難しい問題が多いです。国家試験レベルの出題は、さらに難しいわけです。

当然、定期テストに合格するためには、まず定期テストの過去問を手に入れ、そして授業には出席し、さらに教員の説明を鵜呑みにして熱心にノートに取っておいて、試験前に復習しておかないと、まず解けないような難度の問題です。

研究室のテーマ選び

研究室は、志望業種に近いほうが有利

3年の後半ごろから、おそくても4年生になると、研究室に配属されます。

企業の採用活動は、大学の偏差値のほかは、学科名と、研究室のブランドとかで採用します。 なので、研究室選びは重要です。

基本的には、志望業種に近いテーマを選んだほうが、就職に有利です。 けっして、「志望外のテーマを選んでみて、視野を広げよう」だなんて、思わないほうが良いです。企業の人間の多くは、そこまで想定しません。 たとえば化学業界に就職するなら、化学反応とか材料とかを研究している研究室を選ぶのが、たぶん就職に有利です。

けっして、「化学業界でも機械を使うだろうから、4年生の研究では機械工学に関係のあることを研究しよう。」とか、「化学業界でもコンピューターを使うだろうから、コンピューター・サイエンスに関係しそうな研究をしてみよう」だなんて思わないほうが、就職活動は安全です。

企業は、とても近視眼的なのです。企業の多くは、けっして「化学業界でもコンピューター・サイエンスを!」とか、そこまで想定していません。たとえ面接でアピールしようにも、面接の前の段階で書類審査で落とされる可能性もあります。

とくに志望業種が人気職種の場合、あえて志望業種外の研究テ-マ選びをすると、大学が名門大学でないかぎり、むしろ志望業界と違う研究テーマを選ぶことは、その業界への志望の意欲が低いとみなされかねません。つまり、直接的に志望業種そのものの研究テーマ選びをした他の学生よりも不利になり、書類審査で落ちる可能性が高まります。

あなたの学歴が、一流ブランドの名門大学なら、あえて専門外の研究テーマを選んでも、企業側が「そういう発想もあるよね」とか合わせてくれるかもしれません。ですが、平均的なブランドの大学の場合、企業は、もっと単純に学生の研究室と志望業種を結び付けた発想をします。

化学業界に限らず、他の業界を志望する場合も同じです。

たとえば、半導体業界に行きたいなら、半導体そのものの研究実験をしている研究室を選ぶのが、とても就職的には安全です。 けっして「半導体製造装置を作るのにも、どこかの加工段階で機械加工が必要だから、機械工学を研究しよう。」とか、「半導体製造装置では、反応ガスの制御も重要だから、流体力学や流体機械を研究しよう。」とか、思わないほうが良いのです。

電機メーカーの多くは、そこまで就活学生に対応できません。たとえ電機メーカーの採用担当が、そういう機械加工やらガス制御の実務を知ってても、しかし、そういう発想を学生が書類審査や面接などで自己アピールするのが困難です。

企業は近視眼的かもしれませんが、人材教育にも費やせる金銭や時間が限られてるし、あまり専門外の研究の応用まで想定している余裕は企業に無いのです。

実験系のテーマの研究室が就職に有利

基本的に、理論研究よりも、実験系の研究のほうが有利です。

はっきり言って、理論研究は、研究に負担が大きい割りには、あまり就職活動では成果が報われません。それでも、あなたの在学する大学が有名ブランド大学なら、企業の採用担当は「高学歴だから、きっと高度な研究をしてるだろう。」という発想で話を聞くかもしれません。ですが、いわゆる低学歴だと、そういうふうに見てもらえずに、書類審査など初期の審査で落ちる可能性が高まります。


  • 実験系の研究は、研究成果や教育効果が出やすい。実験系はアピールしやすい。

実験系の研究なら、基本的には、まじめにコツコツ実験結果を確認して検証していけば、成果は出ます。たとえ満足な成果が出なくても、すくなくとも実験装置を扱う技能は上達します。

企業は近視眼的かもしれませんが、しかし企業にも教育費に限りがあり、企業で新入社員に実験装置の使用法を教育するための社内教育に費やせる金銭は、限られてるのです。


いっぽう、理論系の研究は、ありとあらゆるアイデアを、研究者が考えなければいけません。検証方法も、研究する学生が自ら考えなければいけません。検証したくても、学校の設備が不十分だと、検証実験が出来ない場合もあります。

このような理由のため、理論研究は就職活動でアピールしづらい場合もあります。

たとえ理論研究で研究成果が出ても、その成果を説明するには、相手に、それなりの量の予備知識と理解力が必要になります。しかし、そのような、特定の研究テーマの予備知識を多く持っている相手は、少ないです。なので、理論の研究成果のアピールは、とても難しいです。

就活では、研究テーマを分かり易く説明する能力も求められます。なぜなら、就職後に社外営業活動などで取引先に商品説明などをする場合だってありうるし、よって説明能力が求められるのです。

  • 実験系の研究は、週活でアピールしやすい。

実験系の研究は、就職活動での企業へのアピールが楽です。 基本的に、実験結果は目に見えたり、物を動かしたりするわけですから、なので説明がラクです。

一方、理論系の研究をアピールする場合、その理論を知らない部外者に、理論を説明するわけですから、とても説明が大変です。学生時代の自分の数学の勉強を思い出しましょう。たとえば、あなたは日本の数学者の研究を、何人の数学者の研究を、知っていますか。アナタが数学科の学生でもない限り、おそらく日本の数学者の研究内容を知らないでしょう。

理論を説明する、という事は、このように手間の掛かる大変なことです。


テレビの科学番組などで説明する科学研究も、たいてい実験系の研究です。数式などを用いることの多い理論系の研究は、あまりテレビでは紹介されません。

企業の人間も、その企業の製品を買う消費者も、テレビの視聴者と同じく、一般大衆ですので、実験系の研究のほうが理解されやすいです。


  • 実験系では、高価な装置を用いる研究のほうが就職に有利

大学の実験装置の値段は、一個人の収入では買えないような高価な設備が多いのです。中小の企業でも、なかなか、実験設備は買えません。

高価な実験装置を使う研究の場合、その研究テーマを選ばないと、その学会・分野への参入そのものが難しいです。

安価な設備を用いて実験できる事を研究するのは、競争相手が多く、とても大変です。


つまり、最新の研究設備や高価な実験設備で、実験・研究するほうが、基本的に就職活動は有利です。

中古の古い設備でも上手に使いこなして実験する事は、学習が難しい割りに、就職活動では、やや学習成果が報われません。

なお、企業には、機械工場の古い工作機械のように、古い設備もあるので、それらを理解できるだけの能力は学生に要求されます。昭和の時代に設計された工作機械などもあります。他の業界でも、たとえば古いプログラム言語などで動いているソフトウェアも、あるかもしれません。しかし、古い設備だからといって、けっして安価では無いのです。たとえば工作機械なんて、学生個人の貯金では、まず買えませんし、たとえ買えても保管場所などに困ります。

結局、金を払って、学校の実習などで設備の使い方を勉強することになります。たとえば古い機械の使い方などは、学校の実習科目で既に習っています。企業で古い設備を使う場合もあるので、実習科目での設備は、古めの設備の使用法を教育している場合もあります。既に実習で古い設備の使い方を習ってるので、だったら卒業研究では新しい設備を習ったほうが、新たな経験を積めるので、就活自己アピールもしやすいでしょう。

このように企業は近視眼的かもしれませんが、しかし企業の設備費に費やせる金銭が限られてるのです。


  • 企業は体育会系が好き、なので実験系のほうがアピールしやすい。

企業の多くの人材の好みは、知識のある人間よりも行動力のある人間を好みます。なので、実験系の研究のほうが、行動に移しやすいので、企業から好まれるのです。また、協調性のある人間が企業は好きです。やはり実験系の研究のほうが協調性をアピールしやすいのです。

仮に理論系の研究テーマを選んで、せっかく理論を研究しても、企業から「浮世離れした研究」とか見なされる可能性もあります。

体育会系の人間が「根性がある」とかの理由で企業に好まれやすいのと同様、実験系の研究のほうが、次のような理由で、好まれやすいのです。


研究成果のアピールで、自分の根性をアピールしようとして、「実験をしていて、なかなか成果が出なかったけど、あきらめずに頑張ろうと思って、いろいろな組み合わせでデータを取ったら、こんな意外な実験データが見つかりました!」とか言えば、企業に好まれそうでしょ?

「実験データを取るため、時には夜おそくまで実験する日もあったけど、あきらめずに実験しました! こんな実験データを発見しました!」とかアピールすれば、企業が好みそうでしょ?

この実験成果のアピールのエピソードなんて、就職活動でのバイト経験や部活アピールとかで、「苦しかったけど、あきらめずに頑張って、○○で、乗り切りました!」とかの良くあるパターンのアピールの類似に過ぎませんが、しかし企業の多くの人間は、このパターンの科学エピソードとかが大好きです。


いっぽう理論研究の場合、もし根本方針を間違えてしまうと、どう研究しても成果が出ないので、いったん方針を変更するために既存の方針を中止する必要もあります。

いっぽう理論研究の場合、あまり頭が鈍ると成果が出ないので、夜更かしとかは好まれません。

しかし、企業は、理論研究者の好みなんか、重視する気はありません。 企業が重視するのは、その企業自身の好みです。そもそも、就職する学生を雇ってあげて、新卒学生に給料を払ってあげるのは企業なのですから、どうして企業が金を払わない他人の好みなんかに合わせる必要があるのでしょうか?

参考書の範囲はテストに出ない場合が多い

大学側は正しい

大学入学後の定期テストでは、大学指定の教科書を定期テストの試験範囲とする場合が多いので、せっかく独学の参考書用として指定外の学術書を買って読んでも、その参考書の内容が試験範囲外なので、参考書は定期テスト対策としては非効率である。

大学を擁護すると、小中高の文部省の教科書検定と違い、大学では教科書の基準が各社ごとにバラバラだし、高校の普通科などと違って大学は学科の種類も多いので、教科書・参考書用の本の種類も多く、いちいち自校で教科書指定してない参考書まで、内容を検証してるヒマは無い。

日本の大学での現代の教科書は、日本の現代の実情に適しており、合理的な教科書なのである。たとえば情報工学とかバイオテクノロジーとか、進歩の急激な学問の教科書を連想すれば、分かるだろうか。たとえばDNAが発見される前の時代の古典の生物学書を読んだとしても、大学生の生物学の勉強には合わないだろう。

また、教科書を書く学者や出版者たちが、世界経済の現状に対応し続けた本を出し続けるには、お金が掛かる。だから、学生も、お金を出して、教科書(大学指定の教科書)を買うしかない。 小中高の検定教科書だって、じつは税金が使われている。執筆者や出版社などが、お金を掛けて、最新の知見を取材・調査などして検定教科書に反映しているのである。

学校の図書館で教科書を「借りよう」という方法はマズイ。「借りよう」という方法だと、定期テスト前などは「貸出中」になっていたりして、テスト対策が勉強できなくなったりする。

いっぽう古典的名著などは、入手こそしやすいが、現代の社会には内容が合っていない。

文科系の学生への教養課程の教科書や参考書などとしては、古典の文化的影響などから古典的名著が授業中に紹介される場合もある。しかし、理系学科での場合、より現代に近い学力が要求されるので、古典的名著は知名度とは裏腹に、理系大学の教科書には、なりずらい。

日本国民の多くは、何だかんだで、学校でテスト範囲などとして指定されない学術書は、まず読まないのである。読んだとしても、精読しない、検証しない場合が多いだろう。たとえば近所の書店の参考書コーナーに行っても、大学入試までの本しか売ってない地域がほとんどだろうし、高校生用の教科ですら入試に出ない教科の学術書は少ない。

あなたは、書店で、高校生用の保健体育の本とか、高校生用の美術・音楽・家庭科の本とかを、書店で見た事がありますか?

中学生・高校生が受験参考書を読む理由だって、しょせんは「受験の出題範囲だから」という、出題範囲かどうかという理由である。

そして企業が、そのような大学の卒業生を大卒待遇として高卒よりも高収入で雇い入れるのだから、結局は日本国民の学問の関心に、大学側の対応も比例してるのである。

わが国は民主主義国であって、よって国民の大多数は長期的には合理的だろうという主義信条であるから、そのような国民の要望に対応している企業も正しいし、そのような企業の要望に対応している大学も正しい。

現状の解説

大学入学後の定期テストでは、大学指定の教科書を定期テストの試験範囲とする場合が多いので、せっかく独学の参考書用として指定外の学術書を買って読んでも、その参考書の内容が試験範囲外なので、参考書は定期テスト対策としては非効率である。

ただし、教員が、授業中に紹介するなどした場合は別である。また、教科書以外の本を教員がシラバスや授業や紹介し「参考文献」「推奨文献」などとしている場合は別である。 とはいえ、たとえ教員が「参考文献」「推奨文献」などとしてシラバスなどで紹介した文献の場合であっても、授業中にその推奨文献の内容を時間を掛けて講義してない場合とか、宿題として要求してない場合、単にシラバスなどで紹介しただけであったりして、テストに出ない場合もある。

教員が紹介した場合ではなく、自分で選んで参考書用に買った本の場合、たとえ有名な本であっても、もし参考書が学校指定で無ければ、その参考書の内容は定期テストには出なかったりする。

具体的に言うと、物理学の学術書として世界的に有名な『ファインマン物理学』を勉強しても、通う大学の教科書に指定されてないかぎり、たとえファインマン物理で熱心に説明されてる物理知識でも、あまり定期テストに出ないだろう。

世界的な名著であっても、ファインマンの前提としてアメリカのカリキュラムが、日本の教育には合っておらず、あまり日本の理系大学ではファインマン物理は教科書に指定されない。

同様に、日本で大学生用の数学書として有名な『解析概論』(著:高木貞治)などを勉強しても、通う大学の教科書に指定されてないかぎり、まず定期テストに出ないだろう。

解析概論は明治時代ごろの数学書であり、現代の科学に関する知見は少なく、「現代の多くの学生への入門教育には適していないだろう」というような判断から、大学では教科書になりづらいのだろう。

それどころか、たとえ学校指定の教科書ですら、授業で習ってない範囲はテスト範囲外なので、まず出ないし、教員からしても出したくても出せない。逆に、教科書に書いてなくても、授業で紹介した問題をテストに出す。

たとえば1年の物理学科や工学部とかでの微分積分の前期(春~夏)のテストなら、授業で講義した範囲が偏微分までであり重積分をまだ習ってなければ、前期の期末テストに偏微分は出るだろうが、同じ教科書の後半に書いてある重積分はテストに出ないだろう。

つまり参考書よりも教科書がテストに出て、教科書よりも授業がテストに出るのである。

大学教授が「授業に頻繁に出てる学生ほど成績が良い」などと主張するのは、単に、その教員が授業で紹介した内容が、重点的に定期テストに出題されるからであろう。

数学科では、出席を取らないのが伝統らしいが、そんな学科は少数派である。

また大学では学校指定の教科書も厚いので、教科書の復習にも多くの時間を取られ、よって参考書用の本まで読み込んでいるヒマが足りない。大学の教育も、参考書などの活用までは対応してない。このように大学の各科目は試験範囲が狭いぶん、そのぶん定期テスト問題の難度が高い場合が多いので、ますます定期テスト対策として学校指定の教科書のみを利用する傾向が高まる。

大学カリキュラム改革などの仕事は教授などの仕事であり、学生の仕事ではない。学生は、教科書と授業での勉強に専念すればよい。

そもそも若いうちは仕事よりも学業に専念するべきだろう・・・少なくとも保護者は、そう考えて、子供に学費を出しているのだろう。

福沢諭吉だって『学問のすゝめ』を書いている。学問しないと、知識が少ないから、騙されやすくて、大変なことになりますよ。