コンテンツにスキップ

短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律第8条

出典: フリー教科書『ウィキブックス(Wikibooks)』

条文

[編集]

(不合理な待遇の禁止)

第8条  
事業主は、その雇用する短時間・有期雇用労働者の基本給、賞与その他の待遇のそれぞれについて、当該待遇に対応する通常の労働者の待遇との間において、当該短時間・有期雇用労働者及び通常の労働者の業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度(以下「職務の内容」という。)、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情のうち、当該待遇の性質及び当該待遇を行う目的に照らして適切と認められるものを考慮して、不合理と認められる相違を設けてはならない。

改正経緯

[編集]

2018年改正

[編集]
  • 以下のとおり改正。
    (改正前)短時間労働者
    (改正後)短時間・有期雇用労働者

2014年改正

[編集]

新設

  • 本条に定められていた条項は、改正の上、次条に繰り下げ。

解説

[編集]
Wikipedia
Wikipedia
ウィキペディア同一労働同一賃金の記事があります。
本条及び次条において職務内容が同じであるにも関わらず、いわゆる非正規の雇用であることのみを理由に賃金の決定等に関して、正規雇用労働者との間で差別的な待遇をなすことを禁じているが、この原則についての賃金への適用に関しては、特に「同一労働同一賃金の原則」という。
正規・非正規被雇用者間における「同一労働・不同一賃金」の問題は、元は、労働契約法第20条の問題として論じられていたが、2018年法改正で同条が削除され(施行2020年)、「同一労働同一賃金の原則」は、本条及び次条の範疇となった。

参照条文

[編集]

判例

[編集]
  1. 地位確認等請求事件(最高裁判決令和2年10月13日)
    無期契約労働者に対して賞与を支給する一方で有期契約労働者に対してこれを支給しないという労働条件の相違が労働契約法(平成30年法律第71号による改正前のもの)20条にいう不合理と認められるものに当たらないとされた事例
    私立大学の教室事務を担当する無期契約労働者に対して賞与を支給する一方で,同事務を担当する時給制のアルバイト職員である有期契約労働者に対してこれを支給しないという労働条件の相違は,次の(1)~(5)など判示の事情の下においては,労働契約法(平成30年法律第71号による改正前のもの)20条にいう不合理と認められるものに当たらない。
    1. 上記大学を運営する学校法人の無期契約労働者に対する賞与は,基本給とは別に支給される一時金として,財務状況等を踏まえつつ,その都度,支給の有無や支給基準が決定されるものであり,労務の対価の後払いや一律の功労報償,将来の労働意欲の向上等の趣旨を含むものとして,無期契約労働者としての職務を遂行し得る人材の確保やその定着を図るなどの目的から支給することとされたものである。
    2. 上記教室事務を担当する無期契約労働者とアルバイト職員の業務の内容は共通する部分はあるものの,上記無期契約労働者は,学内の英文学術誌の編集事務等,病理解剖に関する遺族等への対応や部門間の連携を要する業務又は毒劇物等の試薬の管理業務等にも従事する必要があり,両者の職務の内容に一定の相違があった。
    3. 上記教室事務を担当する無期契約労働者は就業規則上人事異動を命ぜられる可能性があったのに対し,アルバイト職員の人事異動は例外的かつ個別的な事情により行われており,両者の職務の内容及び配置の変更の範囲に一定の相違があった。
    4. 上記学校法人においては,全ての無期契約労働者が同一の雇用管理の区分に属するものとして同一の就業規則等の適用を受けているところ,教室事務を担当する職員の業務の内容の過半が定型的で簡便な作業等であったために一部を除いてアルバイト職員に置き換えてきた結果,教室事務を担当する無期契約労働者は,業務の内容の難度や責任の程度が高く,人事異動も行われていた他の大多数の無期契約労働者と比較して極めて少数となっていた。
    5. 上記学校法人には,アルバイト職員について,無期契約労働者へ段階的に職種を変更するための試験による登用制度が設けられていた。
  2. 損害賠償等請求事件(最高裁判決令和2年10月13日)
    無期契約労働者に対して退職金を支給する一方で有期契約労働者に対してこれを支給しないという労働条件の相違が労働契約法(平成30年法律第71号による改正前のもの)20条にいう不合理と認められるものに当たらないとされた事例
    地下鉄の駅構内の売店における販売業務に従事する無期契約労働者に対して退職金を支給する一方で,同業務に従事する有期契約労働者に対してこれを支給しないという労働条件の相違は,上記有期契約労働者が必ずしも短期雇用を前提としていたものとはいえないこと等をしんしゃくしても,次の(1)~(5)など判示の事情の下においては,労働契約法(平成30年法律第71号による改正前のもの)20条にいう不合理と認められるものに当たらない。
    1. 記売店を経営する会社は,退職する無期契約労働者に対し,一時金として退職金を支給する制度を設けており,退職金規程により,その支給対象者の範囲や支給基準,方法等を定めていたところ,上記退職金は,無期契約労働者の職務遂行能力や責任の程度等を踏まえた労務の対価の後払いや継続的な勤務等に対する功労報償等の複合的な性質を有し,無期契約労働者としての職務を遂行し得る人材の確保やその定着を図るなどの目的から,様々な部署等で継続的に就労することが期待される無期契約労働者に対し支給することとされたものである。
    2. 上記販売業務に従事する無期契約労働者と有期契約労働者の業務の内容はおおむね共通するものの,無期契約労働者は,休暇や欠勤で不在の販売員に代わって早番や遅番の業務を行う代務業務を担当していたほか,複数の売店を統括し,上記販売業務のトラブル処理等を行うエリアマネージャー業務に従事することがあったのに対し,有期契約労働者は,上記販売業務に専従していたものであり,両者の職務の内容に一定の相違があった。
    3. 上記販売業務に従事する無期契約労働者は配置転換等を命ぜられる現実の可能性があったのに対し,同業務に従事する有期契約労働者は配置転換等を命ぜられることはなく,両者の職務の内容及び配置の変更の範囲に一定の相違があった。
    4. 上記会社においては,全ての無期契約労働者が同一の雇用管理の区分に属するものとして同じ就業規則等により同一の労働条件の適用を受けていたが,上記販売業務に従事する無期契約労働者は,本社の各部署や事業所等に配置され配置転換等を命ぜられることがあった他の多数の無期契約労働者とは職務の内容並びに当該職務の内容及び配置の変更の範囲を異にしていたところ,関連会社等の再編成の経緯やその職務経験等に照らし,賃金水準を変更したり,他の部署に配置転換等をしたりすることが困難な事情があったことがうかがわれる。
    5. 上記会社は,無期契約労働者へ段階的に職種を変更するための開かれた試験による登用制度を設け,相当数の有期契約労働者を無期契約労働者に登用していた。
  3. 労働契約法20条違反による損害賠償請求事件(最高裁判決令和8年2月13日)
    (有期雇用契約社員である)労働者が使用者に対し一時金相当額を不法行為に基づく損害賠償として請求することはできないとされた事例
    (有期雇用契約社員である)労働者が使用者に対し一時金の支払債務の不履行を理由として、一時金相当額を不法行為に基づく損害賠償として請求することはできない。
    • (有期雇用契約社員である)労働者の一時金【賞与等に相当する一時金】に係る損害賠償請求は、当該労働者に準社員就業規則が適用され、一時金の支払を求める具体的請求権(労働契約に基づく賃金債権)を有していたことを前提とした上で、使用者がその支払債務の履行を怠ったことが不法行為に該当するとして、一時金相当額等の損害賠償を求めるものである。しかしながら、当該労働者が上記賃金債権を有するのであれば、使用者においてその支払債務を履行しなかったとしても、契約に基づく金銭債務の不履行となるにすぎず、当該不履行自体は債権者の不法行為法上の権利利益を侵害するものではないから、一時金が支払われなかったからといって不法行為が成立するものではない。本件において、当該労働者は、専ら一時金が支払われなかったことをもって不法行為に該当すると主張するものであり、契約責任(債務不履行)のほかに、不法行為責任が問題になる余地はない。

前条:
第7条
(就業規則の作成の手続)
短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律
第3章 短時間労働者の雇用管理の改善等に関する措置等
第1節 雇用管理の改善等に関する措置
次条:
第9条
(通常の労働者と同視すべき短時間労働者に対する差別的取扱いの禁止)
このページ「短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律第8条」は、まだ書きかけです。加筆・訂正など、協力いただける皆様の編集を心からお待ちしております。また、ご意見などがありましたら、お気軽にトークページへどうぞ。