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解析学基礎/積分方程式

出典: フリー教科書『ウィキブックス(Wikibooks)』
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ここでは、積分方程式について扱う。解析学基礎であることを鑑みて、扱いやすい特別な場合のみを考えることとする。それ以外の一般の場合は作用素論を参照。

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積分方程式とは

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積分方程式とは、未知関数の積分を含む関数方程式である。不定積分は区間の端を関数とする定積分に帰着することが多いので考えない。

積分方程式は以下のように分類される。

  1. 積分区間の上端・下端とも定数であるものをフレドホルム積分方程式という。積分区間の上端・下端のいずれかが変数であるものをヴォルテラ積分方程式という。
  2. 未知関数が積分内のみに表れるものを第一種積分方程式、積分の外にも表れるものを第二種積分方程式という。なお、積分の外で未知関数に既知関数が掛かっているものを第三種積分方程式というが本質的に第二種と同じである。
  3. 積分の外の既知関数が零関数であるものを斉次積分方程式、そうでないものを非斉次積分方程式という。

これらを纏めると、常積分方程式は以下のように大別される。

第一種フレドホルム積分方程式:
第二種フレドホルム積分方程式:
第一種ヴォルテラ積分方程式:
第二種ヴォルテラ積分方程式:

ここで、 は未知関数、は既知関数、は未知係数である。二変数関数積分核と呼ばれる。また、は積分作用素の固有値である。

微分方程式と異なり、積分方程式では初期条件・境界条件が方程式(の主に積分区間・積分核)に内蔵されている点に注意が必要である。


常積分方程式

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先ずは第一種フレドホルム積分方程式を考える。積分核をと書くことができれば、積分の線型性よりと分解される。ここで、各の計算結果は定数であることから、それぞれ定数と置き換えることで積分方程式をに関する連立方程式に変換できる。この連立方程式を解いて得た各を元の積分方程式に代入すれば解を得る。

ここでは、積分核が有限個のに分解できる(分離核という)場合のみ扱う。


例題1.1

積分方程式を解け。

解答)
とする。
元の方程式に代入して
よって
より連立方程式
を得る。
これを解いて
よって解は


第一種ヴォルテラ積分方程式は微分積分学の基本定理を利用すると微分方程式に帰着される。但し、両辺を微分する操作は同値変形ではないため、微分で消えてしまう定数項の情報を復元する必要がある。そのような条件は、元の積分方程式でを考えると求まる(なので)。


例題1.2

積分方程式を解け。

と置換するとより
よって元の方程式より・・・①
両辺をで微分して
と①より
これは直接積分形微分方程式なので解くと
・・・②
元の方程式でを考えると
であり、②でを考えたものと比較すると
則ち、解は


第一種ヴォルテラ積分方程式で積分核がの場合は「両辺を微分することで直接解が求まる」ため直接微分形積分方程式という。直接微分形の場合は「両辺を微分する」時点で初期条件が満たされるため、任意定数は現れない。但し、先ほども述べたように両辺を微分する操作は同値変形でないため、可解条件を満たすことの確認は必須である。


積分核がという冪函数であり、第一種ヴォルテラ積分方程式に含まれる積分がという形であれば、階微分によって直接微分形に帰着される。

  • 証明

[必要条件]

の両辺に対する階微分で解を直接得たと仮定する。
積分項が消えるので、則ち次以下の多項式である。
積分方程式を微分して現れる導関数項はライプニッツの公式を適用して
これが消えるので
更に、の項は消えてはならないので
である。
次以下の多項式関数のうち、これらの条件を同時に満たすものは
である。
階微分で解が現れるので、直接微分形になるのは階微分のときであり、則ちである。

[十分条件]

と仮定する。
の両辺を微分していく。
天下り的だがが成り立つことを帰納法で証明する。
[1]のとき
より自明。
[2]のとき
と仮定する。
両辺を微分すると
よって成立。
[1], [2]より全てので成立。
ここでの場合を考えると、
これは直接微分形積分方程式であり、更に一階微分すれば解は
と求まる。//


例題1.3

積分方程式を解け。

と置換すると例題1.2と同様にして
と変形される。
これを元の方程式に代入して両辺をで微分すると
更に微分すると
これは直接微分形積分方程式なので、もう一回微分して
可解条件はとして
これは満たされるので解がと確定する。

この例題ではであるが、よりと、三次以上の項のみが現れる。また、可解条件から左辺はであるため、左辺もテイラー展開すれば三次以上の項のみが現れると判る。

一般に、可解条件は級数の理論から得られる事実「位の零点を持つなら、左辺のテイラー展開には次以上の項のみが現れる」と同値である。


また、例題1.3の解は先ほど求めたも満たしていることが判る。

但し、これを公式として使用することは推奨しない(適用範囲が狭く、可解条件の確認も忘れやすいため)。例えば、例題1.3でとしてもは具体的に得られるが、これは可解条件を満たさないため解として不適である。


積分区間の上端が関数の場合は、という置換積分を行えば第一種ヴォルテラ積分方程式に帰着される。

なお、積分区間の下端も関数となっている場合は、適当な定数で区間を分割することでw:ノイマン級数を利用できる。詳しくは省略する。


積分方程式同士の和を考える。第一種フレドホルム同士、第一種ヴォルテラ同士ならば積分の線型性より積分核を足したものを合成積分核とすれば同様の方法で解ける。

第一種フレドホルムと第一種ヴォルテラの和の場合は、フレドホルム・ヴォルテラ双方の解き方を組み合わせれば良い。但し、この場合は「求めたと元の方程式にそれぞれを代入して連立」というやり方が適用できない。これは、フレドホルム項とヴォルテラ項の寄与が互いに再代入されるループに陥るためである。そのため、求めたをフレドホルム項に直接代入して定数を評価する必要がある。


例題1.4

積分方程式を解け。

とおくと元の方程式に代入して
両辺を微分して
これはという非斉次一階線型微分方程式である。
積分因子は
の定義に代入すると
よって最終的な解は

なお、は解そのものから定まる定数なので拘束条件が存在し、任意定数ではない。


また、積分項のみの場合は一階微分することで被積分関数のみの関数方程式に帰着される。

例題1.5

積分方程式を解け。

両辺を微分して(ほぼ至る所で等しい)
変形して
これは変数分離形なので
よってより
の符号を積分定数で吸収すれば
は任意定数)

ここから、懸垂線は「曲線・軸が囲む面積と曲線の長さが一致する」唯一の図形であると判る。


第一種積分方程式の最も有名な応用例は、電気回路の回路方程式である。

例題1.6

RC直列回路に直流電源Eを接続した。コンデンサの初期蓄電荷を0としたとき、スイッチを入れてからt秒後の電流Iを求めよ。

電流の定義とコンデンサの初期蓄電荷より
よってコンデンサに掛かる電圧は
キルヒホッフの第二法則より回路方程式は
両辺を時間微分して
積分因子は
は任意定数)
元の方程式でを考えると
よって求める電流はである。


次に、第二種積分方程式を考える。


(逐次近似法など)


重積分方程式

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先ずは、解が一変数関数であるとして常積分方程式に帰着できる場合を扱う。そのような場合は一次元の累次積分によって与えられる高階積分方程式である。

第二種高階フレドホルム積分方程式は、各積分の積分区間が固定なので未知関数を含まない項に定積分を纏めてそれを合成積分核として定義することで第二種一階フレドホルム積分方程式に帰着される。

として


第二種高階ヴォルテラ積分方程式は、「未知関数が最内部の積分変数にのみ依存する」場合は第二種一階ヴォルテラ積分方程式に帰着される。最も簡単な場合を考えると、フビニの定理の定理が適用可能且つ積分領域がという順序付き単体領域である場合には以下のように帰着される。

として

この単体領域をヴォルテラ領域という。


第二種線型高階積分方程式は、各階で同様にして積分核を最内部の変数の関数で表したものを合成することで、第二種一階積分方程式に帰着される。

階累次積分の中にフレドホルム型とヴォルテラ型が混在する場合も、積分領域を適切に設定することによって積分核を合成できるならば、一階積分方程式に帰着される。


次に、二変数関数の積分方程式について考える。

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