高等学校化学I/炭化水素/鎖式炭化水素/アルキン

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炭化水素 有機化合物 鎖式炭化水素 環式炭化水素
    アルカン アルケン アルキン  

アルキンの構造[編集]

分子式 名称 構造式 沸点(℃)
C2H2 アセチレン アセチレン ー74℃
C3H4 プロピン プロピン ー23℃

右図のアセチレンのように、一般に、炭素間の結合に三重結合を1つ含むため分子式が CnH2n-2 と書ける炭化水素をアルキン(alkyne)という。右に、おもなアルカンの分子式と名称、構造式を示す。

なお、アセチレン分子の立体構造は、すべての原子が直線上にならぶ配置になっている。この理由は、三重結合の部分は、回転をできないから、である。

アルキンの性質[編集]

アルキンは三重結合のため、付加反応(ふかはんのう)を起こしやすく、酸化剤と反応して酸化される。

また、アルキンは次のような有機化合物一般の性質をもつ。

  • 水に溶けにくい。
  • エーテルなどの有機溶媒によく溶ける。
  • ススを多く出しながら燃えて、二酸化炭素と水を生じる。

燃焼時のススの多さは不飽和度が高いほど多くなり、その時の炎も明るくなる。

アセチレン[編集]

アセチレンの構造式
アセチレン分子の形状

アセチレンは分子式C2H2の、もっとも炭素数が少ない基本的なアルキンである。アセチレンの構造式は、右図のように HC≡CH と書く。常温ではアセチレンは無色の気体である。三重結合で結びついている炭素原子と、それに直接結合した原子はすべて同一直線上にあるため、右図のようにエチレン分子は全ての原子が一直線上にある。

アセチレンは、実験室では炭化カルシウム(カーバイドとも、CaC2)を水と反応させることにより得られる。炭化カルシウムを細かな穴をあけたアルミ箔で包み、水を入れた水槽に入れると、アセチレンが発生する。アセチレンは水に溶けないため、水上置換法により捕集する。

CaC2 + 2H2O → Ca(OH)2 + C2H2

なお、アセチレンの工業的な製法では、石油などに含まれるアルカンを熱分解(「クラッキング」という)して、アセチレンをつくる。

酸素アセチレン炎

アセチレンは、溶接用のバーナーの炎に用いられる。アセチレンに酸素を混ぜて点火すると、3000℃を超える高温の炎が得られる。そのため、金属の溶接や切断の際に酸素アセチレン炎が用いられる。

アセチレンの反応[編集]

付加反応[編集]

三重結合は付加反応を受けやすく、白金やニッケルなどを触媒として水素と反応させると、エチレンやエタンを生じる。

アセチレンC2H2への水素の付加によって、エチレンH2C=CH2が生じた反応


過マンガン酸カリウム水溶液[編集]

塩基性の過マンガン酸カリウム水溶液(赤紫色の状態)に通じると、MnO2の沈殿が生じる。

臭素との反応[編集]

また、アセチレンは三重結合を含むため、赤褐色の臭素水に通じると、付加反応により1-1-2-2-テトラブロモエタンが生じるため臭素の色が消え、無色になる。

水との付加[編集]

硫酸水銀 HgSO4 を触媒として、アセチレンに水が付加することにより、不安定な中間生成物を経て、最終的にアセトアルデヒドを生じる。アセチレンは、まずはじめにビニルアルコール(CH2CH(OH))になるが、これは非常に不安定であり、アセトアルデヒド(CH3CHO)になる。

アセチレンへの水の付加。まんなかの式にある、途中の生成物はビニルアルコール。いちばん右の式にある、最終的な生成物がアセトアルデヒド。


赤熱した鉄[編集]

アセチレンが、赤熱した鉄にふれると、鉄が触媒として作用し、アセチレンの3分子が重合して、ベンゼンが生じる。

アセチレンの3分子重合。右側の式がベンゼン環