高等学校化学I/芳香族化合物/フェノール類

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芳香族化合物 ベンゼン 芳香族炭化水素 フェノール類 芳香族カルボン酸 アニリンとアゾ化合物

フェノール類[編集]

名称 構造式
フェノール フェノール
o-クレゾール o-クレゾール
m-クレゾール m-クレゾール
p-クレゾール p-クレゾール

ベンゼン環の置換基にヒドロキシ基を持つものをフェノール類(phenols)と呼ぶ。フフェノール類には、フェノールのほか、クレゾール、ナフトールなどがある。フェノール類は互いに似た性質を示す。構造式を下に示すベンジルアルコールのように、ベンゼン環に直接ヒドロキシ基が結合しないものはフェノール類に属さず、この節で述べるような性質を持たない。

ベンジルアルコール。フェノール類ではない。

フェノール類の持つヒドロキシ基は水溶液中でわずかに電離し、弱酸性を示す。フェノール類の水溶液は、炭酸よりも弱い酸性を示す。

フェノキシドイオンの合成式

フェノール類は水中ではあまり電離せず、ほとんど溶けない。だがフェノールは弱酸なので、フェノールは強塩基の水酸化ナトリウムと反応して塩のナトリウムフェノキシドをつくって溶ける。

ナトリウムフェノキシドの合成式

ナトリウムフェノキシドの溶液に、フェノールよりも強い酸である二酸化炭素などをくわえると、フェノールが生じる。

  • ナトリウムとの反応

また、フェノール類は、アルコールと同様に単体のナトリウムと反応し、水素を発生する。

2フェノール + 2Na → 2ナトリウムフェノキシド + H2


検出反応[編集]

フェノール類水溶液は塩化鉄(Ⅲ)(FeCl3)水溶液を加えると青~赤紫色を呈する。この呈色反応はフェノール類の検出に重要である。ヒドロキシ基を持っていても、ベンゼン環に直接結合しないアルコールでは、この呈色反応は起こらない。


フェノール[編集]

フェノールはベンゼン環の水素原子を1つヒドロキシ基で置換した構造を持つ、人体には有毒な白色の固体である。石炭の乾留から得られるので石炭酸ともいう。

フェノール


フェノールの合成[編集]

フェノールはベンゼンを原料として様々な経路により合成することができる。中でも、工業的にはクメン法(Cummene process)が重要である。

クメン法
  1. ベンゼンとプロピレンを触媒を用いて反応させ、クメンを生じる。
  2. クメンを酸素で酸化し、クメンヒドロペルオキシドとする。
  3. 希硫酸により分解し、フェノールを生じる。この際、副生成物としてアセトンを生じる。
クメン法

このほかに、従来はベンゼンスルホン酸やクロロベンゼンからフェノールを合成する方法もあったが、現在は行われていない。

フェノールの昔の製法

なお、ベンゼンスルホン酸からの製法では水酸化ナトリウムを300℃前後で融解させるので、アルカリ融解とも言われる。

フェノールの反応[編集]

ピクリン酸

フェノールは反応性が高く、さまざまな化合物を生じる。フェノールに臭素を反応させると、ヒドロキシ基に対してオルト位とパラ位の水素原子が臭素で置換され、2,4,6-トリブロモフェノールの白色沈殿を生じる。

2,4,6-トリブロモフェノールの合成

また、フェノールに濃硫酸と濃硝酸を作用させると、ヒドロキシ基に対してオルト位とパラ位をニトロ化してピクリン酸を生じる。