高等学校化学I/金属元素の単体と化合物/典型金属/鉛

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鉛

(Pb)は青白色のやわらかい金属である。鉛および鉛の化合物は有毒である。

鉛は、両生元素であり、硝酸、強塩基の水溶液と反応して溶ける。しかし、塩酸と希薄硫酸には、鉛の表面に難溶性の皮膜(塩化鉛 PbCl2 や、硫酸鉛 PbSO4 の皮膜は、水に難溶)が発生するため、溶けない。

Pb + 2HNO3 → Pb(NO3)2 + H2
Pb + 2NaOH + 2H2O → [Pb(OH)4]2- + 2Na+ + H2

ただし、塩酸と希硫酸には溶けない。また、アンモニア水のような弱塩基にも溶けない。


鉛蓄電池

酸化鉛PbOは黄色く、古くは、黄色の顔料として用いられた。

また、鉛と酸化鉛は鉛蓄電池の電極版として用いられる。

ハンダ

鉛とスズを主成分とするハンダは融点が低いため溶接が容易で、電気回路の組み立てに用いられた。だが、鉛の毒性への懸念から、近年では、鉛を用いないハンダ(「鉛フリーはんだ」などと言う)など、鉛を用いない別材料にハンダは変わってきている。


鉛の化合物は水に溶けにくいものが多いが、硝酸鉛 Pb(NO3)2 や酢酸鉛 (CH3COO)Pb は水によく溶ける。

イオン[編集]

鉛(Ⅱ)イオン(Pb2+)は様々な沈殿を作る。アンモニア水や少量の水酸化ナトリウム水溶液を加えると、水酸化鉛(Ⅱ)の白色沈殿を生じる。

Pb2+ + 2OH- → Pb(OH)2

ただし、水酸化ナトリウム水溶液を過剰に加えると、テトラヒドロキソ鉛(Ⅱ)酸イオンを生じて溶ける。

Pb(OH)2 + 2NaOH → 2Na+ + [Pb(OH)4]2-

鉛(Ⅱ)イオン水溶液に塩酸を加えると、塩化鉛(Ⅱ)の白色沈殿を生じる。

Pb2+ + 2HCl → 2H+ + PbCl2

これを加熱すると、鉛(Ⅱ)イオンを生じて溶ける。

PbCl2 → Pb2+ + 2Cl-

鉛(Ⅱ)イオン水溶液に希硫酸を加えると、硫酸鉛(Ⅱ)の白色沈殿を生じる。

Pb2+ + H2SO4 → 2H+ + PbSO4

鉛(Ⅱ)イオン水溶液に硫化水素を加えると、硫化鉛(Ⅱ)の黒色沈殿を生じる。

Pb2+ + H2S → 2H+ + PbS↓

鉛(Ⅱ)イオン水溶液にクロム酸カリウム水溶液を加えると、クロム酸鉛(Ⅱ)の黄色沈殿を生じる。

Pb2+ + CrO42- → PbCrO4

鉛(Ⅱ)イオン水溶液にヨウ化カリウム水溶液を加えると、ヨウ化鉛(Ⅱ)の黄色沈殿を生じる。

Pb2+ + 2I- → PbI2

その他の性質[編集]

放射線の遮蔽材として、鉛は用いられている。