Autotools/config.guess

GNU config.guess は、GNU Autotools に含まれるスクリプトで、現在のシステム（ハードウェア、オペレーティングシステム、バージョン）を自動的に判別して、標準化された形式で出力する役割を果たします。

このスクリプトは、ソフトウェアの移植性向上 のために使用され、異なるプラットフォーム間でのソフトウェアビルドを円滑に進めるための基盤を提供します。

主な役割

システム情報の判別
- 実行中のシステムの CPU アーキテクチャ、OS、バージョンなどを自動的に検出します。
標準的な形式で出力
- 出力は以下の形式で表されます：
```
CPU-TYPE-MANUFACTURER-OPERATING_SYSTEM
```

使用方法

実行コマンド

./config.guess

実行例

$ ./config.guess
x86_64-unknown-freebsd14.2

出力形式とその意味

以下は config.guess の出力形式とそれぞれの部分の意味です：

CPU-TYPE-MANUFACTURER-OPERATING_SYSTEM

CPU-TYPE
- プロセッサのアーキテクチャ（例：x86_64、armv7l、aarch64）。
MANUFACTURER
- 製造元（例：pc、unknown、apple）。製造元が特定できない場合は unknown と出力されます。
OPERATING_SYSTEM
- 使用中の OS とそのバージョン（例：linux-gnu、freebsd14.2、darwin22.1.0）。

具体例

1. x86_64-pc-linux-gnu

x86_64: 64ビット Intel/AMD アーキテクチャ
pc: 一般的なパーソナルコンピュータ
linux: Linux カーネル
gnu: GNU ツールチェーン

2. aarch64-apple-darwin22.1.0

aarch64: ARM 64ビットアーキテクチャ
apple: Apple 製品
darwin22.1.0: macOS の Darwin カーネル（バージョン 22.1.0）

3. armv7l-unknown-linux-gnueabihf

armv7l: ARMv7 Little-endian アーキテクチャ
unknown: 製造元が特定されていない
linux: Linux カーネル
gnueabihf: GNU ツールチェーン（ハードウェア浮動小数点サポート）

4. x86_64-unknown-freebsd14.2

x86_64: 64ビット Intel/AMD アーキテクチャ
unknown: 製造元が特定されていない
freebsd14.2: FreeBSD 14.2 のオペレーティングシステム

5. powerpc-ibm-aix7.3.0.0

powerpc: PowerPC アーキテクチャ
ibm: IBM 製品
aix7.3.0.0: IBM AIX 7.3（バージョン 0.0）

6. mips64-unknown-linux-gnu

mips64: MIPS 64ビットアーキテクチャ
unknown: 製造元が特定されていない
linux-gnu: Linux カーネル（GNU ツールチェーン）

注意点

環境依存
- 特殊な環境では正確な判別ができない場合があります。

更新の必要性

新しいアーキテクチャや OS に対応するために、config.guess と config.sub の更新が必要な場合があります。

$ wget -O config.guess 'http://git.savannah.gnu.org/gitweb/?p=config.git;a=blob_plain;f=config.guess;hb=HEAD' 
$ wget -O config.sub 'http://git.savannah.gnu.org/gitweb/?p=config.git;a=blob_plain;f=config.sub;hb=HEAD'

まとめ

GNU config.guess は、現在のホストシステムを自動的に判別し、移植性の高いビルドプロセスを実現する重要なツールです。その出力は標準化された形式であり、クロスプラットフォームなソフトウェア開発やクロスコンパイル環境で広く活用されています。