Autotools/ifnames
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GNU ifnames は、GNU Autotools の一部として提供されるユーティリティで、C または C++ プログラム内で使用されている プリプロセッサのマクロ名(#ifdef
, #ifndef
, #if
などで定義されるもの)を抽出するツールです。
主な用途
[編集]- コード内のマクロ定義の検出
#ifdef
,#ifndef
,#if
などの条件付きプリプロセッサディレクティブで参照されているシンボル(マクロ)を収集します。
- Autoconf の入力ファイルの作成を支援
configure.ac
ファイルでどのマクロをチェックする必要があるかを特定するために使用されます。
使用方法
[編集]基本コマンド
[編集]ifnames [ファイル...]
- 指定されたソースコードファイルからマクロを抽出して一覧表示します。
例1: ソースコードからのマクロ抽出
[編集]$ cat example.c #include <stdio.h> #ifdef DEBUG printf("Debug mode is enabled.\n"); #endif #ifdef _WIN32 printf("Windows platform detected.\n"); #endif
$ ifnames example.c DEBUG _WIN32
特徴
[編集]- 抽出されるマクロの種類
- プリプロセッサで参照される 未定義のマクロ(定義されているかどうかを問わない)をリストアップします。
- マクロ自体がどのように定義されているかは関与しません。
- ソースコード分析
- C/C++ のコードで使用されている条件付きコンパイルの内容を効率よく確認できます。
実行例
[編集]例2: 複数ファイルのマクロ抽出
[編集]ファイル構成:
main.c utils.c
それぞれの内容:
// main.c #include <stdio.h> #ifdef ENABLE_FEATURE printf("Feature enabled.\n"); #endif #ifdef LINUX printf("Running on Linux.\n"); #endif
// utils.c #ifdef DEBUG printf("Debugging enabled.\n"); #endif #ifdef _WIN32 printf("Windows detected.\n"); #endif
コマンド実行:
$ ifnames main.c utils.c ENABLE_FEATURE LINUX DEBUG _WIN32
Autoconf との連携
[編集]ifnames
を使用して抽出したマクロを、configure.ac
ファイル内でチェックするために使用します。
マクロチェックの例
[編集]$ ifnames main.c > macros.txt $ cat macros.txt ENABLE_FEATURE LINUX DEBUG _WIN32
この結果を基に configure.ac
を作成します:
AC_INIT([Example Project], [1.0]) AC_CONFIG_SRCDIR([main.c]) AC_CONFIG_HEADERS([config.h]) # マクロチェック AC_CHECK_MACRO([ENABLE_FEATURE]) AC_CHECK_MACRO([LINUX]) AC_CHECK_MACRO([DEBUG]) AC_CHECK_MACRO([_WIN32]) AC_OUTPUT
注意点
[編集]- 単なるマクロ検出ツール
ifnames
はマクロの定義内容やその意味を解析するわけではありません。条件付きプリプロセッサディレクティブに参照されている名前を列挙するだけです。
- Autoconf のサポートツール
- 主に Autoconf を利用する環境で役立つツールであり、Autotools を使用しないプロジェクトではあまり使用されません。
まとめ
[編集]GNU ifnames は、C/C++ ソースコード内で使用されているプリプロセッサマクロを効率よく検出し、Autoconf 用の configure.ac
ファイルを作成する際に非常に有用なツールです。条件付きコンパイルが多いコードベースで特に役立ちます。