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HTTP/2

出典: フリー教科書『ウィキブックス(Wikibooks)』

はじめに

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HTTP/2は、Webのパフォーマンスを向上させるために設計された新しいプロトコルです。このハンドブックでは、HTTP/2の基本概念から実践的な使用方法までを解説します。

HTTP/2とは

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HTTP/2は、HTTP/1.1の後継として2015年に標準化されたプロトコルです。以下のような特徴を持っています。

  • 高速化: リクエストとレスポンスの効率化。
  • 多重化: 単一の接続で複数のリクエストを並行処理。
  • ヘッダー圧縮: ヘッダーサイズを削減。

HTTP/2の特徴

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バイナリプロトコル

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HTTP/2は、テキストベースのHTTP/1.1とは異なり、バイナリ形式でデータをやり取りします。これにより、パースが高速化されます。

ストリームの多重化

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単一のTCP接続で複数のストリーム(リクエストとレスポンスのペア)を並行処理できます。

ヘッダー圧縮

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HPACKアルゴリズムを使用して、ヘッダーサイズを削減します。

サーバープッシュ

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サーバーがクライアントにリソースを事前にプッシュできます。

HTTP/2の仕組み

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HTTP/2は、以下の主要な概念に基づいて動作します。

  • フレーム: データの最小単位。ヘッダーフレーム、データフレームなど。
  • ストリーム: 単一のリクエストとレスポンスのペア。
  • 接続: クライアントとサーバー間のTCP接続。

HTTP/2のプロトコル

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HTTP/2のプロトコルは、以下のような構造を持っています。

  1. 接続の確立
  2. フレームの送受信
    • フレームを送受信して、リクエストとレスポンスを処理。
  3. ストリームの管理
    • ストリームの優先度やフロー制御を管理。

HTTP/2のメリット

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  • 高速なページロード: 多重化とヘッダー圧縮により、ページロードが高速化。
  • リソースの効率的な利用: 単一の接続で複数のリクエストを処理。
  • サーバープッシュ: クライアントが要求する前にリソースを送信。

HTTP/2のデメリット

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  • 設定の複雑さ: HTTP/1.1に比べて設定が複雑。
  • TLSの必須化: ほとんどの実装でTLSが必須。
  • 互換性の問題: 古いクライアントやサーバーとの互換性に問題がある場合がある。

HTTP/2の対応状況

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ブラウザ

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サーバー

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HTTP/2の実装方法

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Nginxでの設定例

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server {
    listen 443 ssl http2;
    server_name example.com;

    ssl_certificate /path/to/cert.pem;
    ssl_certificate_key /path/to/key.pem;

    location / {
        root /var/www/html;
        index index.html;
    }
}

Node.jsでの実装例

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const http2 = require('http2');
const fs = require('fs');

const server = http2.createSecureServer({
  key: fs.readFileSync('server.key'),
  cert: fs.readFileSync('server.crt')
});

server.on('stream', (stream, headers) => {
  stream.respond({
    'content-type': 'text/html',
    ':status': 200
  });
  stream.end('<h1>Hello, HTTP/2!</h1>');
});

server.listen(443);

HTTP/2のパフォーマンスチューニング

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  • ストリームの優先度: 重要なリソースを優先的に送信。
  • フロー制御: ネットワークの輻輳を防ぐためにフロー制御を調整。
  • サーバープッシュ: 必要なリソースを事前にプッシュ。

HTTP/2のセキュリティ

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  • TLSの使用: HTTP/2はTLSを前提としているため、適切な証明書を使用。
  • ヘッダー保護: HPACKアルゴリズムを使用してヘッダーを保護。
  • セキュアな設定: サーバーの設定を適切に行い、脆弱性を防ぐ。

HTTP/2のユースケース

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  • 高トラフィックWebサイト: 高速なページロードが求められるサイト。
  • リアルタイムアプリケーション: 低遅延が重要なアプリケーション。
  • モバイルアプリ: ネットワーク効率が重要なモバイル環境。

HTTP/2の未来

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HTTP/2は、Webのパフォーマンスをさらに向上させるために進化を続けています。HTTP/3QUICベース)との連携も期待されています。

参考文献

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Wikipedia
Wikipedia
ウィキペディアHTTP/2の記事があります。

このハンドブックが、HTTP/2の理解と実践に役立つことを願っています。HTTP/2を活用し、高速で効率的なWebアプリケーションを開発しましょう!