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残念ながら日本では、大学によっては、それぞれの科目どうしの教育バランスの調整がとれてない学校もあり、他科目の学習時間をうばいかねない高難度の科目が、ろくに是正されずに、大学がその科目を放置している場合もあります。
残念ながら日本では、大学によっては、それぞれの科目どうしの教育バランスの調整がとれてない学校もあり、他科目の学習時間をうばいかねない高難度の科目が、ろくに是正されずに、大学がその科目を放置している場合もあります。


ため学生は、防衛上、なるべく単位取得のラクな科目から履修していかざるを得ないのです。
学生は、防衛上、なるべく単位取得のラクな科目から履修していかざるを得ないのです。




また、基本的に高学年の科目になるほど、合格に必要な学習量(自習や予習復習など)が増えます。なのに、合格によって得られる単位数は、基本的に高学年の科目も低学年の科目も、ほぼ同じ単位数です。
また、基本的に高学年の科目になるほど、合格に必要な学習量(自習や予習復習など)が増えます。なのに、合格によって得られる単位数は、基本的に高学年の科目も低学年の科目も、ほぼ同じ単位数です。

特に、高学年になるほど、そのような、やたらと難しくて、他科目の学習時間をうばうような科目の存在確率も、高くなっていきます。なので防衛上、卒業要件を満たして可能なかぎり、低学年の科目により、単位取得をしていくのがオススメです。





2017年9月18日 (月) 19:54時点における版

履修科目の選択

大学では、必修科目のすべてを履修するとともに、選択科目を規定の単位数以上履修する必要があります。選択科目のどれを何単位履修すべきか、という規定を自分でよく理解し、その規定に沿うように選択する必要があります。科目ごとの単位数は明示されているはずですが、授業時数が同じならば異なる科目でも同じ単位数を取得することになるのが普通です。つまり、むずかしい科目に合格しようが、簡単な科目に合格しようが、授業時間の量が同じなら、合格でもらえる単位数も同じということです。

理系は文系と比べて必修科目が多い傾向にありますので、専門外の科目を履修するには限度があります。この現状は広く教養を身につけるという観点では不適切なのですが、修士までのわずか6年間で高度な専門教育をしなければいけない中ではしかたないのかもしれません。


第二外国語について

多くの大学で第二外国語が必修です。何語を選択するかについて、理系の読むべき文献は英語以外ではドイツ語が多い、ただし数学ならフランス語が多い、いやこれからビジネスに役立つのは中国語だ、などいろいろと言われることがありますが、特に理系の学生の場合、第二外国語が使えるレベルでものになることはほぼ期待できませんので、好きなものを履修すればよいです。どうせ、たかが学校で週に2時間程度習ったくらいでは、流暢な語学なんて身につきません。

英語ですら、中学高校あわせて6年間も学んでも、なんとか英語文献を読めても、自分で英語で書いたり話したりするとなると、とても難しいのです。ましてやドイツ語やフランス語なんて、まず、書いたり話したりするようになれるのは絶望的です。また、せっかく第二外国語をより深く習得しても、実用性はかなり限定的です。


以下に、各言語の大まかな特徴を述べます。


  • ドイツ語

ドイツ語は、英語より文法が難しいものの、フランス語よりは文法がかなり簡単です。また、ドイツ語の単語は、歴史的経緯から比較的英語に近いです。すくなくともロシア語と英語との遠近と比べたら、はるかにドイツ語は英語に単語が近いです。また、単語の発音はローマ字通りに近いので、そういう意味でもなじみやすいでしょう。医療系などの学部や学科では、第二外国語にはドイツ語を必修にしている場合もあります。昔の医学用語で、ドイツ語に由来する用語が多いからです。明治以降の近代の大学教育で、ドイツ語が第二外国語として必修的に教育されてきたという歴史もあり、教える大学側にもノウハウが蓄積されています。


  • フランス語

まず、フランス語は文法が不規則で、とても覚えることが多いので、手間がかかります。そしてフランス語は、単語があまり英語とは似ていません。発音も、ローマ字とは程遠く、一般的な日本人にはハードルの高い言語でしょう。歴史的に、数学の世界では他の理系分野とは違ってフランスが先進国であり、数学専攻の場合はフランス語が役に立つ場面がある、かもしれません。


  • ロシア語

ロシア語は、文字がキリル文字で、とっつきづらいです。文法も、英語やドイツ語よりは難しいです。単語も、英語とはかなり違います。

冷戦時代の物理学者ランダウなどソ連側の科学者の文献がロシア語で書かれることもありましたが、現代では旧ソ連の主要な科学者の文献は日本語訳や英訳をされてるので、原書で読む必要はありません。


  • スペイン語やイタリア語やポルトガル語など

スペイン語やイタリア語やポルトガル語なども、文法が複雑です。イタリア語はラテン語の影響があったりして興味ぶかいかもしれませんが(ラテン語は中世では学問の共通語だった)、しかしイタリア語の習得には時間が掛かり、理系学生には負担が大きいでしょう。


  • 中国語

漢字を使用するのでとっつきやすいですが、発音は難しいといわれます。もっとも、定期テストに限るならば筆記試験にはスピーキング問題は出せないわけですが。なお、大学によっては、理系の学部では、中国語が履修不可能の場合もあります。日本の科学の世界では、あまり中国語を使う機会が無かったからです。これからの時代は多くの人口を抱える中国に進出することがビジネスチャンスになる、ということで学生への人気が高まっていますが、そこまで使えるレベルでものにするのはかなり難しいでしょう。


学習の仕方

総論

大学での学習は高校までのような「受験」を意識したものではありません。 各自がそれぞれ身につけたい内容を学ぶものです。

注意する点として、入学してから四年後(留年しなければ卒業年度)の成績は、進級基準に考慮されません。また、大学院の入試問題を解く能力は、学部の各学年(1〜3年)の進級基準および卒業基準には、まったく考慮されません。

つまり、どんなに入学4年後に学力が高くても、大学院入試問題が解けても、もし1年目のときに合格科目が足りなければ、入学1年後には留年になります。


では、どう学習すればいいかというと、基本的には、それぞれの科目のシラバスや授業内での指示に従って学習することになります。


出席を重視するか否かも授業によります。傾向としては、日本の多くの理系大学では、多くの科目で、出席を重視します。

どういうことかというと、例えば、定期試験における不合格者への救済措置として、合格点より数点少ない学生などに、授業中の小テストなどの点数を加味して加点して合格にする場合がありますので、なるべく出席をするのが有利です。


理想としては、そもそも筆記試験とは学力を確認するために行うのですから、試験だけで合格/不合格を決められるのが理想ですが、しかし残念ながら、日本の大学教員のなかには、適切な試験問題をつくる能力の乏しい教員もいます。そのため、このような救済措置が必要になるのです。(当該科目の教授は、学生を不勉強だとして批判するだろうが、しかし、単に教員の問題作成能力が低いだけであったりする。)


ただし、数学の授業は出席を取らないことが多いです。講義を聴いているかいないか等どうでもよく、数学の内容を身につけたかつけていないかを重視したい、ということのようです。対照的に、実験実習の科目は(授業の性質上当然ですが)出席していないのに単位が取れるということはまずありえません。


また、試験は、慣習として、授業で紹介した話題から、試験問題は出題されます。

大学入試とは違って、授業で紹介されてない話題を出題する事は、大学学部の定期試験では、ほぼありません。


理想的には、たとえ大学で習っていない事でも、自発的に学術書などで、どんどんと勉強することは奨励されるべきでしょうが、しかし残念ながら日本の大学の現状では、進級基準や定期試験などは、そうなっていません。

現在の理系の大学では、大学で習っていない事を自発的にどんどんと勉強すると、試験対策の時間が足りなくなる場合があり、留年などの危険性が高まります。

履修の順序

専門科目の履修では、なるべく低学年の科目から履修していくのがオススメです。

なぜならば、高学年の専門科目の中には、使用頻度の低い知識をあつかう科目もあったりします。いっぽう、低学年の専門科目は、なるべく使用頻度が高い知識が多く紹介されています。

このため、低学年の科目から順に学習していくことで、効率的に専門知識を学習できます。

ただし、高校の数学3C未履修者のための補修科目などは、高校の科目が分かっている人は、わざわざ履修する必要がありません。

あくまで、大学レベルの範囲内で、なるべく低学年の科目から、履修をするのが、オススメです。


残念ながら日本では、大学によっては、それぞれの科目どうしの教育バランスの調整がとれてない学校もあり、他科目の学習時間をうばいかねない高難度の科目が、ろくに是正されずに、大学がその科目を放置している場合もあります。

なので学生は、防衛上、なるべく単位取得のラクな科目から履修していかざるを得ないのです。


また、基本的に高学年の科目になるほど、合格に必要な学習量(自習や予習復習など)が増えます。なのに、合格によって得られる単位数は、基本的に高学年の科目も低学年の科目も、ほぼ同じ単位数です。

特に、高学年になるほど、そのような、やたらと難しくて、他科目の学習時間をうばうような科目の存在確率も、高くなっていきます。なので防衛上、卒業要件を満たして可能なかぎり、低学年の科目により、単位取得をしていくのがオススメです。


現状の大学教育では、理系は、かなり学習負担が大きく、そのため、なるべく合格しやすい低学年の科目から、履修して単位数を稼ぐ必要があります。

単位数が不足すると、留年する可能性が高くなり、危険です。

また、せっかく高学年の難度の高い科目を履修しても、就活のさいの企業側には、その科目の難度は分かりません。


難関科目に挑戦したあげく、不合格になり、他科目の勉強時間も失ってしまって他科目も不合格になり、留年してしまっては、就活で不利になります。

企業側からは、まったく、その科目の難度は分かりません。

また、もし志望企業に企業に大学OBが居ても、OBの学生時代とは科目担当の教授が別人物に変わっていることもあり、科目の難度も違っています。

大学のカリキュラムは、数年で頻繁に変わるので、企業側が内情を把握するのは無理なのです。

ともかく、なるべく低学年むけの、簡単な科目から、履修していってください。


実験科目について

大学では、実験科目は、レポート作成などに、授業の時間とは別に、調べごとなどで、かなり長い時間が掛かります。

そのため、他科目の学習時間をうばう可能性があります。

なので、必修科目以外の実験科目は、なるべく最小限に済ませるのがオススメです。


たいてい、1学年に「物理実験」や「化学実験」などの科目があります。しかし、これらの科目ができても、たったの8単位です。

特に物理実験は、レポートに数学的な考察が必要だったりして、調べごとも多く、しかも、レポートが手書き指定されている場合がほとんどのため、かなりレポート作成に時間が掛かります。

数学的な考察が分からないと「物理実験」科目が不合格になる場合もあり、かなり時間をかけてレポートを書いたあげく、不合格になりかねません。1年の物理実験をせっかく合格して単位取得しても、たったの4単位です。

なので、他科目で単位取得したり、どうしても学校の進級基準で実験科目の単位が必要なら、なるべく化学実験で、単位を取得していくのが、オススメです。


定期試験

理系特有の事情として、理系科目の定期試験では、低学年でも高学年でも、計算問題を含む筆記試験があります。

試験問題は基本的に、100点満点中、60点以上で合格です。


試験では、たとえ自己採点で60点未満でも、なるべく、多くの問題に解答してください。

なぜなら、教授のなかには、試験作成の能力が低い教員もおり、例えば、計算時間が足りないのに大量の計算問題を出すなどの不適切な出題をして、そのため多くの学生が試験時間内に解き終わらず、大量の不合格者を出すなどして教授会でその科目の教授が問題視されたりして、教授会の決定により追試験の行われるような場合も、しばしば、あります。

追試を行う場合、「本試験で40点以上」などの受験条件のつく場合がありますので、たとえ自己採点で60点未満でも、なるべく、60点近くをめざして解答するのがオススメです。


さて、定期試験の問題は、基本的に、過去数年間の過去問のパターンどおりに出されます。ひとりの教員の思いつく問題のパターンは限られています。サークルの先輩後輩の間などで、そのような教員の情報や、過去問そのものが受け継がれることも多いようですので、入手しておいてください。

このため、なるべく可能なかぎり、なんらかのサークルや部活動に入ることをオススメします。

教科書

大学には学習指導要領はありませんので、どこの大学でも使われる共通の教科書というものはありません。よく使われる定番教科書のようなものはありますが、かといってそれを使わず教員が自分で執筆した教科書を指定することもあります。これも、基本的には授業での指示に従うことが無難でしょうが、どうしても合わないようならば、その科目の定番教科書を知り、併読するのも手です。

なお、実験科目は、その大学の教員が共同で作った各大学のオリジナル教科書を使うことが多いようです。

課外活動について

大学生は学業と並んでサークル活動などに力を入れる人も少なくありません。それ自体は悪くはないですが、学業との優先順位をひっくり返してはいけません。特に理系の場合、現状では、かなり厳しめの評価基準で単位認定をする科目(つまり、不合格者の多い科目)もあります。

当然のことですが、大学側は課外活動を進級基準には組み込んでくれません。学業といかに両立させるかは完全に自己責任です。


研究室選び

工学系では、3年の後半ごろから、おそくても4年生になると、研究室に配属されます。いずれ企業の技術職として働くことを意識するのであれば、基本的には、志望業種に近いテーマを選ぶべきでしょう。

「他分野、あるいは学際的な研究が思わぬところで役に立つかも」なんて事を考えても、企業に志望の意志をアピールしづらくなってしまいます。学際的なテーマは、研究室選びではなく、自分の趣味の範囲で勉強しましょう。

大学に残って研究者としてやっていくというのなら遠回りも役に立ちますが、なにしろ一握りの優秀な人にしか関係のない話です。

研究分野を大くくりに見ると、実験系か理論系かという分類ができます。実験系は、手を動かせばある程度成果が出る、という部分でわかりやすい分野です。

ただし、機材がなければ実験はできませんので、その大学が保有してない設備を用いる実験は、出来ません。

いっぽう、理論系の研究は、外部の人にとっては分かりづらい研究になりがちです。そのため、就活の際、アピールしづらいというデメリットがあります。

また、レベルの低い学生では、理論系では、まともなことは何もできないまま終わりますので、もし学力に不安がある学生なら、なるべく実験系をするのがオススメです。


大学院への進学について

大学院に進学をする事により、2年間近く、確実に研究を進められるというメリットがあります。 このため、もし実験系の研究室なら、ほぼ確実に実験データを積み重ねるなどの成果を獲得できます。

なお、就職後に会社に籍を残したまま大学院へ進学する、という人が少数ながら存在するため、「大手企業なら、もし学力が高ければ、大学や大学院に進学させてもらえる。しかも奨学金として学費を出してくれる」などという噂が流れることもあるようですが、現実にはかなり困難です。社内で指折りの幹部候補生に対してそのような待遇をすることはありうるでしょうが、果たしてあなたは、大手企業の社内で指折りの幹部候補生になれるのでしょうか。


また、デマ的な噂で、「大学院に進学すると、就活が不利になる」などと噂もあります。

しばしば、保護者が、文科系の場合や博士課程と混同して、理系の大学院(修士課程)の進学に反対する場合があります。そのような場合、保護者の誤解を解いてください。

文科系の場合、あまり大学院進学が評価されないという風潮もありますが、しかし理系の場合、現状では、そういう事はありません。

また、文科系の博士課程の場合だと、卒業時の年齢の高さ(30歳近く)等の理由により、一部業種では敬遠される可能性があります。しかし、理系の修士課程では、そういう事はありません。