関数
f(x)
一般に、がの関数である場合に、 の文字を用いて、
と書き表す。
また、x の関数 y=f(x) のことを単に f(x) と省略して言う場合もよくある。
関数 y=f(x) において、変数xの値をaにした場合の関数の値を f(a) で表す。
つまり、関数f(x) の x=a の場合でのyの値が f(a) である。
定義域
関数 y=f(x) において、 xのとりうる値の範囲のことを、この関数の 定義域 (ていぎいき、domain)という。
定義域を数式ではっきりと示す必要がある場合には
のように示すことがよくある。
この関数の場合、定義域はaからbまでである。
また、関数 y=f(x) において、yのとりうる値の範囲のことを、この関数の 値域(ちいき)という。
2次関数
定義
具体例
以下の関数はいずれも2次関数である。
- (、、の場合に相当)
- (、、の場合に相当)
- (、、の場合に相当)
一方以下の関数は2次関数ではない
読者はこれを当然と思うかもしれないが、上の式は
と表記することもできる。しかし、これを二次関数とは呼ばないほうが自然であろう。
そのために、2次関数の定義においてでなければならないというルールを設けたのである。
上に凸、下に凸
まず、右図に、二次関数をグラフにした例を示す。
このように、二次関数は、まっすぐではない。
そして、y=x2の場合、 途中で値がもっとも小さくなる場所(x=0でy=0)がある。
いっぽう、-x2+2x+3はx=1で最大値4を取る。
このように、一般に二次関数では、最小値または最大値をもつ。
二次関数が最小値をもつ場合、この関数のグラフの形状から、その性質のことを「下に凸」(したにとつ)という。
凸(とつ)とは、「でっぱってる」という感じの意味である。
y=x2は下に凸である
いっぽう、-x2+2x+3は上に凸である。
また、傾きについては、グラフがまっすぐでない事からも分かるように傾きの値はxの場所によって変わる。
一般形と標準形
本節では二次関数の一般形と標準形について学ぶ。この知識は後で二次関数をグラフで表す際に役立つ。
先ほど現れた
という形の式 () を2次関数の一般形といい、
という式を二次関数の標準形という。
(上で、、、、、は定数で、は変数であるものとする。)
一般形と標準形の関係
|
- 定理
- 一般形の2次関数は必ず標準形でも表記する事ができ、逆に標準形の2次関数は必ず一般形でも表記可能である。
|
一般形で表記されている2次関数を標準形で表記する事を平方完成という。
後述するように、標準形は2次関数をグラフで表す際に用いる。
証明
標準形
で表記されている二次関数の右辺を展開すると、
となるので、
とすれば一般形になる。
逆に一般形
で表記されている2次関数は以下の手順で標準形に変換できる(この変形手法を平方完成という)。
ここで、
とおくと、
となり標準形で表されたことになる。
例題
- 例題
- 次の2次関数が一般形ならば標準形に、標準形ならば一般形にせよ。
- 解
-
2次関数のグラフ
本節では2次関数 のグラフの求め方を述べる。
のグラフ
まずもっとも簡単なのグラフは のとき図1のようになる。(図ではの場合を表記)。また、 のときは図1 のグラフを上下さかさまにしたものになる。
後述するように一般の のグラフはのグラフを上下左右にずらしたものになる。
のとき二次関数 は下に凸といい、 のとき上に凸という。また、二次関数のグラフを放物線という。
一般の2次関数のグラフ
一般の2次関数をグラフで表現してみよう。 前述のように2次関数は平方完成の手順を踏む事により必ず標準形で表記可能なので、2次関数を標準形
に変換する。ここで、
この標準形のグラフは のグラフを 軸方向に , 軸方向に 平行移動させたものと考えることができる。よって以下の事実が結論付けられる。
二次関数のグラフ
|
- 定理
- 二次関数 のグラフは軸が , 頂点が であるような放物線である。
|
例題
- 例題
- 2次関数 のグラフをかけ。
- 解
-
- ゆえに、求めるグラフは軸 、頂点 の下に凸な放物線である。
- 例題
- 2次関数 のグラフは のグラフをどのように平行移動させたものか。
- 解
-
- であるので、 のグラフを 軸方向に 、 軸方向に -21 移動させたものである。
2次関数のグラフと二次方程式
2次関数のグラフと軸に共有点があるとき、その共有点の座標は0であるから、共有点の座標は、二次方程式の実数解である。
次の2次関数のグラフと軸の共有点の座標を求めよ。
(i)
(ii)
(i) 2次方程式を解くと
よって、共有点の座標は
(ii) 2次方程式を解くと
よって、共有点の座標は
(ii)のグラフはただ1点で共有し、共有点の座標は二次方程式の重解である。このようなとき、2次関数のグラフは軸に接するといい、その共有点を接点という。
2次関数のグラフと軸との共有点の座標は、二次方程式の実数解で、実数解の個数はの符号によって決まる。
例題
次の2次関数のグラフと軸との共有点の個数を求めよ。
(I)
(II)
(III)
(I)
だから、軸との共有点はなし。
(II)
だから、軸との共有点は2個。
(III)
だから、軸との共有点は1個。
2次関数の値の変化
2次関数の最大・最小
定義域が実数全体である2次関数 の最大値・最小値を考えてみよう。またそのときの の値を考えてみよう。
もう一度、図1を右に挙げてみた。これはのグラフであったが、すべての で となっていることがわかる。また、 となるのは のときのみである。したがって次の定理が成り立つ。
- 定理
- すべての実数 に対して、。等号成立はのときのみ。
ゆえに、関数はのとき最小値0をとり、最大値は存在しない。
これがさらに一般の2次関数の場合にはどうなるか、また、定義域を数直線の一部の区間に限定した場合にはどうなるか、次の例題を解きながら考えてみよう。
例題
- 例題
- 2次関数の の範囲での最大値・最小値を求めよ。
- 解
と標準形にし、グラフを書くと右図のようになる。
したがってグラフより答えは最大値は のとき, 最小値は のとき。
- 例題
- 2次関数 の の範囲での最大値・最小値を求めよ。
- 解
上の例題と同様の問題のように思えるが、定義域が ではなく、 となっている。とりあえずグラフをかいてみることにする。
- .
グラフから、最大値は のとき, 最小値は存在しない。
二次不等式
二次不等式とは、 の二次式と不等号で表される式のことをいい、
- ,
のような形をしている。グラフを利用して二次不等式の解を考えてみよう。
- 例題
- 二次不等式 を解け。
2次関数 のグラフは右図のようになる。
となる の値の範囲は右のグラフの 軸より上側にある部分に対する の値の範囲であるから、
- .
この問題をより一般化してみよう。
2次不等式 を解くには のグラフをかけば一目瞭然である。しかし、グラフをかいた場合にも我々が注目するのは 軸より上か下かということと、 軸との共有点である。 軸との共有点は二次方程式 の解であるが、二次方程式の解の公式を思い出してほしい。それは次のようなものであった。
- 二次方程式が解を持つとき、その解 は、
これを用いると、二次方程式が解を持つとき、
と因数分解形で表すことができる。(右辺を展開して左辺と一致することを確かめてみよ。)
ここで、
とおくと、
となる。 のとき のグラフは下に凸であるからこの不等式の解は、
となる。 のときは両辺を で割ってから考えると、
となる。
2次関数のグラフが軸と異なる2点で交わる場合
次の二次不等式を解け。
(i)
(ii)
(i) 二次方程式を解くと
よって、この二次不等式の解は
(ii) 二次方程式を解くと
よって、この二次不等式の解は
2次関数のグラフが軸と接する場合
の値の符号について考えよう。
平方完成をすると
この関数のグラフは、軸と点で接する。
の値の符号について、下の表のようになる。
| | | |
| | | |
よって
- の解は 3以外のすべての実数
- の解は ない
- の解は すべての実数
- の解は
例題
次の二次不等式を解け。
(i)
(ii)
(iii)
(iv)
(i)
よって、-1以外のすべての実数
(ii)
よって、
(iii)
よって、解はない
(iv)
よって、すべての実数
2次関数のグラフが軸と共有点をもたない場合
2次関数のグラフと軸の位置関係について、のとき、軸と共有点をもたなかった。
さらにという条件を加えると、のグラフは軸より上側にある。
のとき
- の解は すべての実数
- の解は ない
例題
次の二次不等式を解け。
(i)
(ii)
(iii)
(i)
よって、解はない
(ii)
よって、すべての実数
(iii)
よって、解はない
(発展)放物線と直線
放物線と直線の共有点について考えよう。
放物線 と次の直線の共有点の座標を求めよ。
(i)
(ii)
(i) 求める共有点の座標は、連立方程式
の実数の解である。 を に代入すると
すなわち
これを解いて
のとき
のとき
よって、共有点の座標は
である。
(ii) 求める共有点の座標は、連立方程式
の実数の解である。 を に代入すると
すなわち
これを解いて
このとき
よって、共有点の座標は
である。
例題の(ii)のように、放物線とその軸に平行でない直線がただ1点を共有するとき、放物線は直線に接するといい、共有点を接点という。
演習問題