「古典力学」の版間の差分

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==物体==
==物体==
大きさを持たない物体を質点という。質量を持つ点の意味である。実際の物体は大きさを持つが、運動の大きさに対して物体の大きさが無視できるほど小さければ質点と見なしてよい。<!-- 重心を質点とみなしてよい場合についての記述がどこかにほしい -->
大きさを持たない物体を質点という。質量を持つ点の意味である。実際の物体は大きさを持つが、運動の大きさに対して物体の大きさが無視できるほど小さければ質点と見なしてよい。<!-- 重心を質点とみなしてよい場合についての記述がどこかにほしい -->

大きさを持ち、力を加えても変形しない物体を剛体という。実際の物体は力を加えると多少なりとも変形するが、力を加えても変形が無視できるほど硬ければ剛体と見なしてよい。
大きさを持ち、力を加えても変形しない物体を剛体という。実際の物体は力を加えると多少なりとも変形するが、力を加えても変形が無視できるほど硬ければ剛体と見なしてよい。

大きさを持ち、力を加えると変形するが、力を加えるのを止めると元の状態に戻る物体を弾性体という。
大きさを持ち、力を加えると変形するが、力を加えるのを止めると元の状態に戻る物体を弾性体という。

気体や液体のように決まった形を持たず、流れる物体を流体という。流体については古典力学ではなく[[流体力学]]で扱う。
気体や液体のように決まった形を持たず、流れる物体を流体という。流体については古典力学ではなく[[流体力学]]で扱う。


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==力==
==力==
力には様々な種類が存在するが、遠隔力(場の力)と直接働く力の2つに大きく分けられる。
力には様々な種類が存在するが、遠隔力(場の力)と直接働く力の2つに大きく分けられる。
:万有引力 質量を持つ物体同士が引き合う力である。万有引力は万有引力の法則<math>F=G\frac{mM}{r^2}</math>によって表される。Gは万有引力定数と呼ばれる物理定数で、約<math>6.67\times 10^{-11} \frac{\rm{m}^3}{\rm{sec}^{2} \rm{kg}}</math>。距離の乗に反比例することが重要な特徴。これを逆乗則と呼ぶ。
:万有引力 質量を持つ物体同士が引き合う力である。万有引力は万有引力の法則<math>F=G\frac{mM}{r^2}</math>によって表される。Gは万有引力定数と呼ばれる物理定数で、約<math>6.67\times 10^{-11} \frac{\rm{m}^3}{\rm{sec}^{2} \rm{kg}}</math>。距離の乗に反比例することが重要な特徴である。これを逆の法則と呼ぶ。
:重力 万有引力と自転の遠心力の合力である。重力はW=mgによって表される。gは重力加速度と呼ばれる物理定数である。
:重力 W=mg
:クーロン力 電荷を持つ物体同士が引き合ったり押し合ったりする力である。クーロン力はクーロンの法則<math>F=\frac{qQ}{r^2}=qE</math>によって表される。し用いる単位系によっては<math>F=k\frac{qQ}{r^2}</math>となり、kの値に用いた単位系の性質が反映される。上のようにk=1となるのはガウス単位系と呼ばれるもの。とはいえ、力学ではkの値にはあまりこだわらない。それよりクーロン力もやはり逆乗則が成り立つことが重要。但し万有引力は引力しかないが、電磁気では引力も斥力もあることも忘れてはならない。
:クーロン力 電荷を持つ物体同士が引き合ったり押し合ったりする力である。クーロン力はクーロンの法則<math>F=\frac{qQ}{r^2}=qE</math>によって表される。ただし用いる単位系によっては<math>F=k\frac{qQ}{r^2}</math>となり、kの値に用いた単位系の性質が反映される。上のようにk=1となるのはガウス単位系と呼ばれるもの。とはいえ、力学ではkの値にはあまりこだわらない。それよりクーロン力もやはり逆の法則が成り立つことが重要である。万有引力は引力しかないが、クーロン力には引力も斥力もあることも忘れてはならない。
:ローレンツ力 <math>F=q(v \times B)</math>
:ローレンツ力 <math>F=q(v \times B)</math>


:弾性力 ばねから受ける力である。弾性力はフックの法則<math>F=-kx</math>によって表される。
:弾性力 ばねから受ける力である。弾性力はフックの法則<math>F=-kx</math>によって表される。
:張力 ひもや糸から受ける力である。通常でTで表される。大きさは未知である。
:張力
:垂直抗力 物体を置いたり、壁を押したときに受ける面に垂直な力である。Nで表される。大きさは未知である。
:垂直抗力 物体を置いたり、壁を押したときに受ける面に垂直な力である。通常Nで表される。大きさは未知である。
:摩擦力
:摩擦力
:静止摩擦力 静止している物体が滑ろうとしている向きと反対方向に受ける力である。
:動摩擦力 運動している物体が滑っている向きと反対方向に受ける力である。


:浮力 流体から受ける力である。鉛直上向きである。圧力の合力である。浮力はアルキメデスの原理F=Vdgによって表される。
:浮力


==運動の保存量==
==運動の保存量==

2005年3月18日 (金) 00:48時点における版

古典力学とは、一般的に、相対性理論量子論が登場する以前の物理学を指す。
狭義にはニュートン力学を指すことが多い。ケプラーやガルレオの研究をニュートンがまとめあげて完成させた。

物体

大きさを持たない物体を質点という。質量を持つ点の意味である。実際の物体は大きさを持つが、運動の大きさに対して物体の大きさが無視できるほど小さければ質点と見なしてよい。

大きさを持ち、力を加えても変形しない物体を剛体という。実際の物体は力を加えると多少なりとも変形するが、力を加えても変形が無視できるほど硬ければ剛体と見なしてよい。

大きさを持ち、力を加えると変形するが、力を加えるのを止めると元の状態に戻る物体を弾性体という。

気体や液体のように決まった形を持たず、流れる物体を流体という。流体については古典力学ではなく流体力学で扱う。

運動の三法則

運動の第一法則(慣性の法則) 物体に力が働かないとき、物体は静止状態か等速度運動を続ける。 第一法則は第二法則の特殊な場合というよりも、第二法則が成り立つための前提条件と考えたほうが良い。

運動の第二法則(運動の法則) 加速度の大きさは力の大きさに比例し、物体の質量に反比例する。 運動の第二法則を式で表すと、運動方程式となる。もっとも簡単な直線上の運動の場合にはともに符号付きの実数だが、より自由度が高い平面上や空間内の運動の場合には加速度、力ともにベクトルで表される。従って運動方程式はベクトル式 となる。力の源として典型的なのは万有引力、電磁気力、及び接触しているほかの物体から受ける力である。 数学的には加速度は速度の時間微分 、速度は位置ベクトルの時間微分なので、第2法則を位置ベクトルで書くと

という形になる。


運動の第三法則(作用反作用の法則) ある物体が他の物体に力を与えるとき、ある物体は他の物体から大きさが等しく、逆向きの力を受ける。


力学の主要な目的は物体の運動を定量的あるいは定性的に予測することだが、その作業は大きく二段階に分けられる:

1.(運動方程式の導出)問題とする状況において物体が受ける力を求める。重力や電磁気力の法則を使うが、複数の物体がからむ問題では第3法則も重要な働きをする。物体が受ける力は一般にはその位置および時間に依存するのでとなるが、特に位置への依存性が重要な問題が多い。その結果を第2法則に代入すると

となる。これが運動方程式。数学的にはが満たす二階微分方程式に他ならない。

2.(運動方程式を解く)運動方程式を解いて運動を求める。原理的には適切な初期条件を与えた上でそれを解けばよい。2階なので初期条件は初期時刻での位置と速度が必要。物理的にはある時刻の位置と速度を決めると、それ以降の運動が完全に決まることを意味する(ボールを投げる場合を思いおこせばよい。ボールが手から離れる瞬間の位置と速度でその後のコースが決まるわけである)。 とはいえ、2階のまま直接解くのは難しいので、通常はエネルギーなどの保存量を求め一階に直してから積分に持ち込む。積分が解析的に求められなくても、保存量を調べるだけで定性的な性質がかなり分かる(例えば惑星の運動が平面上に乗るのは角運動量という保存量の存在だけから分かる)。保存量が見つからないと解析的な解は得られないことが多く、近似や計算機上の数値計算などのテクニックが必要となる。


しかしそのようなテクニックは解析力学まで進んでから学ぶほうがよい。まずは保存量のような基本的な概念と厳密に解ける基本的な運動を扱い、正しい直観を身に付けることが大切である。保存量の代表的な候補にエネルギー、運動量、角運動量がある。また基本的な運動には等加速度運動、放物運動、円運動、楕円運動、単振動などがあり、多くの現象をこれらの運動が「複雑化」したものとして理解できる。なおこれらの範疇には入らず、しかもある意味でやはり基本的な運動にカオス的な運動と呼ばれるものがあり多くの研究がなされているが、これも解析力学まで進んでから学ぶのがよい。

力には様々な種類が存在するが、遠隔力(場の力)と直接働く力の2つに大きく分けられる。

万有引力 質量を持つ物体同士が引き合う力である。万有引力は万有引力の法則によって表される。Gは万有引力定数と呼ばれる物理定数で、約。距離の二乗に反比例することが重要な特徴である。これを逆二乗の法則と呼ぶ。
重力 万有引力と自転の遠心力の合力である。重力はW=mgによって表される。gは重力加速度と呼ばれる物理定数である。
クーロン力 電荷を持つ物体同士が引き合ったり押し合ったりする力である。クーロン力はクーロンの法則によって表される。ただし用いる単位系によってはとなり、kの値に用いた単位系の性質が反映される。上のようにk=1となるのはガウス単位系と呼ばれるもの。とはいえ、力学ではkの値にはあまりこだわらない。それよりクーロン力もやはり逆二乗の法則が成り立つことが重要である。万有引力には引力しかないが、クーロン力には引力も斥力もあることも忘れてはならない。
ローレンツ力 
弾性力 ばねから受ける力である。弾性力はフックの法則によって表される。
張力 ひもや糸から受ける力である。通常でTで表される。大きさは未知である。
垂直抗力 物体を置いたり、壁を押したときに受ける面に垂直な力である。通常Nで表される。大きさは未知である。
摩擦力
静止摩擦力 静止している物体が滑ろうとしている向きと反対方向に受ける力である。
動摩擦力 運動している物体が滑っている向きと反対方向に受ける力である。
浮力 流体から受ける力である。鉛直上向きである。圧力の合力である。浮力はアルキメデスの原理F=Vdgによって表される。

運動の保存量

物理ではエネルギーや運動量などの保存量が重要な働きをする。力学においてもそれは同様であるが、特に自由度の小さい系での運動を扱う場合には、保存量の利用により運動がほとんど決定されてしまう。 もっとも簡単(でしかも重要)な例は直線上の粒子の運動で、エネルギーが保存される場合。粒子の座標をxとし、それがxに依存した力f(x)を受けるとする。例えば バネにつながれた粒子では、f(x)=-kxになる。このとき運動方程式は これをxについての微分方程式とみて初期条件 「t=tiでx=xi,dx/dt=vi」で解けばよい。しかし二階だと面倒なので、両辺にdx/dtをかけて見る。すると

ここで合成関数の微分側を使うと、左辺、右辺はそれぞれ 但しF(x)はf(x)の原始関数(dF/dx=f(x)になる関数。例えばf(x)=kxならF(x)=kx^2/2)。 よって

左辺、右辺両方ともある関数の微分なので、右辺を左辺に移行してまとめると

よって、の中身は時間に依存しない定数、即ち保存量になる。その値はt=tiの時の値そのままということなので、


即ち、それぞれは運動の間様々に変化するが、これらを次の形に組み合わせた値

は運動の最初から最後までずっと変化しない量になるのである。このように、位置、速度それぞれは変化しても、それらをある形に組みあわせてできる量は値が変わらず、 初期条件だけで決まってしまうということが起きる。これが保存量である。特に今の例で挙げたという組合せはエネルギーと呼ばれる。

等加速度直線運動

速度の公式

変位の公式

放物運動

放物運動は等速度運動と等加速度運動を合成したものと考えることができる。

初速度

初速度の水平成分

初速度の鉛直成分

最高点に到達するまでの時間

最高点の高さ

円運動

単振動

強制振動

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